裁判記録
○素盞鳴尊の神逐再現
○素盞鳴尊の神逐再現(続)
○国常立尊の退隠と素盞嗚の理論の齟齬
○大本祝詞解釈
○修養訓と大教宣布の御詔勅 |
原文はカタカナ書き。カタカナはひらがなに改めた。
また、読点を適宜句読点に改め、なるべく短い段落となるように改行した。内容のまとまりごとに標題を付加した。
争点 素盞鳴尊の神逐再現
問 第三の教義のことに入(りますが、大本(に於(ては、大本(教義(の一つとして、素盞鳴(尊の神逐(再現のことを説いて居(ますね。
答 説いて居(ります。
問 それは此処(に書いてあるが、こちらで読みませうか、
「伊邪那岐(尊の神勅(により、天照大御神(は高天原(、即(ち、太陽界の主宰(神、素盞鳴(尊は大海原(、即(ち、地球の主宰(神と定まり、天津神(と国津神(との区別、歴然(と神定(まりたるを以て、日本は勿論(、全地球は素盞鳴(尊之(を統治すべきものなること右神勅(に依(り明瞭(なり。従つて、同尊及(び其(の御神系(に於(て日本を統治せられたらむには、天孫(瓊々杵尊(御降臨(の必要なかりしものなり。然るに、素盞鳴(尊は諸神(の反抗(を受け、神逐(に逐(はれ、次いて同尊の御子孫(なる大国主命(も、亦(、天孫(に帰順し、天津神(なる瓊々杵尊(降臨(し給ひ、爾来(同尊の御系統(なる現御皇統(に於(て、日本を統治し来り給ひたるも、元来(、国津神(の御系統(の統治すべき日本を、天津神(の御系統(に於(て統治し給ふは、右伊邪那岐(尊の神勅(に背反(するものにして、之(が為(め現代(の如(き優勝劣敗(、弱肉強食(の紛乱状態(を呈(するに至りたるものなり。因(て、至仁至愛(の神、及(び、素盞鳴(尊は、出口王仁三郎(を機関(として顕現(し、現代(の紛乱世界を立替立直(して、至仁至愛(の世と為(すこととなりたるを以て、王仁三郎(は、至仁至愛(の神、及(び、素盞鳴(尊等(の霊代(として、現御皇統(を廃止(し、日本の統治者となるべきものなり」等(とあるが、是(は前ににも、準備の時にも訊(いたが今読んだのは判つたでせう。
答 それは皆問違つて居(りますわ。其(の取り方が違(ひます。
御神勅(の通り行はれて居(つたならば、皇孫が御降りにならなくとも治つたのですけれども、治まらぬやうになつたのは素盞鳴(尊が力がない為(めに、八百万(の神様(が抗して居(つた……
併(し、治めにやならぬ処の、国津神(がさう云(ふ具合(だから、天子様(が又(御降臨(にならなければ仕方(がない。
問 要するに、今本職が読んだ要旨は、第一番目は伊邪那岐(尊の神勅(のことを申したので、天津神(、国津神(の歴然(たる区別是(は先に申した通り間違(ひはないのだらう。
第二番目に於(ては、国津神(たる素盞鳴(尊並に其(の御系統(に於(て、同じく此(の地球を治めたならば、瓊々杵尊(の御系統(がもう御降りになる必要がなかつたのだと云(ふのですが、処(が降臨(したから神勅(に違反して居(る。
世の中は斯(う云(ふ様に紊(れて来たのだ。
それで、元に帰つて、素盞鳴(尊の系統(で治めなければならぬのだ。
其(の霊代(とは王仁三郎(だと云(ふことに……。
答 はあ。
問 はあではない。
答 是(は素盞鳴(尊が治めにやならぬのに、斯(う云(ふことをしたから、今度(は素盞鳴(尊が再び霊となつて現はれて、霊代(に……現はれて私の身体(を霊代(として、そして今度(は世界の八岐(の大蛇(を退治(して、天孫(に忠誠の心を致(すと云(ふ意味が書いてあるのであります。
問 書いてあるぢやないか……。
答 ……が、其(の意味なんです。
素盞鳴(尊が今度(現れると云(ふことは、八岐(の大蛇(を退治(する御用(に出ると云(ふことです。
問 世界革正の為(めにか。
答 素盞鳴(尊と云(ふ言葉(は、神道(の講義に依(りますと、素盞鳴(尊は推進力、正義(の推進力と云(ふのを素盞鳴(尊と申上(げるのだ。
今日(の日本は神須佐之男命(は……建速(須佐之男命(は武器(を持つて戦を進めて行くのだ、今日(の支那(に対するのは、それは素盞鳴(尊であつて、今度(は、建速(須佐之男命(で、終(ひには日支親善、東洋(平和の為(に神須佐之男命(になる。
今度(、愈々(、素盞鳴(尊が働いて居(ると云(ふことになる。
今の日本の皇軍は素盞鳴(尊の……神須佐之男命(やと云(ふことになるのです。
問 さうか、「天津神(、国津神(は神勅(に依(つて、歴然(たる区別があること、瓊々杵尊様(の統治なされて居(る現世(が紊(れて居(る」と云(ふことも認める訳だな。
答 さうです。
問 神勅(に違反して居(ると云(ふことはどうなるのだ。
答 其(の時に素盞鳴(尊は違反したのだ。
問 神勅(に違反して居(るから、紊(れたと云(ふことは、どうなるのです。
答 神勅(に違反したと云(ふことは……素盞鳴(尊は神勅(に違反した基です。
それやから、天孫(が御降臨(になつたのです、それで紊(れて来てしまうたのです。
問 神勅(に違反すると云(ふことを誤解(していけませぬよ、「国津神(で治めるべき所を天津神(で治めたから紊(れた」と云(ふことが書いてあるが……。
答 書いてあるのが間違(つて居(ります。
問 予審の調書で決定(の通りのことを言うて居(るがね。
答 私はそんなことは知りまへぬ。そんな意味ぢやないのです。
問 神勅(に違反の点は認めない訳だね。
答 神勅(の違反は素盞鳴(尊が違反したのです。
問 「現世(が紊(れて居(る」と云(ふのは、どう云(ふ理由だと云(ふのだ。
答 其(の理由は神様(の為(の理由ぢやない。
唯(、国常立尊(があれ(して、蔭(から護(る神がなくなつたから、すつかり優勝劣敗(になつたと云(ふのです。
問 それは体主霊従(ですか。
裏から云(へば、国常立尊(の──体主霊従(……。
答 さうです。
此(の世の中が、全部(、体主霊従(になつてしまつたから紊(れたのです。
問 それで其処(迄(判りました。
今度(はどうすると云(ふのだ。
其(の決定(に書いてある処を見ると、「素盞鳴(尊が現れて立替立直(をする」と、斯(う云(ふのだが。
答 そんな、素盞鳴(尊の形のない霊界(のものが、実際現れて、現界(の政治をすると云(ふやうなことに解釈(するのが、間違(うて居るぢやありませぬか。
問 ありませぬかぢやない。お前に訊(かなければならぬのだが。
答 私は違(うて居(ると思ひます。
最前申したやうに、素盞鳴(尊は霊界(……。
問 それを云(ふのだつたら素盞鳴(尊は霊界(……現界(だから、瓊々杵尊(と素盞鳴(尊は現界(の……生きた人。
答 けれども今は神界(である。
問 それは判つて居(る。
素盞鳴(尊はどうすると云(ふのだ。
答 移つて来て総ての教をして、蔭(から皇軍を守り、日本を護(ると云(ふのです。
どうして守るかと云(はれても、それは判りまへぬのであります。
問 現在の世の中を、どうする斯(うすると云(ふのぢやないのか。
答 守つて良い方に進めて行くと云(ふのです。
日本が世界の宗主国(になるやうにするのが、素盞鳴(尊の仕事なんです。
今度(は改心(して、素盞鳴(尊が忠義(を尽すと云(ふことになつて居(る。
問 それが王仁三郎(に顕現(してやるのか。
答 私に直接移つて知らすと云(ふのです。
移つて来た間だけが素盞鳴(尊の霊代(です。其(の他の時は何でもありませぬ。
素盞鳴(尊にばかり体を藉(して居(るのぢやありませぬ、他の神様(にも体を藉(して居(るのであります。
争点 素盞鳴尊の神逐再現(続)
問 其(の位(にして置きませう。
それで、此(の神勅(違反の点は珍(らしいことを云(うて居(るやうだが、「至誠(殿落成式所感」と云(ふ曩(に示したのに斯(う云(ふことが書いてあるのだ。
「天孫(が御降臨(なさらないでも、此(の国は伊邪那岐(、伊邪那美(の神様(の御神勅(が行はれて居(つたならば、天孫(の御降臨(の必要はないのである」と云(ふことを書いて居(る。
答 其(の通りです。
問 まあお聴(き。
之(に、「神勅(の通りならば、降臨(がなくても宜(いのだ」と云(ふことを書いて、「是(は伊邪那岐(尊の神勅(が行はれなかつたのであるから、天孫(降臨(は伊邪那岐(尊の神勅(に反する」と云(ふことを蔭(の方から言ふて居(るのぢやないか。
答 それは違(ひます。
神勅(が行はれなかつたと云(ふことは、素盞鳴(尊が弱かつた為(めに、行はれなかつたので、それで、若(し強かつたなら神勅(の通り、お降りにならなくても宜(かつた。弱かつたから御心配(になつて神勅(をお下しになつて、お降りになつたと云(ふ意味です。
問 さう云(ふ意味ぢやありませぬよ、二十二回の二問答(に──違(ひますな。
答 私が言ふたのぢやありまへぬ。
問 もう一つ斯(んなことを言うて居(る。
王仁三郎(の二十三回の一問答(の所に、斯(う云(ふ事実(があつたやうに書いてある。
「昭和五、六年頃に、王仁三郎(は谷村(正友と云(ふ人に対して、地の世界は伊邪那岐(尊の神勅(に依(り、素盞鳴(尊の統治することを定めて居(りますから、同尊の霊統(に依(り統治すべきものである。天津神(である天照大神(が瓊々杵尊(を主宰(神と定めて降臨(せしめられたのは、権限外のことをなされたのである」と云(ふ趣旨(のことを話して居(ます。
答 それは言うて居(りまへぬ。向ふが勝手(に書いて行かれたのです。
問 お前が言うたと云(ふやうに……。
答 片つ方の相手(が死んでしまうて居(るし、書いてあるのだと言やはるから仕方(がない。証拠(のないことだから認めて貰(へまへぬ。全部(違(うて居(りますわ。
問 権限がないと云(ふことは、神勅(違反と云(ふことになる訳ですね。
答 権限も何も、そんな話をして居(ない。
古事記(