1.霊界物語の玉 | 8.麻邇宝珠(五つの御玉) |
2.真澄の玉、潮満の玉、潮干の玉 | 9.三つの御玉 |
3.顕国の玉 | 10.三つの御玉を考える |
4.如意宝珠 | 11.冠島と沓島 |
5.黄金水の玉 | 12.国の御柱神 |
6.太白星の玉 | 13.玉依姫 |
7.麻邇の珠と麻邇宝珠 | 14.物語の玉の関係 |
重要な玉を出てくる順番にあげます。
初出 | 玉 | 後に | |
1 | 第1巻29章 | 真澄の玉、潮満の玉、潮干の玉 | 潮満の玉、潮干の玉=琉球の玉 |
2 | 第1巻32章 | 顕国の玉 | 如意宝珠 |
3 | 第1巻33章 | 黄金水の十二の玉 | うち一つが紫の玉 |
4 | 第2巻7章 | 五個の神玉(後に24巻で登場) | 天火水地結の麻邇宝珠 |
5 | 第2巻39章 | 太白星の十二の玉 | うち一つが黄金の玉 |
6 | 第5巻33章 | 杉高の玉と十二の玉 | この章だけに出る |
この論考では、それぞれの玉についての来歴を追いかけます。
章 | 概略 |
1-23 | 麻邇の珠は竜宮の一の宝で一名満干の珠といひ、風雨電雷を叱咤、自由に駆使する神器である。 真澄の玉はエルサレムの珍の宮に納まつていて、麻邇の玉よりずっと価値があった。 |
1-29 | 大八州彦命が魔軍との戦いで、自分の所持する真澄の玉を投げつけて攻撃した。 |
1-30 | 乙米姫(竜)が麻邇の玉(潮満の玉、潮干の玉)を大八洲彦に捧呈した。 大八州彦命は玉を部下の田子彦、牧屋彦に預けたが、二人が寝返り、玉は魔軍の稲山彦の手に入る。 |
1-31 | 稲山彦が潮満の玉、潮干の玉を攻撃に使用する。 木の花姫姫が、真澄の玉を大八州彦命に与える。(真澄の玉は複数あったのか?) |
1-32 | 潮満の玉、潮干の玉は戦闘によって水中に沈んだが、乙米姫が探し出し、木の花姫に捧呈。木の花姫はそれを大八州彦命に与える。 大八州彦命は3つの玉を持ち、三つの御魂となった。 |
1-33 | 邪神がエデンの園で大八州彦命を襲ったため、3つの玉の威力が発揮されてエデンの園は焼失した。 真澄の玉……大風 潮満の玉……竜水 潮干の玉……猛火 |
1-34 | 魔軍がシナイ山を襲う。大八州彦命は真澄の玉を厳の御魂に渡して、厳の御魂は息吹の神業を行い、魔軍を撃退した。 |
1-35 | 国治立尊が冠島と沓島を生み、潮満の玉、潮干の玉は冠島へ隠し海原彦(綿津見神)の守護、真澄の玉は沓島へ隠させ国の御柱神の守護とした。
潮満の玉……厳の御魂 豊玉姫 紅色 |
1-36 | 国治立尊は誰にも知らせず、玉の体と精霊を分けていた。玉の体は冠島と沓島に隠し、精霊はシナイ山の山頂に隠した。これを一厘の仕組みという。 魔軍が玉を奪おうと冠島・沓島を襲い、海原彦は玉の威力で反撃を試みるが、玉は精霊を抜かれていたため神力を発揮しなかった。海原彦、国の御柱神は危機に陥ったが金勝要神によって救われた。 |
5-45 | ここは噂話として、1-36の攻撃の時に、「冠島も沓島も、敵に奪られて仕舞つたと云ふぢやないか」とある。玉が奪られたかは不明。 |
7-21 | 竜宮島の潮満、潮干の玉は豊玉姫神、玉依姫神が守護していたが、世界大洪水以前に、ウラル彦の率ゆる軍勢の為に玉は占領された。二柱の女神は遠く東に逃れて、天の真名井の冠島、沓島に隠れた。 |
その後、後の巻で、潮満の玉は琉の玉となり、潮干の玉は球の玉となります。
章 | 概略 |
27-8 | 言依別と国依別は国武彦神の命令で、琉の玉である潮満の玉、球の玉である潮干の玉を竜神から手に入れるために琉球へ向かう。 各一個づつこれを携へて世界を巡れば、いかなる悪魔といへども、たちまち畏服するという神器である。 |
27-9 | 言依別と国依別の前に、常楠と若彦が神様の指示で来ていて、ハーリス山の竜神を言向け和そうとしていた。 |
27-10 | 国依別、竜神の柿を食べて、蛇に襲われ危機一髪の目にあう。 |
27-12 | 国依別が竜若彦を言向け和す。 |
27-13 | 竜が解脱し、大竜別、大竜姫は、それぞれ琉と球の玉を秘めた玉手箱を言依別と国依別に渡す。 琉、球の二宝は、風雨水火を調節し、一切の万有を摂受し、あるひは折伏し、よく摂取不捨の神業を完成する神器である。 |
27-16 | 言依別は琉の玉を、国依別は球の玉の精霊を身魂に移す。玉の形骸は若彦が生田の森の館へ持ち帰った。言依別と国依別は高砂洲へ向かう。 |
30-15 | 国依別、球の玉の霊光で、ブール他を撃退する。 |
30-22 | 言依別、球の玉の霊力を使い、蜈蚣を表し、国依別たちを励ます。 |
31-3 | 国依別、球の玉の神力で大地震を鎮める。 |
31-5 | 国依別、球の玉の神徳で、元気あふれ、実際は40を越えていたが、10歳は若く見えた。 |
32-5 | 言依別と国依別、帽子ケ岳より琉球の霊光で竜国別他、兎族の危機を救う。 |
33-24 | 英子姫、高姫を生田の森に出張させ、琉の宝玉を守護させる。 |
33-26 | 国玉別(若彦)、玉能姫の夫婦は、球の玉を玉留島(玉津島)に祀った。球の玉には稚姫君の生御霊を取りかけた。 |
69-3 | 国依別は球の玉の神徳によつて、凡ての世の中の成行きを達観してゐた。 |
■まとめ
潮満の玉、潮干の玉は冠島へ隠され、海原彦(綿津見神)の守護、真澄の玉は沓島へ隠させ国の御柱神の守護となった。その後、ウラル彦に奪われたという話もあった。玉は結局琉球島の竜神が守っており、言依別と国依別に渡され、琉球の玉の働きをする。
玉の精気は言依別と国依別が治め、玉の体は、若彦が球の玉を稚姫君の生御霊をかけて祀る。琉の玉は高姫が守った。
真澄の玉の方は、沓島へ秘匿されてからどうなったか不明です。
顕国の御玉は「国常立尊が星辰を生み出したときに最初に現われた星巌を天人が幾万億年守護して、徐々にすりへって小さくなったもの。地球に酷似している」と書かれています。 論考資料集
物語の次の個所では、金勝要神が玉に息吹の狭霧を吹きかけてから、玉を鍛えます。これはどんな意味を持つのだろうか?最初はよく分かりませんでしたが、まとめのところで解釈を書いています。
ここで、国常立尊と書かれているのは大国常立尊のこと、三という数字が何回も出てくること、三つの宝玉と書かれていることから、顕国の御玉は三つの御玉である可能性が高い。
『スサノオの宇宙へ』では、顕国の御玉はスサノオの精霊であると書かれています。
物語01-5-37 1921/10 霊主体従子 顕国の御玉 この高原(シオン山)の中央に、高さ五十間幅五十間の方形の極めて堅固なる岩石が据ゑられてある。これは国常立尊が天の御柱の黄金の柱となつて星辰を生み出し給ひしとき、最初に現はれたる星巌である。神業祈念のために最初の一個を地上にとどめ、これを地上の国魂の守護と定めて今まで秘めおかれたのである。 星巌は自然に容積を減じ、今は中心の玉のみになつてゐたのである。この玉は直径三尺の円球である。これを見ても天地剖判の初めより幾万億年を経過したるかを想像される。 一見するところ此の円き星巌は地球に酷似してゐる。大地の神霊たる金勝要神は、いと軽々しくその円巌を手にして三回ばかり頭上高く捧げ、天に向つて感謝し、ついでこれを胸先に下し、息吹の狭霧を吹きかけたまへば、円巌はますます円く形を変化し、その上得もいはれぬ光沢を放射するにいたつた。このとき金勝要神はいかが思召けむ、この円巌を山頂より安河原の渓流めがけて投げ捨てたまうた。急転直下、六合も割るるばかりの音響を発して谷間に転落した。稚姫君命以下の諸神司は諸々の従臣と共に、星巌の跡を尋ねてシオン山を下り、星巌の行方いかにと谷間の彼方こなたを捜させたまうた。はるか上流に当つて、以前の十二の天人霧立ちのぼる谷間に面白く舞ひ狂うてゐる姿が目につき、玉の行方は確にそこと見定め、渓流を遡りたまうた。幾百丈とも知れぬ大瀑布の下に、以前の星巌落ちこみ滝水に打たれ、或ひは水上に浮かび、あるひは水中に沈み、風船玉が水の力によつて動くがごとく、あるひは右に或ひは左に旋転して円さはますます円く、光はますます強く金剛不壊の宝珠と化してゐる。この時金勝要神はたちまち金色の竜体と化し、水中に飛びいり両手にその玉を捧げて、稚姫君命の御前に捧呈された。洗ひ晒された此の玉は、表側は紫色にして、中心には赤、白、青の三つの宝玉が深く包まれてゐるのを外部から透見することができる。これを顕国の御玉と称え奉る。 |
「神示の宇宙(二)」では、地球の属する小宇宙と書かれています。これらから、顕国の御玉は地球を象徴するものと考えられます。
物語04-9-47 1921/12 霊主体従卯 神示の宇宙(二) この小宇宙を外より見れば、大空は大地よりははなはだ薄き紫、赤、青等各色の霊衣をもつて覆はれ、大地は黄、浅黄、白等各色の厚き霊衣をもつて包まる。そしてこの宇宙を全体として見る時は紫色を呈せり。これを顕国の御玉といふ。 |
物語01-5-38 1921/10 霊主体従子 黄金水の精 この御玉はある尊貴なる神の御精霊体である。 顕国の御玉の竜宮城に御安着とともに、三方より不思議にも黒煙天に冲して濛々と立ち騰り、竜宮城は今将に焼け落ちむとする勢である。この時たちまち彼の真奈井より黄金水は竜の天に昇るがごとく中天に噴きあがり、大雨となつて降り下り、立ち上る猛火を鎮定した。竜宮城の後の光景は不審にも何の変異もなく、依然として元形をとどめてゐた。 |
大八州彦命以下の聖地退去の後も、玉は三重の金殿に秘蔵され、威力を発揮しました。
ここで、顕国の御玉の神霊によって平和が守られているが、それは実は万寿山(亀岡)の大八州彦命以下の祈りのたまのもであるとあります。また、須佐之男大神の昼夜の御守護とも書かれていますので、顕国の御玉の神霊=神素盞嗚大神である可能性を高めています。
物語03-11-44 1921/12 霊主体従寅 可賀天下 竜宮城に雲をしのぎて聳立せる、三重の金殿より顕国の御玉の守護と、大八洲彦命以下の専心祈念の賜たることを忘却し、つひには女神司のあさはかにも驕慢心増長し、その結果は天地の律法まで軽視するにいたり、神徳日々に衰へ各所に不平不満の声おこり、漸次日を追ひ月を重ぬるとともに、可賀天下の神政を呪ふ神々勃発するの形勢を馴致したりける。 |
玉は、常世姫が竜宮城を支配した時代も、三重の金殿に祭られていました。
物語05-1-1 1922/01 霊主体従辰 栄華の夢 一方竜宮城の三重の金殿は、その最下層の間は常世姫の遊楽の場所と定められた。されど顕国の御玉を祭りたる最高段に上ることは、いかに常世彦といへども、神威に畏れて敢行することが出来なかつた。 |
玉は、大洪水の際には、黄金の大橋を現出させます。
物語05-4-24 1922/01 霊主体従辰 天の浮橋 竜宮城の三重の金殿より顕国玉の神威発揚して、あたかも諸刃の剣をたてたるごとき黄金の柱中空に延長し、その末端より発生したる黄金橋はこの柱を中心に東西に延長し、その少しく下方よりは左右に銀橋を発生し、そのまた下方部よりは銅橋を発生して東西に延長し、地球の上面を覆ふたことは前述の通りである。 |
大洪水の後、高皇産霊神、神皇産霊神、大国治立神は顕国玉の神力を活用し、天の浮橋を現わし、天の沼矛をもつて諾冊二神が修理固成されます。顕国の玉が神素盞嗚大神の精霊であれば、ここの文章の解釈は面白いものとなります。大洪水を救ったのは神素盞嗚大神ということになります。
物語10-1-15 1922/02 霊主体従酉 言霊別 地上神人の邪気は、つひに世界の天変地妖を現出し、大洪水を起し、一旦地の世界は泥海と化し、数箇の高山の頂を残すのみ、惨状目もあてられぬ光景とはなりぬ。 |
これは、顕国玉が現代(当時)の大本に納められたという話です。
物語56-0-2 1923/03 真善愛美未 総説 金剛不壊の如意宝珠、大本教の宣伝使、湯浅仁斎氏の紹介に由つて、鳥取県気高郡海徳村大字徳尾宮東菜田において種苅り中、鎌に当り拾得したる天降石にして、明治廿三年四月廿四日森岡直衛氏の所有なりしが、本日その息直次郎氏より大本に献納されたり。霊界物語(霊主体従)第一巻に記載せるシオン山より出でたる金剛不壊の如意宝珠なる顕国魂は即ち之である。 |
■まとめ
顕国の玉は地球の象徴ではないかと思われます。また、地球はスサノオの主宰ですから、顕国の御玉の神霊=神素盞嗚大神である可能性が非常に高いといえます。そう解釈すると、大洪水の解釈も違ったものになりそうです。
この顕国の玉を迎えに行ったのが、稚姫君命、大八州彦命、金勝要神です。つまり顕国の玉はスサノオの王仁三郎。すると、金勝要神が「玉に息吹の狭霧を吹きかけてから、玉を鍛え」たのは結婚したということか。
顕国の玉が何重にも封印されたのは、王仁三郎が大本で迫害されたことを象徴しているのでしょう。
この玉が、聖地に祭られてからどうなったかは物語では不明。後の高姫が出る章で、金剛不壊の如意宝珠として出てきます。
物語22-1-3 1922/05 如意宝珠酉 不知火 黄金の玉も如意宝珠 紫玉もまた宝珠 |
如意宝珠として固有名詞で呼ばれるのは、金剛不壊の如意宝珠で、顕国玉の後身です。(22-1 56-総説)
高姫が沓島で盗んで飲み込んだのは、高姫本人の言では、金剛不壊の如意宝珠です。(22-17)
さて16巻では高姫が如意宝珠を飲み込んでしまうのですが、この如意宝珠は「金剛不壊の如意宝珠」とは書かれていません。ほとんどの場面で「金剛不壊の如意宝珠」と書かれていますから、もしかしたら、この如意宝珠は「金剛不壊の如意宝珠」ではないのかも知れません。
(1)如意宝珠は素盞鳴尊が冠島に隠したとあります。
(2)沓島にあるのは金剛不壊の宝玉。
(3)この如意宝珠は現在神集の玉とも言ひ悪神の手にある。
この件については後で他の冠島・沓島を検討する際に検討します。
物語16-2-13 1922/04 如意宝珠卯 神集の玉
高姫は二時ばかり以前に冠島に上陸し、玉鍵をもつて素盞嗚尊が秘め置かれたる宝珠を取りだし、山上の大桑樹の根元にひそかに埋め目標をなし、またもや青彦とともに船に乗り沓島に向かひける。 此如意宝珠の玉は一名言霊と称し又神集の玉とも言ひ言語を発する不可思議の生玉である。丁度近代流行の蓄音器の玉の様な活動をする宝玉にして今はウラナイ教の末流たる悪神の手に保存せられ独逸の或地点に深く秘蔵されありと言ふ。 |
ウラナイ教の末流の悪神に保存されているというのも不思議なところです。
高姫が飲む場面。
物語16-2-14 1922/04 如意宝珠卯 鵜呑鷹
懐より宝珠を取り出し、手の掌に乗せて、手に唾液をつけ、一生懸命に両の手の掌で、揉みて揉みて揉みさがし居る。この玉は拡大する時は宇宙に拡がり、縮小する時は鷄卵の如くになる特色のある神宝なり。堅くもなれば、軟かくもなる、高姫は揉みてもみて揉みさがし、鷄卵のごとく縮小し、搗きたての餅のやうに軟らげ、 |
初稚姫が高姫の玉を吐き出させる場面。高姫は紫の玉も飲み込んでいる。
物語21-4-18 1922/05 如意宝珠申 解決
お初『サア、これからは高姫さまだ。お前さまはウラナイ教を樹てて、素盞嗚尊様に反対をしてをつた時、秋山彦の館に立ち入り、冠島の宝庫の鍵を盗み出し、宝珠の玉は素盞嗚神様にお返し申し、紫の玉は鷹依姫さまに返してお上げなさいませ』 |
顕国玉の精=如意宝珠と宣言されている場面。
物語22-1-1 1922/05 如意宝珠酉 玉騒疑 顕国玉の精より現はれ出でたる宝珠をはじめ、黄金の玉、紫の玉は、神界における三種の神宝として、最も貴重なる物とせられてゐる。この三つの玉を称して瑞の御霊といふ。この玉の納まる国は、豊葦原の瑞穂国を統一すべき神憲、惟神に備はつてゐるのである。 |
この後、玉は聖地に祭られますが、言依別が隠してしまいます。実際に隠す役目をしたのは初稚姫と玉能姫です。
22-5-18 22-5-19 玉能姫と初稚姫が言依別命の指示で、3つの玉を神島に隠します。
物語22-5-19 1922/05 如意宝珠酉 山と海 辛うじて二人は山の頂に到着した。五六歳の童子五人と童女三人、黄金の鍬を持つて何処よりともなく現はれ来り、さしもに堅き岩石を瞬く問に掘つてしまつた。 |
その後は物語では取り出されることはありません。言依別は、黄金の玉、紫の玉、金剛不壊の如意宝珠を隠していて、この後の話で、その玉を、いろいろな人が探し回ることが、物語を進めてゆく糸となっています。
22巻の最初は、黒姫、高姫が預かっていた如意宝珠、黄金の玉を無くしてしまう話。黒姫、高姫はこれから玉を探す旅に出ることになります。
如意宝珠は「現幽神の三界を治める」働きがある。
物語26-4-16 1922/07 海洋万里丑 三五玉
天津御神の永久に 現幽神の三界を |
如意宝珠=言霊
ここでは、琉の玉のことも述べられているのでそれらの関係を検討する必要があります。
物語27-4-13 1922/07 海洋万里寅 竜の解脱
清き正しき言霊は、一名金剛不壊の宝珠となる。天照大御神の御神勅に「言向和せ、宣直せ」とあり、これは神典古事記に明らかに示されてある。天の下四方の国を治め給ふは五百津美須麻琉の玉にして、この玉の活き働く時は天が下に饑饉もなく、病災もなく戦争もなし、また風難、水難、火難を始め、地異天変の虞なく、宇宙一切平安無事に治まるものである。また、今ここに言依別、国依別の二柱の竜神より受け取りたる琉、球の二宝は、風雨水火を調節し、一切の万有を摂受し、あるひは折伏し、よく摂取不捨の神業を完成する神器である。 |
次の部分は如意宝珠を自分の都合を美化するために例に出しています。
物語42-2-7 1922/11 舎身活躍巳 女武者 『もはやセーラン王様は御決心遊ばしたなり、軍隊の必要はすこしもないのぢや。大黒主様は近国に騒動が起り、沢山の兵を御派遣になり、ハルナの城は守備まつたく薄弱となつてゐる。一方は三五教征伐に鬼春別を出し、一方はウラル教征伐に大足別が出陣してゐる。いはば国家多事の時だ。こんな時に戦争もないのに援軍を乞ふとは全く済まないぢやないか。さうしてカールチンは神力が足らないものだから、大黒主様から軍隊をかりて非望を遂げた、などいはれては末代の恥だ。それよりも此方より軍隊をさしむけ、大黒主様のお手伝ひをしようものなら、吾々の武勇は天下に轟き、大黒主様の御覚えも目出たう、吾々の守護する社稷は如意宝珠の玉のやうなものだ。エーン、テーナ、合点がいつたか』 |
バラモン発祥の地で重宝としていた如意宝珠、これは、56巻20章では金剛不壊の如意宝珠だと言っています。ただし、「金剛不壊の如意宝珠」だと言っているのは、バラモン教の人びとなので、本物の如意宝珠かは分かりません。如意宝珠は神島に埋められているはずですから。
この如意宝珠はワックスと言う男が、デビス姫を手に入れるために盗み出していたのでした。
ただ、金剛不壊の如意宝珠が今はウラナイ教の手で、ドイツに秘蔵されてあるという話があるので、これは本物の可能性もあります。もし、本物であれば隠された重大な意味を持っているのでしょう。
物語56-4-16 1923/03 真善愛美未 不臣 当館は貴方も御承知の通りバラモン教の大棟梁大黒主の神様が、まだ鬼雲彦と仰せられた時分、ここを第一の聖場とお定め遊ばしたバラモン発祥の旧跡でございます。吾々夫婦の名は国彦、国姫と申しましたが、鬼雲彦様より御名をいただいて今は小国彦、小国姫と申してをります。ついては当館の重宝宝珠の玉が紛失いたしまして今に行衛は知れず、百日の間にこの玉を発見せなければ、吾々夫婦は死してお詫びをせなくてはならない運命に陥つてをります。 |
■まとめ
顕国の玉から生まれた金剛不壊の如意宝珠は物語の中で実際にどんな働きをしているか難しいところです。これもスサノオなのだろうか?
この玉は、竜宮城の天の真奈井の清泉(黄金水)が金色と変じ、その水の精が十二個の美しき玉となったものです。顕国の玉がシオン山で生れたので、兄弟分でしょうか。『スサノオの宇宙へ』では、スサノオ(王仁三郎)の光が隠しておいても漏れ出したような表現をしています。
物語01-5-38 1921/10 霊主体従子 黄金水の精 天の真奈井の清泉はにはかに金色と変じ、その水の精は、十二個の美しき玉となつて中空に舞ひ上り、種々の色と変じ、ふたたび地上に降下した。このとき眼ざとくも田依彦、玉彦、芳彦、神彦、鶴若、亀彦、高倉、杉生彦、高杉別、森高彦、猿彦、時彦の十二の神司は争うてこれを拾ひ、各自に珍蔵して天運循環の好期を待たむとした。 |
この模様は、物語1巻39章から46章に書かれています。
章 | 人 | 色 | 備考 |
39 | 田依彦 | 白 | 草香姫を使った女仕掛け。魔子彦に取られる。 |
40 | 玉彦 | 黒 | 妻坂姫を使って、名誉欲につけこみ取られる。鳥熊に取られる。 |
42 | 芳彦 | 紫 | 八尋殿で他の玉と共に取られる。怒りにつけこむ。 |
42 | 神彦 | 黄 | 八尋殿で他の玉と共に取られる。怒りにつけこむ。 |
43 | 鶴若 | 赤 | 邪神のが子に変化。子を思う愛につけこまれる。 |
44 | 亀彦(亀若) | 緑 | ガリラヤの邪神が夫に変化。夫を思う愛につけこまれる。 |
42 | 高倉(倉高) | 八尋殿で他の玉と共に取られる。怒りにつけこむ。 | |
42 | 杉生彦 | 八尋殿で他の玉と共に取られる。怒りにつけこむ。 | |
46 | 高杉別 | 玉を一つ島に隠す。偽玉を渡す。 | |
46 | 森高彦 | 玉を大八州彦命に献上。偽玉を渡す。 | |
42 | 猿彦 | 八尋殿で他の玉と共に取られる。怒りにつけこむ。 | |
45 | 時彦 | 黄金 | 邪神が大八州彦命に変化してデカダン高原におびき出して玉を取った。 |
結局、竹熊は12個のうち、本物10個、偽物2個を手に入れます。
黄金水の十二の玉が邪神に汚されたのは、大本の歴史から言うと、王仁三郎から出た光が、王仁三郎の神格を理解しない役員によって押し込められたと『スサノオの宇宙へ』では書いています。
ここで偽玉を渡して本物の玉を守ったことは、心の問題としてよいことかどうか?
ところが仲間うちの争いもあり、竹熊は玉とともに死海に落ちて滅びてしまいます。10個の玉は竹熊の血で汚されたため悪霊となりました。
物語01-5-50 1921/10 霊主体従子 死海の出現
この時、大八洲彦命は天明彦命より賜はりし頭槌の玉を一つ取りだし、竹熊の魔軍にむかつて空中高く投げ打ちたまへば、その玉は爆発して数万の黄竜となり、竹熊に前後左右より迫つた。この空中の戦ひに竹熊は通力を失ひ、真贋十二個の玉とともに無惨にも地上へ墜落し、たちまち黒竜と変じ、地上に打ち倒れた。しばらくあつて竹熊は起上がり、ふたたび魔軍を起して防戦せむとする折しも、天上より金勝要神、未姫命の二柱の女神は、天の逆鉾を竹熊が頭上目がけて投げ下したまうた。一個は竹熊の頭にあたり一個は背にあたり、その場に倒れ黒血を吐き、ここに敢なき終焉を告げた。 竹熊の所持せる十個の玉と、二個の偽玉は一旦死海に沈み、歳月を経ておひおひに雲気となつて舞ひ上り、世界の各地に墜落し邪気を散布し、あらゆる生物を困ましめたのである。さしもの黄金水より出でたる十個の宝玉も、竹熊の血に汚されて悪霊と変じ、諸国に散乱して種々の悪事を現出せしむる悪玉と変化したのである。この玉の散布せる地は最も国魂の悪き国土である。 |
この部分は、死海と10+2で、ユダヤの12支族を思い出させます。イスラエルの12支族は分裂して、10はイスラエルとして、2はユダとなります。この10支族は行方がわからなくなり、ユダはユダヤ人となってゆきます。 物語21-18 解決ではこの10個のうち1個が、汚されず、日本に飛んできたとあります。日猶同祖論とかかわりがあるのでしょうか? |
物語21-4-18 1922/05 如意宝珠申 解決
昔竹熊といふ悪神がをつて、八尋殿へ竜宮城の使神を招待し、芳彦の持つて居つた紫の玉を取つたが、竹熊の終焉と共に死海へ落ち込んだ十個の玉の中で、この玉ばかりは汚されず、中空に飛んで自転倒島へ落ちてきた玉ですよ。 |
1-50以降で玉のその後を追いかけてみましょう。
死海に沈んだ黒玉は、ペストとなります。
物語02-1-5 1921/11 霊主体従丑 黒死病の由来
偽美山彦、国照姫は死海に沈みたる黒玉を爆発せしめ、山の周囲に邪気を発生せしめた。この邪気は億兆無数の病魔神と変じ、神国別命の神軍に一々憑依して大熱を発せしめた。神軍はのこらず、この病魔に冒されて地上に倒れ、中には死滅する者も多数に現はれてきた。この病魔は漸次に四散して世界の各所に拡がり、つひにペストの病菌となつた。 |
この後、別の12個の玉が出現します。
玉を失ったのを嘆いていた鶴若に、天の太白星(金星)の精霊生代姫命は、十二個の玉を授けます。これが太白星の玉です。
また、黄金水の玉の残りの1個が、一つ島に隠されていましたが、05-33暗夜の光明で残りの一個に別の十一個が加わり十二の玉となり、地教山の高照姫命の御許に送り届けられます。高照姫については後ほど検討します。
■死海について
ここで死海についてみておきます。
死海は、太古はペルシヤ湾だったとあります。
物語35-1-1 1922/09 海洋万里戌 言の架橋
またヨルダン河はメソポタミヤの西南を流れ、今日の地理学上からはユウフラテス河といふのがそれであつた。新約聖書に表はれたるヨルダン河とは別物である。さうしてヨルダン河の注ぐ死海であつた。しかしながら世界の大洪水、大震災によつて、海が山となり、山が海となり、あるひは湖水の一部が決潰して入江となつた所も沢山あるから、神代の物語は今日の地図より見れば、多少変つた点があるのは已むを得ぬのである。 |
64巻は現代(当時)のエルサレムを扱っていますが、ここの死海が竹熊の終焉所とされています。
物語64上-2-8 1923/07 山河草木卯 自動車
急がしく馳走しつつ自動車は高みになつた豊饒な平野を横ぎる。古い橄欖樹の植わつた野や小丘である。道路は九十九折になつて、緩勾配の坂道を上つて行く。左手の遠方に前景ときはだつて違つた長い一列の山脈が見える。その麓の深き所に、竹熊の終焉所なる有名な死海が照つてゐるのである。 |
■まとめ
黄金水の十二の玉は、十個が竹熊に取られてしまい、死海に沈んで悪霊となります。しかし、その際、紫の玉1個が、汚されることなく、今の日本に飛んできて、如意宝珠、黄金の玉とともに、三つ御玉となり、途中では高姫に飲まれたりしますが、最後には、初稚姫、玉能姫によって神島に隠されます。
顕国の玉がスサノオの関係なら、黄金水の玉はスサノオの関係。そのスサノオの玉が、邪神にとられてゆく。2個だけは、守られたがそれは権謀術策を弄したものであった。
太白星(金星)の玉は、太白星の精霊生代姫命が、玉を失った鶴若の嘆きを哀れんで与えたものです。この玉は、大八州彦命に献上され、シオン山(山家)に祀られます。 論考資料集
物語02-6-39 1921/11 霊主体従丑 太白星の玉 丹頂の鶴は昼夜の区別なく、天空高く、東西南北に翔めぐつて声も嗄れむばかりに啼き叫んだ。その声はつひに九皐に達し、天の太白星に伝はつた。太白星の精霊生代姫命はこの声を聞き、大いに怪しみ、その啼くゆゑを尋ねられた。ここに鶴若は、 (中略) 大森別は、 |
その後、常世姫の部下が玉を狙ってシオン山を攻めますが、大八州彦命は防衛します。
そして、国治立命の命により、世界の各所に国魂として祭られます。
物語03-1-2 1921/12 霊主体従寅 八王神の守護 日天使国治立命は、シオン山に鎮祭せる十二の玉を世界の各所に配置し、もつて国魂の神と定められ、新高山には青色の玉を鎮め、高国別、高国姫の二神をして、これを永遠に守らしめたまひけり。 (続く) |
玉が治められた山と、それを守る神々。
場所 | 大本の歴史での相応の地名 | 色 | 八王、八頭 |
新高山 | 高城山 | 青玉 | 花森彦・高国別・高国姫 |
万寿山 | 亀岡 | 赤玉 | 磐樟彦・瑞穂別・瑞穂姫 |
ローマ | 大阪 | 白玉 | 元照別・朝照彦・朝照姫 |
モスコー | 京都 | 黒玉 | 道貫彦・夕日別・夕照姫 |
ロッキー山 | ? | 紺玉 | 貴治彦・靖国別・靖国姫 |
鬼城山 | 福知山 | 灰玉 | 真鉄彦・元照彦・元照姫 |
長白山 | 半国山 | 白玉 | 有国彦・磐長彦・玉代姫 |
崑崙山 | 大台ケ原 | 紅玉 | 磐玉彦・大島彦・大島姫 |
天山 | 伊吹山 | 黄玉 | 斎代彦・谷山彦・谷山姫 |
青雲山 | 帝釈山 | 金玉 | 神澄彦・吾妻彦・吾妻姫 |
ヒマラヤ(地教)山 | 比叡山 | 銀玉 | 高山彦・ヒマラヤ彦・ヒマラヤ姫 |
タコマ山 | ? | 銅色 | 吾妻別・国玉別・国玉姫 |
※長白山の八頭の名前が揃っていない件については、長白山に書かれています。
その後の経緯
3巻では、この玉が邪神によって汚されてゆく様子が克明に書かれています。しかし、各山、玉を取られたと明記してあるところはないのではないでしょうか。下記の表は、その一部です。
最後には、常世彦によって万寿山(亀岡)、天山(伊吹山)以外はすべて支配されてしまいます。
章 | 概略 |
3-4 | 青色の玉は永遠に高砂島に隠される。 |
3-7 | ロッキー山では、紺色の玉は魔軍に汚されることはなく厳粛に鎮祭されていた。 |
3-12 | 鬼城山では真鉄彦が八王神となり灰色の玉を瑞の御舎仕えまつりて恭しく鎮祭した。 |
3-42 | その中(万寿山と天山以外は支配されてしまった)にも万寿山の八王神磐樟彦の一派と、天山の八王神斎代彦の一派の神司は、天則を重ンじ苦節を守り、四面楚歌の中に卓立して、上下一致よく永遠に神政を支持しつつありき。 かくして地の高天原において神定めたまひし十二の八王神は、十王女まで八頭八尾の憑依せる常世彦のために併呑されをはりぬ。手撫土(艮の金神)、足撫土(坤の金神)のひそかに守りたまへる十二の宝座は、すでに十座までも失はれける。十二個の黄金水の玉を竹熊のために、十個まで占奪されたると同様の惨事なり。八王大神は勝に乗じて、なほもこの残りの二王をその幕下たらしめむとして、あらゆる奸策を施したれど、この八乙女のみは、国大立命のために難を免れたりけり。 この次第は後日に詳しく口述すべし。ある古書に載せたる八乙女といへるは即ち八王と女神の意義なりといふ。 |
この後、玉は、八王・八頭が腐敗してゆきますので、汚されたはずですが、具体的なことは書かれていません。ただし、この玉のうち、黄金の玉が後に、如意宝珠、紫の玉とともに3つの御玉となります。黄金の玉が、万寿山や天山ではなく、青雲山にあったのも不思議ですね。
■まとめ
太白星の精霊生代姫命が、与えた十二の玉は、大八州彦命に献上され、シオン山に祀られます。その後、世界各地の国魂として祭られますが、八王八頭の悪化とともに、どうなってしまったかは書かれていません。うち一つ黄金の玉だけは、めぐりめぐって、最終的に言依別が高熊山に隠すことになります。
この後検討しますが、麻邇の珠は潮干の珠と潮満の珠のこと、これと真澄の珠の3つまとめて語られます。
麻邇宝珠は高砂島から発生した5つの玉で、厳の御玉のことです。
ところが、この二つとも、竜宮島に隠されます。麻邇の珠(潮干の珠と潮満の珠)は、冠島に隠され、真澄の珠は沓島に隠されます。麻邇宝珠は竜宮海に隠されます。
また、両方の珠とも、玉依姫が関係して、守っているのは海原彦なのです。どういうことだろうか?
麻邇宝珠は最初2巻で出てきますが、それからは24巻まで出てきません。
物語02-1-7 1921/11 霊主体従丑 天地の合せ鏡
稚桜姫命、大八洲彦命、真澄姫、木花姫命が高砂島へ向かい、島の守り神から5つの玉を受け取り、地の高天原に戻ります。
稚桜姫命一行は無事帰還された。さうしてこの玉を竜宮島の海に深く秘めおかれた。また五個の神玉は海原彦命、国の御柱神二神の守護さるることなつた。 |
2巻7章で現われた5つの玉
紫紺色を帯びたる透明の宝玉 | 真道彦命 | 岩石の中 | 神政成就の暁、ある国の国魂となる宝玉 |
日生石の玉 | 奇八玉命 | 海底 | 神人出生の時にさいし、安産を守る宝玉である。この玉の威徳に感じて生れいでたる神人は、すべて至粋至純の身魂を有する霊主体従の身魂である。 |
水晶の宝玉 | 真鉄彦 | 谷間 | 女の不浄を清むる珍の神玉 |
黄色の玉 | 武清彦 | 山腹の埴 | 神人の悪病に罹れるとき、神気発射して病魔を退くる宝玉である。 |
紅色の玉 | 速吸別 | 頂上の巌窟の黄金の頭槌をもつて静に三回打つ | 巨厳は分裂して炎となり中天に舞ひのぼつた。宇宙を東西南北に疾走して火焔を吐き、ついで水気を吐き、雷鳴をおこし、たちまちにして空中の妖気を一掃し、美しき紅色の玉と変じ、命の前にあまたの女性に捧持させてこれを命に献つた。この玉はある時は火を発し、ある時は水を発し、火水をもつて天地の混乱を清むるの神宝である。 |
5つの御玉の再登場。玉依姫は竜体です。
物語24-4-15 1922/07 如意宝珠亥 諏訪湖
数多の女神、黄金色の衣を身に纏ひ、黄金造りの竜の冠を戴きながら、長柄の唐団扇を笏杖の代はりに左手に突きつつ、右手に玉盃を抱え、天火水地結の五色の玉を、おのおの五人のことさら崇高なる女神に抱かせながら、玉依姫命はしづしづと湖を上がり、五人が前に現はれたまひて、言葉静かに宣りたまふ。 竜宮の神宝たる五種の宝を汝ら五人に授くれば、汝らなほもこの上に心身を清らかにし、錦の宮に捧持し帰り、教主言依別命にお渡し申すべし。 初稚姫には紫の玉、玉治別には青色の玉、玉能姫には紅色の玉、久助には水色、お民には黄色の玉を相渡すべし。されどこの神業を仕損じなば、今の妾の誓ひは取消すべければ、忍耐に忍耐を重ねて、人群万類愛善を命の綱と頼み、かりそめにも妬み、そねみ、怒りの心を発するな。妾はこれにて暫く竜の宮居に帰り時を待たむ。いざさらば……』 玉依姫は空色の衣服にて、玉を持てる五人の女神の後に付添ひたまひしと聞く。 |
経緯と玉の説明
章 | 概略 |
24-15 | 天火水地と結びたる、言霊まつる五種の珍の御玉 |
25-16 | 玉は10人の手に渡される。その後、八咫烏十数羽飛んできて、玉を持った、梅子姫、黄竜姫、蜈蚣姫、友彦、テールス姫、玉治別、初稚姫、玉能姫、久助、お民の十柱を乗せ、由良の聖地に無事帰還した。 |
26-1 | 慰労の宴が行われているさなか、素盞嗚尊は隠密に、国武彦命と何事か諜し合はせられ、五十子姫をこの場に招き、無言のまま、言依別、秋山彦、紅葉姫と共に、柳筥を次の間に運ばせ、更めて同じ形の柳筥を元の神前に飾らせられた。この玉は沓島に隠されることになる。 |
26-2 | 玉の箱(この時は麻邇宝珠は入っていない)は由良川を船に載せられて聖地へ向かう。 |
26-6 | 素戔嗚尊の歌 |
26-8 | 厳の御霊と称ふべき、竜宮城の麻邇宝珠 |
26-12 | 秋山彦の館から運ばれた五個の麻邇宝珠は、玉照彦、玉照姫、お玉の方の介添で言依別命に渡された。言依別は、錦の宮の奥殿に一つづつ納めた。 |
26-16 |
竜宮城の乙姫が玉の御手より賜ひたる浦島太郎の玉手函、それに優りて尊きは三つの御玉の光なり。 玉の働き(下で表にまとめてある) |
27-5 | 高姫と黒姫が聖地で信者を集めて玉調べを行う。紫の玉以外の4つの玉は石になっていて騒ぎとなる。そこへ言依別の使いが来て、「青、赤、黄、白の四個の宝玉を始め三個の玉、三つ四つ併せて都合七個、言依別命都合あつて、ある地点に隠し置いた」という手紙を残し、言依別は聖地を離れる。 |
27-6 | 玉照姫が高姫に玉を捜すことを命ずる。高姫、玉を捜しに出発。 |
29-11 | 日の出姫が高姫に「麻邇の玉は冠島・沓島に隠されてある」と教える。 |
32-2 | 白狐が高姫に「麻邇の玉は冠島・沓島に隠されてある」と教える。この後、高姫は玉に対する執着から逃れる。 |
33-17 | 神素盞鳴尊の神文で、沓島に4個の玉が隠されたのは、高姫たち「因縁の身魂にこの御用を命じたく、万劫末代の神業なれば、高姫以下の改心の遅れたるため、神業の遅滞せし罪を言依別命に負はせて」本物の御用を務めさせるためだと分かる。高姫たちは感謝の涙にむせぶ。 |
33-18 | 高姫は初めて今までの我を払拭し、青色の麻邇の宝珠の玉に対する神業に参加することを決意し、金剛不壊の如意宝珠の御用の吾が身に添はざることを、深く悟ることを得たのである。 |
玉の御用(章と手渡された順番)
玉 | 色 | 2-7 | 25-16 | 33-7 | 33-17 | |
紫紺色を帯びたる透明の宝玉 | 紫 | 真道彦命 | 初稚姫 | 梅子姫 | 梅子姫 | - |
日生石の玉 | 青 | 奇八玉命 | 玉治別 | 黄竜姫 | 高姫 | 玉照彦 |
水晶の宝玉 | 水(白) | 真鉄彦 | 久助 | 友彦 | 鷹依姫 | 英子姫 |
黄色の玉 | 黄 | 武清彦 | お民 | テールス姫 | 竜国別 | 紫姫 |
紅色の玉 | 紅(赤) | 速吸別 | 玉能姫 | 蜈蚣姫 | 黒姫 | 玉照姫 |
玉の働き 紫の玉が最重要(26-6)
玉 | 色 | 働き | 詳細 |
紫紺色を帯びたる透明の宝玉 | 紫 | 統一 | 今の世は、赤玉も、白玉も、黄色の玉もことごとく光なきまで曇り果て何の用なき団子玉になっている。そこで、天火水地を按配しこの神玉の活用を円満清朗自由自在照らして守る |
日生石の玉 | 青 | 王様 | 世界統治の礎を堅磐常磐につきかため、天の下をば安国と治むる王者の身魂 |
水晶の宝玉 | 水(白) | 官僚 | 国魂神と現はれて百の民草治めゆく小さき臣の活動。上を敬ひ下を撫で臣の位をよく尽くし、上は無窮の大君に、下は天下の民草に、心のかぎり身を尽くし誠を尽くす活動 |
黄色の玉 | 黄 | 庶民 | 神を敬ひ大君を尊び奉り、耕しの道に勤しみ、工業や、世界物質の流通にひたすら仕ふる商人の誠の道を固めゆく天地自然の功績 |
紅色の玉 | 紅(赤) | 大臣 | 王者に仕へ、民治め、中執臣と勤しみて、世界を治むる大臣の稜威の活動 |
■まとめ
2巻で台湾にあった5つの玉は、稚姫君命他によって竜宮海に隠されます。その後、24巻で、玉依姫が梅子姫他に渡し、それが由良まで八咫烏が梅子姫他十柱を乗せて運ぶ。玉は、紫の玉以外は、素戔嗚尊によって、沓島に隠されます。その玉は、高姫、鷹依姫他が、探し回ったあげく、素戔嗚尊が高姫他に御用をさせて、玉は沓島から聖地に奉納されます。高姫は素戔嗚尊の心を知りいったんは悔悟します。
金剛不壊の如意宝珠、黄金の玉、紫の玉の三つが三つの御玉として組になっています。
論考資料・紫の玉
論考資料・黄金の玉
物語22-1-1 1922/05 如意宝珠酉 玉騒疑 顕国玉の精より現はれ出でたる如意宝珠をはじめ、黄金の玉、紫の玉は、神界における三種の神宝として、最も貴重なる物とせられてゐる。この三つの玉を称して瑞の御霊といふ。この玉の納まる国は、豊葦原の瑞穂国を統一すべき神憲、惟神に備はつてゐるのである。 |
金剛不壊の如意宝珠については前に述べました。
紫の玉は、黄金水の十二の玉のうち竹熊に取られた十個が死海に沈むときに、汚されず自転倒島に飛んできたものです。
黄金の玉は、太白星の十二の玉のうちひとつで、青雲山に祭られていましたが、常世彦が狙うところとなりました。そこで、玉は高彦天使他によってエルサレムに移され隠されます。その後、自転倒島の桶伏山に隠されました。
これらの玉は、言依別の命により、初稚姫が如意宝珠、玉能姫が紫の玉を神島に埋めました。黄金の玉は言依別自身が高熊山に埋めました。
物語22-5-18 1922/05 如意宝珠酉 布引の滝
言依別命『この玉は金剛不壊の如意宝珠、初稚姫さまにお預け申す。これは紫の玉、玉能姫さまにお預け申す。も一つ黄金の玉、これは言依別がある霊山に埋蔵しておきます』 |
ただし、各組の玉には紫の玉が含まれており、たとえば、5つの玉の中の4つを素盞嗚尊が隠したときにも含まれていませんでした。
紫って高貴な色なのですよね?
金剛不壊の如意宝珠も、霊界物語のテーマともなっているようですが、私には大きな働きをしてはいないように思えます。また、高姫が飲み込んだ如意宝珠は「素戔嗚尊が隠しておいた」ものですが、どのように隠しておいたか触れられていません。
また、金剛不壊の如意宝珠と紫の玉は高姫に飲まれてしまいます。
こう考えると、汚されていない玉は黄金の玉だけ。この玉は、不思議なことに、太白星の精から授けられた玉なのです。そこに大きな意味が隠されてるのかもしれません。
冠島・沓島の移写関係は次のようになっています。
丹波 | 日本 | 世界 |
冠島(竜宮島) | 四国 | オーストラリア |
沓島(鬼門島) | ニュージーランド |
沓島は、日本では高砂の神島としたいところですが、神島はサルジニア島の胞衣となっています。
また、潮満の玉、潮干の玉が琉球の玉として現れるところでは、玉は琉球に隠されています。ということは、琉球は竜宮島ということでしょうか。
また、大本の聖地綾部の池、金龍海にも冠島・沓島があり、大八州彦命が祭られていました。
巻 | 冠島(竜宮島) | 沓島(鬼門島) | 竜宮海(冠島と沓島の間) |
1-35 | 潮満の玉、潮干の玉(麻邇の玉) | 真澄の珠 | |
海原彦(綿津見神) | 国の御柱神 | ||
2-7 | 天火水地結の麻邇宝珠 | ||
海原彦命 国の御柱神 |
|||
16-13 | 如意宝珠 | 金剛不壊の珠 | |
素戔嗚尊が隠した 高姫が飲み込む |
高姫が取ろうとするが、取れなかった | ||
24巻 | 天火水地結の麻邇宝珠 | ||
玉依姫 | |||
26-1 | 天火水地結の麻邇宝珠の 紫以外の4個 |
||
素盞嗚尊の指示 |
11で、国の御柱神が出てきます。国の御柱神とは、通常はイザナミノミコトのことですが、ここでは、「竜宮島の潮満、潮干の玉は豊玉姫神、玉依姫神が守護していたが、世界大洪水以前に、ウラル彦の率ゆる軍勢の為に玉は占領された。二柱の女神は遠く東に逃れて、天の真名井の冠島、沓島に隠れた」とあることより、玉依姫のことではないかと思われます。 論考資料
しかし、次の文章では、別の神となっています。
物語01-4-36 1921/10 霊主体従子 一輪の仕組 国常立尊は邪神のために、三個の神宝を奪取せられむことを遠く慮りたまひ、周到なる注意のもとにこれを竜宮島および鬼門島に秘したまうた。そして尚も注意を加へられ大八洲彦命、金勝要神、海原彦神、国の御柱神、豊玉姫神、玉依姫神たちにも極秘にして、その三個の珠の体のみを両島に納めておき、肝腎の珠の精霊をシナイ山の山頂へ、何神にも知らしめずして秘し置かれた。 |
また、伊弉冊命が海底の竜宮に行っていたという話もあります。
物語08-3-12 1922/02 霊主体従未 身代り
『実に有難き御仰せ、これには深き仔細あり、高天原に現はれ給ひし神伊弉冊命、黄泉国に出でましてより、黄泉国の穢れを此処に集め給ひ、今まで安楽郷と聞えたる海底の竜宮も、今は殆ど根底の国と成り果てたり。妾は最早これ以上申上ぐる権限を有せず、推量あれ』 |
その後、伊弉冊命は、海底の竜宮城から常世の国へ向かったことになっているのですが、実は、天教山へ戻っていました。物語では、黄泉津比良坂の闘いのイザナミは偽物です。
これについては詳しく考察すべきであると思います。
玉依姫は記紀では神武天皇の母です。 論考資料
霊界物語では、まず、潮干の珠として登場します。
物語01-4-35 1921/10 霊主体従子 一輪の秘密 して、まづこの竜宮ケ嶋に渡りたまうた。しかして竜宮ケ嶋には厳の御魂なる潮満の珠を、大宮柱太敷立て納めたまひ、また瑞の御魂なる潮干の珠とともに、この宮殿に納めたまうた。この潮満の珠の又の名を豊玉姫神といひ、潮干の珠の又の名を玉依姫神といふ。かくて潮満の珠は紅色を帯び、潮干の珠は純白色である。 |
次に24巻では竜神として麻邇宝珠を与えるます。
物語24-4-15 1922/07 如意宝珠亥 諏訪湖 珊瑚樹の大木の下を潜つて、しづしづと現はれ来たる玉の顔容月の眉、梅の花か海棠か、ただしは牡丹の咲き初めし、婀娜な姿にまがふべらなる数多の女神、黄金色の衣を身に纏ひ、黄金造りの竜の冠を戴きながら、長柄の唐団扇を笏杖の代はりに左手に突きつつ、右手に玉盃を抱え、天火水地結の五色の玉を、おのおの五人のことさら崇高なる女神に抱かせながら、玉依姫命はしづしづと湖を上がり、五人が前に現はれたまひて、言葉静かに宣りたまふ。 (中略) (玉依姫は)あまたの侍女神を随へ、たちまち巨大なる竜体となりて、一度にドツと飛び込みたまへば、十字形に割れたる湖面は元のごとくに治まり、山岳のごとき浪は立ち狂ひ、巨大の水柱は天に沖するかとばかり思はれた。 |
また、他の場面では、竜宮の乙姫=玉依姫となっています。
不思議なのは、ウラナイ教の小北山に祭られていて、「物質的な宝に執着していた。現在は執着を去った」と言われているところです。(物語52-2-8 真善愛美卯 巡拝)
霊界物語から離れるかも知れませんが、神武天皇の祖母である豊玉姫と母である玉依姫との関係は詳しく検討する必要があるでしょう。
潮満の玉、潮干の玉は、麻邇宝珠と言っています。また、冠島に隠され、海原彦(綿津見神)の守護となります。
天火水地結の麻邇宝珠は最初は竜宮島の海に深く秘めおかれ、海原彦命、国の御柱神二神に守護されます。
沓島には最初真澄の珠が隠されますが、高姫が取り出そうとしていたのは金剛不壊の珠となっています。金剛不壊の珠とは金剛不壊の如意宝珠を指していると考えられます。ということは、真澄の珠=金剛不壊の如意宝珠ということでしょうか。
冠島に潮満、潮干の玉が隠されます。そして、潮満、潮干の玉は麻邇の玉と書かれています。これは、後の麻邇宝珠と関係していると思われます。高姫が盗んで飲んでしまったのは如意宝珠ですが、他の場面では「高姫は金剛不壊の如意宝珠を飲み込んだ」と書かれていますから、たぶん金剛不壊の如意宝珠と考えてよいでしょう。
ただし、他の場面では顕国の玉から生まれた宝珠は金剛不壊の如意宝珠と書かれているので、如意宝珠単独で出てくる高姫が飲み込むシーンは注意する必要があるでしょう。
冠島・沓島は籠神社の奥宮であり、籠神社は物部氏の祖である天火明命を主神として祭っています。
天火水地結の玉の名前は天火明命と通じるところがあるのではないでしょうか。
第1版 2005/09/06
第2版2005/10/01
第2.1版(一部修正)2015/01/01