論考資料 太白星の玉


霊界物語

物語02-6-39 1921/11 霊主体従丑 太白星の玉

 竜宮城の従臣鶴若は、黄金水より出たる十二の玉の中、一個の赤玉を命にかへてアルタイ山に逃れ守つてゐたが、竹熊一派の奸策に陥り、つひにこれを奪取されて無念やる方なく、つひには嘆きのあまり、精霊凝つて丹頂の鶴と変じたるは、さきに述べたところである[#第一巻第四三章「丹頂の鶴」参照]。
 丹頂の鶴は昼夜の区別なく、天空高く、東西南北に翔めぐつて声も嗄れむばかりに啼き叫んだ。その声はつひに九皐に達し、天の太白星に伝はつた。太白星の精霊生代姫命はこの声を聞き、大いに怪しみ、その啼くゆゑを尋ねられた。ここに鶴若は、
『われは、わが身の不覚不敏より大切なる黄金水の宝を敵に奪はれ、大八洲彦命に謝する辞なく、いかにもして、この玉を探し求め、もつて竜宮城に帰参を願ひ、再び神人となり、この千載一遇の神業に参加せむと欲し、昼夜の区別なく地上を翔めぐり探せども、今にその行方を知らず、悲しみにたへずして啼き叫ぶなり』
と奉答した。生代姫命は、
『そは実に気の毒のいたりなり。われは十二の白鳥を遣はし、黄金水の宝に優れる貴重なる国玉を汝に与へむ。汝が敵に奪はれたる玉は今や死海に落ち沈めり[#※第一巻第五〇章「死海の出現」参照]。されどこの玉はもはや汚されて神業に用ふるの資格なし。されば、われ新に十二の玉を汝に与へむ。この玉を持ちて竜宮城に帰還し、功績を挙げよ』
と言葉をはるや、忽然としてその神姿は隠れ、白気となりて太白星中に帰還された。たちまち鳩のごとき白鳥天より降るをみとめ雀躍抃舞した。されど鶴若は、わが身一つにして十二の白鳥の後を追ふはもつとも難事中の難事なり、いかがはせむと案じ煩ふをりしも、天上より声ありて、
『汝は天空もつとも高く昇り詰め、玉の行方を仔細に見届けよ』
といふ神の言葉が聞えてきた。
 鶴若はその声を聞くとともに天上より引つけらるるごとき心地して、力のかぎり昇り詰めた。このとき十二の白鳥は諸方に飛散してゐたが、たちまち各地に降下するよと見る間に白き光となり、地上より天に冲して紅霓のごとく輝いた。
 鶴若はその光を目あてに降つた。見れば白鳥は一個の赤玉と化してゐる。鶴若は急いでこれを腹の中に呑み込んだ。また次の白気の輝くところに行つた。今度はそれは白玉と化してゐた。これまた前のごとく口より腹に呑み込んだが、かくして順次に赤、青、黒、紫、黄等の十二色の玉をことごとく腹に呑み込んだ。鶴若は、身も重く、やむをえず低空を飛翔して、やうやく芙蓉山の中腹に帰ることをえた。
 芙蓉山の中腹には種々の色彩鮮麗なる雲立ちあがつた。この光景を怪しみて、清国別は訪れて行つた。すると其処には立派なる女神が一柱現はれて、十二個の玉を産みつつあつた。清国別は怪しみて、
『貴神は何神ぞ』
と尋ねた。女神は答ふるに事実をもつてし、かつ、
『この玉を貴下は竜宮城に送り届けたまはずや』
と頼んだ。この女神は鶴野姫といふ。
 清国別はここに肝胆相照らし、夫婦の約を結び、竜宮城に相携へて帰還し、この玉を奉納せむとした。
 しかるに夫婦の契を結びしより、ふたりはたちまち通力を失ひ、次第に身体重く、動くことさへままならぬまでに立ちいたつた。
 ふたりは神聖なる宝玉はともかく、夫婦の契によりてその身魂を涜し、通力を失ひたることを悔い、声をはなつて泣き叫ぶ。
 その声はアルタイ山を守る守護神大森別の許に手にとるごとく聞えた。大森別は従臣の高山彦に命じ、芙蓉山にいたつてその声の所在を探らしめた。
 高山彦は命を奉じ、ただちに芙蓉山に天羽衣をつけて、空中はるかに翔り着いた。見ればふたりは十二の玉を前に置き泣き叫んでゐる。高山彦は大いにあやしみ、
『汝、かかる美しき宝玉を持ちながら、何を悲しんで歎きたまふや』
と問ふた。ふたりは答ふるに事実をもつてし、かつ、
『貴神司はこの十二の玉を竜宮城に持ちゆき、大八洲彦命に伝献したまはずや』
と口ごもりつつ歎願した。
 高山彦はこの物語を聞き、しばし頭を傾け、不審の面持にて思案の体であつた。たちまち物をも言はず、ふたたび羽衣を着し、アルタイ山めがけて中空はるかに翔り去つた。
 後にふたりは絶望の念にかられ、その泣き声はますます高く天上に届くばかりであつた。ふたりのまたの名を泣沢彦、泣沢姫といふ。
 高山彦はアルタイ山に帰り、大森別に委細を復命した。大森別は、
『こは看過すべからず。汝も共にきたれ』
といふより早く天の羽衣を着し、芙蓉山に向つた。さうして心よくふたりの請を入れ、十二個の玉を受取り、ただちに竜宮城にいたり、この玉を奉献した。
 大八洲彦命は大いに喜び、これを千載の神国守護の御玉とせむと、シオン山に立派なる宮殿を造営し、これを安置した。
 シオン山は竜宮城の東北に位し、要害堅固の霊山にして、もしこの霊山を魔軍の手に奪はれむか、地の高天原も竜宮城も衛ることのできない重要な地点である。
 ここに棒振彦仮の名美山彦、高虎姫仮の名国照姫は、この霊地を奪ひ、かつ十二の宝玉をとり、ついで竜宮城および地の高天原を占領せむとして、主としてシオン山に驀進した。かくていよいよシオン山の戦闘は開始さるるのである。

物語02-6-40 1921/11 霊主体従丑 山上の神示

 ここに大八洲彦命は、稚桜姫命の神命を奉じ、シオンの霊山にのぼり地鎮祭をおこなひ、かの顕国の御玉の母岩の現はれたる聖跡を中心として、十六社の白木の宮を造り、鵜の羽をもつて屋根を覆ひ、金銀珠玉種々の珍宝をちりばめ、荘厳優美たとふるにものなく、旭に照り夕陽に輝き、その状は目も眩きばかりであつた。
 一つの宮に一つの玉を神体として祭り、十二社と称へた。他の四個の宮には、鶴野姫、大森別、生代姫命および姫古曽の神を鎮祭し、荘厳なる祭祀は挙行された。
 その他、楼門、広間等大小三十二棟を造り、いづれも白木造りにして桧皮をもつて屋根を覆ひ、千木、堅魚木等実に崇高の極みであつた。この十六の宮とともに四十八棟となり、あまたの重臣はこれに住みて神明に日夜奉仕した。
 ここに宮比彦を斎主とし、一切の神務を主宰せしめられた。シオン山はもとより荘厳なる霊山である。しかるに今や四十八棟の瀟洒たる社殿幄舎は建て並べられ、荘厳の上になほ荘厳を加へた。
 このとき常世姫の部下たる美山彦、国照姫は杵築姫を部将とし、鬼雲彦、清熊ら数多の魔軍を率ゐて鬼城山を立ちいで、東西両方面より、シオン山を占領せむと計画しつつあつた。また南方よりは別働隊として主将武熊別は、荒熊、駒山彦を率ゐ、シオン山を奪取せむとし、ここに東西南三方よりこれを占領するの計画を定めた。
 このこと忽ち天使大八洲彦命の知るところとなり、東の山麓には吾妻別を主将とし、香川彦、広足彦を部将として防衛の陣を張り、西の山麓には磐樟彦を主将とし、上倉彦、花照彦を部将とし、あまたの神軍をもつてこれを守らしめた。南方の山麓には大足彦を主将とし、奥山彦、安世彦を部将とし、あまたの神軍と共にこれを守らしめ、北方の山麓には真鉄彦少しの神軍と共に万一に備へることとなつた。また山上の本営には大八洲彦命を総大将として真道彦命、花森彦、谷川彦、谷山彦が固く守ることとなつた。
 三方より押寄せたる敵軍は、難攻不落の霊山を攻撃せむとするは容易の業に非ず、遠くこれを囲みて睨み合ひ、互ひに火蓋を切らざること長きに渉つた。ここに南軍の将武熊別は探女を放つて一挙にこれを討ち破らむとした。南軍の神将大足彦の陣営を夜ひそかに足音を忍ばせ、横切る女性があつた。数多の神卒は怪しみ、四方よりこの女性を囲み捕へて大足彦の陣中に送つた。女性の衣をことごとく剥ぎあらため見るに、一通の信書があつた。これは東軍の敵将美山彦にあて、武熊別より送るところの密書のやうである。
 その文意は、
『常世姫すでに竜宮城を陥れむとす。されど敵は克く防ぎ、克く戦ひ容易に抜くべからず。大国彦の援軍を乞ひ、大勢をもり返したれば、味方の士気頓に加はり来り、竜宮城の陥落は旦夕に迫る。汝らは吾らを顧慮するところなく、全力を尽してシオン山を攻め滅せ。時を移さず竜宮城を屠り、地の高天原の諸神将を討伐し、その機に乗じて応援に向はむとの、常世姫の密書来れり。これを貴下に報告す』
と記してあつた。
 大足彦は南軍の指揮を安世彦に一任し、ひそかに遁れて竜宮城の警衛に尽力してゐた。安世彦はこの密書を探女の手より奪ひ大いに驚き、吾妻別、真鉄彦、磐樟彦を山上の陣営に集めて密議をこらした。諸将はおほいに驚き、シオン山は難攻不落にして、一卒これに当れば万卒進むあたはざるの要害なり。軍の半を割き速やかに一方の血路を開き、竜宮城に応援せむことを決議され、その決議の結果は大八洲彦命の前にいたされた。大八洲彦命はしばし思案に暮れゐたりしが、直ちにその決議を排し諸将にむかひ、
『竜宮城には大足彦警衛のために帰還しをれば、深く案ずるに足らず。加ふるに真澄姫、言霊別命、神国別命ら智勇兼備の神将の固く守りあれば、いかなる邪神もこれを抜くあたはざるべし。これ必ず敵の奸策ならむ』
と事もなげに刎ねつけられた。このとき安世彦色をなしていふ。
『貴神は稚桜姫命の御上を憂慮したまはざるや。万一この密書にして偽りなれば重畳なり。されど油断は大敵、当山は寡兵をもつて克く衆を防ぐに足る。しかるに竜宮城陥りなば、地の高天原もまた危からむ。是非に応援軍を出し、もつて竜宮城の危急を救ひたまへ』
と決心の色を表はし、容易に意志を枉ぐべき形勢は見えなかつた。
 真鉄彦、磐樟彦、吾妻別も、安世彦の提案に賛成した。部下の神卒はこの風評を耳にし、大部分は竜宮城の危険を信じ、一時も早く帰城せむことを唱ふるにいたつた。
 大八洲彦命は断乎としてその衆議を排し、決心の色を表はし、
『しからば諸神司は吾が指揮を用ゐざるや。今は詮なし、たとへわれ一柱になるとも、当山は誓つて退却せじ、また一卒をもわれは帰城応援せしむるの意志なし』
と主張した。ここに宮比彦は恭しく神前に出で神勅を奏請したるに、たちまち神示あり、
『探女をわが前に伴ひきたれ』
とあつた。宮比彦は神示を大八洲彦命に恭しく伝へた。大八洲彦命は安世彦に命じ、神示のごとく探女を神前に曳き来らしめ、庭石の上に引据ゑた。たちまち探女の身体は上下左右に震動し、かつ自ら口を切つて、
『武熊別の密使にして、実際は竜宮城の陥落近きにありといふは虚偽なり。貴軍の士気を沮喪せしめ、かつ陣容を紊し、その虚に乗じ一挙にシオン山を攻略せんずの攻軍の奸計なり』
と白状するや、たちまち大地に倒れた。
 ここに諸神将は神明の威力と、大八洲彦命の明察力に感嘆し、今後は命の命令には一切背かずと誓つた。
 探女は大八洲彦命の仁慈によつて、神卒に守られ、武熊別の陣営近く護送せられたのである。

物語03-1-2 1921/12 霊主体従寅 八王神の守護

 日天使国治立命は、シオン山に鎮祭せる十二の玉を世界の各所に配置し、もつて国魂の神と定められ、新高山には青色の玉を鎮め、高国別、高国姫の二神をして、これを永遠に守らしめたまひけり。 
 つぎに万寿山には赤色の玉を鎮め、瑞穂別、瑞穂姫をしてこれを守護せしめ、またローマに白色の玉を鎮め、朝照彦、朝照姫をしてこれを守護せしめ、モスコーに黒色の玉を鎮め、夕日別、夕照姫をしてこれを守護せしめ、ロツキー山に紺色の玉を鎮め、靖国別、靖国姫をしてこれを守護せしめ、つぎに鬼城山に灰色の玉を鎮め、元照彦、元照姫をしてこれを守護せしめ、また長白山に白色の玉を鎮め、磐長彦、玉代姫をしてこれを守護せしめ、コンロン山に紅色の玉を鎮め、大島彦、大島姫をしてこれを守護せしめ、天山に黄色の玉を鎮め、谷山彦、谷山姫をしてこれを守護せしめ、つぎに金色の玉を青雲山に鎮め、吾妻彦、吾妻姫をしてこれを守護せしめ、ヒマラヤ山に銀色の玉を鎮め、ヒマラヤ彦、ヒマラヤ姫をしてこれを守護せしめ、タコマ山に銅色の玉を鎮め、国玉別、国玉姫をして、これを永遠に守護せしめたまひける。この十二の玉の守護神を称して、八頭の神といふ。
 さて国治立命は十二の玉を鎮め、八頭の国魂を任命し、つぎに八王の神を配置したまひぬ。すなはち新高山には花森彦をして主権を握らしめ、万寿山には磐樟彦、ローマには元照別、モスコーには道貫彦、ロツキー山には貴治彦、鬼城山には真鉄彦、長白山には有国彦、コンロン山に磐玉彦、天山には斎代彦、青雲山には神澄彦、ヒマラヤ山には高山彦、タコマ山には吾妻別の十二神将を配置して王となし、各主権を握らしめたまひぬ。これを八王の神といふ。この八王八頭の神司は、もとより至善至美にして天則を厳守しゐたりしが、天地の邪気より現はれいでたる八頭八尾の悪竜と金毛九尾の悪狐と、六面八臂の悪鬼の邪霊のために、月かはり星うつるにしたがひ、漸次神の国は穢され、つひには天則違反の行動をとるのやむを得ざるに立ちいたり、ここに世はますます混濁し、つひには国治立命御退隠のやむを得ざるにいたらしめたる繁雑なる経緯は、章をおうて略述することとすべし。


黄金の玉・霊界物語以外

神の国 1927/11 高熊山に現はれた霊石

時は昭和二年九月十一日、高熊山に現はれたる霊石について、左の通り仰せられたので御座います。
 此玉は神代の昔、言依別命が高熊山に蔵し埋められたる黄金の玉である。此玉は月界より下つて来たものであつて、其初め南桑の原野位の大きさがあつたのであるが、大地に達する迄に焼盡して小さくなり、其核心にあたるのがこの玉である。天降鉄であるが故に普通の石に比してこの通り重い、ソレ、月の形も現はれて居るであろう、貴重なる宝玉である。此玉が私の手に入ると云ふ事は、重大なる意味があるのであつて、この玉が無かつたために、も一つ仕事が思ふやうにゆかなかつた。もう大丈夫である。大正十二年以来心ひそかに思ひ立つて居て、どうしても成就せなかつた事も、此玉がなかつた為めである。これで成就すると思ふ。与四郎さん(穴太村、斎藤氏)が高熊山の岩窟で見出し、お蘭さん(与四郎氏夫人)に渡し、それを又婆さん(御生母)が私の手に渡したであらう、霊界物語にある通りの順序を経て居るのも面白い。与四郎さんがお蘭さんに手渡しする時、「サアお握りをやろう、いつまでたつても無くならないお握りをやろう、腹が減らないやうにね」と冗談を云ひながら手渡ししたと云ふでは無いか、其言葉も神様からの謎である。兎に角私は此玉を得て喜悦に満ちて居る。総ての事が思ふままになる如意宝珠の玉である。此間の亀石は海から上つたものだ。これは月から下つたものだ。時期だな、次第に宝が集まつて来る。
 因に筆者申す、この宝玉は恰もお握りのやうな形をして居り、黒褐色をした光沢のある重い玉でありまして、其形はお握りと云ふよりも、寧ろ十二夜の月に似て居ます。大きさは大きなお握り位でありまして、隕石ださうで御座います。月明館に持ち帰らるると、二三の人に見せられただけで、直ちに亀石の箱の中に納められて、固く封印を施されて、或所に深く蔵められました。稀代の珍宝と拝察致されます。宇知麿様は「又高姫に呑まれるといけませんから」と冗談とも真面目ともつかず仰有られました。亀石と申すは、徳島県、棚野支部長美馬美馬氏の家に代々伝はつたものを献納されたものでありまして、世にも珍らしいものでありまして、薄緑色の地に茶色の太い筋が入つて居りまして、其筋によつて、亀甲形があざやかに現はれて居ります。聖師様は、これが亀山(即ち亀岡)の霊であると仰せられて秘蔵されて居り、二つ共月宮殿の御神体となるのであると承はつてをります。牛と馬とが持つて来た、面白いと仰有つて居られますが、馬とは美馬氏の事であり、牛とは山本次郎氏の事でありますが山本氏は牛と云ふ号をもつて居られまして、大正日日新聞記者以来、【牛】さんで通つて居るので本名は知られん方が多い事と存じます。四国から態々持参せられたのは、その牛さんなのでした。又斎藤与四郎氏の養父の名が牛さんと別称されて居たのも不思議な事と思ひます

神の国 1930/02 五百津御統丸の珠

 五百津御統丸の珠と言ふのは、水晶、珊瑚、紅玉、瑠璃、瑪瑙、シヤコ(1)、翡翠、真珠、黄玉、管玉、曲玉などを集めて造りたるものにて、ミロク出現の時装飾として、首にまかせ、耳づらに纏かせ、腰にまかせたまふ連珠の玉である。黄金の玉と霊界物語にあるは金の玉にあらずして黄色の玉の黄金色に光りたるものを言ふのである。又皆の神々が玉の御用をせんと活動する所があるが、このミロクの御用に奉る玉の事であつて、神政成就の御用の玉である。この玉が寄つて来ねば、ミロク出現の活舞台は来ない。玉が集まれば其準備が出来た事になる。玉は心を清浄にし、悪魔を防ぐものである。


黄金の玉・霊界物語

物語01-5-45 1921/10 霊主体従子 黄玉の行衛

黄金水の十二の玉のうちの一つ

 時彦は黄金の玉を生命にかへても、神政成就の暁まで之を保護し奉らねばならぬと決心し、既に竜宮神の不覚不注意より九個の玉を竹熊に奪はれ、無念やるかたなく、せめてはこの玉をわれ一人になるとも保護せむとて竜宮城にいたり、言霊別命の許しをえて諸方を逍遥し、つひにヒマラヤ山に立て籠つた。そしてヒマラヤ山に巌窟を掘り、巌中深く之を秘め、その上に神殿を建て時節のいたるを待ちつつあつた。居ること数年たちまち山下におこる鬨の声、不審にたへず殿を立ちいで声するかたを眺むれば、豈計らむや、大八洲彦命は大足彦、玉照彦を両翼となし数多の天津神竜宮の神司と共に、デカタン高原にむかつて錦旗幾百ともなく風に靡かせ、種々の音楽を奏しつつ旗鼓堂々として進行中である。

物語03-6-19 1921/12 霊主体従寅 楠の根元

 青雲山には国魂として、黄金の玉を祭るべく、盛ンに土木を起して、荘厳無比なる宮殿の建立に着手されたり。この宮殿を黄金の宮といふ。宮殿の竣工するまで、玉守彦をして大切にこの宝玉を保護せしめたまひぬ。
 この黄金の玉は、十二個の国魂のうちにても、もつとも大切なる国魂なり。八王大神一名常世彦は、いかにもしてこの玉を手に入れむとし、部下の邪神、国足彦、醜熊、玉取彦に内命を下し、つねに玉守彦の保護せる国魂を手に入れむと、手を替へ品を代へ、つけ狙ひゐたりける。

物語06-7-38 1922/01 霊主体従巳 黄金の宮

『当山は貴下の知らるる如く、古より国治立命の命によりて黄金の玉を祭り、玉守彦、玉守姫の二神が、宮司として之を保護し奉りて居りました。さうして神澄彦が八王神となりて、当山一帯の地を御守護遊ばされ、吾妻彦は神政を管掌されつつあつたのでありましたが、八王神の神澄彦様は、大洪水の前に、宣伝使となつて、聖地ヱルサレムへ御出になり、それからは吾妻彦の独舞台となつてをりました。然るにこの度、常世彦の御子なるウラル彦が、アーメニヤの聖地に神都を開かれ、宣伝使を諸方に派遣され、先年その宣伝使たる鬼掴と云ふ力の強き使が、当山にきたりて吾妻彦と談判の末、つひに吾妻彦は鬼掴に降伏し、アーメニヤの神都に帰順された。そこでいよいよアーメニヤの神都に、黄金の国魂を祭るべく、黄金の宮をアーメニヤに遷される事となり、やがてウラル彦は、数多の供人を引き伴れ、当山へその玉を受取りに御出になるので、吾々は吾妻彦の厳命によりて、山道の開鑿に昼夜間断なく従事してをりました。しかるに尊き貴下の御出になり、有難き神様の教を聞かして頂きましてより、どうやら私らの心の中に潜める大蛇の悪霊も逃げ出したやうで実に天地開明の心持となり、今迄の吾々の慢心誤解を省みれば、実に耻かしくつて穴でもあらば這入りたいやうな気が致します』

物語06-7-40 1922/01 霊主体従巳 琴平橋

 前方よりは高彦天使を先頭に、吾妻彦、玉守彦、雲別は、数多の戦士を随がへ黄金の御輿を守り、黄金の玉を納めて之を担がせながら、悠々として進みきたり難なくこの橋を渡り了へ、後振り返り見れば、今渡りし橋は跡形も無く、巨大なる亀幾百ともなく、甲を列べて浮びゐたりける。
 頓てその亀も水中に姿を隠しけるが、これぞ正しく琴平別神の化身にして、黄金の玉を守護するための活動なりしなり。

物語06-7-41 1922/01 霊主体従巳 桶伏山

 光り眩き黄金の、玉を斎きし玉の輿、青雲山の玉の宮、玉守彦や吾妻彦、貴の命は前後に、数多の従者を従へて、四恩の河を打ち渡り、夜を日についてやうやうに、古き昔の神都なる、黄金山のその麓、蓮華台上と聞えたる、エルサレムの都に、八十の隈路を踏み越えて、やうやうここに着きにける。
 エルサレムには、昔の俤は無けれども、美しき神殿を造り、これに黄金の国魂を奉安し、聖地の守神となし玉うたのである。ウラル彦は、この様子を窺ひ知り、数多の探女醜女を参拝者に仕立てて、この国魂を奪取せしめむと計り、昼夜間断なく、エルサレムの聖地を巡礼に変装せしめ窺ひつつありける。玉守彦天使は霊夢に感じ、玉を安全に保護すべく、夜窃かに玉の宮に入り、恭しく是を持ち出し、人々の目を避くるため、釜の中に秘め隠し置きけり。
 斯くすること数年を経て、釜は非常なる音響を立てて唸りはじめたり。その唸り声は遠近に響き渡りければ、玉守彦は何事ならむと、宝庫の戸を押し開き見れば、こはそも如何に、鉄の釜は黄金の玉の威徳に感じてや、いつの間にか純金の釜となり、美しき光輝を放ちて、宝庫の内部を眩ゆきばかりに照らしてゐたり。怪しみて身を清め、近寄り熟視すれば、その釜の周囲には自然に上り竜、下り竜が現はれてをり、而して釜の中の玉はと見れば、これまた玉の表面に多くの竜体が現はれ居たり。而して玉は、光ますます強く唸り立てたり。玉より出づる声か、釜より出づる声か、たうてい区別がつかぬため、釜の中よりその玉を取り出し、離して据ゑてみたりしに、玉より出づる声は、大なれども遠く響かず、釜より出づる声はやや小なれども、遠方に響き渡ること判明したり。
 何時ウラル彦が、この玉を奪りに来るやも知れぬとの暗示を与へられたれば、玉守彦は、埴安彦神、埴安姫神と計り、窃かに玉の隠し場所を変へる事となしたり。余り近くに隠しては、またもや盗まるる恐れありとし、遠く東の国に持ち行く事となり、粗末なる唐櫃を造り、これに黄金の玉と、黄金の釜を納め、侍者に担がしめ、夜を日に継で、磯輪垣の秀妻の国の淤能碁呂島の中心地なる桶伏山、一名円山の麓に隠し納め、円山姫をして、この神宝の守護を窃かに命じ置きたるなり。アヽ何時の世にか、黄金の玉と釜とが世に現はれ出でて、混濁の代を照らすこととなるならむか。

物語20-3-12 1922/05 如意宝珠未 如意宝珠

『エー、合点の悪い人ぢや、睾丸と違ひますよ。桶伏山に埴安彦神様が匿しておかれた、青雲山から持つて来られた神政成就の元津御霊の黄金の玉、如意宝珠の宝物を……皆が気をつけぬものだから、たうとう盗られてしまうた。こりやきつとバラモン教が攫へていんだのに違ひない、大変だらうがな』

物語22-1-4 1922/05 如意宝珠酉 玉探志

黒姫が失った黄金の玉(言依別が隠した玉)を探しに出る鷹依姫一行

『さうだといつて如何も仕方がないぢやありませぬか。八岐の大蛇の執念深き企みによつて、バラモンの手に疾の昔、手に這入つてしまつたものを、どうしてこれが元へ帰りませう。妾がテー、カーのやうな者を使つたのが過失です』
『これ、テーにカー、お前どうするつもりだい』
テー『ハイ、申し訳がありませぬ』
カー『仕方がありませぬ』
高姫『よう、そんなことが言へますワイ。これ黒姫さま、この責任を果たすためにお前さまは生命のあらむ限り草を分けても探ね出し、ふたたび手に入れて神政成就のお宝をお返し申さねば済みますまい。何をキヨロキヨロしてゐなさる』
と坐つた膝を畳が凹むほど打ちつけて雄猛びした。
黒姫『妾も決心してをりますよ』
『二言目には刃物三昧の決心はやめてもらひませう。そんな無責任なことがありますか。サアサアとつとと出なさい。さうしてその玉が手に入らぬことには再びお目にはかかりませぬよ。鷹依姫さま、お前さまも嫌疑がかかつた身体ぢや、じつとしてはをられますまい。竜国別さまは、親の疑ひを晴らすためにこれもじつとしてはをられまい。テー、カーの両人も本当に盗つたか盗らぬか、そりや知らぬが、もう一苦労して世界に踏み出し、五人が五大洲に別れて探して来ねばなりますまい。さうぢやありませぬか。若彦さま、紫姫さま、黄金の玉を盗られた玉無しの宮を、ヌツケリと番してをるわけにはゆきますまい。紫姫さま丶若彦さま、返答を聞かせなさい

(中略)

黒姫『妾も三五教の宣伝使、きつと何とか働いてお目にかけます』
竜国別『吾々も母上様の嫌疑を解くため、お暇を頂いて世界漫遊に出かけます。さうして玉の在処を探ねてきます』
鷹依姫『いや妾も年寄といつても元気がある。どこまでもこの玉を探し当てるまで世界中を巡歴して来ます』
高姫『それは大いに宜しからう、さうなくてはならぬはずだ。これ、テー、カー、お前らはどうする心算だい』
テー『たとへ八岐の大蛇の腹の中を潜つてでも、玉のありかを探さねばおきませぬ
カー『私もその通りだ。しかし高姫さま、言ふておくが、どうぞ如意宝珠の玉と紫の玉を紛失せないやうに、言依別の神様を助けて保管を願ひますよ』
高姫『ハイハイ、そんなことは言つてもらはいでも、気をつけた上にも気をつけてゐます。心配をせずに一日も早く玉の在処を探ねにお出でなさい。さうして在処が分かつたら、無言霊話を早速かけて下さい。皆さまもそのおつもりで……よろしいか』
と叩きつけるやうに言ひ放つた。
『ハイ承知いたしました。しからばこれより、言依別の教主様にちよつとお暇乞ひをいたしてきませう』
と五人が立ち上がらむとするを、高姫は押し止め、
『まあお待ちなさい。貴方がたが神様のために尽くすのなら、このまま言依別の教主に分からないやうにするのが誠だ。教主は涙脆いから、また甘いことをおつしやると、たちまちお前さまたちの腰が弱つてしまふから、妾が善きやうに申し上げておく。サア早くお出ましなさいませ』
竜国別『あ丶あ、えらい災難で、高姫さまに高天原を追ひ出されるのかなア』
『嫌なら行かいでもよろしい』
と高姫は睨めつける。五人は是非なく高姫の宅をスゴスゴと立ち出で錦の宮を遙に拝し、おのおの旅装を整へ世界の各地に向かつて玉の捜索に出かけた。

物語33-3-18 1922/09 海洋万里申 神風清

また黄金の玉の神業に奉仕したる言依別命は、少名彦名神の神霊と共に斎苑の館を立ち出で、アーメニヤに渡り、エルサレムに現はれ、立派なる宮殿を造り、黄金の玉の威徳と琉の玉の威徳とをもつて、普く神人を教化したまふこととなつた。
 また梅子姫は父大神のまします斎苑の館に帰り、紫の麻邇の玉の威徳によつて、フサの国の斎苑館に仕へて神業に参加し、高姫は八尋殿に大神司をはじめ紫姫の部下となつて神妙に奉仕し、黒姫、鷹依姫、竜国別もそれぞれの身魂だけの神務に奉仕し、神政成就の基礎的活動を励むこととなつたのである。
 これらの神々の舎身的活動の結果、いよいよ四尾山麓に時節到来して、国常立尊と現はれ、現幽神三界の修理固成を開始し玉ふことを得るに至つたのである。これが即ち大本の教を、国祖国常立尊が変性男子の身魂、出口教祖に帰神し玉ひて、神宮本宮の坪の内より現はれ玉ふた原因である。
 また、言依別命の舎身的活動によつて、黄金の玉の威霊より変性女子の身魂、高熊山の霊山を基点として現はれ、大本の教を輔助しかつ開くこととなつたのである。

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