物語78巻「グロスの島」と広島、および御巣鷹山での日航機墜落


物語78巻「グロスの島」の話は、日本の第二次世界大戦の敗戦を描いたものだと思われる。

グロスの島は、火で焼かれ、その後曲津が掃討され、天津神と国津神の交代が行われる。
この島は、後に葦原新国と呼ばれるようになり、古事記では葦原中つ国は日本であるので、日本の象徴であろう。

(1)広島

さてグロスの島の東側には鷹巣山がある。鷹巣山は「たかしやま」とルビが打たれている。

万里の島は地名御来矢と王仁三郎の歌碑から大山周辺であると比定される。

そこで鷹巣山を調べてみた。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
鷹巣山(たかのすやま)
■鷹巣山 (青森県) - 青森県 中津軽郡 西目屋村 にある標高335mの山。
■鷹巣山 (花巻市) - 岩手県 花巻市 にある標高432mの山。
■鷹巣山 (釜石市) - 岩手県釜石市 にある標高343mの山。
■鷹巣山 (茨城県) - 茨城県 北茨城市 にある標高559mの山。
■鷹巣山 (神奈川県) - 神奈川県 足柄下郡 箱根町 にある標高834mの山。
■鷹巣山 (長野県) - 長野県 飯田市 にある標高1,444mの山。
■鷹巣山 (広島市) - 広島県 広島市 にある標高647mの山。
■鷹巣山 (東広島市) - 広島県東広島市 にある標高534mの山。
■鷹巣山 (廿日市市) - 広島県廿日市市 にある標高614mの山。
■鷹巣山 (北広島町) - 広島県山県郡 北広島町 にある標高700mの山。

鷹ノ巣山(たかのすやま)
■鷹ノ巣山 (岩手県) - 岩手県 気仙郡 住田町 と一関市 にまたがる標高972mの山。
■鷹ノ巣山 (秋田県) - 秋田県 横手市 と由利本荘市 にまたがる標高401mの山。
■鷹ノ巣山 (山形県・新潟県) - 山形県 西置賜郡 小国町 と新潟県 村上市 にまたがる標高911mの山。
■鷹ノ巣山 (新潟県) - 新潟県魚沼市 にある標高1,623mの山。
■鷹ノ巣山 (群馬県) - 群馬県 北群馬郡 榛東村 にある標高956mの山。
■鷹ノ巣山 (東京) - 東京都 西多摩郡 奥多摩町 にある標高1,737mの山。
■鷹ノ巣山 (静岡県) - 静岡県 熱海市 と田方郡 函南町 にまたがる標高672mの山。
■鷹ノ巣山 (石川県) - 石川県 輪島市 にある標高280mの山。
■鷹ノ巣山 (和歌山県) - 和歌山県 田辺市 にある標高585mの山。
■鷹ノ巣山 (鳥取県・岡山県) - 鳥取県 日野郡 日南町 と岡山県 新見市 にまたがる標高710mの山。
■鷹ノ巣山 (東広島市・安芸高田市) - 広島県 東広島市 と安芸高田市 にまたがる標高922mの山。
■鷹ノ巣山 (広島県安芸太田町) - 広島県山県郡 安芸太田町 にある標高989mの山。
■鷹ノ巣山 (島根県・広島県) - 島根県 浜田市 と広島県山県郡北広島町 にまたがる標高943mの山。
■鷹ノ巣山 (福岡県・大分県) - 福岡県 田川郡 添田町 と大分県 中津市 にまたがる標高979mの山。

また、「鷹巣、高須は別所と同じ地名のようです」とある次のページでは、この地名がエミシと関係がありそうとのことで興味を抱かせる。

http://www5.ocn.ne.jp/~iyasi/takanos.htm

「たかしやま」についてはインターネットでは見つからない。
高師山は豊橋市にある丘の名前である。愛知県の歌枕にもなっている。
この「高師」で検索すると、「広島高師 山男の歌」というのが引っかかった。広島高等師範学校だから、高師は「こうし」と読むのではないだろうか。
この歌は有名なものらしく、王仁三郎の時代からあるものだろう。
他にも漢字はありそうであるが、将来の課題としておく。

私は万里の島が大山であれば、グロスの島は海であれば壱岐、もしくは、素戔嗚尊が八岐大蛇を退治した斐伊川方面だと思っていた。
それであれば、鷹ノ巣山(島根・広島)が候補としてあげられると思っていたが、鷹巣山は広島に多いことが気になる。
方角は違うが、グロスの島は広島であってもおかしくない。
広島は原爆で焼かれ、悲惨な姿となる。

 かく御歌もて応へ給ひつつ初頭比古の神は、朝香比女の神の御手よりうやうやしく燧石を受取り、荒金の如き石もて燧石を、神言を奏上しつつカチリカチリと打ち出で給へば、真火は辺りに飛散し忽ち幾年ともなく積れる萱草の茂れる根もとの枯草に真火は移りける。折しもあれ、海面よりはげしく吹き来る風に吹きまくられ、見る見る四方八方にひろごり、紅蓮の舌は四辺かまはず、木も草も生物もあとを絶てよとばかり舐めまはりける。
 幾千里に亘る大原野は、見る見る黒焦げとなりて彼方此方に竜神、大蛇、猛獣等の焼け亡びたる姿、天日に曝され、無残の光景をとどめけるにぞ、御樋代神は四柱の神に命じて各自その遺骸を土中に埋めさせ給ひつつ、数多の月日を費し給ひけるぞ畏けれ

広島で焼かれた人たちは「竜神、大蛇、猛獣」ではないが、この表現は物語の中では具体的なものである。

その後、「天降地上」(国津神と天津神の交代。為政者の交代)が行われるので、グロスの島は、小範囲では広島、大範囲では日本の二重イメージになっていてもおかしくはないだろう。

さて、原爆と言えば『裏金神』(西郷武士)という本があるが、この本では「神としての王仁三郎が原爆を送り出した」という仮説にのっとっている。
朝香比女が火をつけさせるのだから、文脈としては合うと思う。

私は歴史観が違うためこの説には賛成できないが、なぜ、この本ではこの部分に触れていないのだろうか。

『裏金神』ではグランド・クロスもとりあげているが、「第六章 焼野の月」では、グランド・クロスの星の位置も明確に出ているというのに。

(2)飛行機と鶴
さて、私が鷹巣山(たかしやま)の字面を見て感じたのが、御巣鷹山(おすたかやま)だ。
日航機ジャンボの墜落現場。
乗客は当然「竜神、大蛇、猛獣」であるはずが無いが、現場の写真などを見ると、「焼け亡びたる姿、天日に曝され、無残の光景をとどめけるにぞ、御樋代神は四柱の神に命じて各自その遺骸を土中に埋めさせ給ひつつ、数多の月日を費し給ひけるぞ畏けれ。」という感じだ。

物語78-1-4 1933/12 天祥地瑞巳 焼野の行進

グロノスやゴロスの潜むこの島は  鳥の鳴く音も悲しげに聞ゆ
真鶴は翼揃へて鷹巣山の  尾根をよぎりつ近づき来るも
この島も真鶴数多棲みけるか  翼の音の近づき来るも

WIKIに想像図があるが、尾翼に鶴がしっかりと描かれている。

WIKI 御巣鷹山

この歌が出てくる前には次のように飛行機も出てくる。

物語78-1-3 1933/12 天祥地瑞巳 グロスの島

 御前に畏み願ぎ奉る  うすき冬陽の輝ける
 蒼雲閣の清庭に  吾立ち居れば大空を
 轟かせつつ三台の  飛行機来りて舞ひ狂ひ
 非常時日本の光景を  しみじみ吾に思はせり
 ああ惟神々々  わが述べてゆく物語
 生言霊の幸はひて  非常時日本を救ふべき
 よすがとなれば道の為  御国の為の幸はひと
 謹み敬ひ述べてゆく  吾言霊に幸あれよ
 吾言霊に生命あれ。

 朝香比女の神の乗らせ給へる磐楠舟は、大小の島々を右に左に縫ひながら日の黄昏るる頃、曲神の集まると聞えたるグロスの島に近より給へば、名にし負ふ曲神の島は俄に黒烟を四方に吐き散らし、海面を闇に包みて御舟さへ見えずなりにける。
 このグロスの島には、ゴロスと言ふ猛悪なる大蛇の神棲息して、数多の醜神を使役し、隙あらば総ての島々を侵さむとしつつ待ちかまへ居たるに、今ぞ御樋代神の御舟、この島に近づきければ、グロスの島の曲津神グロノス、ゴロスの二巨頭は、あらゆる曲神を呼び集め、必死となりて御舟の近づくを妨害せむと伊猛り狂ひける。
 朝香比女の神は御歌詠ませ給ふ。
『二百浬吾(にひゃくカイリ)渡り来て黄昏れつ
  グロスの島に近づきしはや

この二百海里も気になる単語だが、この制定は1977年である。

次の4章に、上で引用した歌があり、その後、曲津を焼くために、火打ち石で原野に火を付け焼くことになる。

物語には「飛行機」という単語はかなり出てくる。
うろー検索

鳥山(兵庫県神戸市)では、次のように「墜落」などという文字も出てくる。

物語22-4-14 1922/05 如意宝珠酉 初稚姫 

スマート『オイ、カナン、嫌らしい事を云ふぢやないか。散々悪口をつかれ、危ない目に遇はされた俺達に向ひ、礼を云つて呉れと吐しやがる。この御礼は中々骨があるぞ。確りして居らぬと、中空より飛行機墜落惨死の幕が切つて落されるかも知れない。困つたものだなア』

飛行機という単語は天祥地瑞には物語の文脈では出てこない。引用した箇所だけであるが、歌の中で、口述している時に飛行機が来たという状態を述べるところである。

(3)グロスの島と出雲
万里の島が大山であれば、グロスの島は出雲地方にあってもおかしくない。
それを検討する。
グロスの島に出てくる地名を当たる。

忍ケ丘は大阪
忍ケ丘(地図)

中野川
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

中野川 (七戸町) - 青森県上北郡七戸町を流れる高瀬川水系の河川。 
中野川(桃園川) - 東京都を流れる桃園川の中野区内での別名。 
中野川 (新潟県) - 新潟県を流れる河川。 
中野川 (山梨県) - 山梨県を流れる河川。 

中野川については「中の川」ということで固有名詞ではないのではないだろうか。
出雲に比定すれば斐伊川がちょうど中を流れているように見える。

グロスの沼については該当する地名は日本にはないだろうが、大きいように書かれているので出雲には宍道湖がある。

桜ヶ丘については、固有名詞ではなく「桜の咲く丘」という意味ではないだろうか。

常盤の浜は該当しそうなものがない。島根には益田市常盤という地名がある。いつからの地名かは不明。
広島市には常盤橋というのがある。これは、王仁三郎の時代からあるもの。
WIKI(常盤橋)

さて、出雲には鳶が巣山という山がある。
出雲の平田地図

http://www.geocities.jp/biotop21/tobi.htm

鳶が巣山の近くに武志(たけし)という地名も近くにある。
武志の宮は20巻に出てくる。
http://reikaimonogatari.net/index.php?obc=rm2001

鳶が巣山は小さな山であるが大本地恩郷と出雲大社の真ん中あたりにある。

グロスの島の話の中心は天津神と国津神が交代する「天降地上」にあるだろう。
その場合、口述された時点での未来を書いているとすれば、天皇制崩壊を示唆するものと解釈されるかも知れない。
そこで、古代の話として国津神が天津神による「国譲り」にかこつけたとすると、グロスの島が出雲であるのはそのためではないだろうか。

「天降地上」では天津神と国津神は交代するが、至聖である葦原比女は交代しない。
葦原比女は主の神の直系であるので交代するはずがないのであるが、このあたりも検閲に対する配慮ではないだろうか。

(4)結論
朝香比女は常盤の浜からグロスの島を離れ次は、厳島(いわしま)に行く。
厳島は普通のルビでは「いつくしま」であろう。

このように考えてくると、グロスの島が広島に比定できるような気がするがどうだろうか。
グロスの島の話で一番知りたいのがグロノス、ゴロスは何か・誰かということだが、まだまだ、私には見えてこない。
将来の課題としたい。

2014/4/4 初稿
2014/12/28 校正
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