裁判記録
○ミロク大祭の意義
○大本は宗教団体か
○宗教公認の問題
○昭和時代の役職員と組織 |
原文はカタカナ書き。カタカナはひらがなに改めた。
また、読点を適宜句読点に改め、なるべく短い段落となるように改行した。内容のまとまりごとに標題を付加した。
争点 ミロク大祭の意義
午後三時開廷
問 始めますがね、此のミロク大祭(に於(ては出口家以外(の者を至聖(殿に昇殿せしめた、と云(ふのは、このミロク大祭(に重大(な意義(があるのぢやないのですか。
答 別に重大(な意味はありませぬです。見た通りです。
問 いや、今迄(出口家の者以外(には、祭主以外(には……。
答 いや祭主は今迄(皆上つて居(ります。
問 祭主以外(の者は至聖(殿に昇殿したと云(ふ者はないのでせう。
答 ないのですが、今度(の十六人の者はいつも祭主になつて居(つた者ですから、いつも上つて居(つたのです。
それは、一名も上らぬなんと云(ふ者はちつともないのです。今迄(上つて居(つた者ばかりです。お祭に上つて居(つた者ばかりです。
高木であらうが井上(であらうが、全部(上つて居(つた者です。今迄(上つて居(らぬ者を一人上げたら、又(ごて/\、「わしを上げい/\」と言ひますから……。
問 この三十五回の三問答の三千五百十六頁に、「従来、至聖(殿には出口家の者及(び祭典(係以外(の者は昇殿を許さないことにして居(りましたが、諸面諸菩薩(に擬(した十七名は大本(の最高(幹部(として、同大祭(を機として一致(団結して大本(の目的達成の為(に本格的活動(をなすこととなつたのでありますから、従来の例を破つて」、「破つて」と書いてあるが……。
答 それは、そう仰(つしやつたから、しやうがないけれども、今の十六人と云(ふ者は祭主以外(の者でも主なる人ですからいつも上つて居(つたのです。
それで、外の人は、今迄(上つて居(らなんだ人は一人も上つてやしまへぬです。
それは、けれども、「初めから特に昇殿さして、斯(うやらう/\」と言やはつたから、もうしやうがないから、「そんなやうなことは向ふの云(ふ通りでどうでも宜(いわい。さうでなくても、外にもえらいことを言はれて、それだけでも罪になるのだから」。そんなことは無茶だけれども、向ふの仰(つしやつた通りに言ふて居(つたのですわ。
もうこんなやうなことは、向ふ言やはつた通りに、「斯(うやらう/\」と言やはつたから、「はい/\」と云(ふて来たのです。
問 それから、被告人は右十七名の者に対して、「三月三日一日(は右十七名の者及(び大宣伝使(等が役職を返上して無役となる」と云(ふことを言ふて居(りますが、全部(が無役となると云(ふ趣旨(も含(めて言ふたのですか。
答 あヽそうです、皆(が一旦(なると云(ふのですけれども、皆では大変(やから上の者だけが代表(的にやつたのです。
問 あヽさうか。
答 詰(りなんでも彼でも皆(がもう一遍は無役となり、無信者(にもなりしてしまうても宜(い、と云(ふやうな心持(で居(つたのです。
けれども、矢張(り信者(は信者(で居(り、役員(だけが謹慎(を表する為(です。信者(は止めてやらせぬのです。役員(を止めたのです。
問 この十七名の役員(だけが無役になると云(ふのではなくて、大本(の役職員全部(が無役になると云(ふことなんだね、 之(は、十六神将(の人は判つて居(りますか。
答 それは判つてやしまへぬ。
誰も/\唯心(の中で神様(に何す為(に、お詫びをする為(に……私の心だけです、十六人の人にはそんなこと言ふてありやしまへぬもの。
「お前も悪かつたから、お前も悪い一部分(やから、お詫びする為(にせい」と、そんなことは言ひやしまへぬ。
問 大本(役員(達が三月三日一日(だけ無役になる、と云(ふのはどう云(ふ意味だ。
答 「お詫びをする」と云(ふ意味です。
唯(責任を感じて、神様(の御宮(を潰されたりしたことは、我々(が行届(かぬからさう云(ふことになつたのだから、お詫びをする為(に、神様(に謹慎(の意を表する為(に止(めたのです。
私も止(め、役員(も止(めたのです。
謹慎(を表する為(に止める、と云(ふことは、それは役員(も知つて居(りますやろ。
問 なんで謹慎(せにやならぬの……。
答 それはあヽ云(ふ事件が起つて、御宮(さんまて潰されてしまうた、それで我々(は申訳(がない、と云(ふのです。
それで、謹慎(の為(にしたのです。無役になつてしまうたのです。役だけを止めてしまう。信者(は止めませぬけれども、役だけは止めてしまう。其(の一日だけ遠慮(したのです。
問 この点に付てね、準備手続(に於(ては、「ミロク大祭(に依(つて大本(を立替立直(をしやうと云(ふのである。従来の大本(ではいかぬから、改めて大本(と云(ふものを組織する意味だ」と云(ふことを言ふて居(りますね、それは大本(を組織する……。
答 それは……。
問 ちよつと聴(いて居(なさい。
弁護人からも釈明訊問(に依(つて、「之(は大本(の役員(の解除」と云(ふやうな見方をして居(りましたがね。
さう言ふて居(つたのぢやないのか。
答 さうですとも。
私の申上(げるのは下手(なことを申しますけれども、詰(り、云(ふたら、機構とか何とか云(ふものを暫(く変へただけです。
一日休んで……それで依然(として元からの大本(なんです。
其(の時に、別に、ミロク教とも何教とも名を変へてやしまへぬ。前からの通りの名で行つて居(るのです。
それは、大本(はちやんとやつて居(る。唯(其(の責任上、役員だけが一日止めると云(ふ意味だつたのです。
止めると云(ふよりも、遠慮(すると云(ふ意味です。一日だけ遠慮(して辞職(すると。元の何もなしの真裸(にならうと……。
問 ……さう云(ふ意味か。
答 又(、翌(る日から改めて役をさして貰(ふ。
私もそれ迄神さんの席に坐(つて居(つたのを止めて、私も役員(になつたのです。
問 何もそんなことでは罪亡ぼしにもならぬぢやないか。
答 誠意を表するのです。
詰(り、之(は心の問題(です。誠意の問題(です。
それで以て、神様(に許して貰(ふと云(ふ気なんです。縦令(万分(の一でも許して貰(ふと云(ふ意味です。
問 併(し、先に認めて居(つた、教主(殿に於(て十六神将(に言ふた言葉(の中には、「明日(以後(は立替立直(をしたる大本(に於(て重大(なる役職に」……。
答 そんなことは言ひまへぬわ。
立替立直(と云(ふことは、心の中からの立替立直(をすると云(ふ意味です。
今迄(のやうな、ふわ/\した心持(でなしに、と云(ふ意味であります。今迄(のやうな、ずんだらな意味でなしに、本当の精神を立替立直(さう、と云(ふ意味であります。
問 さうかね。
この点に付て訊(くのだが、三十五回の三問答の三千五百十五丁以下(に斯(う云(ふことが書いてあるがね、「三月三日のみろく大祭(を機として、従来の大本(を立替立直(して、同人等(と共に、大本(の真の根本(目的達成の為(本格的(活動(をなす所の団体(を組織することを促(しました所、之(はニ日のことでせうな、集つた人等(は私の意中を察して、私の言ふ所を全部(承諾(するに至つた。私及(び幹部(十七名、並に大宣伝使(全部(が無役となる、と云(ふことは、それ以外(の大本(の役職員及(び宣伝使(等(も全部(無役となると云(ふ趣旨(のこと。之(は、まあそれで、新(に三月三日一日(だけ、私、初め、大本(の役職員及(ひ宣伝使(が従来の役職を辞すると云(ふことは、従来の大本(と云(ふ団体(を解散(をして、新にみろく神政(成就(の為現界的(活動(をなす所の大本(と称(する団体(を組織する訳であります。」
斯(う云(ふことを書いてあるがな。
答 それは私が言ふたのぢやありまへぬ。「斯(うぢやないか」と言ふて、ずつとお書きになつたのです。
しやうがありまへぬもの。違ふと言つたつて、怒鳴(られるのでしやうがありまへぬもの。
そんな意味ぢやございまへぬ。最前申上(げた通りであります。
問 王仁三郎(、……このみろく大祭(に依(つて澄(なり昇殿者十八名と共にみろく神政(成就(を目的とする団体(を組織して本格的活動(をすることになつたのぢやないのか。
答 さうぢやございまへぬ。唯(お祭をしたのです。
其(のお祭、三月三日のお祭を期して、それを大本(としてそれから皆心の立替(をしやう、と云(ふ意味になつたのです。信仰(をもつと励んで活動(しやう、と云(ふ意味になつたのです。
唯(之(は精神上(の革新をやつたのです。
問 之(は其(の三十六回の三問答の三千五百二十六丁の所に、「之迄(は大本(の準備時代であつて、この時に一つ団体(を組織して、之(から本格的活動(をすることになつたのだ」と云(ふことを、詳細(述べて居(るがね。
答 それは、もう、さう言はれるから仕方(がないのです。
けれども、別にそれは、大本(は今迄(ごちやくして居(つたが、之(から大本(がまだ/\拡大(する、と云(ふことを言ふたのです。
それがさうなつたのですけれども、前からの大本(ですもの。其(の大本(を廃して、又(、大本(を拵(へたのぢやないのです。
大本(を之(から益々(拡張しやうと、それを一つの……一紀元(としてやらうとしたのであります。この祭を紀元(としてやらうと云(ふ意味なのです。
問 併(し、「大本(は其(の儘(であつて、役職員を変へたのみで、別に新たな組織は出来(て居(らぬ」と云(ふて居(るが、瑞祥(新聞(の、証拠(品の第百四十四号、昭和三年三月十一日発行(の瑞祥(新聞(ですがね、此処(に、「大本(とは神意(を実行(する団体(、真の力の神の顕現(」と題して……。
答 それは誰の説ですか。
争点 大本は宗教団体か
問 瑞祥(新聞(に書いてあると云(ふのだよ。
而(して……能く聴(きなさいよ、「大本(は所謂(宗教ではない、大本(は真に活用(をする団体(である。神意(を実行(する団体(である。神の教を教へる団体(である。単に教を布(いて人に所謂(信仰心(を起させる所のものではない。実用、活用(する団体(に変つた。」
趣旨(が変つたのぢやないか。
答 それは誰か人の意見ですわ。
問 「今迄(のやうな、善男善女を集めて説教(するやうなものぢやない、神の意思(を実行(する団体(。」
答 ははあ。
問 ははあぢやない。此処(に出て居(る。
答 ちよつと見せて下さい。
問 二段目(に大きく、「大本(は宗教団体(ぢやない」と書いてある。
(此時(、裁判長は被告人に証拠(品を示す)
答 詰(り、之(は、大本(は公認した宗教ではない。
詰(り、今の所は、神意(を実行(すると云(ふのですけれども、矢張(り之(は神の道を弘めてやると云(ふのですから、矢張(り之(は宗教です。
之(は、表面の宗教ぢやなくても、宗教的(の皇道(を説いて居(るのです。
誰が書いたのか知りまへぬけれども……。
問 北村(隆三が書いた……。
答 之(は北村(隆三の考へでさう云(ふ風に書いたのです。
問 ……ではあるが、大本(の考へでせう。北村(が書いたのは大本(の考へでせう。
ちやんと予審に出て居(る。三十六回の三問答で、「私等(は最早(や、外形的の教説や組織に依(つて惑はされない」……。
答 そんなことは私は申しまへぬ。
問 申さぬと言ふけれども書いてある。そんなものは掃き出す程どこにでもある。
「併(し、真の力の神が出現(して居(るところは世界中(我(が大本(の外にない。だから大本(は今迄(のやうに善男善女を集めて単に教を説くだけの宗教ではなくして、積極(的に世界を立替立直(す団体(なのである」と……。
答 今迄(の宗教のやうに、と云(ふ意味でせう。それでなければ、善男善女を集めて金を取つたりしては居(りまへぬもの。
今迄(の各宗教のやうに善男善女を集めるのぢやない。唯(惟神(の道を説く、日本の本当の惟神(の道を説く団体(である、実行(する団体(である、と斯(う云(ふ意味を言ふたんでせう。
それは、総て大本(のものは今迄(の既成(宗教のやうな、なまぐさ坊主(のやうな宗教と同じやうに同視されることは非常(に嫌ふて居(りますから、それで勢ひさう云(ふことを書いたと思ひます。
私は……。
争点 宗教公認の問題
問 所で、この宗教公認の問題(を訊(ねるがね、弁護人からも話があつたが、宗教公認の運動(は、当時(、して居(つたのか。
答 して居(つたのです。
昭和二年からして居(つたのです。私の所へ岡崎鉄首と云(ふ者が来たのです。
問 まああの経緯(は訊(いたが、あの通りですか。
答 あの通りです。
問 それで、平渡信と云(ふ人に五万円渡して居(ると聴(いたが。
答 五万円か、殆(ど五万円か渡したのであります。
問 渡したのはいつですか。
答 二年から三年頃迄(です。
問 三年のいつ頃。
答 それは覚えて居(りまへぬ。
之(は岩田さんも居(りましたし。何か知つて居(ると思ふのです。
中野岩太に御田村が──それで私は其(の金は大本(から出したと思ふ。
問 平渡信に出したのは、いつ出したかそれは覚えないか。
答 覚えまへぬ。
併(し、之(はニ年から三年迄(の間です。昭和三年迄(の……。
問 昭和三年のいつ頃。
答 二月頃でせう。
問 二月頃迄(の間。
答 へえ。
問 二年の六、七月頃からだと思ひますと、それで相当(見込(があつたのだね。
答 それは向ふが見込(があるさかいに、之(は高等政策(で、向ふの方から大本(をぐら/\させて居(つてはいかぬから早くやれと、之(は間違(ひないと……。
問 平渡と云(ふ人が誰に手続(をするのだ、運動(するのだ。
答 それは私い……。
問 話の相手(に依(つちや可能性(もあるのだらうが……。
答 それは政友会の何に話がしてやらうと言ふたのです、鈴木さんに──。
問 鈴木喜三郎と云(ふ人か。
答 はい。
それからもう一人、文部大臣は其(の時なんとか云(ふ人でした。水野錬太郎さんでしたか。其(の時分(の文部大臣、其(の人に話せば出来(ると、「兎(も角(も挨拶(に行け」と警保局長の家に私を連れて行つたのです。
それから、又(警視総監の所へ私を連れて行つたのです。
それから、京都府の知事の杉山三四郎とか云(ふ人、其(の人が内務次官になりました。其(の人の家にも連れて行かれ、其(の時にも話したのです。
問 其(の時に手応へがあつたのか。
答 私は手応へがあると思ひました。
問 とんちんかんの話ぢやなかつたのか、平渡に連れて行かれた時に……。
答 一緒(に平渡と私と居(つて、之(は確にあつたのです、私はあると思ひましたのです。
さうしました所が、梅田寛一と云(ふ代議士(が信者(になつて居(つたのです。さうしたら、「梅田寛一が今年御許しになつた所ぢやないか、事件が済んだばかりぢやないか、余り平渡に言はれても、そんなことは却(て不謹慎(になるから」と話したので、それもそうだな、と私思つたのです。
さうした所が、平渡が「政府(に心配かけぬ方が宜(いのやから、ちやんと許されるのだから」と、又(、一万円出し、一万円出し、約五万円位取られたのかと思ひます。
運動(やとか何とか言つて──其(の時に平渡の家では猪野毛利栄と云(ふ人に会ひました。
さうした所が……。
問 相当(見込(があると思ふたのだね。
答 思ふて居(りました、それで願書まで出したのです。
問 願書を出したのはいつだ。
答 願書を出したのもニ年の中(やと思ひます。
問 それで三月三日のみろく大祭(と、それから宗教の公認の問題(はどう云(ふ具合(に……。
答 それは、私、平渡に、「三月三日迄(に許可して欲しい」と云(ふたら、「もつとく早く出来(る」と申しました。
それは、早く出来(ても三月三日に御祝(をしやうと思つて居(つたのです。
問 自分だけの考へか。誰にも言はなかつたのか。
答 誰にも言ひませぬでした。
若(し、不許可になつたら、皆に却(て悪い、と思ひましたから──けれども私は金がありまへぬから、金を拵(へて貰(はにやなりまへぬから、宇智麿とか、それから井上(さんとか、それだけの者でこそ/\やつて居(つたのです、それから御田村さん……。
問 其(のみろく大祭(の其(の当時(は公認になると……。
答 ……思つて居(つたのです。
問 其(のお祝の意味でもあつたのか。
答 さうです。
其(のお祝の意味も入つて居(つたのです。
問 さう云(ふことはちつとも言ふて居(らぬね。
答 言ふて居(りまへぬ。
問 記録(にも文献にもないね。
答 ありまへぬ。
問 どうしてだね、調べる時にも……。
答 それは秘密でやつて居(つたけれども、失敗しましたから。
五万円も金を使ふて失敗したと云(ふたら、御田村さんでも私でも信用(を落します。
問 平渡から一杯食はされたと言つて、願書を何か裂いてしまつたとか言つて居(つたね、準備の時に……。
答 私が裂いたのぢやない、向ふが願書をすつかり破つてしまつたのです。
大海原知事が……。
問 此処(の知事だね……いつ裂いた。
答 それは三年頃に裂いたのです。
平渡が金を……警視総監の前で、私が思ふて居(りませぬのに、一二十万円も政友会に出させますから──「それは大(きに」と言ふて。
それで、私は迷惑(してしまうた。其(の金は出来(まへぬ。
さうして、「手紙を書いてやる」と言つて、警視総監が警察部長やとか知事さんへ手紙をニ、三通書いて呉(れて、それを持つて知事さんに会つたのです。
問 それで、其(の平渡と云(ふ人に対する五万円が、其(の運動(が大海原と云(ふ人に関係あるのか。
答 それはどうか判りまへぬ。向ふがやつて居(るのですから。こちらでは判らぬです。
後から、裂いたと云(ふことが判つたのです。それは十月頃に判つたのです。
紅卍会が出来(まして、さうして東京へ行つて、東京の震災(に付て、金を何万(円とか、米を二千石とか云(ふのを寄附(して呉(れたのです。支那(から──
それで、東京市長がそれをお礼の為(に招宴(した、其(の時私も居(たのです。
さうした、其(の時、電話(が掛(つて来て初めて判つたのです。破つたと云(ふことが……。
問 それぢや、公認と云(ふことも一緒(にお祝ひしやうと云(ふ意味があつたのぢやな。
答 それが大本(だけの所謂(神政(成就(だつたのです。
問 二色の意味があつた訳だな。
答 さうです。
歴史 昭和時代の役職員と組織
問 それから、三月三日当時(に於(ける大本(を構成(する主なる役職員はどうなつて居(つたのだな。
之(は、三十七回の一問答に依(ると、斯(う云(ふ具合(に書いて居(るが。之(は之(で間違(ひなからうな。
(此時(裁判長は被告人に対し記録(を示す)
答 それは其(の時には……覚えて居(りまへぬが、大本(の何か文献を調べてお書きになつて居(つた。
文献から取つたのなら、間違(ひありまへぬ。
問 お前が書いたのだから、間違(ひないぢやないか。
答 それは、私も雑誌を見て言ふたのです。れて居(つたから……。
問 間違(ひないのでせう。
答 書いてあつた通りですから。間違(ひありまへぬ。
問 それから、昭和三年の三月三日以後(昭和十年の十二月上旬迄(の大本(の組織、役職員の氏名、之(は東尾に対する予審の十二回訊問(調書にだね、附(して居(る第一表乃至(第六表の通りとありましたですがね。
組織のことは東尾に詳(しく訊(いて居(るが、間違(ひないことと思ひますが……
之(を見て御覧(なさい。
(此時(裁判長は被告人に対し右書類を示す)
答 それは、書いてあることやつたら、間違(ひありまへぬわ。
問 書類を調べて……。
答 はあ、書類を調べて書いたのなら、間違(ひありまへぬ。
問 昭和十年の十二月頃は、本部統理は出口元男で伊佐男ぢやないと云(ふこと、之(はちよつと訂正(してあるやうだが。
答 俄(かに変つたのです。
問 変つた。
答 何か変つたと云(ふことを聞いて居(ります。
問 あとは間違(ひないな。
答 あとは間違(ひありませぬ。
それだけは正直に書いてあります。文献に依(つて書いたのだから。
問 それから、大本(総本部及(び本部の各課の担当事務、及(び支部(、分所(の使命(は矢張(り東尾の第七表に書いてあるが、之(は此(の通りと訊(いて宜(しいかな。
まあ、間違(ひなからうと思ふがね。
答 ちよつと見せて戴(きませうか。
問 之(は写したのだからね。間違(ひないことだらうと思ふがね。
(此時(裁判長は被告人に対し記録(を示す)
答 それは、書いてあるのやつたら、間違(ひありまへぬ。
問 之(は東尾が色々(調べてやつたのだが。
答 之(は、もう、此(の通りです。
問 間違(ひないね。それから、大本(の総本部及(び本部の各課の担当事務、之(は此(の通り今訊(いたね。
それから、まあ、色々(役職に付いたり辞めたりして居(りますがね、王仁三郎(は、併(し、大本(に於(ては関係して以来(は事実(上大本(の統轄はして居(つたのでせうね。
答 事実(上統轄して居(つたのです。
問 職を離(れたりして居(るが、それから又(みろく大祭(の時は止めたり就いたりして居(るが。
答 実際は、皆、私がやつて居(つたのです。
問 統轄して居(つたのだね。
それから、外廓団体(、大本(の人類愛善会(、其(の他大本(の外廓団体(の創立(の時期(及(び目的は東尾の第十二回訊問(調書の第九表に詳(しく書いてあるがね。
此処(に書いてあるが、ちよつと見て御覧(。此(の通りだと思ふがね。
詰(り創立(の時期(と目的が斯(う云(ふことだと云(ふことが書かれてあるが、間違(ひないだらうね。
(此時(裁判長は被告人に対し右第九表を示す)
答 間違(ひはありまへぬ。
問 全部(は書いて居(らぬやうだがね。
答 愛善(会の……。
問 愛善(会ばかりぢやない、青年(会もある。
答 神聖会(……。
問 此処(に青年(会がある。
答 之(は、皆、此処(に色々(と変つて居(りますけれども、之(は、結局(、矢張(り大本(の為(めです。大本(の主義(と同じことです。
問 之(は、又(後で、訊(きたいと思ひます。之(は創立(の時期(は宜(いのですな。
答 之(は此(の通りです。
問 之(は宜(いと、今云(ふた以外(に第九表の外に更始会、大日本武道宣揚会、エスペラント普及(会とか云(ふ大本(関係の団体(はありますね。
答 あります。