28巻台湾物語を読む

1.台湾物語

2.新月の光にみる28巻

3.サアルボース(西園寺)とトロレンス(共産主義者)

4.地名関係

5.人間関係

6.台湾物語の因縁(第2巻7章天地の合せ鏡)

7.登場人物の先祖(真道彦命)

8.登場人物の先祖(花森彦)

9.登場人物の先祖(高国別と玉手姫)

10.霊界物語28巻各章概観

11.疑問点

12.試論・トロレンスとバラモン教

13.試論・大本事件の予言

14.試論・サアルボース

15.試論・第二次大戦はどうか?


1.台湾物語

この論考は物語28巻を1度読んでから、目を通していただくとよいと思います。はじめての方は、何がなんだか分からず、読後感は、つまらない男女の恋の鞘当と感じられるかも知れません。しかし、この論考から、この28巻の理解しがたいカオスの奥に秘められた謎。まさにミステリー。物語の深さ・面白さを感じられると思います。

霊界物語28巻は1章から18章までは、独立した高砂島(台湾島)物語となっています。このためこの部分だけ読んでも、予備知識なしに読めるかもしれません。また、残りの19章から22章までは高姫物語の続きです。

台湾物語は、紆余曲折の後に、台湾を支配していたバラモン教を三五教が教化する話です。政治的な、対立、妥協、合同などの話と、男女の恋愛関係がもつれつつ展開します。

この巻の特徴は、登場人物が多く、名前がカタカナで書かれていること。物語の中でも最も登場人物が多いといえるでしょう。登場人物の属するグループが大別して4つあり、これらが複雑にからみ合います。

また、「新月の光」に5箇所も触れられています。つまり、解読のヒントが沢山あるということです。

この物語が何を言おうとしているかは分りませんが、現状認識もしくはなんらかの予言を現わしているものと思われます。

さて、ここでは、物語の人間相関図、地図を使って台湾物語を読んでみましょう。


2.新月の光にみる28巻

(1) 上巻P.125 サールボース

サールボースというのは西園寺のことである。

(2) 上巻P.186 誠の神の声を聞け

(序の)「月光いよいよ世に出でて」の宣伝歌中に「四方の国より聞こえ来る、誠の神の声を聞け」とあるのは、大本の誠の神の教えがこちら(大本)から向こう(外国)へ行って、向こう(外国)より(手真似して)聞こえてくる誠の神の声を聞けということだ。

(3) 上巻P.356 天王台の審神と大本事件の予言

今度(第二次大本事件)が天王台の審神であった。もう神様のお仕組は立派に成就して、善悪は立て別けられたのだから、もう何もする必要はない。じっとしていたらよい、因縁の身魂は全部引き寄せられている。『霊界物語』第28巻に今度の(大本)事件の予言を書いてある。

(4) 下巻P.301 大椀(台湾)

台湾は取られるが神様がまた良くされる。

(5) 下巻P.357 トロレンス

問 『霊界物語』には共産主義のことは書いてありますか。
答 『霊界物語』(第28巻)にトロレンスとあるのは、トロッキーとレーニンとスターリンを面倒くさいから一緒に言ったのだ。


3.サアルボース(西園寺)とトロレンス(共産主義者)

新月の光(上述2の(1)(5))のサールボースはサアルボースでしょう。

物語ではサアルボースはバラモン教徒で、邪神の子孫。娘のセールス姫とともに陰謀をめぐらせ、最後には悪狐となって逃げ去ります。また、カールス王を弑逆しようとします。

西園寺についての簡単な説明

西園寺公望  さいおんじ-きんもち  1849-1940 

①京都において徳大寺公純の次男として生まれ(1849年)、四歳の時に西園寺家に養子として出る。従って、明治天皇の側近徳大寺実則は実兄に当る。

②戊辰戦争では朝廷側で参加、山陰道鎮撫総督に任命された、その後各地を転戦した。

③維新後は大村益次郎の推薦でフランス留学、西園寺は京都に立命館という私塾を開設している。フランス留学中は、パリ・コミューンの動乱を間近に見た。また、ソルボンヌ大学に通うと共にエミール・アコラスの私塾に入り、ガンベッタ、クレマンソーなどと相識となり、中江兆民、松田正久らとの交流を深めた。

④帰国後は中江らと共に東洋自由新聞を発刊して社主となったが、明治天皇の意志でこれは辞職のやむなきに至った。その後、伊藤博文と交流し、政友会にも創立委員として参加し、伊藤辞職後には総裁となった。西園寺総裁は、党領袖原敬、松田正久の補佐のもと、二度にわたって政権をとり、桂太郎の内閣と共に所謂『桂園時代』を現出した。

⑤大正政変において政変を鎮めよとの天皇の言葉を実行できず、その責任をとる形で総裁を引退。第三次桂内閣退陣以後は、次期首班奏薦の元老会議の席に加えられ、松方正義が死ぬと、唯一にして最期の元老となった。  

⑥元老としての仕事はいわゆる『憲政の常道』によって次期首班を決定し、奏請した。西園寺の奏薦基準は、一に憲法遵守、二に英米協調であった。政界の情報は、『お使い番』原田熊雄が奔走して集めた(その口述日記が『西園寺公と政局』である)。ファッショに近いものをはてしなく嫌い、従って鈴木喜三郎、平沼騏一郎などは忌避された。

⑦彼にとって時勢は悪くなってゆく。五・一五事件で政党内閣を一旦断念し、自分の奏薦基準に合致する中間内閣を立てたが、それも二・二六事件によって破壊され、最期の希望と見ていた近衛文麿も彼の期待を裏切った。外交は英米との対立を選択し、各政党は瓦解して大政翼賛会へと奔った。西園寺は、深い憂慮のうちに1940年九十一歳の生涯を、静岡県興津の坐漁荘で閉じた。

トロレンスは物語ではバラモン教徒です。民軍を率いて、カールス王を攻めます。
最後には、三五教に許されて、重要な地位を与えられます。

トロレンスについての簡単な説明  台湾物語が書かれたのは大正11年(1922年)8月

トロッキー  1879.10.26-1940.8.21

学生時代から革命運動に参加。
1898 逮捕。
1900 シベリア流刑。  ?  海外逃亡。
1917  帰国し共産党に入党。軍事革命委員会を指導。政権樹立後は、外相などで活躍。しかし、スターリンの”一国社会主義”を批判して”永久革命論”を唱え党を除名さる。
1929  国外追放。
1940  亡命先のメキシコで暗殺される。

 

レーニン   1870 - 1924.01.21   

1904 対露宣戦布告 (日露戦争勃発) 
1914  オーストリア、セルビアに宣戦布告 (第一次世界大戦勃発) 
1917  二月革命 (皇帝ニコライ2世退位、ロマノフ朝滅亡) 
1917  レーニン、亡命先スイスからペトログラードに帰還 
1917  十月革命 (ソビエト政権成立)
1918  ソビエト政府、独墺と講和
1918  レーニン暗殺未遂事件 
1919  コミンテルン創立大会 
1920  ソビエト・ポーランド戦争
1921  ソ連、新経済政策(ネップ)を採択
1922  独ソ国交回復
1922  ソ連邦成立 
1924  レーニン没

 

スターリン  187912.21-1953.3.5

1898  グルジア社会民主党に参加。革命運動に加わる
1902  逮捕 以後、1913(大正2)年まで7回逮捕され、2度のシベリア流刑、逃亡を繰り返す
1912  党中央委員 ロシア革命後民族人民委員
1917  ロシア革命 民族人民委員 共産党政治局員
1922  党書記長 
1924  レーニンの没後、トロツキー、ジノビエフ、カーメネフらを退け、党と政府を掌握。
1936  ソビエト連邦憲法制定
1936~1938  大粛清
1941  首相(人民委員会議長)。国家防衛委員会議長、赤軍最高司令官を兼任
1945  ヤルタ会談、ポツダム会談に出席
1953  モスクワで死去

 

ロシア革命
後進国といわれたロシアの,皇帝専制政治の打倒から,世界最初の社会主義政権の樹立までの連続的な革命。

 

第1革命
日露戦争さなかの1905年「血の日曜日」事件がおこった。労働者はソビエト(代表会議会)をつくり,まずしい農民も立ちあがった。このため政府は戦争をつづけることを断念,国会の開設を約束した。

 

三月革命
第一次世界大戦中の1917年3月,首都ペテルブルクのストライキ。ソビエトがこれを指導したが,議会の代表者による臨時政府がつくられ,ニコライ2世は退位しロマノフ朝はたおれた。

 

十一月革命
1917年4月ボルシェビキの指導者レーニンが亡命先のスイスから帰国,戦争の中止と社会主義革命の断行を指示した。
ボルシェビキは、首都とモスクワで優勢となり,11月7日武装して決起し臨時政府をたおした。翌日,レーニンが指揮するソビエトが権力をにぎり,戦争の中止・地主制の廃止・労働者の生産管理・ロシア内諸民族の自決権を宣言。
1918年1月には,ボルシェビキがソビエトから反対派をおい出して,独裁を行い,社会主義化をすすめ,赤軍をつくって国の内外の反革命軍とたたかった。
レーニンははじめ,ヨーロッパ各国にも革命がひろがると期待したが実現しなかった。
1922年12月,ロシアなど4つのソビエト共和国からなるソビエト社会主義共和国連邦の成立が宣言された。


4.地名関係

台湾の地図から得られる地名は下図のようなものです。

ところが物語では台湾の地名の位置関係が違っています。

球の島は上図でよいと思われます。古代は海面が今より低かったので、八重山諸島の石垣島と西表島は一つだったのでしょう。物語でもそのように言われています。

さて、28巻では各地名は次のように書かれています。図にすると下図のようになります。

新高山:全島一の高山 現在の玉山
玉藻の湖 = 日月潭 新高山の東南方向  天嶺、泰嶺、玉藻山は日月潭の周辺。
泰安の都:新高山の北麓  淡渓は新高山にあり泰安の都の近辺,。
アーリス山(阿里山) 新高山からアーリス山を越えて日月潭に至る。
キールは記述ありませんが、現在の基隆しょう。
須安山脈 記述ありません 台湾で北に延びるには2つ山脈があります。
テルナの里 須安山脈を渡ってゆく、キールの港への途中。

 


5.人間関係

●政治的な人間関係がややこしくなっています。   人間関係の図(新規ウインドウ)

人間関係の図はできたら印刷して確認しながら読むことをお勧めします。

(1) 王族  カールス王、ヤーチン姫、マリヤス姫

(2) 王族に仕える官僚、兵士

  ① 国の乗っ取りを企む邪神系統 サアルボース ホーロケース セールス姫 セウスルチン

     セールス姫のスパイ(三五教にもぐりこむ) ハール カントン 他

  ② 誠で王を思う官僚(三五教に避難) ホールサース マールエース 他

  ③ 頑固派の官僚(三五教に避難)   エール

  ④ 三五教に避難していたが後に裏切る テールスタン ホーレンス 他

  ⑤ 泰安城に残留 ツーレンス 他  

(3) 三五教を守る一族  真道彦命 日楯 月鉾 他

(4) 共産主義者の民軍 シヤーカルタン トロレンス

(5) 琉球の人々 八千代姫 照代姫 

(6) その他土着民 ゼームス

●恋愛関係も複雑です

最後の婚姻関係は次のようになります。 婚姻関係の図(新規ウインドウ)


6.台湾物語の因縁(第2巻7章天地の合せ鏡)

天地の合せ鏡

物語で高砂島(台湾)が出てくる最初でしょう。ここに真道彦命が出てきます。

〇稚桜姫命、大八洲彦命、真澄姫、木花姫命が高砂島へ向かう

この馬の名前が興味深い。楠木正成に出てくる地名と同じ金剛と劒破(ちはや)

稚桜姫命は金竜にまたがり、大八洲彦命は銀竜に、真澄姫は金剛に、芙蓉山より現はれいでたる木花姫命は劒破の竜馬にまたがり、あまたの従臣を率ゐて天馬空を駆けりて、高砂の島に出で行きたまひ、新高山に下らせたまふ。

〇高砂島の意味

この高砂の神島は国治立命の厳の御魂の分霊を深く秘しおかれたる聖地であつて、神国魂の生粋の御魂を有する神々の永遠に集ひたまふ経綸地で、神政成就の暁、この聖地の神司の御魂を選抜して使用されむがための、大神の深き御神慮に出でさせられたものである。故にこの島は四方荒浪をもつて囲み、みだりに邪神悪鬼の侵入を許されない。天地の律法まつたく破れて、国治立命御隠退ののちは邪神たちまち襲来して、ほとんどその七分どほりまで体主霊従、和光同塵の邪神の経綸に全く汚されてしまつた。されど三分の残りし御魂は、今に神代のままの神国魂を抱持する厳正なる神々が、潜んで時節を待つてをらるるのである。稚桜姫命はこの中央なる新高山に到着し、あまたの正神司を集め、神界の経綸をひそかに教示しおかれた。

〇五つの御玉の捧呈

真道彦命は紫紺色を帯びたる透明の宝玉、奇八玉命は海底に沈み日生石の玉、真鉄彦は水晶の宝玉を取りだし、武清彦は山腹の埴を穿ちて黄色の玉、速吸別は紅色の玉を稚桜姫命に捧呈した。
この玉は竜宮島の海に秘められることになります。

7.登場人物の先祖(真道彦命)

●真道彦……日楯、月鉾の父、真道彦の先祖

                      ┌─日楯
                      │
   真道彦……真道彦…真道彦─┤
                      │
                      └─月鉾

真道彦は初代からずっと名前を受け継いでいる、とあります。

物語では、真道彦と天真道彦の神がありますが、別人のようです。次の章では、両方が出ています。

物語02-1-7 1921/11 霊主体従丑 天地の合せ鏡

ここにこの島の正しき守り神、真道彦命は岩石を打ち割り、紫紺色を帯びたる透明の宝玉を持ちだし、これを恭々しく稚桜姫命に捧呈された。この玉は神政成就の暁、ある国の国魂となる宝玉である。

 

物語02-3-19 1921/11 霊主体従丑 夢の跡

稚桜姫命は言霊別命の真意をさとり給はず、あくまで叛旗を翻し野望を達せむとするものと認めたまひ、新に真道彦、神倉彦、花照彦を部将とし、ローマに向はしめむとし給ふたのである。

 

物語02-6-40 1921/11 霊主体従丑 山上の神示

 このこと忽ち天使大八洲彦命の知るところとなり、東の山麓には吾妻別を主将とし、香川彦、広足彦を部将として防衛の陣を張り、西の山麓には磐樟彦を主将とし、上倉彦、花照彦を部将とし、あまたの神軍をもつてこれを守らしめた。南方の山麓には大足彦を主将とし、奥山彦、安世彦を部将とし、あまたの神軍と共にこれを守らしめ、北方の山麓には真鉄彦少しの神軍と共に万一に備へることとなつた。また山上の本営には大八洲彦命を総大将として真道彦命、花森彦、谷川彦、谷山彦が固く守ることとなつた。

これを見ると「天地の合せ鏡」の真道彦と後の2つの真道彦は違う神のような気もします。

天真道彦の神は次のような神様です。
 

物語02-1-6 1921/11 霊主体従丑 モーゼとエリヤ

ここに遠く西方の海より雲霧立昇り、中天において光茫天地を輝かす明玉となつて、大陸を越えオコツク海に落ち、水煙を立て、かつ海面に渦巻をたて、山岳のごとき波間より現はれ出たる巨神人あり、これを天真道彦命といふ。また天真坊と仮称する。
 この神は国治立命の天地剖判のとき、神命を奉じて海中に明玉となつて沈み、神命のくだるを待ちたまうた神である。いまや神界は混乱に混乱を重ね、邪神悪鬼の跳梁跋扈する時機なり、神司は善悪正邪の区別なく右往左往に迷ふのをりからなれば、天地の諸神司にむかつて宇宙一切の道理を説き、因果の神律を開示せむとして現はれたまうた。この神人再生して天下に現はれ、予言警告を発して神人を戒めたまふた。これをエリヤの神といふ。

9箇所ほど出てきますので最終に出ている箇所を引用します。

物語06-4-23 1922/01 霊主体従巳 万教同根
天真道彦命も同じく天教山の噴火口に飛び入り、火の洗礼を受けて根底の国を探険し、地上に出生して人体と化し、エリヤの司と現はれてその福音を遍く地上に宣伝し、天下救済の神業に従事したり。

エリヤについてはこのような歌もありますが、瑞霊か厳霊かが分かりずらいですが、狭依彦はエリヤは瑞霊であると思います。

物語61-3-12 1923/05 山河草木子 神徳

   第一一三

 聖霊よ吾が身に宿らせたまひつつ
  妙なるちからわかち玉はれ

 皇神の御教の書をおろかなる
  われにも正しく悟らせ玉へ

 いや広きめぐみの翼伸べ玉ひ
  曇りし魂を守る伊都の神

 諸々の罪に曇りしたましひを
  照らさせたまへ伊都の光に

 いや深き愛のながれの水底を
  はからせ玉へ伊都の光に

 古のモーゼ エリヤにハリストス
  ヨハネの魂のみつの御柱

 御めぐみの光は豊にみつ御魂
  暗を照らして現れましにけり

また、稚桜姫の子供(長男)として真道知彦という神様も登場します。
こちらは「まみちひこ」「まみちしるひこ」と登場する場面により両方のルビがふられています。

また、同じ真道知彦でも国彦、国姫の子供の神様もあります。

国比古(国彦)と国比女(国姫)夫婦のあひだに真道知彦、大森雪成彦、梅ケ香彦の三柱の男子生れたり。
 
真道知彦は二柱の弟と共に、橄欖山の大樹を伐り、神人を救はむために数多の方船を造り始めた。国彦、国姫の二神司は、極力これに反対し、怪乱狂暴の詭言となし、方船政策を厳禁してしまつた。

この国彦、国姫に関しては台湾物語にも出てくる常楠仙人は国彦、国姫の三代目の曾孫、清子姫はその常楠の娘なのですね。

霊界物語に出てくる神名は、混乱して使われているようであっても、DBで調べてゆくと、整合性がとれている場合が多いです。これからの研究課題ですが、意図的にこれらの名前が使われている可能性が高いように思います。

真道彦が台湾物語では王仁三郎の象徴でしょうから、それと同じ名前に「天」を付けた神様があり、上述のような神格を持っているのは示唆的でしょう。


8.登場人物の先祖(花森彦)

●カールス王の先祖・花森彦

花森彦命─┬─アークス─┬─カールス王
        │       │
        │       └─マリヤス姫
        │
        └─エーリス──ヤーチン姫

巻-篇-章 章名 内容
02-1-1 攻防両軍の配置 十六神将の一人としてシオン山(東京に相応)を守っている。
真鉄彦、谷川彦、谷山彦、宮比彦、康代彦、真言彦、奥山彦、磐樟彦、広足彦、神座彦、香川彦、花照彦、大足彦、道貫彦、吾妻別、花森彦
02-1-8 嫉視反目 鬼雲彦の部下、米彦、岡彦の神国別命に仕えたいとの願いを、神国別命に推挙。その際、神国別命の鬼雲彦に承認を得よとの指示を無視した。
この後、鬼雲彦は地の高天原を追われ、悪鬼と化して東方に去ることになる。
02-3-14 水星の精 竜宮城の稚桜姫の臣。
02-3-19 夢の跡 稚桜姫の使節としてローマに行き、言霊別命に帰順を勧める。
02-5-34 義神の参加 言霊別命、神国別命の命により、竜宮城の神務を司る。
02-5-35 南高山の神宝 竜宮城の大門口を道貴彦と共に守る。後に、神務を司ることになり、門を守る役目は若豊彦が引き継ぐ。
02-6-40 山上の神示 美山彦命、国照姫がシオン山を攻撃した際に、山上の本営を大八洲彦命を総大将として真道彦命、谷川彦、谷山彦と共に守る。
02-6-43 濡衣 言霊別命と共に主将として竜宮城を守る。言霊別命は内部の統制、花森彦は敵軍の襲来に備えた。 その後、花森彦は常世姫の部下唐子姫によって誘惑され竜宮城を去り壇山に隠れる。妻の桜木姫は発狂し、言霊別命を夫と間違う。これを見た常世姫は「桜木姫は言霊別命と不倫関係があるから、花森彦は壇山に去った」という誣告により、稚桜姫命は言霊別命を追放した。
その後天稚彦が壇山に迎えに行き、花森彦は唐子姫と別れて竜宮城に戻り、常世姫とともに竜宮城を治めた。壇山に行った天稚彦は唐子姫に迷い竜宮城に帰らなかった。
02-6-44 魔風恋風 唐子姫が、竜宮城を占領するために花森彦を誘い出した(43)と白状。悪狐に還元する。
02-7-46 天則違反 花森彦はすでに善道に復帰り、律法をよく守っていた。
天則違反(不倫)を起こしたのは稚桜姫、幽界に追放され、幽庁の主宰者となる。
02-7-48 律法の審議 律法の一夫一婦制が決められ、言霊別命は花森彦に妻を持たせようと提案した。しかし、「花森彦は稚桜姫命を堕落させた張本人である」として、神国別命、真澄姫ら諸神は反対した。言霊別命のとりなしで、国治立命が天津神と協議した結果、律法制定以前の罪は問わないことに決められ、花森彦は妻をめとることができた。
02-7-50 鋼鉄の鉾 八王大神が鬼雲彦らと竜宮城に攻め寄せたとき、国治立命は「律法を守り、暴力に訴えず、耐え忍べ」と命ずる。しかし、耐え切れなくなった花森彦が刀を抜き鬼雲彦に斬りつける。大足彦が国の真澄の鏡を使って敵を破る。しかし、国治立命は敵を助けて常世の国に帰らせた。八王大神は再び改心した。
03-1-1 神々の任命 霊主体従の十六天使の一人。大八洲彦命(天使長)、言霊別命、神国別命、大足彦、花森彦、磐樟彦、元照別、道貫彦、貴治彦、有国彦、真鉄彦、磐玉彦、斎代彦、吾妻別、神澄彦、高山彦。
03-1-2 八王神の守護 新高山-青玉(国魂)・花森彦(八王)・高国別・高国姫(八頭)
03-2-3 渓間の悲劇 新高山は花森彦を総裁として、高国別、高国姫が補佐して、律法を守りよく治まっていた。
ある日、高国姫は峡谷に落ちて瀕死のところを玉手姫に救われる。それ以来、玉手姫は信任を得て勢力を持った。しかし、花森彦は玉手姫を追放するように命じた。高国姫は病床の床に着いていたが、玉手姫の看病を受け、花森彦に恨みを抱いて亡くなった。
03-2-4 鶴の首 高国別は玉手姫と夫婦になり大八州彦命に花森彦の横暴を注進したため、言霊別命が調査に赴く。玉手姫は実は常世姫の間者で、青色の玉で照らされると、悪狐となって逃げ去る。花森彦の正しいことは証明され、高国別は厳重注意となった。
しかし、その後、高砂島は常世姫が高国別を陥れ、年を経るごとに治世は悪化し、花森彦は蒙古別によって新高山に閉じ込められた。
06-5-27 神生み 大洪水後、伊邪那岐命は以下の国魂、補佐を任命した。国魂 補佐の順に、
長白山-磐長彦・玉世姫、万寿山-瑞穂別・瑞穂姫、青雲山-吾妻彦・吾妻姫、地教山-ヒマラヤ彦・ヒマラヤ姫、天山-谷山彦・谷山姫、崑崙山-磐玉彦・磐玉姫、タコマ山-吾妻別・吾妻姫、ロッキー山-国玉別・国玉姫、ローマ-元照別・元照姫、モスコー-夕日別・夕照姫、新高山-花森彦・花森姫、常世の都-貴治彦・貴治姫、霊鷲山-(守神)白雲別・圓山姫・久方彦・三つ葉彦、黄金山-(守神)東雲別・東雲姫・青雲別・青雲姫・機照彦・機照姫
15-1-3 十六花 大黒主の前世を素戔男の娘があばく場面。
『ヤア汝こそは悪逆無道の鬼雲彦、前生に於ては竜宮城に仕へ、神国別の部下とならむとして、花森彦命に妨げられ、是非なく鬼城山の棒振彦が砦に参加し、神罰を蒙つて帰幽したる悪魔の再来、復び鬼雲彦と現はれて、この顕恩郷に城砦を構へ、天下を紊さむとする悪魔の帳本……』

このように見ると、花森彦は、竜宮城でも稚桜姫からも信任を受け、大八州彦命や言霊別命など瑞系の神々からも信任を受けているように思えます。かなり重要な神様なのですが、例えば『霊界物語神名備忘』を見ても、あまり大きくとりあげられていませんね。

また、物語での重要な人物もしくは神様である鬼雲彦(霊主体従の鬼雲彦:下記のように後の大黒主はこの鬼雲彦の再来)との因縁も深いように思われます。ここでは「敵」としての因縁ですが。

最終的には常世姫の一派によって新高山に閉じ込められるシーン。これが起こったのは大洪水の後。これが28巻の直接の遠因となります。

物語03-2-4 1921/12 霊主体従寅 鶴の首
常世姫一派の悪魔は、千変万化の悪計をめぐらし、つひには高国別をおとしいれ、蒙古別をしてその地位に代らしめ、花森彦の子孫も今に儼存して勇猛義烈の神民となり、神の御魂を維持しつつ弥勒神政の出現を鶴首して霊を研きて待おれりといふ。

台湾物語がただ「2度の弾圧を受けることだけ」の予言なのか、その弾圧の原因とか当時の日本の歴史を語っているか、はこの花森彦の性格がキーとなるでしょう。ただ物語を歴史に当てはめれば、明治天皇ってことでしょうか?後で、考察します。


9.登場人物の先祖(高国別と玉手姫)

●サアルボース、ホーロケースの親、高国別と玉手姫

高国別──┐ ┌─サアルボース──セールス姫
       │ │
       ├─┤
       │ │
玉手姫──┘ └─ホーロケース──セウルスチン

西園寺と原敬ですが、その考察は後のほうでします。

■玉手姫

玉手姫を調べずに過ごそうと思っていましたが、調べたらとんでもない単語が出てきました「刹帝利様の落胤」

物語03-2-3 霊主体従寅 渓間の悲劇
物語03-2-4 霊主体従寅 鶴の首
物語28-1-1 海洋万里卯 カールス王
物語28-1-5 海洋万里卯 難有迷惑
物語28-1-6 海洋万里卯 麻の紊れ
物語55-4-21 真善美愛午 嬉涙
物語55-4-22 真善美愛午 比丘
物語73-3-37 天祥地瑞子 玉手の清宮
物語75-2-9 天祥地瑞寅 千代の鶴

上の表で太字の章は、この物語で出てくる玉手姫(悪狐)で、3巻のところが登場場面、28巻はそれを参照している。内容については花森彦の説明を参照してください。

55巻は刹帝利ビクトリアの落胤の「お民」

73巻は天祥地瑞ですから全く別の神様。「三笠」という単語が出てくる。ちょっと気になる。

Wikipediaより引用

    三笠宮(みかさのみや)は、大正天皇の第4皇男子三笠宮崇仁親王により創設された宮家である。

■高国別

物語02-5-34 霊主体従丑 義神の参加
物語03-1-2 霊主体従寅 八王神の守護
物語03-2-3 霊主体従寅 渓間の悲劇
物語03-2-4 霊主体従寅 鶴の首
物語03-7-26 霊主体従寅 大蛇の長橋
物語15-3-13 如意宝珠寅 神女出現
物語15-3-14 如意宝珠寅 奇の岩窟
物語15-3-15 如意宝珠寅 山の神
物語15-3-16 如意宝珠寅 水上の影
物語15-3-17 如意宝珠寅 窟の酒宴
物語15-3-18 如意宝珠寅 婆々勇
物語17-1-6 如意宝珠辰 瑞の宝座
物語28-1-1 海洋万里卯 カールス王
物語28-1-5 海洋万里卯 難有迷惑
物語33-4-20 海洋万里申 昔語
物語35-1-1 海洋万里戌 言の架橋
物語35-3-22 海洋万里戌 当違
物語35-3-23 海洋万里戌 清交
物語35-3-24 海洋万里戌 歓喜の涙

黒字が台湾物語に関係している高国別。15-3-13にこの高国別が2-5-34の高国別の後進であると書かれている。
2巻はモスコーの烏羽玉宮の宮司。
その他には天照大御神と素盞嗚が誓約をしたときに、天照大御神の五百津美須麻流の玉から生まれた5男神のうちの一神である活津彦根神の別名が高国別。33巻では高山別とも称されている。

非常に微妙な書き方がなされている。物語02-5-34、物語03-1-2、物語03-7-26とかなり近くにありながら別の神を表している。特に、物語03-1-2は、02-5-34では花森彦も出てくるため、普通に一巻から読んでいくと物語02-5-34の神と同じものであると読めてしまう。私も、この文章を書くまでは、そう思っていました。


10.霊界物語28巻各章概観

   (凡例)
章の名前 場所
  概略
  あらすじ
  恋愛関係
  人間関係図
   

1

カールス王 泰安城
  物語の前史
   台湾島は、日月潭の真道彦命が三五教を守っていたが、それ以外はすべてバラモン教の支配下となっていた。
 花守彦命の子孫にアークス王とエーリスの兄弟があった。アークス王の子供がカールス王、エーリスの子供がヤーチン姫で、二人は将来結婚する予定であった。高国別と玉手姫の子供サアルボースホーロケースは、心善くなく、アークス王の部下に仕え暴政を布いていた。
  ある時、アークス王は玉手姫の怨霊に憑依され、谷に落ちて帰幽した。それからは、サアルボースとホーロケースの勢いますます強くなり、二人は「あわよくば、カールス王にとって変わろう」と策謀をめぐらせていた。
  ある日、ヤーチン姫は玉手姫に憑かれて病気になった。サアルボースの娘セールス姫がヤーチン姫を見舞う。ヤーチン姫は精神錯乱状態となり、セールス姫に暴力を加えた。カールス王もヤーチン姫を見舞ったが、やつれた姿に恋もさめてしまった。
  セールス姫の副守護神が、高照姫命を詐称してヤーチン姫を見舞い、毒を渡した。しかし、侍女ユリコ姫の機転でヤーチン姫は助かる。キースルタンの提言で、ヤーチン姫は密かに三五教を祭ると、病気は癒えた。
  セールス姫は館に帰り、父サアルボースに「ヤーチン姫に乱暴された」ことを伝え、従臣のタールスにマリヤス姫に尋問させるが、マリヤス姫は何も答えなかった。セールス姫は怒り、マリヤス姫に暴力を加える。
  カールス王 - ヤーチン姫
 
 

2

無理槍 泰安城
  マリヤス姫城を出る。ヤーチン姫放逐される。
  サアルボースは事情を知り、「ヤーチン姫を追い落とすよい口実だ」と思い、マリヤス姫を責める。ところが、マリヤス姫は「自分はアークス王の落胤だ」と、隠していた身分を明かし、一同に改心を迫る。マリヤス姫は一同に攻められたが、それをかわしてどこかへ消える。
 カールス王はヤーチン姫の危篤の報を聞き、自分も死のうとしていた。そこへ、セールス姫が使っている金狐の邪霊がヤーチン姫に変化して現れ、カールス王をなだめ、邪神の姿を現わして消えた。それで、カールス王はヤーチン姫は邪神だと思い込んだ。
 本物のヤーチン姫は、三五教を祭ったおかげで、病気が回復した。カールス王に会いにゆくが、カールス王は「ヤーチン姫は邪神だ」と疑う。サアルボースも「ヤーチン姫は妖怪変化だ。妃にはセールス姫を差し出す」と言う。サアルボースはカールス王を脅し、「ヤーチン姫を谷川に捨てよう」と連れてゆく。
  カールス王 <-X-> ヤーチン姫
 
 

3

玉藻山 玉藻山
  三五教教の概況。
   真道彦命は代々その名を引き継いできた。バラモン教が台湾島に入ってからは、アークス王もバラモン教に帰順していた。しかし、日月潭に住んでいた真道彦命は三五教を守っていた。
 サアルボースホーロケースが真道彦命に攻め寄せた。真道彦命はホーロケースに刺し殺される刹那、木の花姫に救われて姿を隠す。玉藻山はバラモン教に占領された。
 真道彦命の息子、日楯月鉾は竜の島に姿を隠し再起を願う。二人が断崖から飛び降り運を試そうとしていたそのとき、言依別と国依別が現れ二人に力を与える。言依別と国依別はすぐに消えてしまった。その後、日楯と月鉾は玉藻山を取り戻した。
 マリヤス姫は玉藻山に身を寄せていたが、月鉾を恋しく思っていた。しかし、マリヤス姫はホーロケースに捕らえられ、横恋慕されていた。その恋しい月鉾がマリヤス姫を救う。
  マリヤス姫 -> 月鉾    ホーロケース -> マリヤス姫
 
 

4

淡渓の流

5

難有迷惑 アーリス山から玉藻山
  真道彦命はヤーチン姫を救い玉藻山に戻る。ヤーチン姫、真道彦命を恋慕。
   真道彦命は、木の花姫に救われてから、アーリス山に姿を隠していた。ある日、ヤーチン姫がアーリス山の谷川へ籠に入れられて捨てらる。それを真道彦命が助けた。ユリコ姫とキールスタンもやって来て礼を言う。真道彦命はサアルボースの部下に知られないように一行をかくまう。
 真道彦命一行は玉藻山までやって来る。そこでは、日楯月鉾が中心となり祭りを行っていたが、事情が分らない真道彦命は隠れて様子を窺う。

 日楯と月鉾は玉藻山の聖地に帰って行く。真道彦命ヤーチン姫ユリコ姫、キールスタンを伴って、その後を追った。聖地で、真道彦命は日楯と月鉾の前に姿を現わしたので、一同は喜んだ。その後、天嶺、泰嶺、玉藻山が三つの聖地となり、三五教は盛況となった。
 泰嶺で月鉾と一緒にいたマリヤス姫は月鉾に恋心を抱く。天嶺を守る日楯はユリコ姫と夫婦となった。ヤーチン姫は真道彦命をカールス王と勘違いして、恋心を抱き、病気となる。真道彦命はヤーチン姫を元気つけるため、「夫婦の関係は結ばないが、夫婦気取りで神業に参加する」と言う。これが、三五教の信者に伝えられ真道彦命は誤解を受ける。
 しばらくして、ヤーチン姫は「真道彦命はカールス王ではない」と悟り、二人は誤解のない関係となった

  マリヤス姫 -> 月鉾  ヤーチン姫 -> 真道彦命  日楯(結婚)ユリコ姫
 
 

6

麻の紊れ

7

無痛の腹 泰安城と玉藻山
  カールス王、蟄居。セールス姫、セウルスチンと怪しい関係を持ち、城を支配。城の幹部、玉藻山へ逃れる。
セールス姫のスパイが玉藻山へ入る。
   カールス王ヤーチン姫を失い、サアルボースの娘セールス姫を押し付けられて、懊悩の結果病気となり、淡渓のほとりに館を作り蟄居した。
 セールス姫はいとこのセウルスチンと怪しい仲となった。セウルスチンは暴政を布いたので、城内の重臣たちは泰安城を脱出して、玉藻山の聖地に逃れ、三五教の幹部となった
 泰安城では我が身の名利栄達を望む悪人のみが跋扈し、国内は怨嗟の声満ちて、革命の烽火が各地であがり、民家を焼き、婦女を辱め、財物を略奪し、乱暴狼藉いたらざるない状態で、あたかも餓鬼畜生修羅道を現出したようで、混乱に混乱を重ね、呪詛の声は満ち満ちていた。
 しかし、セールス姫はそんな状況を理解できず、「真道彦命を頭領とする玉藻山の三五教が政権を奪取しようとしている」と怨嗟していた。
 日楯がユリコ姫を連れて玉藻の湖を逍遥しているとき、セールス姫のスパイであるハールが「セウルスチンに暴行を受けたので匿ってくれ」と日楯に近づき、三五教に入り込んだ。

 ヤーチン姫、真道彦命に仕えている三五教の幹部のホールサースマールエース テールスタン、日楯、月鉾は「革命騒擾に対してどのような処置をとるか」を協議した。
 ホールサースは「革命派のシヤーカルタントロレンスが権力を握れば、バラモン教的な暴政を布き、混乱に混乱を重ね、三五教も蹂躙されるので、こちらか攻め寄せるべし」と主張する。テールスタンも「泰安城を攻め、セールス姫一派を言向け和し、革命派も帰順させ、カールス王を擁立しヤーチン姫を妃としよう」と言う。
 セールス姫の間者のハールは「ヤーチン姫は真道彦命に心変わりをしているのだから、真道彦命を王として立てよう」と提案する。テールスタンは「吾々は泰安城の主権者を選び、元の位地に帰れさえすれば良いので、主権者は誰であってもよい」と本音をもらす。
 真道彦命は「自分はヤーチン姫と怪しい関係は無い。自分は神に仕える者であるから、政治的欲望はない」と言う。それに対して、セールス姫の間者のカントンは「真道彦命は本音を隠しているのだ」と煽動する。
 頑固派のエールは「真道彦命はヤーチン姫をたぶらかし、カールス王の地位を狙っている」と憤然とする。カントンが「主権者は誰でも、国民の歓迎する主権者であれば良い」とエールを批判する。エールは怒り、カントンを殴り、姿を隠してしまった。

  セールス姫(怪しい関係)セウルスチン
 
 

8

混乱戦

9

当推量 淡渓カールス王の館から泰安城
  テールスタンはサアルボースに殺されかけていたカールス王を救った。シヤーカルタンの民軍が泰安城を攻め、セールス姫、サアルボースを撃退しようとしていたところを、真道彦命の三五教軍が両者を撃退した。テールスタンと真道彦命は三五教同士で戦う。真道彦命とヤーチン姫はカールス王に牢獄に投じられた。テーリスタンに攻められて、マリヤス姫も敗走した。マールエースを除いた、城の重臣はみな三五教を裏切り、カールス王に従った。
   ホールサース、マールエース、テールスタンの主戦論に押し切られ、真道彦命は出陣を決めた。三万人が竹槍を持ち泰安城へ向った。
 エールがセールス姫の間者達と一緒に、途中で、真道彦命の軍を待っていて、「シヤーカルタン、トロレンスが淡渓のカールス王の館を攻めている。サアルボースは王を奪われるくらいなら、王を弑すかも知れない」とカールス王を救うことを願う。テールスタンはそれを聞き、淡渓へ軍を向ける。
 トロレンスの一派に押されたサアルボースは、「王に自殺を迫り、従わない時は弑逆しよう」としていた折に、大火光が飛来して、サアルボースの前で爆発し、サアルボースはその場に倒れた。
 トロレンスの一派は突然現れた三五教軍に驚き、敗走した。サアルボースも気がつき、三五教の軍勢に驚き逃走した。カールス王はエールとテールスタンに感謝して二人を重く用いることとなる
 泰安城では、セールス姫、セウルスチン、ホーロケースと、淡渓から逃げ帰ったサアルボースが、シヤーカルタンの民軍と戦っていた。そこへ、三五教のテールスタンの一隊と、真道彦命の軍が攻め寄せたので、大混乱となり、セールス姫の一派もシヤーカルタンの民軍も敗走した。その後、テールスタンの一隊と真道彦命の軍が、三五教同士で衝突した。
 テールスタンは形勢不利と見るや、カールス王の下に引き返し、虚実こもごも真道彦命の暴状を王に報告した。カールス王は怒り心頭に震える。一方、真道彦命はそんなことを知らず、泰安城に入り、戦勝の祝いをする。
 真道彦命は「王を泰安城に迎えよう」と、何人かの使いを送った。しかし、怒った王は使いを牢に閉じ込めていた。ついには、真道彦命自身がヤーチン姫を伴って王の元に向う。
 てぐすね引いていたエールの一味はヤーチン姫と真道彦命を牢獄に投じた。尋問に対して、マールエースだけは「真道彦命とヤーチン姫に怪しい関係はない。真道彦命は政治的な野心はない」ことを証言したが、ホーレンス他の者は王の意を迎えるために嘘の証言をした。
 カールス王は、テールスタンの軍を率いて、三五教の守る泰安城に攻め込む。これにより、真道彦命の神軍、マリヤス姫は遁走して、三五教は壊滅状態に陥ったカールス王はふたたび城主となり、テールスタン以下の重臣の甘言に誤られ、バラモンの教えを布いたので、国民の怨嗟の声が高くなった。
   
 

三五教が破れ、カールス王が帰り咲く

 
10 縺れ髪  11  木茄子 玉藻山からテルナの里
  日楯、月鉾、ユリコ姫の三人は神勅により琉球の南の島へ向う。
   カールス王の陣営では、テールスタン他の幹部が王に取り入り、暴政をふるっていた。
 ユリコ姫に竜世姫命が神懸りして「日楯、月鉾、ユリコ姫の三人は、琉球南島へ行き、照彦照子姫に救援を求めよ」と宣旨した。三人は基隆の港を目指して進んだ。途中で、月鉾と内縁関係を結んでいたテーリン姫が現れ、「月鉾はマリヤス姫と怪しい関係にあるので自分を捨ててゆくのだ。そうでなかったら、自分も連れて行ってくれ」と迫る。月鉾達はそれを説得できずに困っていた。
 そこへ、マリヤス姫が現れ、「自分と月鉾とは関係ない」と言うが、テーリン姫はマリヤス姫を怪我させる。その混乱に乗じて日楯達三人は立ち去る。マリヤス姫は「自分は罪の子であるので、月鉾とは添えない」と、テーリン姫を納得させた。

 日楯、月鉾、ユリコ姫はアーリス山から須安の山脈を通りテルナの里に着いた。三人は空腹に耐えかねていたが、都合よく木茄子があったので、食べて寝てしまう。ところが、この木茄子はバラモン教の神に捧げるためのものたっだので、テルナの里人は怒る。
 ユリコ姫は「一時の妻となれ」と迫るテルナの酋長をなだめ、「バラモン教の修行をする」という条件で日楯と月鉾を許してもらった。日楯と月鉾は神助があり、火渡りの行を無事に終える。ユリコ姫は美しい衣装を与えられ、酋長と並んで立たされていたが、そこへ、大火光が落下爆発して、酋長達は空に巻き上げられ、竜世姫の訓戒を受け改心する。
 一行は無事キールの港に到着した。

  テーリン姫 ->(内縁関係)月鉾  テルナの酋長 -> ユリコ姫 
  人間関係は上図と同じ
 
12 サワラの都 13  唖の対面 14 二男三女 サワラの都から向陽山
  日楯、月鉾、ユリコ姫の三人と照代姫と八千代姫は大蛇の鏡と玉を持って玉藻山に戻る。
   日楯、月鉾、ユリコ姫の三人は、キールの港から舟を出し、琉球南島のエルの港に着き、サワラの都に向った。照彦のサワラ城の門番が、寝ぼけて、三人を中に入れない。そこへ、重臣のセルが「竜世姫の宣旨があった」と三人を迎えに出る。
 門番達は「失敗した」と心配しているが、常世城の門番の故事を思い出し「刹那心だ」と慰めあう。

 日楯、月鉾、ユリコ姫の三人は奥へ通された。照代姫八千代姫が出て、「照彦王照子姫は神勅を受けて天啓山へ登った。戻るまでは全員が無言無食無飲の行を行わなければならない」と告げる。三人の前には石の食物が並べられ、城の者が交替で壬生狂言のような滑稽な踊りを踊るが、笑うことは許されなかった。
 三日して照彦と照子姫が戻り、三人に一つづつ封書を渡した。中には種々の神示が示されてあった。日楯一行は、神示により、照代姫と八千代姫に案内されて、常楠仙人のいる向陽山へ向う。

 日楯、月鉾、ユリコ姫、照代姫、八千代姫は、照彦王の密書に、「向陽山の大谷川までは言語を発するべからず」とあったので、無言で向陽山へ向う。
 一行は常楠仙人が仙術で作り出した地鏡の沼に行き当たるが、意を決して沼を渡った。次には、日楯、月鉾は大象のような大怪物に飲み込まれた。三人の女性も決心を固め、怪物のなすがままに任せる。一行は怪物に乗って、大谷川を渡ってからは、口を聞くことを許され、天津祝詞を奏上した。
 一行は向陽山を登り、山中の湖水のほとりに着いた。そこで、ユリコ姫、照代姫、八千代姫が大蛇に飲み込まれ助けを求める。それを見た月鉾は卒倒してしまう。日楯は「妻を救うよりは、まず照代姫、八千代姫を救うのが人の道」と二人を救おうと、大蛇の首筋を打ちつけると、大蛇も女達も消えてしまった。
 それから、一行は数匹の大蛇に追われて、ある岩窟に逃げ込む。そこは常楠の洞窟であった。常楠は「岩窟の入口の神宝を持って、キールの港へ帰れ」と告げて消えてしまう。洞窟の入口には二つの玉と三つの鏡が置いてある。これは、大蛇たちが二男三女の姿を見て恋慕の情を起こし、宝を自然と体内から出して、置いて帰ったものであった。
 日楯、月鉾は玉を、ユリコ姫、照代姫、八千代姫は鏡をそれぞれに持って、キールの港から玉藻山の聖地に帰り、宝を宮殿に収めた。一同は、祝宴を開いた。マリヤス姫は祝歌を謡う。

   
 
 
15 願望成就 16  盲亀の浮木 玉藻山から泰安城
  シヤーカルタン、トロレンスの民軍とセールス姫、ツーレンスは三角同盟を組み、泰安城を占領。
   祝宴では、日楯が舞い踊り、月鉾も謡う。月鉾は「テーリン姫は泰安城の戦が終わり凱旋するまで、結婚を待って欲しい」と歌う。テーリン姫は「泰安城では女は選り取りだ。そうなる前に、枕は交さなくてもよいから、マリヤス姫の前で夫婦の約束をして欲しい」と願うが、月鉾は「女房があると十分な働きができない」と答える。テーリン姫は「女房があって働きができないのなら、世界の男は残らず未婚であるはずだ。邪魔になるようだったら、喉を掻き切って死ぬ」と迫る。また、テーリン姫はマリヤス姫に向って「末となって月鉾と情意投合するつもりだ」と駄々をこねる。
 それを聞いたマリヤス姫は「この場で式を挙げなければ、テーリン姫の疑惑を晴らすために自刃する」と懐剣を抜く。それで、月鉾は、仕方なく、テーリン姫と結婚式を挙げた。
 一行はマリヤス姫を首領として、泰安城に向って出陣することになった。

  シヤーカルタン、トロレンスの民軍とセールス姫、セウルスチン、サアルボース、ホーロケース、タールスの一派、ツーレンス、ナンダールス、ビヤセールの城の重臣の一派は三角同盟軍を作り泰安城を占領して、カールス王をはじめテールスタン、ホールサース他の大将株を捕虜にして、淡渓上流の岩窟に閉じ込めた。

  テーリン姫 ->(結婚)月鉾 
   
 
16 盲亀の浮木(続) 玉藻山から泰安城
  セールス姫の一派と三五教の戦い。大蛇の鏡で三五教が勝利する。
   泰安城はセールス姫を女王とあおぎ、シヤーカルタン、トロレンスは左守、右守の司となり、サアルボース、ホーロケース、セウルスチンは重要な職についた。セールス姫の一派は「バラモン教の勢力を樹立しよう」と、三五教の日月潭に攻め寄せる。
 玉藻山の聖地では、マリヤス姫を神軍の将となし、日楯、月鉾、ユリコ姫、テーリン姫、照代姫、八千代姫がわずかの従者とともに戦った。5,6千人の敵軍の先鋒に対して、神軍が大蛇の鏡を使うと、鏡は強度の光輝を発し、敵軍は一人も残らず眼くらみ、心戦き、脆くも一戦をも交えずして、その場に将棋倒しに倒れてしまった。将のセウルスチン、サアルボース、ホーロケースも総崩れとなり泰安城に退却した。
 マリヤス姫は、倒れた敵軍の兵士を宣伝歌の言霊で目を癒して帰順させる。これらの兵士は神軍に加わった。
 マリヤス姫、日楯、月鉾は、帰順した兵士を率いて泰安城に進軍した。泰安城ではセールス姫以下サアルボース、ホーロケースの軍も防戦に努めた。三五教軍は、八千代姫の使った大蛇の鏡の威力で、敵軍全員を眼くらませ盲目にして帰順させた。マリヤス姫は大蛇の赤、白の玉でセールス姫を照らした。セールス姫は金毛九尾の悪狐と還元し、その他従臣も悪鬼、悪狐となって中空に逃げ去る。
   
 
 
16 盲亀の浮木(続) 17 誠の告白 18 天下泰平 泰安城
  大団円。カールス王が政治をとり、真道彦命は神業につく。
   これよりマリヤス姫は城内に留まり、日楯、月鉾を淡渓の岩窟に向わせ、カールス王、ヤーチン姫、真道彦命を救った。一行は王を奉じて泰安城に戻る。日楯は盲目となって苦しむ数万の軍勢を宣伝歌の言霊で癒し、改心させた。

 三五教の一同と牢獄に捕らえられた人々は泰安城に集まり祝宴を開いた。
 カールス王はこれまでの反省を謡った。ヤーチン姫は述懐と感謝の歌を謡った。真道彦命は竜世姫に対する感謝と、「カールス王が三五教を奉じて島を治めよ」と謡う。

 マリヤス姫の述懐の歌。照代姫の歌。
 カールス王は真道彦命に向って従前の過ちと無礼を謝まり、「泰安城に留まり、政教両面の主権を握り、日楯と月鉾を左右の臣として国を治めて欲しい」と言う。
 真道彦命は「吾々は国治立尊の御退隠以前より、専ら神政に仕え、現界の政治に容喙せざるをもって天職としている。カールス王は花森彦命の末裔で、この島国を治める祖先よりの使命があるので、元の王位に着き、ヤーチン姫を王妃として君臨してほしい。また、マールエースホールサースを宰相、副宰相となし、数多の罪人を許し、シヤーカルタンとトロレンスを重用すれば、天下は太平となるだろう」と言う。
 カールス王は真道彦命の言を入れ、三五教を奉じて国を治めた。また、琉球のサワラの都に使いを送り、照彦王に感謝帰順の意を表した。照彦王は台湾島を訪問して、この後、琉球、台湾相提携して神業に奉仕することとなった。
 マールエースは照代姫をホールサースは八千代姫を娶った。マリヤス姫はエーリスの長子フエールスの妻となって王の政治を助けた。また、末になって、カールス王とヤーチン姫の二子八千彦、八千姫と、照彦と照子姫の子供照国彦と照国姫は縁組をして親族関係を結んだ。

  カールス王(結婚)ヤーチン姫
ホールサース(結婚)照代姫
マールエース(結婚)八千代姫
マリヤス姫(結婚)エーリスの長子フエールス
 
 

11.疑問点

以前にこの論考のオリジナルを書いたときに次のような疑問を持ちました。

(これ以降2004年記す)

大本事件の予言と、ロシア革命のレーニン他が同時に登場するはずはありません。考えられるのは、2つの筋が混線するように書かれているか、もしくは、トロレンスが一般的な共産主義者を現わしていると考えるべきでしょうか。
女性関係の物語はスパイスだと考えられます。考察する時には、性別を無視して考えるべきだと思います。

(1)大本事件の予言として

真道彦命が王仁三郎に対応するのでしょう。
サアルボースが西園寺。
カールス王は政治をすべき血筋の人。天皇に対応するのでしょうか?

でも、現実の歴史が、この話のようには動いていません。歴史の裏の真実を告げているのでしょうか。

①真道彦命は2度聖地を終われます。一度はアーリス山に潜み、二度目は淡渓の岩窟に囚われます。これは2度の事件を象徴しているようです。(第二次事件に対しては予言となっている)

②真道彦命を攻撃したのは、邪神玉手姫の血を引くサアルボースとその娘のセールス姫の一派。セールス姫は金毛九尾でした。なぜ、サアルボースが西園寺でしょうか。

③政治をすべきカールス王は退隠したり、囚われたりします。また、部下の官僚に惑わされたりします。

④真道彦命の元に、王族の血を引く、マリヤス姫、ヤーチン姫がやってきて、一緒に戦います。

⑤日本の歴史では共産主義者はそれほど大きな役割はしていませんので、この場合のトロレンスは軍部でしょうか。ある本に、陸軍の統制派は共産主義者だとありました。そんなことでしょうか?

⑥大本教には政府のスパイが沢山入りこんでいました。スパイ(間者)が多出するのはその予言でしょう。

(2) 考えるべきこと

①トロレンスとシャーカルタンはバラモン教である。
  共産主義はバラモン教なのか?
  トロレンスと組んでいるシャーカルタンは誰か?(ひびき的に毛沢東か)

②サアルボース(西園寺)セールス姫もバラモン教である。
  サアルボースと組んでいるホーロケースは誰か?(原敬首相もしくは伊藤博文か)
     ※2007年1月追加 ものの本によると原敬首相です。原敬は第一次大本事件の弾圧側だったんですよね。

③なぜ、セールス姫だけが金毛九尾に還元したのか。サアルボースとホーロケースは帰順した。

④最終兵器、大蛇の鏡、玉。ものすごい威力を持っています。SFの兵器のようです。

(3) 王仁三郎の考えを推測する

最後に真道彦命が次のように言っています。

「吾々は国治立尊の御退隠以前より、専ら神政に仕え、現界の政治に容喙せざるをもって天職としている。カールス王は花森彦命の末裔で、この島国を治める祖先よりの使命があるので、元の王位に着き、ヤーチン姫を王妃として君臨してほしい。また、マールエースとホールサースを宰相、副宰相となし、数多の罪人を許し、シヤーカルタンとトロレンスを重用すれば、天下は太平となるだろう」

これから見ると、王仁三郎の思想は下記のように考えられないでしょうか

●政治をすべき血筋が決まっている   天皇制容認 政治の主宰者として

●神政に仕えるものは現実の政治に容喙せざるをもって天職としている  天皇と神とは別だ

●共産主義者に対して反対はしていない

(ここまで2004年記す)


12.試論・トロレンスとバラモン教

これから先は全くの試論、狭依彦の見解です。

●大本事件の予言と、ロシア革命のレーニン他が同時に登場するはずはありません。 考えられるのは、2つの筋が混線するように書かれているか、もしくは、トロレンスが一般的な共産主義者を現わしていると考えるべきでしょうか。

●日本の歴史では共産主義者はそれほど大きな役割はしていませんので、この場合のトロレンスは軍部でしょうか。ある本に、陸軍の統制派は共産主義者だとありました。そんなことでしょうか?

●トロレンスとシャーカルタンはバラモン教である。共産主義はバラモン教なのか?トロレンスと組んでいるシャーカルタンは誰か?

トロレンスについては、トロッキー、レーニン、スターリンと王仁三郎本人が言っています。

ここで、共産主義=階級闘争などと1960年から80年くらいまでの、「人間の解放を求める運動」だとか「自由を否定するもの」などという古典的な捕らえ方をしていては、下の文章の太字の言葉の意味はつかめないでしょう。

物語28-2-7 1922/08 海洋万里卯 無痛の腹
シヤーカルタン、トロレンスはバラモン教の錚々たる神司との事、彼破竹の勢を以て泰安城を乗り取り、又もや、バラモン的暴政を布くに於ては、世は益々混乱を重ね、遂には三五教の聖地迄も蹂躙され、吾々は此島より放逐されねばならなくなるのは、火を睹るよりも明かな事実で御座いませう。

狭依彦は、バラモン教は「自由」を標榜する人たちの奉ずる教え、イルミナティと呼ばれる人々の奉ずる秘教であると考えています。

この秘教組織は、必ず自分の政策に賛成する役目のもの、反対する役目のものを置いています。左翼も右翼も同じということです。陰謀論では、共産主義はその秘教組織が作り上げたニセの思想と言われています。

これをもとに、上の文章の太字の部分は理解されるでしょう。「錚々たる」という表現で、はっきりと、共産主義はバラモン教の一派であると書いています。「バラモン的暴政」とも言っています。現代の我々の歴史知識ではなかなか理解できませんが、共産主義が「暴政」であり、「完全な自由の敵」とされたのは、第二次大戦後の冷戦期ではないでしょうか。霊界物語が書かれた時点では、そのような評価ではなかったのではないでしょうか。

台湾物語ではシャーカルタン・トロレンスは直接三五教側を攻撃することはありません。話が大本の弾圧を元に進むのであれば、日本の出来事と考えるべきで、この人たちは文字通りトロッキー、レーニン、スターリンというよりは、国家権力外もしくは国家権力内部の左派と考えるのが妥当でしょう。ここで考えられるのが、大正から昭和にかけて、アメリカに留学した共産主義者、社会主義者。転向した人たちも含んでよいのではないでしょうか。また、アメリカと通じていた人々もそうかも知れない。最後に政権に参加するエールという名前、アメリカのエール大学を連想する名前で、日本のある有名な社会主義者もそこに留学していました。そして、この大学は、スカル・アンド・ボーンという、秘密結社で有名です。

上図の物語の大団円が第二次大戦直後の日本であったなら、シャーカルタン・トロレンス(共産主義者)が政権内部に入っていることも理解できます。第二次大戦直後、社会主義系の人たちが政府に入ったことがあります。

狭依彦は、これまで、王仁三郎は共産主義者に対して反対していないようだと感じていました。物語の他の箇所で、例えばトロッキーが出てくる場面がありますが、むしろ肯定しているような感じを受けます。

王仁三郎の共産主義に対する態度、それを探るには、シャーカルタンは誰か?これがキーでしょう。


13.試論・大本事件の予言

この台湾物語が大本事件の予言であるとはどういうことでしょう。 参照

①真道彦命が王仁三郎に対応するのでしょう。

カールス王は政治をすべき血筋の人。天皇に対応するのでしょうか?

③真道彦命は2度聖地を終われます。一度はアーリス山に潜み、二度目は淡渓の岩窟に囚われます。これは2度の事件を象徴しているようです。(第二次事件に対しては予言となっている)

④真道彦命の元に、王族の血を引く、マリヤス姫、ヤーチン姫がやってきて、一緒に戦います。

⑤大本教には政府のスパイが沢山入りこんでいました。スパイ(間者)が多出するのはその予言でしょう。

⑥「吾々は国治立尊の御退隠以前より、専ら神政に仕え、現界の政治に容喙せざるをもって天職としている。カールス王は花森彦命の末裔で、この島国を治める祖先よりの使命があるので、元の王位に着き、ヤーチン姫を王妃として君臨してほしい。また、マールエースとホールサースを宰相、副宰相となし、数多の罪人を許し、シヤーカルタンとトロレンスを重用すれば、天下は太平となるだろう」

①、③、④、⑤についてはその後の歴史が予言であることを証明しています。

祭政を専らにしている真道彦命が、元政権側の人々にかつがれて、出陣します。「政権をとれ」とも言われています。
また、「王であれば、カールス王でも、真道彦命でもどちらでも良い、象徴であればよい」というような事を言うものもあります。

これが第二次大本事件の予言なら、これらの話は昭和神聖会運動を指していると思われます。

ここから考えられるのが、王仁三郎は政治をするために昭和神聖会運動を行ったのではない。しかし、いろいろな人が担ぎ出して、政権を奪取するようなことを考えた人も混じっていたのでしょう。

スパイも混じっていたし、大本内部でも、大本事件まで、その後でも、国家権力側に転んだ人もあったことをうかがわせます。

④も鶴殿さんのような方が大本を訪れていますしね。

問題は、この部分だけ、真道彦命が囚われるところだけが大本事件の予言なのかということです。

常識的に考えればこの部分だけが予言と考えておくのがよいでしょう。しかし、狭依彦は、敢えて、全部が大本事件を含む日本のこの時代のことを言っていると考えてみます。

■カールス王が天皇に相当するか?

カールス王の先祖の花森彦は8.を見ても分かるように、かなり重要な神様のはずなのに、なぜか影が薄くなっています。邪神ではなく正神ですが、いろいろな派閥(?)についたりしているように思えます。

それより、サアルボース、ホーロケースの先祖の高国別、玉手姫が興味深い。それぞれ別人です、高国別は天照大御神の五男神の一人で、「生神様」と言われているし、玉手姫は「刹帝利の落胤」なのです。刹帝利は王様のことです。

物語35-3-22 1922/09 海洋万里戌 当違
『此神館は二三年前まで、天教山より降りましたる天使八島別命様御夫婦がお守りになつて居りましたが、天教山より日の出別神様お越し遊ばし、木花姫命様の御用が忙しいから、元の如く天教山に帰つて呉れよとの御神勅で、日の出別神様と共に、此都をお立ち退き遊ばされ、其後へ神素盞嗚大神様が天照大御神様の厳の御霊と生れませる活津彦根命様を、お連れ遊ばして御入来になり、素盞嗚尊様の総領息女の愛子姫様を妻となし、お帰り遊ばしたので御座います。他の宣伝使とは事変はり、随分御神徳の高い神司で、畢竟生神様で御座いますよ

サアルボース、ホーロケースの系統のほうが天照大御神の血筋には近そうです。セールス姫もセウルスチンも、カールス王を閉じ込めて、政治の実権を握るわけですし……次節で検討します。

ただ、花森彦の子孫カールス王が天皇の血筋なら、台湾物語だけから見ると、王仁三郎はかなりそれに対して敬意を抱いているようにも思えます。


14.試論・サアルボース

これを書いたときには、西園寺がなぜサアルボースであるかの疑問だけでした。また、カールス王を殺そうとする場面が重要な場面であるのを今回気づきました。

①真道彦命を攻撃したのは、邪神玉手姫の血を引くサアルボースとその娘のセールス姫の一派。セールス姫は金毛九尾でした。なぜ、サアルボースが西園寺でしょうか。

サアルボースが西園寺。

カールス王は政治をすべき血筋の人。天皇に対応するのでしょうか?政治をすべきカールス王は退隠したり、囚われたりします。また、部下の官僚に惑わされたりします。

サアルボースがカールス王を殺そうとした場面を取り上げます。

物語28-2-8 1922/08 海洋万里卯 混乱戦

淡渓の館にはサアルボースの部下の者十重二十重に取巻き王の警固に当つて居る。トロレンスの一隊は淡渓の館に攻め寄せ、王を奪はむとして、サアルボースの部下と衝突し、互に一勝一敗、死力を尽して戦ひしが、寄せ手の勢刻々に加はり、サアルボースは最早身を以て免るるの余儀なきに立到つた。カールス王を敵手に渡しては、後日の為に面白からずと、今は覚悟を極め、王に向つて自殺を逼り、万一肯んぜざれば、サアルボース自ら手を下して、王を弑せむとする折しもあれ、何処よりともなく、一塊の大火光飛来して、サアルボースの前に爆発し、大音響を立てた。サアルボースは忽ち失心して其場に倒れた。

この「弑」と言う言葉は王仁三郎はあまり使っていません。

国語辞典では「弑」は「主君・親など目上の人を殺す」とあります。「弑逆」という言葉でも使われます。

王仁三郎関係で「弑逆」と言えば、孝明天皇暗殺説、明治天皇すり替え説が思い浮かぶのですが、西園寺の経歴、伊藤博文との関係など、サアルボースを西園寺としているところに、なにかニオうところがありますね。

参考資料の下二つはWikiPediaのものですが、何故か、記事が削除されていました。Googleのキャッシュで探しました。

●西園寺は孝明天皇の侍従であり、明治天皇の遊び相手であった。  参照web

●西園寺と伊藤博文は大磯で隣どおしで別荘をかまえていたらしい。伊藤の別荘を滄浪閣と言った。西園寺の滞在中、浴衣姿の伊藤が裏口から出入りしていたという。伊藤と西園寺とは政友会等を通じて懇意であったといわれる。

七賢堂
1903年、伊藤博文は維新の中心人物で、自分より先輩で薫陶を受けた三条実美、岩倉具視、木戸考允、大久保利通のために御堂を造り「四賢堂」と銘名した。 その後伊藤が暗殺され、梅子未亡人が伊藤を祀って「五賢堂」となった。
その後は「五賢堂」は「知る人ぞ知る」で一般に無縁の存在となってしまった。
1961年4月、同じ大磯の吉田茂邸内へ遷座した。吉田茂は1961年4月、西園寺公望をも合祀して「六賢堂」と称した。 吉田亡き後は、吉田をも合祀して「七賢堂」と称している。

西園寺の経歴から考えられるのは、「元老となって天皇をあやつっていた。全く、玉としか見ていなかった」と解釈するか、「孝明天皇暗殺説」との関わりで、若い頃のことを言っているのか、どちらかと言えば、後者のほうが「弑逆」という言葉に納得がいきそうですね。

そこで、サアルボース、ホーロケースの系統のほうが天照大御神の血筋には近そうであるのと、セールス姫もセウルスチンも、カールス王を閉じ込めて、政治の実権を握るということを重ね合わせるとどうなるか。これ以上の考察は、別の方にお願いしましょう。

あと、真道彦が潜んでいたアーリス山が「ありす」であること。これも私の守備範囲ではないので、別の方にお願いしましょう。


15.試論・第二次大戦はどうか?

第二次大本事件での逮捕後から日本の敗戦までを考えて見ましょう。

真道彦命が二度目に囚われて(第二次大本事件に照応していると思われる)から、息子の日楯、月鉾は琉球に助けを求め、SF的な兵器をもらって帰ります。この部分、私はこれまでは、付け足しのように思っていましたが、ここに意味があるのではないでしょうか。

日楯一行が琉球に向かって出発するところで、テーリン姫が出てきて、急に色恋沙汰になります。琉球から帰ったところでも、テーリン姫がひと悶着を起こす。この間の話は、①テルナの里の木茄子、②無言無食無飲の行、③向陽山、④大蛇の体内から出た宝を得る、などですが、読者はテーリン姫の毒に当てられて荒唐無稽な話というだけで過ぎてしまう。しかし、これらが大きな意味を持っているのではないでしょうか?

向陽山については、この台湾物語でしか出てこない地名です。Googleで調べて見ると、台湾の中央山脈に向陽山があることが分かりました。「太陽信仰」これって秘教組織のものですよね。

SF的な兵器が大蛇の体内から出た。これを使って、真道彦が解放され、王の主権が回復されることを考えます。

『新月の光』には気になる表現があります。これがいつも私の頭のなかにあります。

上P.363
 大本第二次事件の予審調書がフリーメーソン本部に入ったから、もう大本は大丈夫だ。
(昭和17年)

下P.150 艮の金神とユダヤ
 ユダヤは神の選民で、艮の金神が道具に使っていられる。ユダヤは悪に見せて善をやるのや。
 王仁が白紙委任を頂くようになってから、天国の姿の通り移して制度を日本に立てるのだ。
(昭和十九年四月十日)

こうなると、台湾物語の琉球(石垣島)はフリーメーソン本部か?
無言の行は、モーツアルトの『魔笛』によると、フリーメーソンのイニシエーションの儀式。台湾物語12章~13章でも無言の行をあからさまにやっている。最初読んだときから変だと思っていたのですが……
すると、○○はフリーメーソンの一派か?そうかも知れないですよ。そうなると、分からない、みんな、分からない。

大蛇の体内から出たSF的な兵器が次の体制を作る手助けをする。まさに、原爆が戦争をやめさせ、旧体制を崩壊させ、真道彦(大本)が囚われの状態から解放され下図の体制が作られる。

今、私が一番知りたいのは、この体制が理想の体制でトドメなのかということです。その大切なことが、台湾物語には書かれてありません。



初版 2004年
2版 全面書換え 2007/01/22
第2.1版(一部修正)2014/12/31

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