長白山

1.長白山

2.物語2巻での長白山

3.長白山に白玉を祭る

4.磐長姫

5.磐長彦の再婚

6.物語6巻の長白山

7.長白山を考える


1.長白山

長白山(ちょうはくざん)は、中国語では長白山ですが、朝鮮語では白頭山(ペクトーサン)と呼ばれる火山です。

聖地・長白山巡礼では「中国の清朝では、満州族発祥の地として特別視され、入山禁止になったことも。一方、北朝鮮では金正日が生まれた場所として、これまた偉大な聖地とされています」とあります。

長白山・天池の怪獣では、ネッシーのような怪獣がいるとされています。

下図では、火山の形がよくわかると思います。地図2枚、Wikipediaより転載。


2.物語2巻での長白山

第2巻「霊主体従丑 黒死病の由来」では次のように書かれています。

長白山の山腹に古くより鎮まります智仁勇兼備の神将に、神国別命、佐倉姫の二神人があつた。その麾下には豊春彦、猛虎彦ありて一切の神務を掌握し、八百万の神司を集めて天下の趨勢を観望し、鋭気を養ひ、潜勢力を備へて天使の来迎を待ちわびてゐた。この神人は国治立命の御系統にして、木星の精降つてここに顕はれたのである。

神国別命は国大立尊(素盞嗚尊)の4魂の奇魂ですから、佐倉姫が木星の精ということでしょうか。

この佐倉姫はこの後地の高天原にのぼり、言霊別命を助けます。


3.長白山に白玉を祭る

3巻の最初で、長白山は太白星の精霊生代姫命が与えた十二の玉を祭る場所の1つとなります。

「霊主体従寅 神々の任命」 「霊主体従寅 八王神の守護」

磐長彦・玉代姫は玉の守護神としての八頭有国彦は主権を握る王としての八王です。

霊主体従丑 魔風恋風では有国彦は言霊別命側の万寿山に集まった正しい神の一人です。

また、霊主体従卯 庚申の眷属」「霊主体従卯 燕返し」では、有国彦が常世会議に参加して発言しています。

場所 八王、八頭
新高山 青玉 花森彦・高国別・高国姫
万寿山 赤玉 磐楠彦・瑞穂別・瑞穂姫
ローマ 白玉 元照別・朝照彦・朝照姫
モスコー 黒玉 道貫彦・夕日別・夕照姫
ロッキー山 紺玉 貴治彦・靖国別・靖国姫
鬼城山 灰玉 真鉄彦・元照彦・元照姫
長白山 白玉 有国彦・磐長彦・玉代姫
崑崙山 紅玉 磐玉彦・大島彦・大島姫
天山 黄玉 斎代彦・谷山彦・谷山姫
青雲山 金玉 神澄彦・吾妻彦・吾妻姫
ヒマラヤ(地教)山 銀玉 高山彦・ヒマラヤ彦・ヒマラヤ姫
タコマ山 銅色 吾妻別・国玉別・国玉姫

4.磐長姫

■物語の磐長姫

霊主体従寅 嫉妬の報」では、磐長彦は磐長姫を妻にしたとあります。

この磐長姫は次のような女性です。

その性質獰猛邪悪にして、かつ嫉妬心の深き女性なりき。常に夫の行動を疑ひ、何事にもいちいち反対的行動をとり、夫が東へゆかむとすれば、西へゆくといひ、山へゆかむといへば、川へゆくといひ、常に夫婦の間に波瀾が絶えざりしが、磐長姫の頭髪は、実に見事なるものにして、その色沢は漆のごとくあくまでも黒く、ひいて地上に垂るるほどなりし。

この磐長姫に常世国の守護神の白狐がかかります。これは、各国の主宰者の妻に憑る金毛九尾の悪狐でしょう。すると、磐長姫の髪が純白になってしまいます。また、性質もこれまで以上に獰猛になりました。

この磐長姫の行動があまりにひどいものだったので、八王の有国彦は白色の国玉を使って、伊吹の神業を修すると、白狐は体から抜けて逃げ出してしまいました。

これで、磐長姫は次のような最後を迎えます。

磐長姫は大いに愧ぢ、この場を一目散に逃げだし大川に身を投じ、終焉を遂げたり。しかして磐長姫の霊魂は化して無数の緑白色の鴨となり、水上に浮きつ沈みつ日を送ることとなりぬ。これよりこの川を鴨緑江となんいふとかや。

なお、「霊主体従卯 至仁至愛」ではこの磐長姫が国治立命の仁慈の心に救われている様子が書かれています。

■記紀の磐長姫

さて記紀にはイワナガ姫が登場します。

このイワナガ姫は『古事記』では石長日賣という字を用い、『日本書紀』では磐長姫の字を使っています。

記紀では、この磐長姫はコノハナサクヤ姫の姉となっているのです。コノハナサクヤ姫(木の花咲耶姫)は霊界物語では超重要な神です。

皇孫ニニギ尊が美しいコノハナサクヤ姫を娶ろうとしたときに、親のオオヤマツミ神は、姉のイワナガ姫とコノハナサクヤ姫をセットで奉りました。しかし、ニニギ尊は美しいコノハナサクヤ姫だけと情を交わし、醜いイワナガ姫は帰してしまったのです。それに怒ったオオヤマツミ神は、「イワナガ姫を差し向けたのは、命が岩のように堅固で長く保たれるためだった。しかし、姉を帰してしまったので、天つ神の御子の命は、木の花のように、だだもろくはなかくていらっしゃるでしょう」と呪いの言葉をかけました。そこで、スメラミコトたちの命は長くなくなったとあります。

『日本書紀』では、イワナガ姫自身がこの呪いの言葉を言ったことになっています。また、これが世の人の命がもろいことの原因であるとも書かれています。

■記紀の磐之姫

記紀のイワナガ姫は嫉妬深くはなかったようで、物語の磐長姫とは性格を異にしています。

ところが、記紀にはイワノ姫という女性が出てくるのです。『古事記』では石之日賣という字を使い、『日本書紀』では磐姫の字を使っています。仁徳天皇の皇后です。また、書紀には、同じ仁徳天皇の媛として日向髪媛という女性も登場します。二人の名前を合わせれば、磐長姫となります。

仁徳天皇は国民思いの天皇として知られています。磐之姫は非常に嫉妬深い女性で、「普通と違ったことを言ったりしたりすると、足をばたばたさせてねたんだ」とあります。そして、書紀によると、最後は天皇が他の女性を妃としたために、怒って山城に帰ってしまって、天皇のお召しを拒否し続け、そこで死んでしまうのです。

この嫉妬の話は、『万葉集』に載っている歌が有名でしょう。

2-85 君が行き ()長くなりぬ 山たづね 迎へか行かむ 待ちにか待たむ

2-86 かくばまり 恋ひつつあらずば 高山の 磐根(いわね)()きて 死なましものを

2-87 ありつつも 君をば待たむ 打ち(なび)く わが黒髪に 霜の置くまでに

2-88 秋の田の 穂の()()らふ 朝霞 何処辺(いづへ)(かた)に わが恋ひ()まむ

特に、2-87の歌は、黒髪に霜が置き真っ白になってしまったということで、霊界物語の磐長姫の話と一致しています。

■仁徳天皇紀

記紀の仁徳天皇紀には霊界物語でも重要な名前が出てきます。

『古事記』では、クロヒメ=黒日売=黒姫。黒姫は悪役として高姫と並び超重要な人物です。黒日売は『古事記』ではイワナガ姫の嫉妬によって最後には死んでしまう、豪族の美しい娘です。

『古事記』ではまた、丸邇臣口子=わにのしんくちこ。「わに」というのは王仁三郎の王仁に通じますし、口子はここでは男性ですが、霊界物語では口子の名を持った口子姫として女性が出てきます。

『日本書紀』では、国依媛という磐之姫の侍女です。国依というのはここでは侍女の名前ですが、霊界物語では国依別という重要登場人物が出てきます。

■仁徳天皇

王仁三郎の文献で仁徳天皇を検索すると次のようになります。

裁判記録では次のようになっています。

今天皇陛下が御召になる黄櫨染の袍と云ふものを拵へさせて居つたという件について質問され、

私は判りまへぬけれども、何だとか彼だとか大層に言ふから、ひよつとしたらさうやないかなと言つたら、霊が懸つて来て、「大本の御祭をする時には、稚宮さん即ち仁徳天皇さん、綾部の八幡さん即ち応仁天皇さん、此の神がお出でになるから御懸になつた時にはどうしても着なければいかぬ」と云ふことだつた。着るのは嫌やと言つたら……

大正維新に就て」では次のように言っています。

第一二章 和光同塵の政策
 崇神天皇が御代を初国所知之御真木天皇と称へ奉つた理由は、世界的経綸の端緒を初め給ひし天皇と謂す意義である。畏くも歴代の天皇は、この和光同塵の政策を奉体し給ひて、内治外交を経綸し給うたゆゑに、垂仁天皇の朝には三宅連等の祖なる多遅麻毛理をして常世国なる海外諸邦所謂世界一周を為さしめ給ひ、次で景行天皇の御宇には、日本武尊をして内国経綸を実行せしめ給ひて専ら外国の来享を期待し給うたのである。
 仲哀天皇の経綸的精神は大正維新の皇謨を垂示し給ふ所にして、拙著『世界の経綸』に其大要を述べてあるから就いて見られたい。応神天皇の御宇に百済国より、王仁博士来朝して論語及び千字文を献上し、其他衣食の産物を調貢せしめられた。また天之日矛は国津宝と称する河図洛書の原本を輸入して来たのである。而して輸入されたる儒教的の虚礼虚偽の弊風は忽ち大雀命と宇遅能和紀郎子の謙譲的過失を生じて遂に海人をして歎声を発せしむるに至り、租税の弊は仁徳天皇の御宇に及んで、
『於[#二]国中[#一]烟不[#レ]発。国皆貧窮。故自[#レ]今至[#二]三年[#一]。悉除[#二]人民之課役[#一]』(くぬちにけむりたゝず。くにみなまづしかれ。いまよりさんねんといふまではことみゝにおほみたからのみつぎをのぞく)
との聖勅を渙発し給ふの止む無きに立到つたのである。斯の如く国家窮乏の時代に於ては、世界の人心は既に人生悲観の情を起して、盛んに宗教的信仰を以て個人的安心立命を求めむとするものが、漸次続出したのである。故に和光同塵の吸収力は、忽ち欽明天皇の御宇に至り仏教を輸入するに至つた。
 以来我歴代の天皇が和光同塵の政策を承継されて、治乱興廃の波浪を凌ぎ、艱難を甞め隠忍し給うた事は、歴史の証明する所であつて、真に万世一系の天職を遂行し給ふ過渡期とは謂しながら、実に/\恐懼至極の次第である。

「歌祭りについて」では次のように述べられています。

仁徳天皇の御宇までの古典を調べますと、「歌垣に立つ」ということが、時々みあたるのであります。

また霊界物語では仁徳(じんとく)として何箇所か出てきますが、「にんとく」と関係しているかどうかは不明です。


5.磐長彦の再婚

「霊主体従寅 霊系の抜擢」では、磐長彦は侍女の玉姫を後妻に迎えようとし、長白山の神々もこれを認めます。八王の有国彦は地の高天原の天使長大八州彦命に決裁を求めます。

言霊別命は磐長彦と磐長姫は霊系を異にしていたので、夫婦の間がうまく行かなかったとして、霊系の等しい侍女の玉姫を正妻とすることを認める発言をします。

そこで、言霊別命大足彦がはげしく議論をして、大足彦は上下の別を重んじよと主張、言霊別は「いかに卑しき侍女なりとて、その霊性において美しく高貴ならば、たとへ形体の上において卑しき職にありとも、その精神にして立派ならば、霊主体従の本義よりみて之を否定すべきものに非ず。いたづらに門閥的旧思想を墨守し、いらざる体面論を主張さるるはかへつて神慮に背き、律法の精神をわきまへざる頑冥固陋の旧思想なり」と主張し、神国別命もこれを認め、多数決で、玉姫を後妻に迎えることを認めます。

大八州彦命(和魂)、言霊別命(幸魂)、大足彦(荒魂)、神国別命(奇魂)ともに素盞嗚尊の四魂であることに注意が必要でしょう。

玉姫は玉代姫と改名して、長白山の八頭の妻となりました。


6.物語6巻の長白山

霊界物語6巻では、物語の中でも大事件である大洪水の直前に長白山が登場します。

6巻の11章から14章までは大洪水の前の話ですが、時間的には14章の最初、11章から13章の順で、13章の最後と14章の後半が同じ時間を共有します。

14章「霊主体従巳 黒竜赤竜では、長白山はすべてウラル彦に帰順して居たことが書かれています。次に、八王の有国彦は大洪水の悪夢を見て心がぐらつきだしました。そこへ元大道別日の出の守がやってきて、「三年後に世の終末が来る」と明言しました。有国彦は日の出の守の教えを受け入れ、方舟を作ろうとしますが、磐長彦はウラル彦の教えを守ろうとして、これを妨害したと書かれています。

日の出の守は有国彦を説くと、山を降ります。

「霊主体従巳 山中の邂逅」にあるように、親の住むモスコーを出て宣伝の旅を続ける春日姫が毒蛇に咬まれたところを、偶然にも元侍女の春姫に助けられました。そして、春日姫と春姫が男達に襲われようとしているところを、山から降りる途中の日の出の守に助けられます。

「霊主体従巳 起死回生」では、日の出の守が薬草を使って春日姫を治します。日の出の守は春日姫に「モスコーに帰って家を守り、夫の帰りを待て」と勧めますが、春日姫の宣伝の決意は変わりませんでした。三人は長白山を降りて、東、西、南の三方へ分かれます。北へは行っていません。

「霊主体従巳 谷間の囁」では、猟師たちの話で、獲物がなくて飢えてしまいそうなこと。毎日地響きがして、大地震か、大風か、大雨が起こりそうなことなどが語られます。また、猟師たちは鴨緑江の鴨は磐長の霊だから取ってはならないと話します。そこを巨大な黒竜と赤竜が通り過ぎます。この黒竜と赤竜は有国彦と有国姫でした。14章の「霊主体従巳 黒竜赤竜」では次のように書かれています。

夫より夫婦は昼夜神に祈り、かつ方舟を造るべき事を領内の神人に命令したれど、肝腎の神政を主管する磐長彦に妨げられ、其目的を達するに至らざりける。ここに夫婦は意を決し、百日百夜神に祈り、遂に黒竜赤竜と身を還元し、白色の玉を口に含み、鴨緑江を下り、大海原を横断り、天教山に登り大神に親しく奉仕したまひしなり。

なお、磐長彦についてはどのような神なのかは霊界物語では全く触れていません。

次の「霊主体従巳 大洪水(一)」では磐長彦以下が大洪水にあうシーンがあります。

宣伝使の神示を嘲笑して耳にも入れざりし長白山の磐長彦以下数多の神人は、追々地上の泥水に覆はれて逃げ迷ひ、草木はいづれもずるけ腐り、禽獣虫魚は生命を保たむため、あらゆる附近の山に先を争うて駆け登りける。

その後は磐長彦の名前が登場するのは、27章の「霊主体従巳 神生み」で、伊邪那岐命が修理固成の神業を終えて、再び、国魂の神を任ずるところです。

なお、霊界物語では大洪水ではすべての生き物が助かったことになっています。

ここでは、大洪水以前の神々が再任されていますが、下図の大洪水前の茶色の名前は出てきません。

また、タマヨヒメだけは字が違っています。

鬼城山(ナイヤガラ)が無くなり常世の都になっています。両方アメリカです。

場所 国魂と補佐 大洪水前の八王、八頭
長白山 磐長彦・玉世姫 有国彦・磐長彦・玉代姫
万寿山 瑞穂別・瑞穂姫 磐楠彦・瑞穂別・瑞穂姫
青雲山 吾妻彦・吾妻姫 神澄彦・吾妻彦・吾妻姫
ヒマラヤ(地教)山 ヒマラヤ彦・ヒマラヤ姫 高山彦・ヒマラヤ彦・ヒマラヤ姫
天山 谷山彦・谷山姫 斎代彦・谷山彦・谷山姫
崑崙山 磐玉彦・磐玉姫 磐玉彦・大島彦・大島姫
タコマ山 吾妻別・吾妻姫 吾妻別・国玉別・国玉姫
ロッキー山 国玉別・国玉姫 貴治彦・靖国別・靖国姫
ローマ 元照別・元照姫 元照別・朝照彦・朝照姫
モスコー 夕日別・夕照姫 道貫彦・夕日別・夕照姫
新高山 花森彦・花森姫 花森彦・高国別・高国姫
鬼城山 なし 真鉄彦元照彦・元照姫
常世の都 貴治彦・貴治姫  

7.長白山を考える

春日姫と春姫がモスコーからやって来るところは長白山がある場所が共産主義圏になるという予言ではないかと思われます。

また、長白山はすべてウラル彦に帰順していたこと、アーメニヤのウラル彦という表現で出てくることも共産主義を思わせます。

ウラル彦は共産主義の象徴である可能性が高いのですが、共産主義と資本主義は一つの支配体制の両面の表れであると思うので、やはり古来から陰で世界を操っている者たちの頭領(棟梁)にあたるのでしょう。

 

第1版 2005/10/01
第1版形式訂正 2007/07/18
第1.1版(一部修正)20114/12/28

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