論考資料 顕国の玉・如意宝珠


顕国の玉

物語01-5-37 1921/10 霊主体従子 顕国の御玉

 国常立尊の厳命を奉じ、ここに天使稚姫君命、同大八洲彦命、金勝要神の三柱は、高杉別、森鷹彦、田依彦、玉彦、芳彦、神彦、鶴若、亀若、倉高、杉生彦、時彦、猿彦以下の神司を引率し、流れも清き天の安河の源に参上りたまうた。この山の水上にはシオンの霊山が雲表高く聳えてゐる。シオンの山の意義は、「浄行日域といつて天男天女の常に来りて、音楽を奏し舞曲を演じて、遊楽する」といふことである。この山の頂には広き高原があつて、珍しき五色の花が馥郁たる香気をはなつて、春夏秋冬の区別なく咲き満ちてゐる。また種々の美味なる果実は木々の梢に枝もたわわに実つてゐる安全境である。この高原の中央に、高さ五十間幅五十間の方形の極めて堅固なる岩石が据ゑられてある。これは国常立尊が天の御柱の黄金の柱となつて星辰を生み出し給ひしとき、最初に現はれたる星巌である。神業祈念のために最初の一個を地上にとどめ、これを地上の国魂の守護と定めて今まで秘めおかれたのである。
 天地剖判の初めより、一週間ごとに十二柱の天人、この山上に現はれて遊楽する時、この星巌を中に置き、天男は左より、天女は右より廻りて音楽を奏し、舞曲を演ずる所である。そのとき天男、天女の薄衣のごとき天の羽衣の袖にすり磨かれて、その星巌は自然に容積を減じ、今は中心の玉のみになつてゐたのである。この玉は直径三尺の円球である。これを見ても天地剖判の初めより幾万億年を経過したるかを想像される。
 稚姫君命以下の神司は、天の安河原の渓流に御禊の神業を修したまひ、ただちに雲を起し、これに乗り、シオン山の頂に登りたまひ、山上の高原を残る隈なく踏査し、諸天神の御魂の各自の御座所を定め、地鎮祭をおこなひ、神言を奏上し、永遠に神の霊地と定めたまうた。
 この高原の中央には、前記十二柱の天男天女が一個の星巌を中心に、左右より廻り遊んでゐた。ここに稚姫君命以下の神司は、その星巌に近づきたまへば、天男天女ははるか後方に退き、地上に拝跪して太古より今日まで星巌を磨き、かつ守護せしことの詳細を命に進言した。
 稚姫君命は多年の労苦を謝し、かつ神勅に違はず、数万年間これを守護せしその功績を激賞し、種々の珍しき宝を十二の天人にそれぞれ与へたまうた。
 一見するところ此の円き星巌は地球に酷似してゐる。大地の神霊たる金勝要神は、いと軽々しくその円巌を手にして三回ばかり頭上高く捧げ、天に向つて感謝し、ついでこれを胸先に下し、息吹の狭霧を吹きかけたまへば、円巌はますます円く形を変化し、その上得もいはれぬ光沢を放射するにいたつた。このとき金勝要神はいかが思召けむ、この円巌を山頂より安河原の渓流めがけて投げ捨てたまうた。急転直下、六合も割るるばかりの音響を発して谷間に転落した。稚姫君命以下の諸神司は諸々の従臣と共に、星巌の跡を尋ねてシオン山を下り、星巌の行方いかにと谷間の彼方こなたを捜させたまうた。はるか上流に当つて、以前の十二の天人霧立ちのぼる谷間に面白く舞ひ狂うてゐる姿が目につき、玉の行方は確にそこと見定め、渓流を遡りたまうた。幾百丈とも知れぬ大瀑布の下に、以前の星巌落ちこみ滝水に打たれ、或ひは水上に浮かび、あるひは水中に沈み、風船玉が水の力によつて動くがごとく、あるひは右に或ひは左に旋転して円さはますます円く、光はますます強く金剛不壊の宝珠と化してゐる。この時金勝要神はたちまち金色の竜体と化し、水中に飛びいり両手にその玉を捧げて、稚姫君命の御前に捧呈された。洗ひ晒された此の玉は、表側は紫色にして、中心には赤、白、青の三つの宝玉が深く包まれてゐるのを外部から透見することができる。これを顕国の御玉と称え奉る。

物語04-9-47 1921/12 霊主体従卯 神示の宇宙(二)

 この小宇宙を外より見れば、大空は大地よりははなはだ薄き紫、赤、青等各色の霊衣をもつて覆はれ、大地は黄、浅黄、白等各色の厚き霊衣をもつて包まる。そしてこの宇宙を全体として見る時は紫色を呈せり。これを顕国の御玉といふ。わが小宇宙はこれを中心として他の諸宇宙と、それぞれ霊線をもつて蜘蛛の巣のごとく四方八方に連絡し相通じており、それらの宇宙には、吾々の地球上の人間や動植物と同じごときものは生息せず。我が小宇宙における、地球以外の星にも神々は坐せども、地球上に棲息するごとき生物は断じてをらず。

物語01-5-38 1921/10 霊主体従子 黄金水の精

ここに稚姫君命、金勝要神、大八洲彦命は歓喜のあまり、シオン山の大峡小峡の木を切り新しき御船をつくり、また珠をおさむる白木の御輿をしつらへ、恭しく顕国の御玉を奉按し、これを御輿もろとも御船の正中に安置し、安河を下りて竜宮城に帰還し、三重の金殿に深く秘蔵したまうた。この御玉はある尊貴なる神の御精霊体である。
 話はもとへかへつて、高杉別、森鷹彦は大神の命を奉じ、黄金造の器にシオンの滝の清泉を盛り、御輿の前後に扈従し目出度く帰城したまひ、この清泉は命の指揮の下に竜宮城の真奈井に注ぎ入れられた。それよりこの水を黄金水といふ。
 顕国の御玉の竜宮城に御安着とともに、三方より不思議にも黒煙天に冲して濛々と立ち騰り、竜宮城は今将に焼け落ちむとする勢である。この時たちまち彼の真奈井より黄金水は竜の天に昇るがごとく中天に噴きあがり、大雨となつて降り下り、立ち上る猛火を鎮定した。竜宮城の後の光景は不審にも何の変異もなく、依然として元形をとどめてゐた。
 金剛不壊の顕国の御玉は、時々刻々に光度を増し、一時に数百の太陽の現はれしごとく、神人皆その光徳の眩ゆさに眼を開く能はず、万一眼を開くときは失明するにいたるくらゐである。
 ここに国常立尊は、神威の赫灼たるに驚喜したまひしが、さりとてこのまま竜宮城にあからさまに奉祭することを躊躇したまひ、天運の循環しきたるまで、至堅至牢なる三重の金殿に八重畳を布き、その上に御輿もろとも安置し、十二重の戸帳をもつてこれを掩ひ深く秘斎したまうた。

 それより三重の金殿はにはかに光を増し、その光は上は天を照し、下は葦原の瑞穂国隈なく照り輝くにいたつた。金色の鵄は常に金殿の上空に高翔し、天地の諸善神、時に集まりきたつて、微妙の音楽を奏し遊び戯れたまふ、実に五六七神世の実現、天の岩戸開きの光景もかくやと思はるるばかりである。 

物語03-11-44 1921/12 霊主体従寅 可賀天下

大八洲彦命以下天使の聖地退去ののちは、国治立命の奏請により、天上より高照姫命を降したまひて、これを地の高天原の宰相神に任じ、天使長の聖職に就かしめ、真澄姫、言霊姫、竜世姫をして天使の聖職につかしめたまひぬ。

(中略)

 竜宮城に雲をしのぎて聳立せる、三重の金殿より顕国の御玉の神霊発動して、唸りを発し、ときどき不可思議なる光輝を発射して邪悪神の面を照らしたまへば、地の高天原の聖地も竜宮城の聖城も、日ましに神威霊徳くははり、金色の鴉、銀色の神鳩嬉々として中空に舞ひ遊び、天男天女はつねに四辺を囲繞して太平の音楽を奏し、五風十雨順をたがへず、禾穀豊穣して神人その業を楽しみ、神界理想の黄金世界を現出するにいたり、遠近の邪神も静謐帰順をよそほひ、野心を深く包みて現実的暴動を慎み、天下一点の妖雲を見ざる瑞祥の世とはなりにける。これは万寿山に退去されし前天使長以下の日夜の専念的祈念の力によりて、その精霊体に活動をおこし、聖地聖域の霊徳を発輝したまひしが故なり。されど天使長高照姫命以下の三天使をはじめ神将神卒にいたるまで、須佐之男大神の昼夜の御守護の賜たることを少しも覚らず、天運の循環と、新天使以下の神務と神政の完全無欠にして、天地神明の神慮にかなひ奉れる結果ならむと、心おごりて、顕国の御玉の守護と、大八洲彦命以下の専心祈念の賜たることを忘却し、つひには女神司のあさはかにも驕慢心増長し、その結果は天地の律法まで軽視するにいたり、神徳日々に衰へ各所に不平不満の声おこり、漸次日を追ひ月を重ぬるとともに、可賀天下の神政を呪ふ神々勃発するの形勢を馴致したりける。

物語05-1-1 1922/01 霊主体従辰 栄華の夢

 一方竜宮城の三重の金殿は、その最下層の間は常世姫の遊楽の場所と定められた。されど顕国の御玉を祭りたる最高段に上ることは、いかに常世彦といへども、神威に畏れて敢行することが出来なかつた。

物語05-4-24 1922/01 霊主体従辰 天の浮橋

宮城の三重の金殿より顕国の神威発揚して、あたかも諸刃の剣をたてたるごとき黄金の柱中空に延長し、その末端より発生したる黄金橋はこの柱を中心に東西に延長し、その少しく下方よりは左右に銀橋を発生し、そのまた下方部よりは銅橋を発生して東西に延長し、地球の上面を覆ふたことは前述の通りである。

(中略)

『この橋は黄金の大橋といひ、また天の浮橋ともいひ、地球の中心火球より金気昇騰して顕国の玉となり、この玉の威徳によりて国の御柱は中空に高く延長し、その頂上は左右にわかれ、左は男神の渡るべき橋にして、右は女神の渡る橋なり、この黄金橋はなめらかにして、すこしの油断あらば滑りてふたたび地に顛落し、滅亡を招くの危険あり。汝は抜身の中に立つごとく心を戒め、一足たりとも油断なく、眼を配り、耳を澄ませ、息を詰め、あらゆる心を配りてこの橋を東方にむかつて渡れ。またこの橋は東南西北に空中を旋回す、その旋回の度ごとに橋体震動し、橋上の神人はややもすればはね飛ばさるる恐れあり、また時には暴風,吹ききたつて橋上の神人を吹き落すことあり。欄干もなく、足溜りもなく、橋とはいへど黄金の丸木橋、渡るに難し、渡らねば神の柱となることを得ず、実に難きは神柱たるもののつとめなり』と言葉おごそかにいひわたされた。

物語10-1-15 1922/02 霊主体従酉 言霊別

 国祖国治立命出現されし太初の世界は、風清く澄み、水きよく、空青く、日月くもりなく、星を満天にうるはしく輝き、山青く、神人はいづれも和楽と歓喜に満され、山野にはもろもろの木の実、蔓の実豊熟し、人草はこれを自由自在に取りて食ひ、富めるもなく貧しきもなく、老もなく病もなく死を知らず、五風十雨の順序正しく、あたかも黄金時代、天国楽園の天地なりき。しかるに天足彦、胞場姫の体主霊従的邪念は凝つて悪蛇となり、また悪鬼悪狐となり、その霊魂地上に横行闊歩してここに妖邪の気満ち、貧富の懸隔を生じ、強者は弱者をしひたげ、生存競争激烈となり、地上はつひに修羅のちまたと化したるのみならず、神人多くその邪気に感染して利己主義をもつぱらとし、つひには至仁至愛の大神の神政を壊滅せむとするにいたりける。地上神人の邪気は、つひに世界の天変地妖を現出し、大洪水を起し、一旦地の世界は泥海と化し、数箇の高山の頂を残すのみ、惨状目もあてられぬ光景とはなりぬ。
 この時、高皇産霊神、神皇産霊神、大国治立神は顕国の神力を活用し、天の浮橋を現はし給ひて地上の神人をいましめ、かつ、一柱も残さず神の綱に救ひ給ひ、諾冊二神を地の高天原なる天教山に降して、海月なすただよへる国を、天の沼矛をもつて修理固成せしめ給ひ、国生み島生み神を生み、ふたたび黄金世界を地上に樹立せむとし給ひぬ。しかるに、またもや幾多の年月を経て地の世界は悪鬼、悪蛇、悪狐その他の妖魅の跳梁跋扈する暗里一世界と化し、優勝劣敗、弱肉強食の社会を出現し、大山杙、野槌、萱野姫、天の狭土、国の狭土、天の狭霧、国の狭霧、天の闇戸、国の闇戸、大戸惑子、大戸惑女、烏の石楠船(一名天の鳥船)、大宜都姫、火の焼速男(一名火の迦々彦、火の迦具土)、金山彦、金山姫らの諸神荒びたまふ世を現出したりける。


如意宝珠

霊界物語以外

神の国 1926/03 玉について

 如意宝珠と云ふのは、八方転びの玉である。円転滑脱、些かの障碍もなく、自由自在に転ぶ玉である。だから人が来て、それにつき当れば、ころんで他の面を向けるが、どの面を向けても同じ珠である。若し些しでも角があれば前の面と、今度の面とは違つて居ると云ふ事がわかるけれど、八面玲瓏の玉なれば、突当たられて一転びしても、転ばぬ前も同じである。誰が其差異を見出し得るものがあらうか、人の心も同様で、些の角もない迄に磨き上げらるれば、それが如意宝珠と同じ働きを起すのだ。円転滑脱、自由自在、人と衝突して人を傷つけ、我身を傷つけるやうな事は無い、どんな立派な玉でもそれに些しのイビツな所でもあれば、決して如意宝珠では無い、先年大阪辺で如意宝珠だとて大騒ぎをして居た珠があるが、あの珠は飽の貝に塩の附着して出来たものであるから、楕円形である。本当の如意宝珠ではない、あれは寧ろ邪気の凝固である。あれを見、あれを持つて居ると、禍が身に及ぶから、深く包んで人に見せないやうにせねばならぬ。で私はお宮を作つて祭るやうにと云ふておいたのだ。凡そ形のあまりに珍奇に異様なものは、皆邪なるものである、弄せないやうにせねばならぬ。

□録者は愕然として驚きました。此如意宝珠の珠と云ふのは、一見甚だ立派なものであつて、所有者は印度人が三千年来尋ね尋ねてゐる憧がれの玉であると深く信じて居り、之を日本で盛大に祭れば数十万の印度人が踵を接して日本にお参りに来る、国家の利益此上もない事であるからと云ふて、東奔西走金を集めて大宮殿を建立して祭らうとして居るものであります。唯何の玉であるかが分らぬ為め、日本の帝国大学は勿論の事、米国三界まで持ち出して、鑑定を頼んだものです。此為めに、今迄費した金高は既に数十万円に上つて居る筈で厶います。今も現に大阪の某富豪が、数万円を投じて、祭らうと企てて居ると云ふ話ですから、近い将来に実現するかも知れません。併して不思議にも、此玉の持主は度々変り、そしていつもいつも御覧を願ひ度いと云ふては、聖師様のお手許に参ります。現に半年斗り前にも、貰つて頂き度いと云つて来ましたが、聖師様は
 「私には必要が無い。お宮を建てて祭つておいたらよからう」
と仰有つて断つて居られました。初め此玉の鑑定を頼みに来た時は、聖師様は大正日日新聞社の社長室に居られましたが
 「見ないでも私にはよく分つて居ます。とうから霊眼で見てあります。少し楕円形をした、こんな珠でせう」
と仰有つて、見る事を拒まれました。持参者は驚いて、
 「其通りで御座います。大学あたりでも分らず、米国の大学迄持ち廻つても本質が分らず、試験の為め、此通り削つて分析し、些し傷がついて居ますが、不思議にもだんだん傷が癒えて参ります。重量も増えたり、減つたり致します」
と云ひ乍ら、包みを解いて師の目の前に差し出したものです。聖師様は
 「如意宝珠?、さうでせう、中々立派な玉です」
と仰有つたと聞いて居ります。……さうでせう……と仰有つた言向け和せを知らぬ私は、大層珍らしがり、態々見に行きまして、大正日日紙上で提灯持ち迄致しました。私許りでなく吉野花明氏なども、大分この玉についての記事を書かれたやうに記憶して居ります。日本一と人々から尊敬せられつつある某名僧は、深く如意宝珠だと信じて、玉を世に出す運動に参加して居られますが、五年の後の今日、初めて真相を示されて悟らして頂きました。【みないでもよい】……と仰有つた師の其お言葉が、如何に深重な意味を含んで居たかといふ事に今気がついて
 「聖師様も、其玉を御覧になつたので御座いますね。私も見ました。手に迄取つて撫で廻したので御座います。玉の霊徳を受けたいと存じまして……で御座いますが、それから受けた禍と申しますと、何で御座いませう」とお伺ひ申上ますと
 「大正十年二月起つた、大本事件がそれである、私は其為めに今迄悩まされて居る。お前も悩まされて居るでは無いか。事件はあの珠を見てから、十数日の後に起つたのである」
録者は、冷水を頭上から浴びせられたやうな感じが致しまして、今後決して珍奇なものに心を動かすまいと考へました。(大正十五、二、九)

神の国 1927/11 高熊山に現はれた霊石

 時は昭和二年九月十一日、高熊山に現はれたる霊石について、左の通り仰せられたので御座います。
 此玉は
神代の昔、言依別命が高熊山に蔵し埋められたる黄金の玉である。此玉は月界より下つて来たものであつて、其初め南桑の原野位の大きさがあつたのであるが、大地に達する迄に焼盡して小さくなり、其核心にあたるのがこの玉である。天降鉄であるが故に普通の石に比してこの通り重い、ソレ、月の形も現はれて居るであろう、貴重なる宝玉である。此玉が私の手に入ると云ふ事は、重大なる意味があるのであつて、この玉が無かつたために、も一つ仕事が思ふやうにゆかなかつた。もう大丈夫である。大正十二年以来心ひそかに思ひ立つて居て、どうしても成就せなかつた事も、此玉がなかつた為めである。これで成就すると思ふ。与四郎さん(穴太村、斎藤氏)が高熊山の岩窟で見出し、お蘭さん(与四郎氏夫人)に渡し、それを又婆さん(御生母)が私の手に渡したであらう、霊界物語にある通りの順序を経て居るのも面白い。与四郎さんがお蘭さんに手渡しする時、「サアお握りをやろう、いつまでたつても無くならないお握りをやろう、腹が減らないやうにね」と冗談を云ひながら手渡ししたと云ふでは無いか、其言葉も神様からの謎である。兎に角私は此玉を得て喜悦に満ちて居る。総ての事が思ふままになる如意宝珠の玉である。此間の亀石は海から上つたものだ。これは月から下つたものだ。時期だな、次第に宝が集まつて来る。
 因に筆者申す、この宝玉は恰もお握りのやうな形をして居り、黒褐色をした光沢のある重い玉でありまして、其形はお握りと云ふよりも、寧ろ十二夜の月に似て居ます。大きさは大きなお握り位でありまして、隕石ださうで御座います。月明館に持ち帰らるると、二三の人に見せられただけで、直ちに亀石の箱の中に納められて、固く封印を施されて、或所に深く蔵められました。稀代の珍宝と拝察致されます。宇知麿様は「又高姫に呑まれるといけませんから」と冗談とも真面目ともつかず仰有られました。亀石と申すは、徳島県、棚野支部長美馬美馬氏の家に代々伝はつたものを献納されたものでありまして、世にも珍らしいものでありまして、薄緑色の地に茶色の太い筋が入つて居りまして、其筋によつて、亀甲形があざやかに現はれて居ります。聖師様は、これが亀山(即ち亀岡)の霊であると仰せられて秘蔵されて居り、二つ共月宮殿の御神体となるのであると承はつてをります。牛と馬とが持つて来た、面白いと仰有つて居られますが、馬とは美馬氏の事であり、牛とは山本次郎氏の事でありますが山本氏は牛と云ふ号をもつて居られまして、大正日日新聞記者以来、【牛】さんで通つて居るので本名は知られん方が多い事と存じます。四国から態々持参せられたのは、その牛さんなのでした。又斎藤与四郎氏の養父の名が牛さんと別称されて居たのも不思議な事と思ひます。

神霊界 1918/05/01 国教樹立に就て(三)

「五百津御須麻流之珠」は、万有を一貫して之を愛護撫育し給う神宝なる事は、前章説く所の如である。天照大御神の御頸珠の御緒に貫れないものは無いのである。この御珠の尊厳なることを縷述すれば、悠に大部の著述を為すに足る程である。天地は「五百津御須麻流」の玉音隆朗たる大音楽である。大御神楽界である。仏教に一念三千の如意宝珠」というのがある。「一念三千」とは『摩訶止観』第五に云う、
「夫一心に十法界を具す。一法界に又十法界を具すれば、百法界なり。一界に三十種の世間を具すれば、百法界に即ち三千種の世間を具す。此三千、一念の心にあり。若心なくんば已みなん。介爾も心有れば即ち三千を具す。乃至、所以に称して不可思議境となす。意此にあり。」等と云々、とあるのは、「五百津御須麻流」の御境界を伝えたものである。之を具体的に現わしたものが、本尊万陀羅である。

神霊界 1920/02/11 随筆

大災難来て、国家に大損害あるに比すれば、誠に以、修行の供料は一塵の如し。是の如き小功大利の事業は、大智者の行する所なり。三ケ年に一千万遍を唱ふ。次に世界無比の本尊如意宝珠を安置するの勝地は、此迄方々処々尋探するに、大和国竜門の嶽こそ、相応の勝地なり。水清く石堅く、樹木茂く、上下に飛泉あり。南に方て金峰山に対す。寒暖所を得て、清浄の霊地なり。昔役行者、久米仙人、各得道得通の旧地なれども、今は空々として一物なし。地を明て如意宝珠の光臨を待ち居る姿也。今より行者悉地成就の修練にも、此地尤も相応せり。願くば為国一度御来遊ありて、実況御覧に相成候はば感徹可仕候。云々


霊界物語

物語01-5-41 1921/10 霊主体従子 八尋殿の酒宴(1)

ここでは黄金水の珠を如意の宝珠だと言っている

あらすじ

 竹熊は残りの玉を奪うために大虎彦と共に大八州彦命に帰順したふりをした。大八州彦命は竹熊を信じて竹熊の宴会に部下を引き連れて出席した。大八州彦命が帰り、酒宴となったが、竹熊の部下が大八州彦命の部下を偽玉で挑発して玉を出させようとした。芳彦たち5人は玉を出してしまった。

本文 『われ等の部下にはかくの如き数多の玉を有す。然るに竜宮城の神司に玉少なきは如何』
と暗に敵慨心を挑発せしめた。このとき負けぬ気の倉高は、
『貴下らの玉は、吾らの所持する宝玉に比ぶれば、天地霄壤の差あり、天下無双、古今独歩、珍無類の如意宝珠の玉を見て驚くな』
と酒気にまかして、前後の弁へもなく、鼻高々と机上に据ゑわが席に復つた。竹熊は大ひに笑ひ、
『いかに立派なる竜宮の宝玉とて、ただ三個にては何の用をかなさむ。吾には無数の宝玉あり』
とて、なほ奥の間より一個の偽玉を持出してきた。

物語03-3-7 1921/12 霊主体従寅 諷詩の徳

この如意宝珠の珠はニセ玉(ニセ玉が初出)

『汝は主を救はむとして敵を偽らむとする行為は、元来忠良の真情よりいでたるものなれば決して罪とならざるべし。すみやかにロツキー山にいたりて言霊別命を救ひだせよ』
と命じたまひぬ。言代別はおほいに悦び天にも昇る心地して、ただちにロツキー山にむかひける。言代別は円き石に金鍍金をほどこし、如意宝珠の珠を偽造して懐中に深く秘蔵し、ロツキー山の南門に現はれ、
『国直姫命に奉るべき珍宝あり。拝謁を乞ひたし。願はくば貴下らの斡旋によりこの由を奏上されむことを』
と、言葉たくみに頼みこみけるを、番卒はいふ。
『果して貴下が如意宝珠の珠を所持さるるならば、我らに一目拝観せしめよ。珠の有無をたしかめざるにおいては、軽々しく奏上することを得ず』
とてやや難色ありければ言代別は、
『貴下の仰せ実に尤もなり』
とて懐をひらき、金色燦然たる珠の一部を現はし見せたるに、番卒はこれを上級の神司に伝へ、漸次国直姫命にこの次第を奏上したりける。国直姫命は、
『ロツキー山には未だ如意宝珠の珠なきを憾みとす。しかるに天運循環してここに珍宝の手に入るは、いよいよ願望成就の時期到来せしならむ。すみやかに言代別を我が前によびきたれ』
といそいそとして命令したり。かくて言代別はしばらくして城内の神司にみちびかれ、国直姫命の前に現はれ一礼の後、懐中より珠を取出し八足の机上にうやうやしく安置し、
『吾こそは高白山の麓に住む言代別といふ者なり。いまや当山に国治立大神現はれたまふと聞きて歓喜にたへず。吾は往古より家に伝はる如意宝珠の珠を持参し、これを大神に奉り、もつて神業に参加せむと欲し、遠き山河を越えてここに参のぼりたり』

物語03-3-8 1921/12 霊主体従寅 従神司の殊勲

言代別は大足彦の先頭に立ち、常熊彦、醜玉姫の奥殿に進みいり、戸の外より大音声にて、
『我いま如意宝珠の玉を取りいだし敵軍を照すやいなや、敵は玉の威徳にちぢみあがり、蜘蛛の子を散らすがごとく四方に散乱して、もはや城内には敵の片影をも認めず、かくなる上はいつまでも奥殿に忍ばせたまふに及ばず、この戸を早く開かせたまへ』
と呼ばはりぬ。国治立命、国直姫命の偽神は言代別の言葉を聞きおほいに安堵し、たちまち内より戸を開きたるを、大足彦はただちに奥殿に進入し、国の真澄の鏡を懐中より取りいだし、二人に向つて射照しはじむるや、たちまち六面八臂の邪鬼と変じ、金毛九尾の悪狐と化し、魔神の正体をあらはし、常世城目がけて黒雲に乗じ雲を霞と逃げ去りぬ。幸にロツキー山の紺色の玉は、魔軍に汚されず、厳粛に鎮祭せられありける。

物語14-0-1 1922/03 如意宝珠丑 序歌

 如意宝珠の物語       暇ある毎に嬉しみて
 読み窺ひつ天地の      神の尊き勲功を
 知らさせ玉へと瑞月が    国の御為世のために
 心を籠めて祈りつつ     国常立の大神の
 御言かしこみ諾冊の     二柱神漂流へる
 地球をば修理固成むと    天の沼矛をさし下ろし
 塩コヲロコヲロに掻き鳴して 淤能碁呂嶋を生み玉ひ
 御国の胞衣と定めつつ    天の御柱国柱
 見立たまひて八尋殿     作りたまひて二柱
 妹兄の道を常永に      婚姻たまひて大八嶋
 国々嶋々数多生み      青人草の始祖等や
 万の物を生みたまひ     普く諸の神人を
 地上に安住させむため    太陽大地太陰の
 諸々の神たち生み玉ひ    各自々々の神業を
 依さし玉ひて万ごと     始め開かせ絶間無く
 勤しみ玉へる有難さ     天照皇大御神
 国の御祖の大神の      大御心を心とし
 青人草を悉く        恵み幸はひ愛くしみ
 いや益々に蕃息栄えしめ   功竟へ玉ふを初めとし
 大御神業をば受持ちて    天津国をば知食し
 五穀の種を御覧し      これの尊き種物は
 現しき青人草たちの     食ひて活くべきものなりと
 詔らせ玉ひて四方の国    隈なく植付けたまひたる
 ごとく御霊の幸はひて    如意宝珠の物語
 世人の霊魂の糧となし    四方の国々嶋々へ
 開かせ玉へ惟神       尊とき神の御守りに
 神の言霊幸はひて      荒ぶる神を悉く
 払ひに払ひ語問ひし     岩根木根立醜草の
 その片葉をも語止めて    是の教に一筋に
 靡かせ玉へ天地の      神の御前に願ぎ奉る。

物語16-2-13 1922/04 如意宝珠卯 神集の玉

亀彦『ヤア、それは御心配、お察し申す、吾々も共々に力添を致しまして、鍵の所在を捜索致しませう』
秋山彦『あの鍵は冠島、沓島の宝の鍵で御座いますれば、万々一其鍵を以て両島に押し渡り、如意宝珠の玉を盗み取る様な事が御座いましては、折角の神政成就の基礎も滅茶々々になつて仕舞ひまする、生命に代へても此鍵と玉とは守らねばなりませぬ』
亀彦『アヽ、さうぢや、斯ういふ時こそ鬼武彦殿にお頼み申さねばなるまい』
と大江山の方に向つて天津祝詞を奏上し救援を求めたるに、言下に、
『オウ』
と答へて現はれ来る覆面の大男、能く能く見れば鬼武彦なりける。
亀彦『ヤア貴下は鬼武彦様、能うこそ御入来下さいました、お願ひの筋は斯く斯く』
と鍵の紛失せし事を詳細に物語れば、鬼武彦は暫時頭を傾け目を閉ぢ居たりしが忽ち顔色華に、
『アハヽヽヽ、此鍵の掠奪者はウラナイ教の宣伝使高姫、青彦と言ふ奴、只今由良の港より船に乗り博奕ケ岬迄漕ぎ出して居りまする、サア吾々がお伴致しませう、船を出しなさいませ、秋山彦殿、御心配御無用だ』
秋山彦『有難う御座います、何卒何卒宜しく御願申します』
鬼武彦『某は之より亀彦と共に船を準備へ冠島、沓島に向ひませう、秋山彦を始め英子姫、悦子姫は当館にあつて吾々が帰るを待ち受けられよ、亀彦来れ』
と言ふより早く、加米公その他秋山彦の家の子郎党十数人を引率し三艘の小船を艤装して由良の港の月照る海原を艪櫂の音勇ましく漕ぎ出したり。三五の月は海底深く姿を浮かべ、船の動揺につれて忽ち上下左右に延長し海底に銀竜の姿を現じつつ、うつ波の博奕ケ岬を後に見て潮の飛沫をカブラ岩、経ケ岬を左手に眺め高雲山を右手に望み矢を射る如く高姫の後を追ひしき行きぬ。
 高姫は二時ばかり以前に冠島に上陸し玉鍵を以て素盞嗚尊が秘め置かれたる如意宝珠を取り出し、山上の大桑樹の根元に密に埋め目標をなし、又もや青彦と共に船に乗り沓島に向ひける。
 巨大なる鰐は数限りなく沓島の周辺を取り囲み堅く守り居る、鰐の群に圧せられて、船は最早や一尺も進む事能はず、高姫は船の綱を腰に結び付け鰐の背を渡つて青彦諸共漸く断崖に登り着きぬ。此間殆ど二時許りを要したりける。鬼武彦、亀彦の一行は忽ち此場に追ひつきける。数多の鰐は左右に分れ船路を開く。一同は直に島に駆け上り頂上の岩窟に向つて登り行く。釣鐘岩の絶頂に直立一丈許りの岩窟あり。其処には黄、紅、青、赤、紫其他色々の光彩を放てる金剛不壊の宝玉が匿されあり。二人は余念なく其岩窟に跳び込み玉を取らむとて汗み泥になつて働き居る。鍵は穴の端に大切相に木葉を敷いて置きありぬ。亀彦は手早く其鍵をとり上げ懐中に捻ぢ込みける。金剛不壊の此玉は、地底の世界より突出せしものにして巌の尖端に密着しあれば容易に摂取する事能はず、鬼武彦は密に傍の大岩石を引き抜き来り岩穴の上にドスンと載せたり。二人は徳利口を塞がれて如何ともする事能はず悲鳴をあげて泣き叫ぶ。
 鬼武彦始め一同は此処に悠然として天津祝詞を奏上し宣伝歌を唱へ且その周囲に蝟集して休息し雑談に耽りぬ。岩と岩との隙間より二人の藻掻く態は歴然と見え居たり。亀彦は隙間よりヌツと中を覗けば、穴の中より高姫は亀彦の顔を見上げ、
高姫『ヤア汝は三五教の宣伝使、吾々は神勅を奉じて此玉をお迎へに参つたもの、神業の妨害すると地獄の釜に真逆様に落されるぞ、早く悪戯をやめて誠の道に立ち復り、此岩を除けて日の出神にお詫を申さぬか、不届な奴めが』
亀彦『アハヽヽヽ、末代上れぬ岩穴に放り込まれて減らず口を叩くな、此岩は巨大なる千引岩、仮令百人千人来るとも容易に動かぬ代物だ、マアマア悠りと此処に安居して沈思黙考なされませ、吾々は之より聖地を指してお先へ御免蒙る』
高姫『岩石を取らぬなら取らぬで宜い、其代りに冠島の玉の所在は分るまい、玉の所在が知り度くば此岩を取り除けて吾々二人を救ひ上げ船に乗せ鄭重に田辺の港まで送り帰せ、如意宝珠の玉は欲しくは無いか』
亀彦『エー、抜け目のない奴だ、鬼武彦さま、如何致しませうか、貴方の天眼力で、玉の所在をお探し下さらぬか』
鬼武彦『一旦悪神の手に渡つた如意宝珠なれば外部は穢れ曇り一向霊気を放射致さぬ、あの玉を再び用ひむとすれば七日七夜の間、和知の清泉に清めて磨かねばなりませぬ、さりとて、所在が分らねばこれ亦素盞嗚の大神に対して申し訳が立たぬ、エー仕方がない、高姫、青彦両人に白状させるより外に道はありますまい』
亀彦『困つたな、万劫末代此岩穴に封じ込めて与らうと思つたに惜しい事だ、オイ、高姫、青彦の両人、貴様は余つ程幸福者だ、玉の所在を逐一申せ、然らば此岩を取り除いて与らう』
高姫『ドツコイ、さうは往きませぬぞ、岩石を除いて吾々を冠島迄送り届けなければ仲々白状致さぬ、万一迂濶所在を知らすが最後此儘にして置かれては吾々の立つ瀬が無い、吾々を救ふ方法は玉の所在を知らさぬ一法あるのみだ、ホヽヽヽ』
亀彦『エー、酢でも蒟蒻でも往かぬ奴だ、一歩譲つて此岩を取り除けて助けて与ろか、打たぬ博奕に負たと思うて辛抱するかなア』
と呟き乍ら鬼武彦に目配せすれば鬼武彦はウンと一声、力をこめて岩を蹴る、岩石はガラガラガラツ、ドドンツと音響を立て眼下の紫色の海中に向つて水柱をたてつつドブンと落ち込みぬ。高姫、青彦は漸く這ひ上り、
『ヤア皆さま、御心配を掛けました。お蔭さまで助けて貰ひました。サアサ、帰りませう』
亀彦『コレヤコレヤさうは往かぬ、何処に隠した、白状致さぬか』
 高姫『如意宝珠の玉は冠島に隠してある。此処では無い、早く船を出しなさい、愚図々々して居ると荒風が吹いて帰る事が出来なくなる』
 鬼武彦一行は釣鐘岩を辛うじて下り船に乗り込みぬ。高姫、青彦は鬼武彦、亀彦の船に分乗せしめ彼が乗り来りし船には秋山彦の僕を乗せ、艪櫂の音勇ましく冠島に向つて漕ぎ帰る。高姫は冠島へ着くや否や、猿の如く山上に駆け上り、手早く珠を掘り出し懐中に捻込み、
『サア如意宝珠は之で御座る、今お渡しすると貴方は都合が宜しからうが妾の都合が一寸悪い、万一船中に於て海中に放り込まれでもしては大変だ、もし放り込まれたら懐中の玉と一緒に沈む覚悟だ、サアサ田辺の港でお渡し申す』
亀彦『何処迄も注意周到な奴だナア、吾々は決して汝等を苦しめる考へでは無い、今直に渡して呉れよ。屹度田辺に送り着けてやる』
高姫『滅相もない、其方の出様次第に依つて此玉を岩石に打付けて砕いて仕舞ふか、疵をつけるか、海中に投げ込むか、未だ見当が付いて居らぬ。渡す渡さぬは田辺へ着いた上の事だ、オホヽヽヽ』
亀彦『ソンナラ貴様だけ船に乗せてやる、青彦は此島に暫時居つて修業をしたが宜しからう』
高姫『滅相な、車の両輪、二本の脚、御神酒徳利、鑿と槌、二人居らねば何事も一人では物事成就致さぬ、一本では歩けない。青彦も一緒に連れて帰れ』
亀彦『何処迄も図々しい奴だ、それ位でなくては三五教の切り崩しは到底出来よまい、アア感心感心、韓信の股潜りだ、アハヽヽヽ』
鬼武彦『サア亀彦さま、話は悠りと船中でなさいませ、東北の天に当つて怪雲が現はれました。暴風の襲来刻々に迫つて来ました。サア早く早く』
と急き立てる。亀彦、高姫其他一同は四艘の船に分乗し艪櫂の音勇ましく田辺を指して帰り来る。アヽ此宝珠は如何なるであらうか。
 因に言ふ、此如意宝珠の玉は一名言霊と称し又神集の玉とも言ひ言語を発する不可思議の生玉である。丁度近代流行の蓄音器の玉の様な活動をする宝玉にして今はウラナイ教の末流たる悪神の手に保存せられ独逸の或地点に深く秘蔵されありと言ふ。

物語16-2-14 1922/04 如意宝珠卯 鵜呑鷹

高姫『意地の悪いは、ソリヤお前のことだよ。せつかく二人が如意宝珠の玉を手に入れ、次に金剛不壊の玉を奪らうとする最中に、大きな岩で桶伏せに会はしたり……三五教の宣伝使として、人を助ける身でありながら、ソンナ意地の悪いことをしてよいものか。チツト反省みなされ。この高姫は決して鍵を盗みたのでも、玉を掠奪したのでもないワ。日の出神様の御命令によつて、竜宮の乙姫さまから受取りに行つたのだ。それをお前達が、アタ意地の悪い、邪魔に来よつたのだ。素盞嗚尊も偉いが、日の出神さまは、ドンナ方だと思うてをる。竜宮の乙姫さまも、永らく海の底のお住居であつたが、この高姫の生宮に、今度は残らず綺麗さつぱりとお渡し遊ばす世が参つたのだ。変性女子の下らぬ教を聞きかぢつて、神界の御経綸の邪魔をすると、頭を下にし、足を上にして歩かねばならぬことが出来てくるぞよ。アンナ者がコンナ者になるといふ神の教へを、お前は一体、なんと考へなさる……この高姫は詰らぬ女のやうに見えても、系統だぞへ、変性男子の……切つても切れぬ御系統だ。亀彦なぞと、どこから来たか知らぬが、元は……えらさうにいうても……ウラル教の宣伝使ぢやないか。竜宮洲へ渡つて、飯依彦のやうな蛸爺に泡吹かされて逃げ帰り、途中で日の出別の神に助けて貰うたのだらう。ソンナことはこの腹の中で日の出神が、チヤンと仰有つてござる。醜の窟の中で、井戸の中へ陥つたり、いろいろ惨々な目に逢うて、ヤツとのことで宣伝使になり、素盞嗚尊の阿婆摺れ娘を女房に持つたと思つて、あまり威張らぬがよからう。どこの馬の骨か牛の骨か、素性も分からぬやうな代物に、肝心の娘を呉れてやるといふやうな紊れた行方の素盞嗚尊が、何が、それほど有難いのだい。日の出神の側へ出したら、素盞嗚尊は、猫の前の鼠のやうなものだ。さうぢやから昔からの因縁を聞いておかぬと、まさかの時にアフンとせねばならぬと、神様が仰有るのだよ』
と懐より如意宝珠を取り出し、手の掌に乗せて、手に唾液をつけ、一生懸命に両の手の掌で、揉みて揉みて揉みさがし居る。この玉は拡大する時は宇宙に拡がり、縮小する時は鷄卵の如くになる特色のある神宝なり。堅くもなれば、軟かくもなる、高姫は揉みてもみて揉みさがし、鷄卵のごとく縮小し、搗きたての餅のやうに軟らげ
高姫『亀彦さま、秋山彦さま、お狐さま、改めて頂戴いたします。
オツ』
と言ふより早く大口を開けて、目を白黒しながら、蛇が蛙を呑むやうに、グツト一口に嚥み下ろしたり。
亀彦『ア丶大変なことになつた。……ヤイ高姫、玉を返せ』
高姫『ホ丶丶丶、分からぬ身魂ぢやナア、呑みてしまうた物が、どうして手に渡せるか、お前も、モチツと物の道理が分かつた方ぢゃと思うてをつたのに、子供よりも劣つた人ぢやナア』
亀彦『腹を裂いても、取り戻して遣らねばおかぬぞツ、馬鹿にいたすな』
高姫『宇宙の縮図たる如意宝珠の玉を、わが腹中に納めた以上は、高姫の体は即ち宇宙……宇宙には天神地祗、八百万の神が集まりたまふ。今までの肉体は、日の出神と竜宮の乙姫の生宮であつたが、最早ただ今より、天の御三体の大神様をはじめ、天地八百万の神が高姫の身体に神詰り遊ばすのぢや。サア神に仕へる宣伝使の身をもつて、この肉体に指一本触へるなら、さへて見よツ』

物語16-3-18 1922/04 如意宝珠卯 遷宅婆

青彦『ヤア私も高姫の強情なには呆れて物が言はれませぬ、沓島で岩蓋をせられた時にも私は消え入る様な思ひがして、泣くにも泣かれず慄うて居ましたが、高姫は豪気なものです、反対に窮鼠却て猫を咬む様な談判をやるのですから呆れざるを得ぬぢやありませぬか、漸く田辺に着いたと思へば暗に紛れてドロンと消え失せ、間もなく月の光に発見されて鬼武彦に素首を掴まれ、提げられて長い道中を秋山彦の館まで連れ行かれ、苦しいの、苦しうないのつて、息が切れさうでしたよ、それでも減らず口を叩いて太平楽を並べると云ふ意地の悪い女だから、何処迄押し尻が強いか分つたものぢやない。如意宝珠の玉を大勢の目の前で平気の平左で自分の腹の中に呑み込みて仕舞ひ、終には煙の様に天井窓から逃出すと云ふ放れ業をやるのだから、化物だか、神様だか、魔だか、素性の知れぬ痴者だ、そして随分口先の達者な事と言つたら燕か雀の親方の様だ、人には交際つてみねば分らぬが、あの剛腹の態度と弁ちやらとに掛つたら、大抵の男女は十人が九人迄やられて仕舞ふ、本当に巧な者だ、其処へ又、も一つ弁舌の上手な黒姫と言ふのが始終後について居つて応援をするものだから、口八丁手八丁悪八丁と言ふ豪の者に作りあげて仕舞つたのだ。然しチヤンと此焼け跡に又もや新しい小屋が建つて居る、大方黒姫の奴、後追つかけて来よつて焼け跡に小屋を建てて隠れて居るのではあるまいか、何処までも執念深いのはウラナイ教の宣伝使だからな』

物語20-3-12 1922/05 如意宝珠未 如意宝珠

ここの如意宝珠は黄金の玉のことである。如意宝珠は高姫が飲み込んでいる。

あらすじ
 綾の聖地では、紫姫、若彦、黒姫、高姫が、「如意宝珠の玉がバラモン教のムカデ姫に盗まれた」と大騒ぎしている。テルヂーとコロンボによると、「夜警の徳が盗んだ」という。言依別命に尋ねると、「二三日で戻るから心配するな」と返事があった。
 そこへ、宗彦一行ががお玉を連れて如意宝珠を持って帰った。言依別命は喜びの歌を謡う。

黒姫『玉とは何でございます』
高姫『金の玉ぢや、それを盗られたのぢや』
『それは言依別様ですか、高山彦さまですか、そんなとこを……また誰がどうして……穢しい……取つたのでせう』
『エー、合点の悪い人ぢや、睾丸と違ひますよ。桶伏山に埴安彦神様が匿しておかれた、青雲山から持つて来られた神政成就の元津御霊の黄金の玉、如意宝珠の宝物を……皆が気をつけぬものだから、たうとう盗られてしまうた。こりやきつとバラモン教が攫へていんだのに違ひない、大変だらうがな』
『大変です、どうしたら宜しからう、言依別命様に伺ひませうか』

物語21-1-1 1922/05 如意宝珠申 高春山

『そりや黒姫さま、何をおつしやる、冠島の金剛不壊の玉を腹に呑み込んだこの高姫、言はば妾の体は如意宝珠も同然、多寡の知れた雨や風をおこす竜神くらゐに、なに躊躇することがありますかい。お前さまは三五教に帰順してから、チツと変になつたぢやありませぬか……イヤ三五教に帰順する以前から高山彦さまに対し、よほど御親切が過ぎたやうですよ。神第一主義をどつかへ遺失し、高山第一、神第二といふやうなあなたの態度だから、そんな弱音を吐くやうになるのだ。モウ此処へ来たら生命を的に、悪神を改心させて大神様にお目にかけ、吾々の今までの御無礼、お気障りの謝罪をせなくてはならぬ。いはば千騎一騎の性念場だ。チツとしつかりしなさらぬかい』
『ハイハイ、そんなことに呆けてをるやうな黒姫と見えますかな。チト残酷ぢやありませぬか。それほど妾に信用がないのなれば、かへつて貴女のお邪魔になつてはいけませぬから、あなたユツクリ如意宝珠の力を発揮して手柄をなさいませ。妾は飛行船を借用して、自分の性の合ふた所へ活動に参ります』

(中略)

『没分暁漢の高姫が、如意宝珠の玉を腹に呑み込んでゐると言つて、あんまり威張るものですから、いま妾の方から絶縁を申し込んだところです』
『そりや結構だ。お前さまは全く吾々の同志だ。よしよし鷹依姫様に申し上げて、都合好くとりなしをいたしませう』
『どうぞ宜しうお頼み申します。……コラ高姫、態を見い、何ほど如意宝珠でも、大勢と一人では叶ふまいぞや』
と捨台詞を残し、テーリスタンといふ大の男に手を曳かれながら、急坂を登り行く。
『ア丶仕方がない。たうとう悪魔の容器になつてしまつた。黒姫も今まで長らくの苦労を、一朝にして水の泡にしてしまつたか。ア丶可哀さうなものだなア。コレコレそこのカーリンスといふお方、お前さまは何処から来たのだ、生まれは何処だえ』
『自分の国や生まれがわかるやうな者が、こんな所へ来て、宮番をするものかい。馬鹿なことを言ふない』
『お前さまは如意宝珠の玉の肉体を知つてをるか。日の出神の生宮は誰だといふことが分かつてゐるかい』

(中略)

『あの高姫は腹に如意宝珠の玉を呑んでをるのだから、どうしても腹断ち割つて抉り出さねばならないのだ。しかしうまくカーリンスが連れて帰つて来るだらうかなア。黒姫は玉無しだから、どうでも良いやうなものの、肝腎要なは高姫だ。カーリンスが大変に困つてをるだらう。お前ご苦労だが、モウ一度加勢に行つてくれまいか』
『行けとおつしやれば、行かぬことはありませぬが、大変に、彼奴の顔を見ると目がマクマクするのですよ』
『何、目がマクマクするか、正しく如意宝珠の玉を呑んでゐる証拠だ。目を塞いで、早くどうでもいいからフン縛つてなつと、二人して連れておいで』
『承知いたしました』
とテーリスタンは、山を一散走りに駈け下る。後に鷹依姫は独り言、
『ア丶時節は待たねばならぬものだなア。鬼雲彦や鬼熊別の大将株は、三五教の言霊とやらに討たれて、見つともない、男のくせに雲を霞と本国へ逃げ帰り、いい恥ぢ曝しをなされたが、女の一心岩でも徹すといつて、夫に似ぬ健気な女房蜈蚣姫は三国ケ岳に立てこもり、たうとう黄金の玉を手に入れた。ヤレ嬉しやと思ふ間もなく、又してもその玉を三五教にウマウマと取り返され、喜んだのは束の間、サツパリ糠喜びとなつてしまつた。しかし何ほど蜈蚣姫が智慧があつても、神徳が備はつてをるといつても、この鷹依姫には足元へも寄れない。チツと爪の垢でも煎じて呑まして上げたいものだ。如意宝珠の玉の容器は、声なくして呼びつける。黒姫は玉無しだが、彼奴は黄金の玉の在処を一番よく知つてゐるといふことだ。此間帰つて来た虎公の報告では、黒姫さへ手に入れてうまく白状させたならば、黄金の玉も手に入るといふことだから、いはば玉を手に入れたも同然だ。ア丶なんとした結構なことが出来てきたものだらう』

物語21-4-18 1922/05 如意宝珠申 解決

あらすじ
 テーリスタンは高姫と黒姫を岩窟から解放した。高姫は鷹依姫を言向け和そうとして論戦となる。
 そこへ、玉治別、国依別、竜国別、杢助達がやって来た。お初が鷹依姫に改心を迫ると、鷹依姫は悔悟の涙を流して改心の情を示した。
 次に、お初は高姫に、「長い間岩窟に閉じ込められたのは、如意宝珠を飲み込んでしまった罪からだ」と告げ、高姫の紫の玉と如意宝珠を吐き出させた。紫の玉は竹熊が奪った玉のうち一つが自転倒島に飛んできて、それを鷹依姫が祭っていたものだった。鷹依姫は「改心したのでもう玉は不要だ」と三五教に差し出した。
 また、竜国別が鷹依姫の息子であることが判明した。一同は感謝を込めて天津祝詞を奏上する。

本文

お初『サア、これからは高姫さまだ。お前さまはウラナイ教を樹てて、素盞嗚尊様に反対をしてをつた時、秋山彦の館に立ち入り、冠島の宝庫の鍵を盗み出し、如意宝珠の玉を奪ひ取つて呑み込んだその罪で、こんな岩窟へ長らく閉じこめられ、苦しんだのですよ。何ほど負けぬ気になつて空元気を出してもやつぱり辛かつたでせう。いま妾の前にその玉を吐き出しなさい。さうして又、昔竹熊といふ悪神がをつて、八尋殿へ竜宮城の使神を招待し、芳彦の持つて居つた紫の玉を取つたが、竹熊の終焉と共に死海へ落ち込んだ十個の玉の中で、この玉ばかりは汚されず、中空に飛んで自転倒島へ落ちてきた玉ですよ。それをこの鷹依姫が手に入れて、それを御神体としてアルプス教を樹ててをつたのだが、その玉をお前さまはまた呑み込んでしまつたぢやないか。腹の中に何ほど玉があるといつても、さういふ悪い心で呑み込んだのだから、少しも光が出ない。サア私がここで出して上げよう。如意宝珠の玉は素盞嗚神様にお返し申し、紫の玉は鷹依姫さまに返してお上げなさいませ
『ハイ仕方がございませぬ、どうしたら呑み込んだ玉が出ませうかなア』
『心配はいりませぬ。私がいま楽に出してあげませう』
と云ひつつ、高姫の腰を一つエ丶と声かけ打つた機に、ポイと口から飛んで出たのは紫の玉である。もう一つ左の手で腰を打つた機に飛んで出たのが如意宝珠の玉であつた。高姫はグタリと疲れてその場に倒れる。
『高姫さまはかうみえても心配はいりませぬ、しばらく休息なされば元気は元の通りになります。サア竜国別さま、あなたは如意宝珠を大切に預かつて聖地へお帰りなさい。鷹依姫さま、紫の玉は貴女の持つてゐたものだ、どうか受け取つて下さい』

物語22-1-1 1922/05 如意宝珠酉 玉騒疑

顕国玉の精=如意宝珠

 顕国玉の精より現はれ出でたる如意宝珠をはじめ、黄金の玉、紫の玉は、神界における三種の神宝として、最も貴重なる物とせられてゐる。この三つの玉を称して瑞の御霊といふ。この玉の納まる国は、豊葦原の瑞穂国を統一すべき神憲、惟神に備はつてゐるのである。
 ここに国治立尊は天教山を出入口となし、豊国姫神は鳴門を出入口として、地上の経綸に任じ給ひ、永く世に隠れて、五六七神政成就の時機を待たせ給ひぬ。素盞嗚尊はその分霊言霊別命を地中に隠し、少彦名命として神業に参加せしめ給ひしが、今また言依別命と現はして、三種の神宝を保護せしめ給ふこととなつた。
 言依別命の神業に依りて、三種の神宝は錦の宮に納まり、いよいよ神政成就に着手し給はむとする時、国治立尊と豊国姫尊の命に依り、未だ時機尚早なれば、三千世界一度に開く梅の花の春を待ちて三箇の神宝を世に現はすべしとありければ、言依別命は私かに神命を奉じて、自転倒島のある地点に深く隠したまひし御神業の由来を、本巻において口述せむとす。有形にして無形、無形にして有形、無声にして有声、有声にして無声なる神変不可思議の神宝なれば、凡眼をもつて見ること能はざるはもとよりなり。

物語22-5-17 1922/05 如意宝珠酉 生田の森

『何でも呑み込みのよいお前さまだから剣呑なものだ。それなら一つ相談をしよう。紫の玉はお前さまが預かるとして、私は金剛不壊の如意宝珠を預かることにしよう。それさへ決定れば、何時でも知らしてあげる』
『そりやチツト虫がよすぎる。金剛不壊の如意宝珠は、永らく妾の腹の中に鎮座ましました宝玉だ。いはば妾の生御魂も同然だ。お前さまは紫の玉で辛抱しなさい』
めつさうな、鷹鳥姫がアルプス教の御本尊としてゐたくらゐな紫の玉は、如意宝珠に比べてはよほど劣つてゐる。身魂相応だから、お前さまが紫の玉だ。私は何と云つても如意宝珠を取るのだから、さう覚悟しなさい』
ヨーわけの分からぬ男だなア。モウかうなる以上は何と云つても承知せぬ。奴盗人奴が、サア引きずつていつてでも在処を白状させる』
『世界見えすく日の出神さまの生宮が、私のやうな人間を連れて行かねば、玉の在処が知れぬとは、実に気の毒なものだなア』
『妾の悪口を言ふのなら辛抱もするが、畏れ多い、日の出神様の悪口まで言ひよつたなア、サアもう了簡ならぬ』
といきなり胸倉をグツと取つて締めつける。国依別は、
『何ツ、猪口才な高姫の奴』
とまた胸倉を取り、両方から睨み合つて、真赤な顔を膨らしてゐる。
杢助は、
『コレ高姫さま、国依別さま、お鎮まりなさい。同じ三五教の宝、誰が手に入れても同じことぢやないか』
高姫『イエ、こんな奴に如意宝珠の玉を弄らさうものなら、それこそ穢れてしまひます。どうしてもかうしても、一歩譲つて紫の玉だけは発見した褒美としてなぶらしてやるが、たとへ天が地になり地が天となつても、如意宝珠ばかりは、こんな奴に持たしてたまらうか……』
国依別『ナアニ発見主は俺だ。先取権があるのだから、グヅグヅいふと、二つながら俺が預かるのだ』
『なにツ、玉盗人の分際として広言を吐くか』
と高姫は組んづ組まれつ、座敷中をのたうち廻り、しまひには金切り声を張り上げて、汗みどろになつて大活動をはじめてゐる。杢助は、
『コラコラ国依別さま、お前、本当にその玉の在処を知つてゐるのか』
『ナアニ発見したら……といふ話です。夢にでも見たら俺が見つけたのぢやから、如意宝珠の玉を俺が預かると云つたばかりです。まだかいもく在処は分らぬのです、アツハ丶丶丶、あまり一生懸命で、嘘が真実になつてしまつた。アツハ丶丶丶』

物語22-1-3 1922/05 如意宝珠酉 不知火

如意宝珠は一般的な名称である

黒姫『鷹依姫さま、世の中に宝といふたら何が一番だと思ひますか』
鷹依姫『私は如意宝珠よりも、黄金の玉よりも、紫の玉よりも、天地の誠が一番の宝だと考へてをります』

(中略)

黄金の玉も如意宝珠     紫玉もまた宝珠
金剛不壊の神玉も      如意の宝珠と称ふなり

中にも別けて高姫が     腹に呑みゐし神玉は
神宝の中の神宝なり     言依別命より
委託されたる黄金の     玉のありかを失ひし
黒姫心も落ち着かず     テーリスタンやカーリンス
鷹依姫まで疑ひて      色々雑多と気を焦ち
ヤツサモツサの最中へ    言依別が現はれて
ひとまづその場は事もなく  治まりつれど治まらぬ
心の空の雲霧を       払ふ術なき折柄に
十字街頭に高姫が      錦の宮に参詣の
折りも折りとて出会し    黒姫はじめ外四人
高姫宅に招ぜられ      尊き神の御宝を
紛失したる責任を      問ひ詰められて黒姫は
いよいよここに決心の    臍を固めて聖域を
あとに眺めつ黄金の     玉のありかを探らむと
鷹依姫や竜国別       テーリスタンやカーリンス
五人は各自に天の下     四方の国々隈もなく
探ね行くこそ神界の     深き経綸と白雲の
余所に求むるあはれさよ   さはさりながらこの度の
玉の在処は言依別の     神の命の胸の内
神の命令を畏みて      心に深く秘めおきし
この神策は神ならぬ     人の身として知るよしも
泣くなく出て行くあさましさ これより五人は神界の
仕組の糸に操られ      悪魔退治の神業に
知らず識らずに奉仕する   奇き神代の物語

物語22-5-18 1922/05 如意宝珠酉 布引の滝

紫の玉は鷹依姫が持っていたもので、黄金水の12の玉のうちのひとつ

初稚姫『教主様、御機嫌よろしうございます』
と小さき手を地について挨拶する。言依別命もまた大地に手をつき丁寧に応答し、終はつて、
『初稚姫様、玉能姫様、貴女がたはこれから大望な御用を勤めて頂かねばなりませぬ。それについては心の底まで見抜いた谷丸、滝公の両人をしてお供をさせますれば、どうぞ極秘密にして勤め上げて下さい。金剛不壊の如意宝珠の玉と紫の玉を、瀬戸の海の一つ島に埋蔵する御用をお任せいたします。私が参るのは易い事ですが、あまり目立つてはかへつて秘密が破れますから、ここでお目にかかつたのです』
玉能姫『エ丶、何とおつしやいます。あの紛失したといふお宝物が、これで御座いますか。錚々たる立派な幹部の方々がおありなさるのに、私のやうな女風情が、かやうな大切な御用を承つては分に過ぎます。どうぞ幹部の方に仰せつけられますやうに』
『沢山の宣伝使はをりますが、あまり浅薄で執着心が深くて、嫉妬心が盛んで功名心に駆られ、かつ口の軽い連中ばかりで、誠の御用を命ずるものは一人もございませぬ。私はこの事について日夜憂慮してをりましたところ、錦の宮の大神様に、玉照彦様、玉照姫様がお伺ひの結果、教主の私をお招きになり、「貴女がたにこの御用をさせよ」との厳格なる御命令でございました。是非ともこれは御辞退なされては御神慮に背きます。是非この御用にお仕へ下さいませ』
『ぢやと申して、あまり畏れ多いぢやございませぬか』
初稚姫『玉能姫様、教主様のお言葉の通り、謹んでお受けなさいませ。私も喜んで、御用を承りませう』
『左様ならば不束ながらお使ひ下さいませ』
『早速の御承知、大神様もさぞ御満足に思召すでございませう。さアこれより谷丸、滝公の両人は、お二方を保護し、二つの玉を埋蔵すべくお供をして神島に渡つてくれ』
谷、滝両人はハツと頭を下げ、
谷丸『私らのごとき卑しき者に、この御用仰せつけ下さいまして有難う存じます』
『今より谷丸に対し佐田彦と名を与へ、滝公に対し波留彦と名を与ふ。これよりは佐田彦、波留彦となつて大切なる御神業に奉仕されよ』
二人は有難涙に暮れつつ、
谷丸『大切な御用を仰せつけられた上、結構な御名まで賜はりまして、吾々身にとりてこの上なき光栄でございます』
『お礼には及ばぬ、みな大神様の御命令だ。今日から佐田彦の宣伝使、波留彦の宣伝使と任命する』
二人は夢かとばかり打ち喜び、地上に頭を下げ歓喜の涙に暮れてゐる。
言依別命『この玉は金剛不壊の如意宝珠、初稚姫さまにお預け申す。これは紫の玉、玉能姫さまにお預け申す。も一つ黄金の玉、これは言依別がある霊山に埋蔵しておきます
玉能姫『教主様は神島へはお渡りになりませぬか』
『三十余万年の未来において、この宝玉光を発する時、迎へに参ります。それまでは断じて渡りませぬ。サア四人の方、この峰伝ひに明石の海辺を通り、高砂の浦より、ひそかにお渡り下さい。これでお別れいたします』
と言依別命は峰を伝ひ足早に姿を隠した。
この黄金の玉は高熊山の霊山に埋蔵され、ミロク出現の世を待たれたのである。その時の証として三葉躑躅を植ゑておいた。三個の宝玉世に出でて光り輝くその活動を、三つの御魂の出現ともいふのである。

物語22-5-19 1922/05 如意宝珠酉 山と海

辛うじて二人は山の頂に到着した。五六歳の童子五人と童女三人、黄金の鍬を持つて何処よりともなく現はれ来り、さしもに堅き岩石を瞬く問に掘つてしまつた。
初稚姫『アー、あなたは厳の身魂、瑞の身魂の大神様、ただいま言依別命様の御命令に依つて、無事にここまで玉のお供をして参りました。さア、どうぞ納めて下さい』
五人の童子はにこにこ笑ひながら、ものをも言はず一度に小さき手を差し出す。初稚姫は金剛不壊の如意宝珠の玉函を取り、恭しく頭上に捧げながら五人の手の上に載せた。十本の掌の上に一個の玉函、たちまち五瓣の梅花が開いた。童子は玉函と共に、いま掘つたばかりの岩の穴に消えてしまつた。
三人の童女はまたもや手をひろげて、玉能姫の前に進み来たる。
玉能姫は紫の宝珠の函を取り上げ、恭しく頭上に捧げ、ついで三入の童女の手にわたした。童女はものをも言はず微笑を浮かべたまま、玉函と共に同じ岩穴に消えてしまつた。玉能姫は怪しんで穴を覗き見れば、童男、童女の姿は影もなく、只二つの玉函、微妙の音声を発し、鮮光孔内を照らしてゐる。
二人は恭しく天津祝詞を奏上し、ついで神言を唱へ、天の数歌を歌ひ、岩蓋をなし、その上にいま童女が捨ておきし、黄金の鍬を各自に取り上げ、土を厚くきせ、あたりの小松をその上に植ゑて、またもや祝詞を奏上し、悠々として山を下り行く。

物語22-5-20 1922/05 如意宝珠酉 三の魂

杢助『どこの地点に納めたといふ事は申し上げ難いが、実際は貴女の一たん呑んでゐた金剛不壊の如意宝珠と紫の宝玉が、三五教の教主の手に返り、その御用を仰せつかつて或る霊地へ埋蔵の御用に行つたのですよ。黄金の玉は言依別の教主みづから何処かの霊地へ埋蔵されたさうだ。これで三つの御玉が揃ひまして……高姫さま、お喜びなさいませ』

物語23-4-16 1922/06 如意宝珠戌 蜈蚣の涙

高姫『久し振りでございましたなア。あなたが魔谷ケ岳に時めいてをられました時、妾も鷹鳥山に庵を結び、バラモン教に最も必要なる、如意宝珠の玉を尋ねあてむものと、三五教の馬鹿正直の信徒を駆使し、一日も早く手に入れて、大自在天様に献納したいと明けても暮れても心を悩ませ、どうかして貴女に面会の機会を得たいものと考へてをりましたが、何をいふても人目の関に隔てられ、思ふに任せず、遇ひたさ見たさをこらへて今日が日まで暮してきました。天運循環といひませうか、今日はまた日頃お慕ひまうす貴女に、かやうな安全地帯で拝顔を得たといふのは、これ全く大自在天様の高姫が誠意をお認め遊ばして、こんな嬉しい対面の喜びを与へて下さつたのでせう。妾はあまり嬉しうて何からお話をしてよいやら分かりませぬ』

物語24-1-4 1922/07 如意宝珠亥 一洲の女王

黄竜姫『これは珍しき汝の願ひ、その玉と申すは如何なる玉なるぞ』
黒姫『ハイ、左様でございます。金剛不壊の如意宝珠に黄金の玉、紫の玉の三つの御宝でございます。今までは自転倒島の三五教の東本山に納めありしところ、何者にか盗み取られ今に行方が分かりませぬ。黄金の玉は妾が保管いたしてをりましたところ、何者にか盗み出され、また残り二つの玉は噂に聞けばこれまた行方不明とのこと、どうぞ貴女の御神力をもつて、この洲の何れの地点にあるやお示し下さらば有難う存じます』
 黄竜姫はさも鷹揚さうに微笑みながら、
『その宝玉はこの竜宮洲には隠しては無い。自転倒島のある地点に隠しあり、容易に発掘すべからず、もはや汝は玉に対する執着心を離れ、ブランジーと共に誠心を尽くして国務に奉仕したが宜からう』

物語24-4-15 1922/07 如意宝珠亥 諏訪湖

汝は初稚姫、玉能姫、玉治別、信徒の久助、お民の五柱、よくも艱難を凌ぎ辛苦に堪へ、神国成就のためにはるばる此処に来たりしこと感賞するにあまりあり。しかしながら汝初稚姫は大神よりの特別の思召しをもつて、金剛不壊の如意宝珠の神業に参加せしめられ、また玉能姫は紫の宝玉の御用を仰せつけられ、今や三五教こぞつて羨望の的となりをれり。

物語26-2-6 1922/07 海洋万里丑 大神宣

この世を思ふ真心の      清き思ひは仇ならず
現幽神を照り透す       金剛不壊の如意宝珠
黄金の玉や紫の        貴の宝は逸早く
自転倒島に集まりて      三千世界を統べ守る
その礎はいや固く       国常立となりにけり

またもや嬉しき五つ御玉    波に漂ふ竜宮の
一つ洲なる秘密郷       金波漂ふ諏訪の湖
底ひも深く秘めおきし     五つの御霊と称へたる
青赤白黄紫の         光まばゆき麻邇の玉
梅子の姫や黄竜姫       蜈蚣の姫や友彦や
テールス姫の御使に      持たせ給ひてはるばると
黄金翼の八咫烏        天津御空を輝かし
雲路を別けて自転倒の     松生ひ茂る神の島
綾の聖地に程近き       恵も深き由良の海
その川口に聳り立つ      秋山彦の神館

物語26-2-9 1922/07 海洋万里丑 生言霊

心を配り身を尽くし      金剛不壊の如意宝珠
黄金の玉や紫の        珍の神宝を永久に
神のまにまに埋めおき     三千世界の梅の花
一度に開く折りを待つ     時しもあれや素盞嗚の
瑞の御魂の大御神       黄金の洲の秘密郷
金波ひらめく諏訪の湖     玉依姫の常久に
守り給ひし麻邇の珠      いよいよここに現はれて
五づの御魂の功績は      ますます高く輝きぬ

物語26-3-11 1922/07 海洋万里丑 言の波

来たるを遅しと伺へば     三つの御霊の如意宝珠
綾の聖地に納まりて      教の光日に月に
四方に輝く目出度さよ   

五人の男女は巡り会ひ     黄金の玉は○○の
峰に○○かくしまし      金剛不壊の如意宝珠
紫色の御宝          初稚姫や玉能姫
滝公さまは波留彦と      名を賜はりて谷丸の
佐田彦さまと諸共に      帯を二つに引き裂いて
にはかに狂ふ玉能姫      髪ふり乱しどんどんと

物語26-3-12 1922/07 海洋万里丑 秋の色

青雲山より送り来し      黄金の玉を始めとし
国治立大神の         沓になります沖の島
秘めおかれたる貴宝      金剛不壊の如意宝珠

またもや聖地に現はれて    神徳日々に栄え行く
高春山にアルプスの      教を楯に籠りたる
鷹依姫が守れりし       紫色の宝玉も
神のまにまに集まりて     高天原の御宝
霊力体の三つ御霊       ここに揃ひて神界の
尊き経綸の開け口       天地の神も勇み立ち
百千万の民草も        厳の恵みに浴しつつ
神の立てたる三五の      教は日々に栄えゆく
錦の宮はキラキラと      旭に輝く美はしさ
またも竜宮の一つ洲      諏訪の湖底深く
秘めおかれたる麻邇の玉    玉依姫の計らひに
目出たく聖地に納まりて    神徳輝く四尾の
峰も黄金の色添ひて      機の仕組も明らかに
現はれたりと言依別の     瑞の命をはじめとし
錦の宮に並びたる       八尋の殿に集まれる
信徒たちも勇み立ち      老若男女の別ちなく
綾の聖地に堵列して      玉を迎ふる勇ましさ
あ丶惟神惟神         尊き神の御計らひ
麻邇の宝珠は恙なく      清く正しき人々に
前後左右を守られて      八尋の殿に造られし
宝座にこそは入り給ふ     かかる例は久方の
天の岩戸の開けてゆ      今に至るもあら尊と
世界を治むる神国の      瑞兆とこそ知られけり
あ丶惟神惟神         御霊幸はへましませよ。

物語26-4-16 1922/07 海洋万里丑 三五玉

金剛不壊の如意宝珠      黄金の玉や紫の
三つの御玉の御神業      あらましここに述べておく
天津御神の永久に       現幽神の三界を
永遠無窮に治めます      天壌無窮の神宝は
金剛不壊の宝珠なり      経済学の根本を
岩より固くつきかため     地上の世界を円満に
融通按配治めゆく       金銀無為の政策を
実行いたすは黄金の      厳の宝珠の永久に
変はらぬ神の仕組なり     また紫の宝玉は
天下万民ことごとく      神の御稜威に悦服し
神人和合のその基礎を     永遠無窮に守ります
神の定めし神宝ぞ       そもそも三つの御宝は
天津御神や国津神       天国浄土の政治をば
豊葦原の瑞穂国        五つの洲に隈もなく
神の助けと諸共に       伊照り透らし万民

安息せしむる神業に      最大必要の宝なり
あ丶惟神惟神         深遠微妙の神界の
万世不磨の御経綸       太き御稜威も高熊の
山に隠せし黄金の       晨を告ぐる鶏や
波問に浮かぶ神島の      常磐の松の根底に
かくし給ひし珍宝       金剛不壊の如意宝珠
天火水地と結びたる      紫色の神宝も
いよいよこの世に現はれて   光を放つ神の世は
さまで遠くはあらざらめ    この世を造りし大神の
水も漏らさぬ御仕組      竜宮城の乙姫が
玉の御手より賜ひたる     浦島太郎の玉手函
それに優りて尊きは      三つの御玉の光なり
あ丶惟神惟神         御霊幸はへましまして
一日も早く片時も       とく速けく世のために
現はれまして艮の       果てに隠れし元津神
坤なる姫神の         経と緯との水火合はせ
神世安らけく平らけく     治め給はむ時はいつ
待つ間の永き鶴の首      亀の齢の神の世を
渇仰翹望なしながら      静かに待つぞ楽しけれ
波に漂ふ一つ洲        黄金花咲く竜宮の
秘密の郷と聞こえたる     果物豊かな玉野原
一眸千里のその中に      青垣山を三方に
いと美はしく繞らせる     金波漂ふ諏訪の湖
玉依姫の永久に        水底深く鎮まりて
守り給ひし麻邇の玉      天火水地と結びたる
青赤白黄紫の         玉の功績を述べつれば
世界統治の礎を        堅磐常磐につきかため
天の下をば安国と       治むる王者の身魂こそ
紫玉の功績ぞ         王者に仕へ民治め
中執臣と勤しみて       世界を治むる大臣の
稜威の活動そのものは     心も赤き赤玉の
天地自然の功績ぞ       国魂神と現はれて
百の民草治めゆく       小さき臣の活動は
臣の位の水御玉        上を敬ひ下を撫で
臣の位をよく尽くし      上は無窮の大君に
下は天下の民草に       心のかぎり身を尽くし
誠を尽くす活動は       水の位の白玉の
天地確定の功績ぞ       神を敬ひ大君を
尊び奉り耕しの        道に勤しみ工業や
世界物質の流通に       ひたすら仕ふる商人の
誠の道を固めゆく       天地自然の功績は
土に因みし黄金の       稜威の御玉の天職ぞ
さはさりながら今の世は    心の赤き赤玉も
それに次ぐべき白玉も     黄色の玉もことごとく
光なきまで曇り果て      何の用なき団子玉
天火水地を按配し       この神玉の活用を
円満清朗自由自在       照らして守るは紫の
神の結の玉ぞかし       紫色の麻邇の玉
今や微光を放ちつつ      心の色も丹波の
綾の聖地にチクチクと     その片光を現はして
常世の暗を隈もなく      照らさせ給ふ光彩は
厳の御霊の神司        瑞の御霊の神柱
経と緯との御玉もて      世界十字に踏みならし
一二三四五つ六つ       七八つ九つ十たらり
百千万の神人の        救ひのために千万の
悩みを忍び出で給ふ      

物語27-3-8 1922/07 海洋万里寅 琉と球

暗夜を幸ひ高砂の       沖に浮かべる一つ島
金剛不壊の如意宝珠      紫色の宝玉の
堅磐常磐に埋めたる      松の根元に立ち寄りて
暗祈黙祷やや暫し       空中にはかに明くなり
またたく間に三柱の      小さき女神現はれて
声厳かに詔らすよう      汝言依別神
先に埋めし宝玉は       我ら三柱朝宵に
守りゐませばこの島に     心を配らせ玉ふなく
一日も早く海原を       神の恵に潔く
進みてテルの港まで      出で立ち玉へ惟神

物語27-4-13 1922/07 海洋万里寅 竜の解脱

如意宝珠=言霊

 国依別の言霊に竜若彦と称する怪物はたちまち雲散霧消し、ふたたび現はれ来たる大竜別、大竜姫はおのおの手に琉、球の玉を納めたる玉手箱を、言依別、国依別の手に恭しく捧げ、三千年の三寒三熱の苦行をここに終了し、一切の執着を去つて、悠々として紫の雲に乗り、天津日の稚宮に上り、大神の右に座し、天の水分神となつて降雨を調節し給ふ大神と成らせ給うたのである。
 清き正しき言霊は、一名金剛不壊の如意宝珠とも言ふ。この天地は言霊の幸はひ助け、生き働く国である。宇宙間において最も貴重なる宝は声あつて形なく、無にして有、有にして無、活殺自由自在の活用ある七十五声の言霊のみである。これを霊的に称ふる時は、すなはち金剛不壊の如意宝珠となる。天照大御神の御神勅に「言向和せ、宣直せ」とあり、これは神典古事記に明らかに示されてある。天の下四方の国を治め給ふは五百津美須麻琉の玉にして、この玉の活き働く時は天が下に饑饉もなく、病災もなく戦争もなし、また風難、水難、火難を始め、地異天変の虞なく、宇宙一切平安無事に治まるものである。また、今ここに言依別、国依別の二柱の竜神より受け取りたる琉、球の二宝は、風雨水火を調節し、一切の万有を摂受し、あるひは折伏し、よく摂取不捨の神業を完成する神器である。

物語28-4-21 1922/08 海洋万里卯 喰へぬ女

天火水地結の玉(麻邇宝珠)を如意宝珠と呼んでいる。

『何人にも口外することはできないのですが、あなたに限つて、他言をして下さらねば申し上げませう。如意宝珠の天火水地の宝玉は、自転倒島の中心地、冠島、沓島に大切に隠してあります。それを高姫が、吾々が持ち逃げしたものと思ひ、私の後を追ふてここまでやつて来たのでせう。ご存じの通り、吾々両人は、玉などは一個も所持してはゐませぬでせう』

物語29-2-10 1922/08 海洋万里辰 国治の国

国『いゝゝ一番尊いお宝が大和魂なら、なぜお前さまは無形の魂を尊重せずに、高砂島三界まで金剛不壊の如意宝珠を捜しに来たのだい。ヤツパリ形ある宝の方がお前さまにはお気に入ると見えますな』
高姫『ろゝゝ碌でもない理窟を云ふものでない。金剛不壊の如意宝珠は、神様の御宝、大和魂は人間の宝だよ。神と人とを一緒にしてはなりませぬぞえ
国『ろゝゝ論より証拠、お前さまは何時も神人合一と云ふことを称へてゐるぢやありませぬか。神人合一は神さまと人と一緒になつた事ぢやありませぬか』
高姫『はゝゝはしたない人間の知慧を以て、神の申す事をゴテゴテと云ふものぢやありませぬワイ。花は桜木人は武士と云つて、潔うするものだ。女の腐つた様に何をツベコベと小理窟を云ひなさる。何とか、彼とか云つて、如意宝珠を渡そまいとしても駄目ですよ』

物語32-2-7 1922/08 海洋万里未 試金玉

如意宝珠は一つか?

『エヽ一寸お尋ね致しますが、あなたは三五教の宣伝使、玉捜しの高姫様一行では御座いませぬか? 玉が御入用ならば金剛不壊の如意宝珠、紫色の玉、黄金の玉、麻邇の宝珠は、数限りなく妾の館に遠き神代の昔より、神政成就の宝として数多蓄へて御座いますれば、どうぞ、御検めの上御受け取り下さいますれば、実に有難き仕合せに存じ奉ります』
 一旦玉の執着をはなれたる高姫は、又もや此言葉を聞いて持病再発したるものの如く、目を丸くし、顔を妙に緊張させながら、
『エヽ何と仰せられます。金剛不壊の如意宝珠は世界に一つよりなきものと存じて居りますが、貴女の御宅にはそれ程沢山に御持ちで御座いますか。ソリヤ大方偽玉では御座いませぬか? 金剛不壊の如意宝珠と云へば世界に一つよりなき筈で御座いますが……
と半信半疑の目を見張り、あわよくば此玉を得て帰らむとの野心にみたされながら、心欣々として尋ね返した。美人は打笑ひ、
『ホヽヽヽヽ、高姫様貴女は妾の申す事をお疑ひ遊ばすので御座いますか? 論より証拠、妾が宅へお出で下さいますれば、お分りになるでせう。如意宝珠は只一個とのみ思召すのは、失礼な申分ながら、井中の蛙大海を知らざる譬も同様で御座います。マア一寸妾の宅までお出で下さいまして、お査べなさいませ』

物語33-3-17 1922/09 海洋万里申 感謝の涙

『このたび、国治立命、国武彦命と身を下し玉ひ、また豊国姫命は国大立命となり、再び変じて神素盞嗚尊となり、国武彦命は聖地四尾山に隠れ、素盞嗚尊はウブスナ山の斎苑の館に隠れて、神政成就の錦の機を織りなす神界の大準備に着手すべき身魂の因縁である。それについて、稚姫君命の御霊の裔なる初稚姫は、金剛不壊の如意宝珠を永遠に守護し、国直姫命の御霊の裔なる玉能姫は紫の玉の守護にあたり、言依別命は黄金の玉を永遠に守護し、梅子姫命は紫色の麻邇の宝珠の御用に仕へ、高姫は青色の麻邇の宝玉、黒姫は赤色の麻邇の宝玉、鷹依姫は白色の麻邇の宝玉、竜国別は黄色の麻邇の宝玉を守護すべき身魂の因縁なれば、これより四人は麻邇の宝珠を取り出し、綾の聖地に向かふべし。控への身魂は何程にてもありとはいへども、なるべくは因縁の身魂にこの御用を命じたく、万劫末代の神業なれば、高姫以下の改心の遅れたるため、神業の遅滞せし罪を言依別命に負はせて、高姫以下に万劫末代の麻邇の神業を命ずるものなり。……神素盞嗚尊』
と記してあつた。四人は感謝の涙にむせびながら、直ちに手を拍ち、神殿に感謝の祝詞を奏上した。秋山彦は黄金の鍵を持ち出でて、高姫に渡し、
秋山彦『いざ四人の方々、わが館の裏門よりひそかに由良の港に出で、沓島に渡り、麻邇宝珠の四個の玉を、各自命ぜられたるごとく取り出し、ひそかに聖地へ帰り、尊き神業に参加されたし。このこと、聖地その他の神司、信徒の耳に入らば、かへつて四人の神徳信用に関係すること大なれば、一切秘密を守り、大神の御意志を奉戴し、今までの罪を贖ひ、天晴れ麻邇宝珠の神司として、聖地にあつて奉仕されむことを希望いたします。サア早く早く……』

物語33-3-18 1922/09 海洋万里申 神風清

高姫の改心 如意宝珠を諦める

 玉照彦、玉照姫は四人に向かひ鎮魂を施し、悠々として、わが居間に帰り玉ふた。
 高姫は初めて今までの我を払拭し、青色の麻邇の宝珠の玉に対する神業に参加することを決意し、金剛不壊の如意宝珠の御用の吾が身に添はざることを、深く悟ることを得たのである。
  ○
 ここに金剛不壊の如意宝珠の御用を勤めたる初稚姫は、初めて錦の宮の八尋殿の教主となり、紫色の宝玉の御用に仕へたる玉能姫は生田の森の神館において、若彦(後に国玉別と名を賜ふ)と夫婦相並びて、生田の森の神館に仕ふることとなつた。
 また黄金の玉の神業に奉仕したる言依別命は、少名彦名神の神霊と共に斎苑の館を立ち出で、アーメニヤに渡り、エルサレムに現はれ、立派なる宮殿を造り、黄金の玉の威徳と琉の玉の威徳とをもつて、普く神人を教化したまふこととなつた。

物語56-0-2 1923/03 真善愛美未 総説

 金剛不壊の如意宝珠、大本教の宣伝使、湯浅仁斎氏の紹介に由つて、鳥取県気高郡海徳村大字徳尾宮東菜田において種苅り中、鎌に当り拾得したる天降石にして、明治廿三年四月廿四日森岡直衛氏の所有なりしが、本日その息直次郎氏より大本に献納されたり。霊界物語(霊主体従)第一巻に記載せるシオン山より出でたる金剛不壊の如意宝珠なる顕国魂は即ち之である。この宝玉の履歴書あり、今左に転載す。
『一、鳥取県気高郡海徳村大字徳尾森岡直衛、宮東菜種田に於て種苅中鎌に当り拾得す。明治廿三年四月二十四日朝
一、鳥取警察に届出す、警察より県庁に出す。其後中学校等にて験せ共、無名石にて帰来せり。
一、此玉拾得前弐拾壱日より弐拾参日まで参日間鶏夜叫せり。家内の者近所の人心配なし判定者に問ふ。
判定者の言に依れば善事の知らせなりと言ふ。其翌日この玉を拾得せり』
右は原文の儘也以上

物語56-2-6 1923/03 真善愛美未 高圧

高姫『皆さま、よくまア日出神の教に従つて此処へ跟いてござつた。お前はよつぽど因縁の深いお方だぞえ。こんな結構な教は、鉄の草鞋が減るところまで世界中を探し廻つても外にはありませぬぞや。そして喜びなされ。この高姫は高天原の第一霊国のエンゼルの身魂で、根本の根本の大神の生宮だから、天もかまへば地もかまひ、どこもかしこも一つに握つた太柱、扇でたとへたら要だぞえ。時計でたとへたら竜頭のやうな物だ。扇に要がなければバラバラと潰れてしまふ。時計に竜頭が無ければ捻をかけることも出来ますまい。それだからこの高姫は根本の根本の世界に又とない如意宝珠の玉ぢやから、よく聞きなされや。お前達は泥坊をしたり、バラモンの軍人になつたり、あらゆる悪をやつて来たのだから、直ぐさま地獄へ堕とすべき代物だけれども、この高姫の生宮の申す事をよく聞いて行ひを致したなれば、結構な結構な第一天国へでも助けて上げますぞや』

物語56-4-16 1923/03 真善愛美未 不臣

姫『有難うござります。早速ながらお伺ひいたしますが、当館は貴方も御承知の通りバラモン教の大棟梁大黒主の神様が、まだ鬼雲彦と仰せられた時分、ここを第一の聖場とお定め遊ばしたバラモン発祥の旧跡でございます。吾々夫婦の名は国彦、国姫と申しましたが、鬼雲彦様より御名をいただいて今は小国彦、小国姫と申してをります。ついては当館の重宝如意宝珠の玉が紛失いたしまして今に行衛は知れず、百日の間にこの玉を発見せなければ、吾々夫婦は死してお詫びをせなくてはならない運命に陥つてをります。吾が夫はそれを苦にして大病に罹らせ玉ひ、命旦夕に迫るといふ今日の場合でございます。悪い事が重なれば重なるもので、今より三年以前に妹娘のケリナといふもの、仇し男と共に家出をいたし、今に行衛も分らず、夫婦の心配は口で申すやうのことではございませぬ。どうぞ御神徳をもつて如意宝珠の所在をお知らせ下さるわけには参りませぬか』

物語56-4-20 1923/03 真善美愛未 犬嘘

『皆さま、テルモン山の館には大変事が突発いたしましたが御存じですか、よもやお分りではございますまい。噂にもお聞きでございませうが、三五教の三千彦といふ悪神が飛んで参り、金剛不壊如意宝珠を夜ひそかに盗み出し、小国別夫婦を初め一族郎党に不調法をさせ、大黒主様の命令をもつて館はいふに及ばず、宮町一般の人民を小国別の同類と見做し、片端から首をチヨン切らすといふ悪い計劃をいたしてをりますぞ。そしてその三千彦といふ悪者は、今お館に大きな面をして居据り、魔法をもつて小国姫をチヨロまかし小国別様を病気にいたし、ジリジリ弱りに弱らせて命を取り、デビス姫の婿にならうとして悪い企みをいたしてをりますぞ。皆さま、テルモン山のお館を思ひ、また貴方がた自身のお家や体や子孫をお思ひなさるなら、これから一同力を合せ、お館に押し寄せ、三千彦といふ悪人を懲らしめて下さい、いな殺して下さい。一日も猶予はしてをれませぬぞ。グヅグヅしてゐると貴方がたの難儀になりますぞや。望ひ拙者はその三千彦といふ奴の顔を存じてをりますから、これから御案内をいたします、皆さま私のいふ事が御承知が出来ますなら、どうぞ従いて来て下さい』
と呶鳴つた。群集の中には全部真実と信ずるものもあり、また半信半疑の者もあつた。しかしながら、バラモン教の館の中に三五教の者が来てをるといふ事が分り、にはかに皆が怒り出し、老爺も老婆も子供も、脛腰の立つ奴は群衆心理とやらで再び館に取つて返し、潮の押し寄するがごとく館の表門にヒシヒシと詰めかけた。

物語60-2-9 1923/04 真善愛美亥 夜光玉

たとへ如何なる怪物が
雲霞のごとく潜むとも     神の力を身に浴びて
進む吾が身は金剛不壊     如意宝珠の玉なるぞ
水に溺れず火に焼けず     錆ず腐らず曇らずに
幾万年の後までも       天地の宝と光りゆく

物語60-2-10 1923/04 真善愛美亥 玉国

サーガラ『三千年の悩み忍びて目出たくも
吾が背の君は世に出でにけり
この御子は吾が身魂より生れ出でし
如意宝珠の化身なりけり

多シヤカ『恋慕ふ汝が命に廻り会ひ
嬉しさ胸に三千年の今日
玉国の神の司や諸人に
救はれ神の許しうけけり』
サーガラ『汝が命世に出でませば吾もまた
人の姿となりて仕へむ
玉国の別の司よ諸人よ
憐れみ玉へこれの夫婦を』
玉国別『昔より縁の深き夫婦づれ
いや永久に世を守りませ』
 サーガラ竜王は、脇に抱へし七八才ばかりの乙女を地に下し、夫婦が互ひに水火を吹きかけた。たちまち乙女は如意宝珠の玉と変じた。サーガラ竜王は押し戴き、
サーガラ『この玉は朝な夕なに抱きてし
如意宝珠よ君に捧げむ』

物語63-1-1 1923/05 山河草木寅 玉の露

アヅモス山のバーチルが    館に立ち寄りアヅモスの
山にかくれしタクシャカの   竜王始め妻神の
サーガラ竜王救ひつつ     夜光の玉や如意宝珠
竜王の手より受取りて     真澄の空の夏の道
草鞋に足をすりながら     伊太彦デビス四柱の
御供と共にエルサレム     聖地を指して進み行く

物語65-3-14 1923/07 山河草木辰 山川動乱

月は盈つとも虧くるとも    たとへ大地は沈むとも
誠の力は世を救ふ       誠は此世の御宝
夜光の玉や如意宝珠      黄金の玉のその光
如何に奇しくあるとても    直日の霊の御光に
比ぶる宝あらざらめ 

物語68-2-7 1925/01 山河草木未 茶火酌

ここでは、金剛不壊の如意宝珠はスバール姫のこと。

『アー、袋の奴、馬鹿にしやがる。折角マンマとせしめた千両の金を自分一人で占領して、おまけに手厳しく毒つきながら帰つて行きやがつた。ア丶、また俺は元の木阿弥だ。文なしの素寒貧だ。よくよく金に縁のない男とみえるわい。しかし俺も一つ考へねばなるまい。万々一、太子様をかくまつて逢引きさしてゐる事がお歴々の耳にでも這入らうものなら、お出入り差止めは申すに及ばず、お袋の言つたやうに俺の笠の台が飛ぶかも知れない。また幸ひに命だけは助かつたとしたところで、太子様のお出入もなくなり、アリナさままでも来られないやうな破目になつたら、この茶坊主はどうしたらよいかな。どうも心配になつて来た。家宝伝来の名物道具よりも大切にしてゐる此頃の珍客、金剛不壊如意宝珠を、もしも老臣どもに見つけ出され、吾が館から連れ帰られるやうな事があつたとしたら、それこそ俺も身の破滅だ。地獄と極楽へ往復する茶柄杓の中折れ。今日までの湯加減も、にはかに足茶釜の底ぬけ騒ぎをやらねばなるまい。アーア、何とかいい工夫はあるまいかな。干からびた頭脳から何ほど絞り出しても、よい知恵は出て来ず、どうしてマサカの時の準備をしやうかな』
と腕を組み、胡坐をかいて、燗徳利を前に転がしたまま思案にくれてゐる。

物語69-3-13 1924/01 山河草木申 国別

国照別は東方の原野を遙かに見おろしながら、
『ア丶珍の国も暫くこれで見ることが出来ないだらう。其の代り今度帰つて来た時は、この広大なる荒野ケ原も金銀瑪瑙、瑠璃碑礫、玻璃などの七宝に飾られた地上天国に一変するだらう。雲深き城中を後に親兄弟家来を見すてて、鄙に下り、今また吾が城下にも住む事を得ず、心からとは言ひながら、生れ故郷を立ち去るは、どこともなく心淋しいやうだ。ア丶否々、そんな気の弱いことで、この神業が勤まらうか。珍の国の国司は元は三五の教をもつて人草を教化するのが天職であつた。あまり政治などに心を用ひなくても自然に治まつてゐたのだ。しかしながら今日となつては国外よりいろいろの主義や思想や無用の学術が流れ込んで来て、古のごとき簡易な信仰のみをもつて国を治むる事は出来なくなつてしまつた。しかしながら、どうしても世の中は知識や学問の力では治まるものでない。まづ政の第一は徳を以てするより外にない。自分はその徳を養はむがために、城中をぬけ出し、最も卑しき車夫の仲間に入り、下層社会の事情を探り、今また侠客となつて、市井の巷に出没し、わが霊魂をして金剛不壊の如意宝珠たらしめむと、焦れど藻掻けど如何にせむ、永い問嬢や坊にて育てられ、少しの荒き風にさへも悩まされるやうな弱い身体で、どうして衆生を安堵せしむることが出来やうか。何といつても自分は珍の国の世子、清家生活も顕要の地位も少しも望まぬけれど、この先自分が此の国に居らなくなつたならば、信仰の中心、尊敬の的、思想の真柱を失うたも同然、容易に、如何なる賢者が現はれても、徳望者が現はれても、治むることは難かしいだらう。それを思へば、一時も早く魂を研き、真の神徳を身にうけて、再び此の国に帰つて来なくてはならうまい。珍の国の広き原野が今わが視線を離れるに望んで、何となく、山河草木をはじめ我が国衆生が恋しくなつて来た。しかしながら一旦決心した吾が魂を翻すことは出来ぬ。あ丶惟神霊幸倍坐世。国治立大神様、何とぞ国照別が赤心を御受納下さいまして、珍の国は申すも更なり、高砂洲の天地をして、昔の神代の歓楽郷にねぢ直させて下さいませ。また両親を始め妹の春乃姫その他城中の老臣、及び友人の身の上に特別の御恩寵を垂れさせ給ひて、珍の国家を平安に隆昌に進ませ給ふやう偏にお願ひ申し上げます。珍の国に別るるに臨んで、国魂神様の御前に謹んでお礼を申し上げます。あ丶惟神霊幸倍坐世』
と感慨無量の態で、太い息をついてゐる。

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