第2編 幽の幽から顕の顕

1.幽の幽から顕の顕

2.神の区分としての幽の幽から顕の顕

3.山上の神訓による四段階

4.物語80巻総説

5.大本略義による四段階

6.比較

7.その他


1.幽の幽から顕の顕

霊界を考える場合、まず起源を本田親徳の思想に持つ「幽の幽」から「顕の顕」の四段階について考察します。
その後、次の論考で、霊界と現界について考察します。

■出口和明氏のモデル

出口和明氏の幽の幽から顕の顕のモデルは最も分りやすい解説でしょう。

幽の幽は抽象で、それがだんだん具体化してゆきます。
顕の顕は抽象的なイメージが具体化した姿です。

出口和明氏は、この系を会社組織に譬えています。

    ① 社長の頭の中 経営戦略

    ② 重役 経営戦略ははっきりした形をもつ

    ③ 中間管理職 それぞれの具体案になる

    ④ 社員 経営戦略が具体化したものを実行する


王仁三郎の考え方

幽の幽から顕の顕のモデルは霊界の構造と関係するはずですが、Web管理者が知る範囲では、どのように関係しているか具体的な指摘はありません。

2.で詳述しますが、主な文書では、幽の幽から顕の顕は神の区分を表しています。 資料集(別ウインドウ)

 


2.神の区分としての幽の幽から顕の顕

出口王仁三郎全集「第三章 皇国伝来」の神法では次のように書かれています。

幽の幽から顕の顕は日本古来の神の称呼

幽之幽神 無限絶対、無始無終の宇宙の大元霊、大妙体の事。
天御中主神、並びに高皇産霊、神皇産霊のニ霊を合一し、三神即一神の幽神。
世界一般に通じて神と言うは、無声無形の幽の幽にます神様を指す。
幽之顕神
天上の霊界
天之御中主大神の御精霊体を完備し、茲に『霊系祖神』『体系祖神』ニ神を顕現され、霊界を主宰する神々。
皇祖天照大御神、並びに素盞鳴神様のこと。
天上の主権-(皇祖)天照大御神様に帰し、地上の主権-(皇祖)素盞鳴神に帰す。
天上の神界では、天照大御神様を主神と仰ぎて、八百万の天津神が政事を輔佐している。
顕之幽神
地上の幽界
大地球成就の為に顕現し、国土を修理固成し、神人安住の基礎を定めて、地上の幽界を主宰する神霊。
国祖国常立尊、豊雲野尊、又は一度現世にその肉体を表現された神様。
地上の神界では、国祖国常立尊を主神と仰ぎて、八百万の国津神が奉仕している。
顕之顕神
地上

天照大御神の御神勅に依り、豊葦原瑞穂国(地球上)の主として、天降った、皇孫邇々岐尊様を初め、歴代の天皇陛下。
天皇に仕へ奉る文武の百官も、顕の顕神である。上は内閣総理大臣より、各省の大臣及び各局長、各府県知事、裁判所長、検事局長、郡市長、警察署長、郵便局長又は町村長。
職原抄にも、四部官の制定が記されて、長官をカミ、次官をスケ、判官をジョウ、主典をサカンと読ましているが、皇国の制度では、長官を総てカミと唱えられた。


■第二次大本事件裁判資料

幽の幽から顕の顕は本田親徳が古事記に依って分類した神の分け方である。神様の原理と言うか、神様の性質と言ふか、詰り神様と云ふものは斯う云ふ工合に大別があると云ふことを大本では説いて居る。

図示すると次のようになります。

幽之幽神 幽霊の幽。最も無形、無声の神様である。天御中主神様と斯う申上げて居る。
幽から現が出て来る。
幽之顕神 天御中主尊がずつと表現されたもの。初めて宇宙の主宰になる。
神から御出ましになつたから幽の現。
顕之幽神 現界に生れて居つた人が死んでしまふて、霊界に於て神様になつて居る。
大国主命、西郷隆盛、楠正成が神様に祭られて居る。
是等は現界にあつて幽界に行つたから現の幽。
顕之顕神 上は天皇より下巡査に至る迄、是は百八十一の階級の神様である。

3.山上の神訓による四段階

霊界物語では有名な「山上の神訓」に幽の幽から顕の顕までのことが書かれています。
ここでも、幽の幽から顕の顕は神の区分です。

幽之幽神 真の神は、天之御中主大神ただ一柱のみ。故に幽の幽と称(たた)へ奉る。
幽之顕神 真の神の変現したまひし神を、幽の顕と称へ奉る、天国における日の大神、霊国における月の大神は何れも幽の顕神なり。
厳の御霊日の大神
瑞の御魂月の大神は、主の神即ち大国常立大神の神霊の御顕現にして、高天原の天国にては日の大神と顕(あら)はれ給ひ、高天原の霊国にては月の大神と顕はれ給ふ。
顕之幽神 一旦人の肉体を保ちて霊界に入り給ひし神を、顕の幽と称え奉る。大国主之大神および諸々の天使および天人の類をいふ。
このほか天津神八百万坐(ま)しませども、皆天使と知るべし。
顕之顕神 顕界に肉体を保ちて、神の大道を伝え、また現界諸種の事業を司宰する人間を称して、顕の顕神と称へ奉る。
国津神
八百万坐しませども皆現界における宣伝使や正しき誠の司と知るべし。

これを一般的な霊界の構造と対応させると下記のようになります。


下図では幽之幽も霊界に入れるべきかもしれません。

上の2つの図は、霊界、現界から考えたものですが、幽の幽から顕の顕の関係から考えると、同じ空間に4つが重なっているとイメージするべきかも知れません。なお、3つの図では幽界が入れてありませんが、それも入れるべきだと思います。

下図で幽の幽から顕の顕までの矢印は、主神の内流または移写であると考えてもよいと思います。


4.物語80巻天祥地瑞未総説

物語80巻総説では次のように書かれています。
幽之幽神 天之峰火夫の神以下皇典所載の天之御中主神及び別天神迄の称号。
幽之顕神 天照大神、神素盞嗚尊等の神位に坐します神霊を称する。
天照大神、素盞嗚尊等は、幽の幽神の御水火より出生されたる体神(現体)なるが故にして、尊貴極まりない神格である。
顕之幽神 大己貴命、少彦名命等の称号。
一旦地上の現界にその尊姿を顕現して顕実界を主宰し給ひたるが、定命尽きて神界に復活され幽体となられたる意義の称号。
菅公、楠公、豊公、其他の現人没後の神霊の称号。
顕之顕神 万世一系の皇統を垂れさせ給ひて、世界に君臨し給ふ現人神、天津日継天皇の御玉体。

5.大本略義による四段階

大本略義(別ウィンドウ) これは1917年に書かれたもので、時代的には霊界物語より古いです。

幽之幽
神界の奥の奥
天地万有発生の基礎を分担する根本の祖神の活動所。
天之御中主神、高御産巣日神、神産巣日神他。
幽之顕
天の神界
理想世界たる天界の経営。宇宙内部の理想的細則。
宇宙を舞台として活動する神々(天津神)の世界。
二大祖神 伊邪那岐命、伊邪那岐命
三貴神 天照大御神、須佐之男命、月読命
顕之幽
地の神界
ここ大地の内部を舞台として活躍する神を国津神という。
国津神の発生は大地の凝結集成と其の時を同じくし、之を経営すべき使命を帯びて発生した。
国津神を生んだのは、天照大御神と須佐之男尊
顕之顕
現実世界
人間界の経営
 

幽之幽、幽之顕、顕之幽、顕之顕の働きを四段階同時に行っているということですが、同時発生したということは考えられないので、大本略儀による時間の流れは次のようになるでしょう。

もう一つの解釈としては、時間というものは存在しないのかも知れません。

文章を綜合すると、次のような図になるものと思われます。

天と地の関係については、次の論考で考察します。
 
 


6.比較

大本略義・皇国伝来の神法と山上の神訓では、国津神、天津神の位置が違っています。天津神、国津神の区分については、王仁三郎の思想でもはっきりしないものの一つです。これは、天津神と言えば、天皇、天皇家の祖先を言う言葉であるので、はっきり書いていないのかも知れません。

大本略義

皇国伝来の神法

山上の神訓



神界の奥の奥
天之御中主神、高御産巣日神、神産巣日神他
天御中主神、並びに高皇産霊、神皇産霊のニ霊を合一し、三神即一神の幽神。 天之御中主大神ただ一柱のみ。


天の神界
宇宙を舞台として活動する神々(天津神)の世界。
二大祖神 伊邪那岐命、伊邪那岐命
三貴神 天照大御神、須佐之男命、月読命
天之御中主大神の御精霊体を完備し、霊系祖神、体系祖神ニ神を顕現され、霊界を主宰する神々。
皇祖天照大御神、素盞鳴神様
天上の神界では、天照大御神様を主神と仰ぎて、八百万の天津神が政事を輔佐している。
厳の御霊日の大神瑞の御魂月の大神は、主の神即ち大国常立大神の神霊の御顕現にして、高天原の天国にては日の大神と顕(あら)はれ給ひ、高天原の霊国にては月の大神と顕はれ給ふ。


地の神界
ここ大地の内部を舞台として活躍する神を国津神という。
国津神の発生は大地の凝結集成と其の時を同じくし、之を経営すべき使命を帯びて発生した。
国津神を生んだのは、天照大御神と須佐之男尊
地上の幽界を主宰する神霊。
国祖国常立尊、豊雲野尊、又は一度現世にその肉体を表現された神様。
地上の神界では、国祖国常立尊を主神と仰ぎて、八百万の国津神が奉仕している。
一旦人の肉体を保ちて霊界に入り給ひし神を、顕の幽と称え奉る。大国主之大神および諸々の天使および天人の類をいふ。
このほか天津神八百万坐(ま)しませども、皆天使と知るべし。


現実世界
人間界の経営
天照大御神の御神勅に依り、豊葦原瑞穂国(地球上)の主として、天降った、皇孫邇々岐尊様を初め、歴代の天皇陛下
天皇に仕へ奉る文武の百官も、顕の顕神である。
顕界に肉体を保ちて、神の大道を伝え、また現界諸種の事業を司宰する人間。
国津神八百万坐しませども皆現界における宣伝使や正しき誠の司。

7.その他

霊界物語のストーリーで出てくるのはあまりないようです。私が気がついたのは1つだけ。

この場面は、大八州彦命がいるのは、顕の顕界ということになるのですが、どうでしょうか?

物語03-10-40 1921/12 霊主体従寅 国の広宮

 大八洲彦命は憤然として立上り、
『貴下の言一応は道理のごとく聞ゆれども、神は霊なりとしてこれを放任し、いたづらに天を拝するは、顕幽一致の神術に相反するの甚だしきものなり。神は絶対無限の神霊にして、かつ無形無声にましますは真理なれども、そは宇宙の大元霊たる天之御中主大神の御事にして、一旦肉身をもつて地上に顕現されし国直姫命のごときは幽神に非ず。今日は顕の幽神として上天したまへば、かならず荘厳なる宮殿を造り、神霊を祭祀し神助を仰がざるべからず
と宣言したまひければ、神国別命は、一も二もなく大八洲彦命の説に賛成し、いよいよ天の原といふ聖浄の地を選み、宮殿を造営することとなり、これを国の広宮ととなへられける。

あと、「天津祝詞解」にも出ています。

天津祝詞解

△神伊邪那岐命 神(カム)は酒を醸むのカムなどと同義を有し、宇宙万有を醸造し玉ふ伊邪那岐命様に冠したる形容的敬語である。伊邪那岐命様は、火系(陽系)の御祖神で、宇宙に於けるあらゆる活動の根源を司り、大修祓大整理は常に此神の御分担に属するのである。地の世界(顕の幽界)に於て伊邪那岐命の御仕事を分掌し賜ふのが詰り国常立尊で、神諭の所謂世の大立替といふのは大修祓決行の事なのである。宇宙間に起る事は地球の内にも起り、地球の内に起る事は宇宙全体にも影響を及ぼす、両々関聯不離の仕掛になつて居る。更に進んで小伊邪那岐命の御禊祓は一国一郡にも起り、一郷一村にも起り、一身一家にも起る。表面の字義に拘泥して伊邪那岐命様が九州の橘小戸の阿波岐原といふ所で、御禊を行はれ、そして祓戸四柱の大神達をお生みに成つたなどと解釈すると、更に要領を得ない。一層詳しき事は大祓祝詞に出て居るから是非参照されたい。

また、「天祥地瑞」では幽の幽の大宇宙の生成が説かれていますが、これについては次の論考で考察します。

<この論考の参考文献・原典は除く>

出口和明『出口王仁三郎が語る霊界の最高機密』平成7年7月 KKロングセラーズ


第1版 2003年10月
第2版 2004年 9月
第3版 2005年 9月
第3版(校正) 2015年 1月



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