裁判記録
○ミロク神政の定義
○浅野正恭なんかは、六、六、六を三つ合せてミロクと言つて居る。
○予言の本に出てくる、海底に電信局ができるという場面がある。 |
原文はカタカナ書き。カタカナはひらがなに改めた。
また、読点を適宜句読点に改め、なるべく短い段落となるように改行した。意味のまとまりごとに標題を付加した。
思想 ミロク神政の成就
午後二時三十分開廷
裁判長 それぢや王仁三郎(、引続(いて訊(ねるが、腰を掛(けて聴(いて居(つて宜(しい。
大本(の所謂(ミロク神政(の成就(と云ふことは如何(なることを──言ふのですか。
答 それは、神様(の教が愈々(公然と天下(に布教出来(るやうになることをミロク神政(成就(と言ふたのです。
さうして又(一方には……。
問 ちよつと……神様(の教が何だ。
答 神様(の教が公然と許されるやうになつた暁(がミロク神政(が成就(したことになる。
それで私の詰(り……。
問 もう少し敷衍(して──ちよつとまだ解り難い。神様(の教が──。
答 詰(り是(は神と云ふものは愛の神様(です。
ミロクと云ふことは浅野正恭なんかは、六、六、六を三つ合せてミロクと言つて居りますけれども、ミロクと云ふことは、印度(ではマイトレーヤと云(ひ、蒙古(ではアイダリプロハラ、支那(では弥勒(と云(ひ、詰(りミロクと云ふことは愛、神は愛なり、仁愛(と云ふことをミロクと訳した。
此(の神様(の教が天下(に拡まつて来たら、所謂(日本の神様(の教が拡まつて来たら、私は日本の神様(の教を俟(つて、総て宗教界も云々(と云ふやうに言つて居りますけれども、本当は日本の総ての天津神(、八百万(の神様(は皆愛の神様(です。
仏法(で言ふと、皆総ての神様(は観音様(と言つて居(る所もありますし、弥勒(さんと言うて居(る如(くに、こちらではミロクの神と云ふことを一方では八百万(の神を一緒(にして大本(皇(大神(と称(して居(る。それでそれがミロクさんです。
ミロクさんと云ふのは愛の神さん、特定(の神ぢやありませぬ。
ミロクの世となると人も全部(がミロクになると云ふのが、是(が愛の世の中です。愛の教が立つて行くのがミロク神政(成就(で、それで是(が公然と……。
問 愛の神様(の教が立つて行くことを言ふのか。
答 皆(がそれを信ずるやうになつて、始めてミロクの世が完成(したのだ。
世界一般の人が教を信ずるやうになつて来てミロクの世が樹立(したことになるのです。
問 現界(のことか、霊界(のことか。
答 それは精神界(のことですとも、教の方ですから──。
問 みろく神政(成就(と云(ふことは精神界(のことを言ふのですか。
答 宗教界のことを……。
問 現界(のことは関係せずにか。
答 現界(のことは何も関係がありませぬ。
固(より、弥勒(と云(ふ名がある程だから、現界(の人ぢやありませぬ。
問 そこで、ちよつと矛盾(を来すのだが、準備手続(に於(ける被告人の答へた時は、斯(う云(ふことになつて居(つたがねー。
「みろく神政(成就(と云(ふのは、天界(に於(ては日本の神が世界を統一(すること。現界(に於(ては日本の天皇陛下が世界を統一(し給ふことを言ふのだ」と言ふて居(るが……。
答 それもさうです。総てのことにミロクが掛かつて居(るのだから──。
問 現界(のことを言ふのか。
答 現界(のことやなしに、総て精神的(のことが本です。
問 さうぼかしては困る。
答 日本の天皇陛下の御稜威(が各国(の人に行亘(り、精神的(に行亘(つたのがミロクの世であり、天(の神様(が総てを統一(されたのがミロク神政(成就(です──斯(う云(ふ意味です。
問 現界(のことを言ふのか、先づ第一にそれを訊(ねます。
答 現界(のことは言はない。
問 此(の前の準備手続(に言うて居(るぢやないか。
答 現界(で言へば、天皇陛下が統一(されることであり、霊界(で言へば霊界(の神様(が──日本の神様(が統一(されることである。
それで今支那(の戦争(でもロシアとやりかけて居(ることでも、是(は皆世界統一(のミロク神政(成就(の橋掛(けなんです。初まりなんです。
私はさう信じて居(る。
問 一番……それぢや、一番初めの答は霊界(のことを言うのだね。現界(で言へば、日本の天皇陛下が世界を統一(し給ふことを言ふのだと云(ふことは、例(だな。
併(し、惟(ふに、中心点(は仁愛(の神──霊界(の神の教が行はれることになるのがミロク神政(成就(と言ふのだな。
是(は言葉(を換へて言へば、斯(うなると言ふのだね。
答 日本の天皇陛下は仁愛(の方です。
総て今度(の戦争(も仁愛(から起つて居(る。
疲(れて頭がごてくしてしまつて、頭が判らなくなつちやつた。腹下りをして居(るものですから、さつぱり頭がわやになつてしまうて(と水を飲む)……あのね、矢張(り公認教になることもミロク神政(成就(なんです。
問 一つの階段だね。
答 はい、大きくあつても小さくあつても皆ミロク神政(です。
五十六億七千万年後でなければミロク様は出ないのだ。
それを待望して居(るのですから。
問 実際問題(として、公認教となることも矢張(りミロク神政(成就(……。
答 ミロクの教をするのですから、ミロクの神政(をなさるのですから、国土(成就(と云(ふやうなちよつとしたことでも成就(で、大きなことでも成就(。大本(が公認教になるのもミロク神政(成就(。愛の神様(の教が成就(した……是(は唯(大本(だけの成就(ですけれども。
問 大本(だけのミロク神政(成就(だね。
答 世界が成就(になるのはまだ/\です。
問 もつと大きな所に眼を着けて居(るのだらう。
答 小さく大本(だけに付て言へば……。
問 所が此(の決定(の──予審終結決定(の趣旨(に依(りますと、「ミロク神政(成就(と云(ふのは、我(が日本に関する限りに於(て、王仁三郎(が畏(多くも日本の現御皇統(を廃し奉(り、日本の独裁君主(になると云(ふことを言うて居(る」やうに書いて居(るね。
答 そんな畏(多いことは申しませぬ。御書きになつたのです。御書きになつて判を捺させられたのです。
問 併(しさう云(ふ趣旨(になつて居(るのだがね。
答 それでも、私は申しませぬ、首が千切(れても、そんなことは申しませぬ。
問 違ふのだね。
答 はい。
問 それから、さうすると……
答 誰々が斯(う言うて居(るから、斯(うぢやろと言つて御書きになつたのですわ。
問 茲(に王仁三郎(全集の第一巻の三百四十九頁に「皇道(維新(に就て」と云(ふことを書いたのがあるね。
それから、証拠(品第五百七十九号、大正(六年三月発行(の神霊界(に「大正(維新(に就て」と云(ふことを書いた所があるね。
それから、証拠(品の千九百七十二号に「皇道(維新(と経綸(」と書いたものがある。
それから、証第四千二百二十七号、瑞祥(新聞(の昭和八年の皇道(大本(の目的を説いた本がありますね。
是(は何れも、「皇道(大本(の内容は良いものだ」、全部(大体(同じやうなことが書いてある。
何れも之(を読んで見ると趣旨(は変つて居(らぬやうに思ふが、特に一番新しい部分(には皇道(大本(の目的をはつきり書いて居(るから、之(を一遍(訊(いて見たい。
皇道(大本(の目的は……。
答 私が書いて居(りますか。
(此(の時記録(を示す)
問 大部書いて居(るね。
ミロク神政(成就(のことに付て。
答 是(は此(の通りに決つて居(ります。
是(は、「天皇陛下が斯(うなさると云(ふことが皇道(大本(の目的である」と云(ふことが書いてある。
是(は私はちよつとも悪いことぢやないと思ひます。
後に書いてあるのは同じ内容を……。
争点 王仁三郎は天津日嗣か
問 そこで訊(くのだが、「畏(くも天下(統治の天職(を惟神(に具有し給ふ天津(日嗣(天皇の御稜威(に依(り奉(るのである」と云(ふことが書いてありますね。
此(の天津(日嗣と云(ふのは誰を指すのか。
答 現天皇陛下です。
天照大神(の御延長(ですから──それを高橋はんは私のことを言ふのだらうと言つて肯(かないのです。
外(でもさう言はれたが、こんな無茶なことはありまへぬ。
それで、我(が国は詰(り大家族(制度(です。一君万民(の国です。
問 此処(に書いてある天津(日嗣(天皇と云(ふ、是(は誰を指すかと云(ふことに付ては、大正(六年の十二月、神霊界(六の十二頁、それから火之巻(の四百十三頁、それから天之巻(の六十五頁に書いてある。
是等(のことを総括(して訊(ねるが、若(しさう云(ふことになつて居(るとすれば、王仁三郎(は撞(の大神(の霊代(だと云(ふことになれば、天津(日嗣(と云(ふのは矢張(り王仁三郎(を指すことになりはしませぬか。
答 そんなことはありませぬ。
問 ならぬか。
答 なりませぬ。能(く調べて見て下さい。
大本(のことを言うて居(るのですから、国の本を言つて居(るのです。
其(の中にある主・師・親と云(ふことは、日本の天皇様は主であり師であり親であると云(ふことは、大石凝(先生の説です、天津神(と云(ふことは……撞(と云(ふことは天照大神(の精霊(です。天之御中主尊も天之神(、又(は撞(の神とも略して居(るのです。
問 それから皇道(大本(の信条(の昭和八年のあれに依(ると、第三条に、「我等(は皇孫命(天照皇大神の御神勅(に拠(り、豊葦原(中津国(に天壌無窮(の宝祚を樹立(し給ひ、世界統一(の基礎(を確立(し給へることを信奉(す」とあり、それから、第四条には、「我等(は皇上陛下が万世一系(の皇統(を継承(せられ惟神(に主・師・親の三徳を具へて世界を知ろし召さる、至尊(至貴(の現人神(に坐(ますことを信奉す。」斯(う云(ふことになつて居(りますね。
答 さうです。
問 さう云(ふことに依(ると天津(日嗣(と云(ふことは王仁三郎(を指すことにならないかね。
答 そんなことはありませぬ。頭でそんなことを考へるだけでも、口で言ふだけでも、亦(思ふだけでも、畏(多いぢやありませぬか。
我々(は国民(の一人です。腐(つても国民(です。そんなことは思ひもしませぬ。之(を証明するには本があります。けれども、私はさう思はれるのは悲しい。
問 別に思つて居(る訳ぢやない。
答 さう云(ふやうに思はれたから、腐(れ事件を起されたのです。「日嗣(とか云(ふことは御前(のことを言ふたのぢや」と、無理(に判を捺させられて私は困つてしまひました。
畏(多いことを言はれたので私は……。
問 金輪王(と云(ふのは誰を言ふたのだ。
答 是(は仏法(の中の金輪王(と云(ふのです。
問 金輪王(と云(ふ俳名を使つたことはありませぬか。
答 ありませぬ、私はペンネームは沢山(ありますが、金輪王(なんと云(ふのはありませぬ。
問 さうか。
答 さう云(ふ俳名を書いたものは、私は知りまへぬが、書くのを止める訳にいかしませぬ。
問 さうすると是(はどうなるのだね。
天之巻(の五頁に、宜(いかい、「綾部(よくなりて末で都と致(すぞよ。福知山(、舞鶴(は外囲ひ、十里四方(は宮の内。綾部(は最中(になりて金輪王(で世を治めるぞよ」是(はどう云(ふ訳だ。
答 それは神都(の意味であつて、あそこは都になりさうな所ではない。狭い所で竿竹が山から山に掛かるやうな所で、あそこが都になると云(ふことはない。
私が行つた時分(には、教祖(が書いた其(の時分(には家がなかつた。今は二千戸位(になつた。それが神の都になつたのであると云(ふことで、それで神の都になると云(ふことを言つたのです。
予言 地下の町
問 天之巻(の四頁に、「東京は○○になるぞよ」、「長くは続かぬぞよ」と云(ふのがあるが、是(は判らぬね。
答 薄野(になると云(ふことは、今日(の総て政治家(でも言うて居(ることぢやないかと思ひます。
私は空襲なんかで、昭和五十年になつたならば、東京はすつくり薄原(になつて、其(の地下に町が出来(る、地下にすつくりなつてしまひます。
それは、地下に住居(が出来(て、飛行(機が来ても判らないやうに、ちやんと国防(上さうなる。段々(世の中の科学(が進んで来る。
問 「長くは続かぬぞよ」と云(ふのは……。
答 四十年も先へ行けばさうなる、と云(ふのです。
問 「長く続かぬぞよ」と云(ふことは亡びるやうに思はれるが。
答 今の陸上(の東京は続かないけれども、四十年も先へ行けばもう総て科学(は進んで来て、海の中へ迄(電信(局が出来(ます。海底(迄(──私はそれを予言(して置きます。見て居(りますから。
問 見た……。
答 霊界(で見た。海の中迄行つたことを見たのであります。
是(は私は決して嘘(ぢやないと思ひます。
若い人があつたら、それを覚えて置いて貰(ふたら判ります。
争点 金輪王
問 金輪王(と云(ふことは、是(は……。
答 金神(が治めると云(ふことです。
問 予審に書いてあることは矛盾(するから訊(かなければならぬ。
弁解を訊(かなければならぬことがあるから訊(くが、五十三回の五問答に於(て、「昭和十年の十月初め頃、瑞祥閣(に於(て、東尾と桜井重雄(に対して、自分が金輪王(となつて世界を統治する者であると云(ふことを話したことがあるやうに思ひます」と云(ふやうに……。
答 「言うたやろ」と仰(しやるから、さう言はなければ、どう言ふたつてあかしまへぬが……。
(此(の時、証拠(を示す)
問 此(の金輪王(と云(ふ額は……。
答 是(は龍田と云(ふ人が書いて来たのです。筆先(に金輪王(と云(ふことが書いてあるから書いて来たのでせう。
此(の人は米一粒に百人一首(の歌を書く人です。
問 もう一つだけ……沢山(ありますが、天之巻(の二百十三頁の「誰にも解らん大望(な言ふに言はれず、説くに説かれん水火(の経綸(であるから」とあるが、是(はどうだ。
答 「説くに説かれん」と云(ふことは、言葉(で書けない、意味が言はれない、意味が余り深くて人間の言葉(で現す言葉(がないと云(ふ所が多い。それを大袈裟に書いたのです。
火水(と云(ふのは、生きて居(ると云(ふことですから、総て世の中は火と水で出来(て居(ると云(ふことです。
問 難しくて言はれぬと、斯(う云(ふのですね。
答 まあ、言うたら、坊主(の頭みたいなものです。
問 それで、今、矛盾(せぬかと云(ふて訊(ねたことも、是(も違(ひますと云(ふ訳だな。
第十四回の一問答で本職が訊(ねたやうなことを答へて居(るね。
答 どう云(ふことを……。
問 「日本の君主(になるのが大本(の目的である」と云(ふことが書いてあるやうだが。
答 そんなことは申しまへぬ。勝手(にそんなことばかり言はれたのです。
争点 立替立直(1)
問 それぢや、次の問題(に入(ります。
大本(の所謂(立替立直(と云(ふのはどう云(ふ意味ですか。
答 大本(の立替立直(と云(ふのは、世の中のことが革新する、改まつて行くと云(ふことが立替立直(。
家の立替立直(と云(ふことは所帯の持直しを言ふ。
立替立直(の大きなことは世界のことであり、小さく言へば家で、日本で言へば今日(直(ぐにも自由経済(が統制経済(になつたのも、是(も詰(り言うたら立替立直(になつたのです。
或(は国民(精神総動員と云(うて皆に自分の勝手(にならぬやうに、自由にならぬやうになつた。
国家(の為(に全体(となつて、陛下の為、或(は国家(の為(に、皆国民(が一つになつて行かうと云(ふ、是(も立替立直(なんです。
問 それは実例を挙げて答へたやうだが、纏(めて言ひますと、立替立直(と大本(で言つて居(るのは、体主霊従(の現在の世の中を破壊(して、霊主体従(の世の中になすことを立替立直(と云(ふのぢやないか。
答 破壊(するのぢやありませぬ。改めさせるのです。
問 破壊(ぢやない……。
答 体主霊従(の世の中を改めさせ良くさせて、霊主体従(の世の中にすると云(ふのです。一口に言へば、英国辺(りの体主霊従(です。
支那(へ行つても、利益(の為(ばかり考へてやつて居(ります。我好(しです。
併(し、日本はさうぢやありませぬ。日本は支那人(を助けてやつて、東洋(平和の為(にやつてやる。霊主体従(です。
問 よし、さうすると──。
答 日本のやり方は立替立直(のやり方です。