うろーおにうろー

裁判記録(14)

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裁判記録

○大本に於ての立替立直しの実行者
○立替立直しの方法
○大本信条、大本規程、大本規約
○ミロク大祭
○立替立直をする時期
○昭和三年の三月三日の意味
○ミロク菩薩
○幹部
○八王八頭

原文はカタカナ書き。カタカナはひらがなに改めた。
また、読点を適宜句読点に改め、なるべく短い段落となるように改行した。内容のまとまりごとに標題を付加した。

争点 大本に於ての立替立直しの実行者

午後(ごご)一時三十七分開廷

裁判長 出口王仁三郎(おにさぶらう)大本(おほもと)(おい)ては()立替立直(たてかへたてなほし)しの実行者(じつかうしや)は誰か。

 神様(かみさま)です、それは神様(かみさま)がすると()つしやるのですから、それを(つま)り、霊代(たましろ)たる出口に知らすと()ふのでありますから。

 さうして、()の教を伝へて、教が伝はつて皆の心が改良して来たら、所謂(いはゆる)立替立直(たてかへたてなほし)しになるのですから、実行者(じつかうしや)矢張(やつぱ)神様(かみさま)です。

 立替(たてかへ)神様(かみさま)がやる、立直(たてなほ)は人間がやると()ふ意味ですか。立替(たてかへ)立直(たてなほ)両方(りやうはう)とも神様(かみさま)()ふ意味ですか。

 どつちも神様(かみさま)でなければ出来(でき)ませぬですな。

 神がやると()ふのは何かね。「大本神諭(おほもとしんゆ)の天之巻の神が表に現はれて三千世界の立直(たてなほし)をする」と、(これ)を言ふのか。

 さうです。

 (これ)根拠(こんきよ)にして()ふのか。

 さうです、「表に現はれる」と()ふことは、「今迄(いままで)押込(おしこ)められて()つたが、それが許されて表に現はれる」と()ふのは。神界(しんかい)の表に現はれると()ふことです。

 さうして、それが()の教を(ひろ)められたら、所謂(いはゆる)世界が……皆の精神が直つて来れば()の世の中の改良も出来(でき)ると()ふ意味です。

 表に現はれると()ふた所で、何も神ですから人間の身体(からだ)()たいに──人間()たいなものが出て来るのではないのですから……。

 (これ)王仁三郎(おにさぶらう)を中心にして、大本(おほもと)役員(やくゐん)信者(しんじや)協力(けふりよく)()つて、立替立直(たてかへたてなほし)をするのぢやないのか。

 それは(ちが)ひます、(とて)もそんなことをするやうな力のある者は一人も()りやしまへぬ。

 ()の天之巻の神が表に現はれて()ふたことは、「神が人間を霊代(たましろ)として、神の霊代(たましろ)たる人間が()の世の立替立直(たてかへたてなほし)をする」と()ふ意味ぢやありませぬ。

 それは(ちが)ひます。神様(かみさま)()さるのです。

 ()のことを、人間の口を()りて、人間の手を()つて、世界に知らせるのです。

 知らせると、神も改心(かいしん)し、人も改心(かいしん)し、(みな)改心(かいしん)し、世の中が善良になつて来る。

 (これ)王仁三郎(おにさぶらう)の予審の四十回にさうなつて()るが、「神が現はれてすると()ふことが、神が人間を霊代(たましろ)として、霊代(たましろ)たる人間があるんだ」と()ふやうに説明(せつめい)して()りますね。

 それは、「さうぢやないか」と()つしやるから仕方(しかた)ありまへぬもの。

 さう()はなければ()りまへぬもの。

 それから、火之巻(ひのまき)の四十五頁に、「出口、上田(うへだ)が三千世界の世の立替(たてかへ)御役(おんやく)であるぞよ」と()ふのは……。

 それは矢張(やつぱ)立替(たてかへ)御役(おんやく)を以て教へをするのですもの。

 お前さんが「三千世界の立直(たてなほし)をする役であるぞよ」と……(これ)は人間がするのですか。

 さうですとも、立替(たてかへ)をする(ため)に教を弘めるのが人間の……。

 それぢや人間ぢやないか。

 それは神様(かみさま)が懸つてやらせるのですから……立替(たてかへ)ぢやありまへぬ、政権を握るのぢやありまへぬもの。

 政権のことぢやない……。

 それは私が神様(かみさま)に使はれまして、さうして神様(かみさま)の教を弘めると()ふ意味なのです。

 さうして、世の中が段々(だんだん)()の教が弘まつて来たならば、改良が出来(でき)ると()ふ意味なのです。

 結局(けつきよく)は、神様(かみさま)に使はれると()ふ意味です。

 それが立替立直(たてかへたてなほし)の意味です。

 神様(かみさま)に使はれると()ふ意味だな。

 人間がやるんだな、霊代(たましろ)として──。

 さうです。

 神様(かみさま)霊代(たましろ)として人間たる上田(うへだ)がやるのですね。

 教を弘めて弘まつたらさうなると()ふのです。

 まだならないですけれども──。

 弘める役は……。

 ……私ぢやと()ふのです。

 それから()火之巻(ひのまき)の四十二頁に、「世の立替立直(たてかへたてなほし)人民(じんみん)肉体(にくたい)を使ふて(いた)さねばならぬことであるから云々(うんぬん)」と()ふことが書いてあるがね、(これ)人民(じんみん)()ふのは普通(ふつう)信者(しんじや)()ふことに訳して()りますが……。

 人です。

 之も矢張(やつぱ)人民(じんみん)、人間の肉体(にくたい)を以てやらなければ出来(でき)ないと()ふ意味ぢやないのか。

 (しか)しです、人をして言はしめ(さと)らしむるのでありますから、それで人間に懸つて人間に語り、人間に言はさにや出来(でき)ぬと()ふ意味です、神が()き/\に言うたかつて誰にも判りまへぬから、霊代(たましろ)()機関(きくわん)(こしら)へて、さうして書かしたり言はしたりして聴かすと()ふことです。

 人間も使ふのだな。

 さうです、人間がいるのです。

 信者(しんじや)だな。

 此処(ここ)で人間と()ふたら我々(われわれ)です。信者(しんじや)です。

 信者(しんじや)協力(けふりよく)してやると()ふ意味だな。

 立替(たてかへ)をする役と()へばさうです。

 私が教をすると()ふと、皆寄つて来て、さうして一緒(いつしよ)こたに、信者(しんじや)一緒(いつしよ)こたに世の中が改良出来(でき)ると()ふのです。

 世界と()ふものが全部(ぜんぶ)信者(しんじや)にならなければ出来(でき)るものぢやありませぬ。

 自分が()の役だから、信者(しんじや)もそれに手伝(てつだい)すると()ふのだな。

 さうです。


争点 立替立直しの方法

 立替立直(たてかへたてなほし)はどう()方法(はうはふ)でするのですか。

 どう()方法(はうはふ)()ふことは、神様(かみさま)がやるので、人間はそれを()いて知らすだけですわ。

 今迄(いままで)の精神を改良すれば、心の立替立直(たてかへたてなほし)です。

 (つま)り、言ふたら、人間建築と()ふ……今日(こんにち)言葉(ことば)のそれなんです。


 ちよつともう一遍。

 人間の建築と()ふことを、今のハイカラが言ひまつしやろ。それ見たいなもので立派な人間を(こしら)へると()ふ意味なのです。

 立替立直(たてかへたてなほし)は、それは人間が……。

 人間と()ふより世の中を……。

 それは、人間が出来(でき)なければ、世の中の立替(たてかへ)なんと()ふものは出来(でき)まへぬから──世の中には人間と()ふものがあるのです。

 (しか)しね、()いか、()王仁三郎(おにさぶらう)の四十一回の一問答(もんだふ)()ると、()手段(しゆだん)方法(はうはふ)に付て色々(いろいろ)言つて()るが、「陣曳(じんびき)さす」とか、「往生(わうぜう)さす」とか……。

 そんなことは……。

 一番(しま)ひには、戦争(せんさう)をするやうなことをずつと書いてあるが、()()手段(しゆだん)()つて兵糧(ひようろう)のことまで書いて()るが、兵糧(ひようろう)の準備のこと迄書いて()るやうだね。

 ()()強制(きやうせい)手段(しゆだん)を採つて立替立直(たてかへたてなほし)をするやうに書いて()るやうだが、事実(じじつ)……。

 いやもう判つて()ります。さう()ふことをずつと並べられたりしたことを覚えて()ります。

 ()兵糧(ひようろう)()めて置かなければいかぬと()ふことは、外国との戦争(せんさう)が起るから兵糧(ひようろう)を蓄めて置かなければならぬと()ふのです。

 (これ)は前から言ふて()る。

 戦争(せんさう)は外国との戦争(せんさう)か。

 外国との戦争(せんさう)です。日本と外国との戦争(せんさう)があるから、兵糧(ひようろう)を貯へて置かなければいかぬと()ふことを前から言ふて()るのです。

 外国とか。

 外国です。

 「東京に()()ける」と()ふのは……。

 それは東京に外国が()()けて来るのです。東京にそんなことが起る場合(ばあひ)があるのです。

 (これ)は東京へ()()けるのぢやから、外国から東京へ……ロシヤでも何時(いつ)東京へ()めて来るかも知れぬから防空演習もやつて()る。


 さう()ふことを予言(よげん)したのであります。

 なんで大本(おほもと)が東京へ()めて行きます。()めて行くだけの力もありやへぬ。

 「根本(こんぽん)から立直(たてなほ)して世界が一つに良くなるとか、東京へ()()けるぞよ」と()ふのは……。

 えゝさうです。

 さうですとは……。

 それは、世界を洗濯するには、大戦争なければ、世界の大洗濯は出来(でき)ない。戦争(せんさう)が一遍なけひは出来(でき)ぬ。

 それから、「世界の洗濯が出来(でき)ると。()の替り、洗濯の大戦争の時には東京へ()()けて来て、一旦(いつたん)は日本も(かな)はぬ所迄行くぞよ」と書いてあるのです。

 「綾部(あやべ)に天子(てんし)守護(しゆご)してあるぞよ」とあるのは、東京へ()めて来るから綾部(あやべ)へ御かくまひしなければならぬのかと思つて神様(かみさま)()くと、「()天子(てんし)()ふのは、綾部(あやべ)日天子(にちてんし)月天子(がつてんし)(をつ)て教へをする」と()ふことを()いたのです。

 東京へ()めて来るから、教祖(けうそ)が、「天皇陛下を此処(ここ)へ御かくまひせにやいかぬ」と()ふやうなことを言つて()るのです。

 綾部(あやべ)から東京へ()めて行くなんと()ふことは、書いても()りまへぬし、思ふても()りまへぬ。

 中々(なかなか)色々(いろいろ)なことを書いて()るね。

 「一つの道に入る」とか、まあ、「最後(さいご)には()()ける」とか、「兵糧(ひようろう)を準備して置く」とか()ふやうなことになつて()るが、どう()ふことになるのだ。外国の戦争(せんさう)のことか。

 外国から()めて来ると()ふことは、東京へ()()けると()ふことです。

 「往生(わうぜう)さす」とか、「一つの道」とか()ふことは、(これ)はどうだ。

 (これ)は、(つま)り、悪魔(あくま)往生(わうぜう)させると()ふ意味です。

 今日(こんにち)()へば、蒋介石であらうが、張作霖であらうが皆城を明渡して()るのです。

 「一つの道」と()ふのは。

 一つの道と()ふのは神の道一つになりと()ふことです。(また)()る意味に(おい)ては、幽冥(いうめい)界に行くと()ふこともあります。殺されて……張作霖も矢張(やつぱ)り殺されました。

 「城明渡し」と()ふことは。

 城明渡しと()ふことは、すつかり、満州を張作霖が取られ、(あるひ)は蒋介石が取られたりさう()ふことを()ふのです。

 「さう()ふことを目標(めあて)にせよ」と()ふことは。

 悪神(あくがみ)目標(めあて)にして()るのです。皆悪神(あくがみ)が付いて()る。

 紅卍会でもさう言うて()るのです、「十六悪魔(あくま)が付いて()るのである」と。

 張作霖も付いて()れば、蒋介石も付いて()る。総て悪魔(あくま)が付いて()る。()悪魔(あくま)が城を明渡したならば()肉体(にくたい)一緒(いつしよ)に亡びるのです。

 外国のことを、()悪魔(あくま)の……。

 世界中(せかいぢう)目標(めあて)にして言うて()るのです。日本だけのことぢやないのです。


思想 大本信条、大本規程、大本規約

 大本(おほもと)信条(しんでう)大本(おほもと)規程、大本(おほもと)規約と()ふのが此処(ここ)にあるがね。

 さう()ふやうに書いてありますね。(これ)は書いてありますね。

 (これ)は何かね。どう()ふことを書いてあるのか。どう()ふ目的で定めたのか。

 (つま)り、矢張(やつぱ)大本(おほもと)の正しき道を世界に弘める(ため)(こしら)へたものです。大本(おほもと)の誠の正しき道を世界に弘める(ため)(こしら)へたものです、総て──。

 大本(おほもと)規程とか規約とかは。

 それは、大本(おほもと)の、(つま)り、機構から信者(しんじや)の扱ひ方を書いてあるのです。規約とか信条(しんでう)とかは……。

 規定(きてい)、規約、判つて()りませう。

 規定(きてい)とか規約とか()ふものはああ言ふたら大本(おほもと)内の政治をやる所の規則見たいなものです、と私は思ひます。さうやと、規則見たいなものやと思ひます。

 中に書いてあることはどう()ふことを書いてあるのですかね。

 それは悪いことはちつとも書いてないと思ひます。

 今日(こんにち)はもう覚えて()りませぬけれども、国家(こくか)(ため)のことばかりしか書いてないと思ひます。

 大本(おほもと)を弘めることや、国家(こくか)(ため)になることより外にない(はず)です。(また)、そんな不逞(ふてい)や不敬なことも書いてない(はず)です、それは──。

 (これ)大本(おほもと)信条(しんでう)の昭和八年旧正月(しやうぐわつ)一日に改正(かいせい)したのですが、()の第三条の「我等(われら)は皇孫命(すめみまのみこと)天照皇大神(あまてらすおほかみ)御神勅(ごしんちよく)()豊葦原(とよあしはら)中津国(なかつくに)天壌無窮(てんじやうむきう)宝祚(ほうそ)樹立(じゆりつ)し給ひ、世界統一(とういつ)基礎(きそ)確立(かくりつ)し給へることを信奉(しんぱう)す。」(これ)はどう()ふ意味だ。

 それは()の通りであります。

 皇孫命(すめみまのみこと)()ふのは。

 それは瓊々杵尊様(みことさま)であります、皇孫瓊々杵尊(ににぎのみこと)皇孫命(すめみまのみこと)であります、それが御延長(えんちやう)になつて()るから皇孫命(すめみまのみこと)とも言ひますし、今の天皇でも皇孫(すめみや)申上(まをしあげ)げることがあるのです。

 さうして、()天壌無窮(てんじやうむきう)御神勅(ごしんちよく)()つて日本の国を統治し給ひ、世界の国々(くにぐに)を統治し給ふと()ふことを我々(われわれ)は確信すると()ふのです。

 それから、四条の、「我等(われら)は皇上陛下が云々(うんぬん)」と()ふことは。

 同じことです、皇上陛下も皇孫命も同じことです。

 古事記(こじき)は皇御孫命としてあるから、古事記(こじき)を本として皇孫命と()ひ、皇上陛下と()ふのであります、皇上陛下と()ふのは今日(こんにち)の人にも判ることであります。

 此処(ここ)で言ふ三条、四条に書いてある、皇上陛下とか、それから(あるひ)は皇孫命と()ふのは、(これ)は恐多いことだが自分を指すんだと()ふことを予審で……。

 それは私はそんな馬鹿(ばか)なことを……それで私は、「掛巻(かけま)くも(かしこ)きこと」を申されますから(だま)つて()りましたと()ひました。

 言うとりまへぬ。

 (ちが)ひますかな。

 それで、向ふから、「掛巻(かけま)くも(かしこ)き」ことを()つしやつたと()ふのはさうでございます。

 全部(ぜんぶ)さう()具合(ぐあひ)に向ふから書いて来られましたから、こんな問題(もんだい)が起つて来たのです。

 まあ大本(おほもと)規定(きてい)(あるひ)大本(おほもと)規約と()ふものを見ても、自分が日本を統治すべき趣旨(しゆし)のことが書いてあるやうに説明(せつめい)したことが十三回の予審訊問(じんもん)調書に書いてありますがね。

 同じ様な趣旨(しゆし)のことを、一々(いちいち)細かくは言ひませぬがね。

 けれども()の本文を()く常識で読んで(もら)ひましたら、()くそんなことでないと()ふことが判る(はず)です。

 判る(はず)だと。予審で言ふたこととは違ふ。

 はい、それはずつと読んだら判ることなのです。

天壌無窮 てんじやうむきう 天地とともに永遠に続くこと。

宝祚 ほうそ 天子の位。皇位。


争点 ミロク大祭

 それから、()のミロク大祭(たいさい)のことを(たづ)ねますがね、被告人王仁三郎(おにさぶらう)が自分の五十六歳七箇月に達した時には、ミロク菩薩(ぼさつ)として出現(しゆつげん)して、ミロク神政(しんせい)成就(じやうじゆ)せしむべき旨を予言(よげん)して()りましたね。

 さうです。

 それは、自分も、大抵(たいてい)()時分(じぶん)になつたら()()ふ風になると思つて()つたものですから、前からやつて()りました。二、三年前からやつて()りました。

 同じことならば、あの五十六億七千万年と()ふことがあるから、五、六、七と()ふことを五十六歳七ケ月になつて丁度(ちやうど)都合(つがふ)が好いから、(これ)を五、六、七に因んで()の時にしたいと()ふので、之(これ)は前から考へて()つたのです。

 それでこの五と()ふことは()のミロクに関係があるのです。五は「いづ」と言ひます、再前申しました「いづ」、五つは「いづ」です、「いづ」は(すなは)ち天皇陛下の御稜威(みいづ)です。

 六は「むゆ」です。「むゆ」は草木(さうもく)()ゆるが(ごと)く、皇威が発展(はつてん)し、皇運が発揚(はつやう)する。(これ)が「むゆ」です。

 七は「な」と()ふこと。「な」と()ふことは地球の地の字、地震を地震(ないふる)()ふことと同じで、「な」、地が鳴る、愈々(いよいよ)()大地(だいち)の上は天皇陛下の御威徳(ごゐとく)()え移る。

 草木(さうもく)()える(ごと)くに、ずつと、()地上(ちじやう)()れ備はると()ふことを、()のことを御祝(おいはひ)して矢張(やつぱ)り五、六、七を使ふたのです。

 それで、五、六、七は「いつ」「むゆ」「なな」です。

 九年七月一日の神霊界(しんれいかい)にも出て()りますね。

 はあ、出してまつしやろさう()ふことは──。

 それから、役員(やくゐん)の方には、口頭で、前から言うて()つた訳だね。

 さうです、ミロクの出現(しゆつげん)()ふことは……。

 五十六歳七ケ月になつて()るから……。

 はあ、それで、三年三月三日と()ふことを()つて見ると、丁度(ちやうど)近いのです。

 それで、()の三、三、三のこと、七、七、七のことは前に申上(まをしあげ)げましたけれども、まあ一遍御(たづ)ね下されば、もう一遍(くは)しいことを申上(まをしあげ)げますけれども……

 私は、ミロク祭がこんな問題(もんだい)になるとは夢にも思ひまへぬ。どうも、こんなことは夢にも思はなんだので、びつくりした位です。


争点 立替立直をする時期

 ちよつと()き落したが、大本(おほもと)信条(しんでう)()く前に、立替立直(たてかへたてなほし)をする時期(じき)如何(いか)に主張して()つたのか。

 時期(じき)はそれは判りまへぬな。神の御心(みこころ)で判らぬ。

 色々(いろいろ)変つて()るやうだね。

 教祖(けうそ)立替(たてかへ)……戦争(せんさう)が起る位なことは何年頃起ると()ふことは言つて()りましたけれども、根本(こんぽん)立替(たてかへ)()ふやうなことは誰も言ふて()りまへぬ。

 「少くとも、王仁三郎(おにさぶらう)の存命中には出来(でき)る」と()ふやうなことは言つて()つたのか。

 存命中に私の教が独立する位より、それより多く望むことは出来(でき)ないのです。私の存命中にどうして、()神政(しんせい)成就(じやうじゆ)(しよう)して、()の小さい方の大本(おほもと)だけの独立がしたいと()ふ意味やつたのです。

 (これ)は予審の四十二回の一問答(もんだふ)(おい)ては、「変つた色々(いろいろ)なことを、十年延びた」とか色々(いろいろ)なことを言ふて()りますね。

 色々(いろいろ)なことを言ひました。

 十年延びたり、(また)延びたり、それから(また)昭和十年とか色々(いろいろ)変つて()るやうに出て()りますね。

 さうです。

 (しか)し、まあ、結局(けつきよく)王仁三郎(おにさぶらう)を中心とする立替立直(たてかへたてなほし)であるから、「王仁三郎(おにさぶらう)の存命中、九十三歳とか」、まあ、色々(いろいろ)なことを言ふて()るやうだな。

 「近く、存命中は立替立直(たてかへたてなほし)がある」と()ふことを主張して()つたやうに……。

 さうです、私の存命中には少くともアジヤ全体(ぜんたい)位は日本のものになると()ふことを思つて()つたのです。

 (また)、ヨーロツバにも行くと思つて()つたのです。

 (これ)(たし)かになると思ひます。私が()しも九十になる迄生きて()つたら──。


争点 昭和三年の三月三日の意味

 昭和三年の三月三日はだね、被告人の五十六歳七ケ月に相当(さうたう)するのか。

 さうです。相当(さうたう)するのです。

 (また)()百姓(ひやくしやう)の所に内緒で売りに来る暦では、三年三月三日が私の十二日生にちやんと合ふのです。

 それから、伊勢(いせ)大神宮(だいじんぐう)さんの暦で見ますと、十日でたつたニ日早いのです。旧で行くとニ日早い。之だけ違つて()る。

 内緒で売りに来る重宝(ぢゆうほう)暦と()ふものがある。売れるものだからちよい/\売りに来るのがある。私が内緒で買ふたのではありませぬけれども、誰か買ふてこちらに()れた者があるのです。

 それを見ると、十二日になつて()るのです。私の生れが十二日ですから……。

 十二日になつて()るのだな。

 さうです、私が()の間申上(まをしあげ)げましたやうに三、三、三と()ふ字は目出度(めでた)い字ですから……

 (また)、経論と()ふて仏教(ぶつけう)御経(をきやう)の中に人寿四千台の時から一万台になり、平均人間の寿命(じゆみやう)釈迦(しやか)は人寿平均百歳の時に生れた。

 (しか)し、それが四十歳、五十歳の時には……七年七月七日と()ふ日、(すなは)ち六日から()けて大いなる風、大いなる水、大いなる火、()の時には病気、戦争(せんさう)(これ)が起る。大惨事(だいさんじ)か小惨事(さんじ)が起る日であると、()()ふことが起つて来るのは、丁度(ちやうど)()現代(げんだい)では印度人(いんどじん)は平均寿命(じゆみやう)二十歳、日本人は平均寿命(じゆみやう)三十七、八歳、ヨーロツパ人で……。

 まあ(よろ)しいぢやないか。

 ()の位ですから、愈々(いよいよ)七年七月七日と()ふやうなことが起つて来ては大変(たいへん)だから、(これ)に三年三月三日を加へれば十年十月十日と()ふやうなことになるから、()()ふ悪い日を直して良いやうにしたいと()ふので三年三月三日を選んだのです。

 綾部(あやべ)では七日……六日からいつも祈祷(きたふ)するのです。神様(かみさま)が御集りになつて……。


争点 ミロク菩薩

 それで昭和三年二月の上旬からミロク大祭(たいさい)の準備をして()つたのか。

 して()つたと思ひます。

 私は直接携はつて()りませぬけれども、やつて()つたと思ひます。

 さうか、二月の上旬に、亀岡(かめをか)光照殿(くわうせうでん)(おい)て出口伊佐男、御田村竜吉、大深浩三(とう)に対して、「三月三日にミロク大祭(たいさい)執行(しつかう)し自分がミロク菩薩(ぼさつ)として諸面諸菩薩(しよぼさつ)率ヰ(ひきゐ)て、()の世に下生(げしやう)して、ミロク神政(しんせい)成就(じやうじゆ)(ため)、本格的活動(くわつどう)を始めることとする」と()ふて話したと()ふことは、三十五回の三問答(もんだふ)の三千五百十四丁の裏に書いて()るがね。

 それを、私は話したかどうか知りませぬ。

 準備を命じた、と()ふことになつて()るがな。

 それは誰が準備したか知りませぬけれども、()の時に言ふたかどうかそれを覚えて()らぬのですわ。

 それでも、向ふから「さうぢやないか」と言はれたから、「さうです」と言ふたけれども、大深とか宇智麿とか亀岡(かめをか)()つたのが()し言ふたら、()連中(れんちう)が近くに()つたから、さう言ふたらうと()(くらゐ)のことを言ふた……。

 今見たいな準備を命じたのは(ちが)ひないのだな。言ふた言葉(ことば)()の通りか。

 それは判りませぬ。(つま)り、「お祭りはせぬならぬ」と()ふことを言ふたのです。

 私は()のお祭が別にそんな悪いお祭だとは思ひませぬもの。

 それでだね……。

 さうして、別に、ミロクさんとして、私を神さんとして拝めと言ふたのではありませぬもの。(てん)神様(かみさま)を拝む。


争点 幹部

 ミロク大祭(たいさい)のことは段々(だんだん)()くが、王仁三郎(おにさぶらう)はミロク菩薩(ぼさつ)として率ヰ(ひきゐ)出現(しゆつげん)すべき諸面諸菩薩(しよぼさつ)は出口伊佐男……。

 皆十七人ずつとあります。

 私判りました。菩薩(ぼさつ)()ふのは……。

 ちよつと待つて、さう早や過ぎては困りますから、出口の頭の良いと()ふことは判つて()るが、出口元男、出口伊佐男、出口遙、井上留五郎、高木鉄男、岩田久太郎、御田村竜吉、東尾吉三郎、湯川貫一、四方平蔵、梅田信之、中野岩太、湯浅斎次郎、出口慶太郎、桜井同吉、栗原七蔵、西村昂三の十七名と限定しますか。

 決めました。

 ()事実(じじつ)は。

 はあ、(しか)し、申上(まをしあげ)げますが、()の中に別に(これ)は型を十六神将(しんしやう)の型をしたのですから、()の中にはまあ、()はば、宣伝使(せんでんし)として、菩薩(ぼさつ)としての資格(しかく)のない者も沢山(たくさん)ありますけれども。

 それは型を(こしら)へたのですから……。

 それは()(かく)として選んだことは間違(まちが)ひありませぬね。

 それはまあさうです。

 それ()の十七名は最高(さいかう)幹部(かんぶ)であつて、大本(おほもと)の組織活動(くわつどう)等に付てはいつでも協議(けふぎ)に参与し、指導(しだう)する立場にあつた人ですか。

 ()人々(ひとびと)は。

 さうです。(ほとん)どさうです。

 (これ)間違(まちが)ひないか。

 へえ。一人、二人は(ちが)ひます。

 さうですね、中野岩太やとか出口遙やとか、梅田信之やとか、其処(そこ)らの人は別に指図も何もしやしまへぬ。指図したつても、それに服従(ふくじう)もしまへぬ。

 それ以外(いぐわい)の者は、大抵(たいてい)最高(さいかう)幹部(かんぶ)として協議(けふぎ)(あずか)り、指導(しだう)の立場にある人ですかね。

 間違(まちが)ひないね。

 へえ。

 それから()の十七名を選んだのは、()の出口元男は被告人の後継者(こうけいしや)になるべきものとして、()の外の十六名は十六神将(しんしやう)(なぞ)らへて、ミロクの世になつた場合(ばあひ)には八王八頭(やつわうやつがしら)()ふて、各部の頭となるべき、と()ふ意味ぢやないのですか。

 さうぢやありまへぬ。

 (これ)菩薩(ぼさつ)となつて教の宣伝……教の柱になると()ふ意味です。

 ()(かく)ね、あとは十六神将(しんしやう)に準らへたのではないのか。

 十六神将(しんしやう)に準へたのです。布教させる(ため)ですわ。

 仏教(ぶつけう)の十六神将(しんしやう)仏教(ぶつけう)を弘める(ため)の十六神将(しんしやう)です。

 準らへたことには間違(まちが)ひないね。

 (つま)り祭りですから準へて……。

 各部門の頭と()ふ意味はないと。

 さうです。

 頭と()ふ意味はないと()ふのだね。

 頭と()ふのは、三人程は頭と()ふ意味ではありまへぬけれども、教を立てると()ふ上からは一方の頭になると()ふ……。

 さうか、十六神将(しんしやう)の意味は判らないのだが、十六神将(しんしやう)()ふのはどう()ふ意味かね。

 皆仏教(ぶつけう)にありますが、皆何々(なになに)菩薩(ぼさつ)何々(なになに)神将(しんしやう)を何人連れてとか、増長天は八神将(しんしやう)を連れて()るとか、韋駄(てん)の神は増長天八神の一にして仏法(ぶつぽふ)守護神(しゆごじん)なり、と()ふやうなことは仏法(ぶつぽふ)に書いてある通りで、皆増長天王(てんわう)とか、(あるひ)は持国天王(てんわう)とか、毘沙門天とか()ふ皆一つの仏です。

 矢張(やつぱ)り、それは守り神、守護神(しゆごじん)を連れて()るのです。十六神将(しんしやう)とか、八神将(しんしやう)とか皆連れて()るのです、それを守護神(しゆごじん)と申して()るのです。

 それは、霊界物語(れいかいものがたり)のニ編の第一章攻防の配置と題するところ……。

 どこですか。

 霊界物語(れいかいものがたり)のニ編の第一章攻防の配置、()める方と守る方、それから霊界物語(れいかいものがたり)三編一章の神々(かみがみ)任命(にんめい)()ふ所に十六神将(しんしやう)のことをちよつと書いて()るやうだが。

 さうです、書いてありまつしやろう。

 覚えて()りますか。

 読むことは読みました。

 口述(こうじゆつ)したからか。

 口述(こうじゆつ)した時には覚えて()りませぬもの、神憑(かむがか)りだから。

 神懸(かむがか)りだからか。

 そんなことは別に、宗教的(しうけうてき)問題(もんだい)ではないと思ひます。

 さう()ふ所に書いてあるのを読んで見ると判らぬか。

 頭がもうさつぱり……。

 十六神将(しんしやう)のことだがね。

 其処(そこ)の十六神将(しんしやう)は、(また)(ちが)ひまつしやろ。

 神界(しんかい)の十六神将(しんしやう)でございませう、神さんの世界の……。

 書いてあるか知らぬが、今言つた意味だね。

 えゝ、さうです。


争点 八王八頭

 この八王八頭(やつわうやつがしら)の意味ぢやないのか。

 八王八頭(やつわうやつがしら)()ふことは、それは八岐(やまた)大蛇(をろち)退治(たいぢ)すると()ふのは、頭も八つ尾も八つある──世界中(せかいぢう)大八洲(おほやしま)国と言ひます、こちらの国にもあちらの国にも頭があると()ふのは……

 王と()ふのは英国あたりでは、米国(べいこく)辺りでは大統領、(これ)は頭です、あちらにも頭があり、こちらにも王がある。

 ()八王八頭(やつわうやつがしら)退治(たいぢ)する時節(じせつ)が来たと()ふのです。日本以外(いぐわい)各国(かくこく)主権者(しゆけんしや)です。

 それはに十五回の一問答(もんだふ)に言ふて()るね。

 「八王(やつわう)()ふのは外国の統治者。八頭(やつがしら)()ふのは宰相(さいしやう)のことだ」と()ふ……。

 なんですか。

 外国の統治者は八王(やつわう)宰相(さいしやう)、大臣は八頭(やつがしら)だと申して()りますが、それと同じことか。

 まあさう()ふことです。

 (しか)し、王と出して()りますのはちよつと(ちが)ひますわ。