裁判記録
○憑霊
○下位
○悪の頭
○国体と政体
○霊代
○外流と内流
○大本祝詞 |
原文はカタカナ書き。カタカナはひらがなに改めた。
また、読点を適宜句読点に改め、なるべく短い段落となるように改行した。内容のまとまりごとに標題を付加した。
争点 憑霊
問 よし、それから今井弁護人から註文のあつた霊に関することは余り調べて居りませぬので、此(の点に関しては、今被告人から段々(訊(いたのですが、大審院に於(ても、此(の前の事件に於(ては大審院でもお判りにならぬで、鑑定(を二回程さして居(るやうですね。
鎮魂帰神(の関係やら、色々(、之(に出て来ますが、一つ御覧(下さい。
実は私等(も霊のことは余り……鎮魂帰神(のことも余り判らぬ、大体(のことなら──。
出口 今村博士(は精神家〔科の誤り〕の何で、神懸(りのことは判らぬ人で、私は嫌です。
杉田直樹と云ふ人が調べて呉(れました。
裁判長 是(は今村博士(の鑑定(書です。杉田博士(も能く書いて居(ります。
神書(とか何とかに出て居(りますが、それを医学(の方面(から全部(は信用(しないが御覧(になつては──。
今井弁護人 有難(うございます。
足立弁護人 何号ですか。
裁判長 四千九百九十五号の十一号、十三号となつて居(ります。
今井弁護人 松なんとか云ふ人が鑑定(して居(ります。
「神が憑(ると云ふことは確(かにあります、其(の他のことは知らぬ」と云ふやうなことが書いてあります。
裁判長 探して見ませう。
今井弁護人 鳥の鳴声(を知ると云ふ名高(い人です、浅野和三郎に付ての検事の聴取がありますが、参考にしてお調べを願ひたいと思ひます。
出口 此(の浅野の調べられたのは聞かせて戴(きました。
裁判長 弁護人の方から註文があつたから。
答 私に下等(の霊が掛(つて居(る、と馬鹿(にして居(ります。下等(の動物霊(が懸つて居(ると……。
問 専門的のことは……王仁三郎(のことは千五百六十一丁以下(に詳(しく出て居(ります。之も御覧(なすつて下さい。
出口 私は済んだのですか。
争点 下位
裁判長 裁判所(の訊(かうとする所は是(で大体(……一番終(ひに又(検事に対する意見も訊(かなければなりませぬから、一応裁判所(としては是(くらいに止めようと思ひますが、補充訊問(は此(の際なさいますか。
清瀬弁護人 休の時に此処(で協議(をして見たのですが、補充訊問(として。
裁判長 (出口に向ひながら)腰を掛(けて居(つて宜(しい。
清瀬弁護人 四、五大きいのがありますけれども、被告も大変(疲労(を致(して居(るやうでありますし、又(関聯(して他の被告の陳述を訊(いてから後が便宜(のことがありませうから、それは他日に致(したい。
唯(、此(の席が遠くして聞へなかつたこともありますし、又(御見受(けする所、裁判長は記録(のお出し入(れ等(に意をお取りになつて被告の言つたことが耳に入つたかどうか知らぬと思ふやうな点がありますから、簡単なことばかり一、二だけ、それは補充訊問(ぢやなく釈明訊問(と云ふやうな……。
裁判長 どつちでも宜(しうございます。
清瀬弁護人 それで今日(は終りたいと云ふ皆の意見であります。
宜(しうございますか。
裁判長 宜(しうございます。
清瀬弁護人 私から逆になりますけれども、今の統管(旗の説明(をした時分(に、「下位が構はぬ/\と言つて伊太利でも、やつて来た」と云ふことをちよつと言つたやうに思ひましたが。
裁判長 言つて居(りましたね、無論(さう聴(いて居(ります。
清瀬弁護人 下位が伊太利で誰がやつたと云ふのでありませうか、下位自身(がやつたのか、誰か他の人がやつたのか。
出口 ムツソリーニがやつて居(つたですわ。自分等(も一緒(にやつて居(つたと云ふのです。
清瀬弁護人 其(の方だから構はないと云ふ意味ですね、それだけのことですね。書類をお繰(りになつて居(りましたから……。
裁判長 ……。
清瀬弁護人 それから。
出口 「総て向ふは斯(うするのや、あゝするのや」と指図(したのです。
争点 悪の頭
清瀬弁護人 もう少し前に遡つて、今の「悪の頭」と云ふ御訊問(に、高木と言ひましたか私も聞へなかつたのでありますが、「高木が『悪の頭』に見せるのぢやと言うて見せました」と云ふ真似(を、ちよつと其処(でして居(られたやうですが、あのことをもう一遍──。
裁判長 確めて置きませうか。
出口 其(の時は「悪の頭」に書いて見せてやらうと云ふので弥仙山の上へ持つて行きましたのは、後の出口慶太郎、四尾、山の上へは中村竹造。
中村竹造は何の方へ元伊勢(へも持つて行きました。さうして、戻り掛(に気狂(になつてしまつた。二日月が出た。六日月は聞いたことはあるが、二日月は聞いたことがない。それから気狂になつて糞を喰(ふやうになつて死んでしまうた。
又(、慶太郎(はそれから後睾丸(が腫(れて、それが因で病気になつて死んでしまつた。
矢張(り、「神さんの言ふ通り度胸がなければいかぬ。命掛や」と言つて置つた位であります。さう云ふたことはあつたのであります。
裁判長 あつたからどうだつたと言ふのだ。
答 それで矢張(り悪霊(が斯(んなことをやつた。
悪霊(を改心(せいと云ふことの為(に見せに行つた山へ……。
裁判長 悪霊(を。
清瀬弁護人 悪霊(にでせう。
出口 悪霊(