出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語78-3-171933/12天祥地瑞巳 天任地命王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
詳細情報:
場面:
忍ケ丘
あらすじ
 朝香比女の神一行の立会のもとで、葦原比女の神は忍ケ丘の聖所に主の大神の斎壇を造らせ、祝詞の声も恭しく、天津神、国津神、十柱神の神任式の祭典を盛大に行った。
 天津神の処遇としては、真以比古の神は西国土、成山比古の神は南の国土、霊生比古の神は東の国土、栄春比女の神は北の国土、八栄比女の神は忍ケ丘の国津神を守ることとなった。
 ここにいよいよ葦原の国土の新生命は輝き初めた。
名称
朝香比女の神 葦原比女の神 清比古の神 栄春比女の神 高比古の神 霊生比古の神 照比古の神 成山比古の神 野槌比古の神 晴比古の神 真以比古の神 八栄比女の神
天津神 国津神 主の大神 曲津見
愛善 葦原の国 貴身 忍ケ丘 紫微天界 鷹巣の山 禊の神事 御樋代 小身
 
本文    文字数=11252

第一七章 天任地命〔一九七三〕

 茲に葦原の国土の守り神と生れませる葦原比女の神は、天体に現はれし月星の奇現象に三千年の天地の時到れることを、鋭敏なる頭脳より証覚し給ひ、大勇猛心を発揮して、天津神等を一柱も残さず地に降し、また地に潜みたる神魂の清き国津神を抜擢して、天津神の位置につらね、国土の政治一切を統括せしめ給ふ大英断に、朝香比女の神は感激し給ひ、諸神に向つて宣示的御歌を詠ませ給ふ。その御歌、

『天地の開けし時ゆためしなき
  今日の動きの大いなるかも

 天地も一度に動く心地かな
  国土の司の昇り降りは

 荒金の地を拓きて御日光は
  天津御空に昇りましける

 天渡る星は御空の高きより
  降りて地にひそむ夜半なり

 葦原比女神の神言の英断を
  主の大神も嘉しますらむ

 二十年の曇り汚れも今日よりは
  隈なく晴れて月日は照らむ

 神々の水火の曇りの強ければ
  天津御空に黒雲立つも

 新しき国土の生れし今日よりは
  葦原の国土はゆたに栄えむ』

 葦原比女の神は御歌詠ませ給ふ。

『御光の神の現れます忍ケ丘に
  国土の司を定めけるかな

 国津神を天津神とし天津神を
  国津神とし稚国土生まむ

 国津神を言向け和すとこの丘に
  神を祈りて千代を祝はむ』

 かく宣り終へ給ひて、国津神もろもろに命じ、忍ケ丘の聖所に主の大神の斎壇を造らせ、祝詞の声も恭しく、天津神、国津神、十柱神の神任式の祭典を盛大に行はせ給ひける。
 野槌比古の神は葦原比女の神の御前に、恐る畏る進み出で、歌もて答へ給ふ。

『葦原の国土の守りと天降ります
  御樋代神の御前畏し

 卑しかる吾国津神選まれて
  今日より仕へむ御側近くを

 天も地も醜の黒雲ふさがりし
  この国原は明け放れたり

 真心の限りをつくし主の神を
  朝夕斎きて公に仕へむ

 荒金の地をはひ出で久方の
  御空に昇るわれ畏しも

 卑しけれど御言葉なりせば慎みて
  仕へ奉らむ国土の柱と

 四柱の国津神たちもろともに
  御前を近く清めて仕へむ』

 高比古の神は御歌詠ませ給ふ。

『御樋代の神のよさしの言霊を
  畏み奉り今日より仕へむ

 天津神国津神等のなやみをも
  真言の力に払ひ奉らむ

 われは野に久しくありて天津神の
  日々に務むる神業に疎し

 われはただ真心もちて朝夕に
  百の神たちのためにつくさむ

 葦原の国土は稚しもはしばしは
  まだ曲津見の雄猛び強し

 今日よりは清けき明き心もて
  公と国土とに神魂捧げむ』

 照比古の神は御歌詠ませ給ふ。

『思ひきや天津御神の位置に入りて
  公に親しく仕へ奉るとは

 駿馬の使にわれは驚きて
  急ぎ御前にかしこみ来るも

 主の神の生ませ給ひし葦原の
  国土を生かして永久に守らむ

 御樋代神の例もあらぬ英断に
  吾は畏み馳せまゐりけり

 天津神の務むるわざは知らねども
  神任のままに仕へ奉らむ

 朝夕に禊の神事を修めつつ
  この稚国土のために尽さむ

 月も日も神庭に清く照比古の
  神は功を永久に立てむ

 これの世を忍ケ丘に年さびて
  世を歎きましし野槌の神はや

 吾もまた忍ケ丘に往来して
  野槌の神の教うけをり

 曇りはて乱れはてたる国原を
  治めむとして道を求ぎける

 野槌比古神の教は天地の
  神の真言の教なりけり

 国津神の水火安かれと朝夕に
  神を祈りし野槌の神なり

 野槌比古神の教に従ひて
  永き年月を神斎きけり

 今日となりて野槌の神の畏さを
  悟りけらしな愚なる身も

 畏けれど御樋代神の御前に
  仕へて神国を安く生かさむ』

 清比古の神は御歌詠ませ給ふ。

『御樋代の神の真言に召されつつ
  忍ケ丘にわが来つるかも

 吾もまた野槌の神の御教を
  朝な夕なに守りてしはや

 久方の御空曇らひ水火汚れ
  苦しき神世となりにけらしな

 天の時漸く来りて御光の
  神の力に神世晴れにける

 葦原比女神の御心なやめてし
  国津神等の罪を許せよ

 国津神の穢き水火の固まりて
  天津御神に及びけるかも

 荒金の地の司と降りましし
  天津神等をいとしく思ふも

 吾もまた望む位置にはあらねども
  公の言葉に背く由なし

 貴身と小身の道を正して天地の
  神の御心なごめ奉らむ

 今日よりは野槌の神に従ひて
  この稚国土のために尽さむ

 たまきはる命のはつる夕べまで
  吾は尽さむ神国のために

 貴身と小身田身の真道明らかに
  明して御前に真心尽さむ』

 晴比古の神は御歌詠ませ給ふ。

『かかる日のありとは予て知りながら
  今日のよき日に驚きけるかも

 愛善の紫微天界に生き生きて
  すべてのものを助け守らむ

 鳥獣魚虫螻蛄にいたるまで
  神の恵に浸し守らむ

 新しき国土の司と任けられて
  吾魂線の戦き止まずも

 主の神の水火の力を身に浴びて
  葦原の国土に力を尽さむ

 御樋代神の御稜威畏み葦原の
  国土の隈々拓き進まむ

 足引の鷹巣の山の雲をぬく
  高き功を立てむと思ふ

 曲津見はかげを潜めむ忍ケ丘の
  今日の喜び耳にしつれば

 御光の神は現れまし葦原比女の
  神は光らす目出度き神世かな

 年長く国土のなやみを歎ちてし
  わがおもひねは晴れ渡りける

 主の神の生ませ給ひし貴の島を
  汚す曲津見を憎みつ年経つ

 久方の天の時こそ迫り来て
  吾世に出でし今宵ぞ嬉しき

 力なく光なけれど吾はただ
  野槌の神に添ひて仕へむ

 主の神の御水火に現れます御樋代神を
  吾公として仰ぐ今日かも

 葦原の国土の守りの司神と
  光らせ給へ万世までも』

 かく各自神任式の挨拶や抱負を、御歌もて国土の大神柱なる葦原比女の神の御前に、言挙げし、英気をその面に充し給ひけるぞ畏けれ。
 茲に御樋代の神は、天津神の神任式を目出度く終らせ給ひ、ついで国津神の任所を定め給はむとして、宣示的御歌を詠ませ給ふ。

『真以比古神の神言は西の国土の
  司となりて神を治めよ

 葦原の西の国辺は国津神
  数多住むとふとく出で立たせよ』

 真以比古の神は感激しながら御歌もて答へ奉る。

『御樋代神の恵かしこし謹みて
  西国土拓くと勇み進まむ

 今日よりは西の国土なる国津神の
  司となりて貴身に仕へむ』

 葦原比女の神は成山比古の神に向ひ、宣示的御歌詠ませ給ふ。

『成山比古神は南の国原に
  進みて国土の長と仕へよ

 南の国土に住まへる国津神を
  朝な夕なに労り守れ』

 成山比古の神は畏る畏る御歌詠ませ給ふ。

『汚れたる神魂の吾も捨てまさぬ
  貴身の言葉に涙しにけり

 力なき吾なりながら御心に
  背かじものと朝夕仕へむ』

 葦原比女の神は霊生比古の神に向ひ、宣示的御歌詠ませ給ふ。

『霊生比古神は東の国原に
  司となりて進み行きませ

 鷹巣山の東に当る国土なれば
  曲津の猛びを心して行け』

 霊生比古の神は感謝しながら御歌奉る。

『許々多久の罪も汚れも許しまし
  東の国主に任け給ひけるはや

 国主てふ尊きわざを任けられて
  忝なさに袖しぼるなり』

 葦原比女の神は栄春比女の神に向ひて、宣示的御歌を与へ給ふ。

『栄春比女神はこれより北の国土の
  司となりて永久に栄えよ

 北の国土はまだ稚ければ国津神も
  数多住まなく曲津見多し

 曲津見に心して行け栄春比女よ
  汝が功を吾守るべし』

 栄春比女の神は嗚咽涕泣しながら神恩を忝なみ、御歌を奉る。

『吾もまた穢き弱き神なるを
  恵の貴身は捨て給はぬを

 よしやよし魂の命は失するとも
  貴身の恵に報はで置くべき

 北の国土を春の弥生の花の如
  〓怜に委曲に拓き奉らむ

 いざさらば北の神国に進むべし
  まめやかにませよ御樋代の神』

 葦原比女の神は八栄比女の神に向ひて、御歌を与へ給ふ。

『八栄比女は野槌の神の後をつぎ
  忍ケ丘の国津神守らへ

 葦原の国土の真秀良場よ忍ケ丘は
  光の神の天降らしし丘よ』

 八栄比女の神は嬉しさに堪へず、歌もて答へ奉る。

『吾貴身の厚き心に包まれて
  忍ケ丘の涙忍びぬ

 御光の神の天降りしこの聖所の
  司となりし吾幸思ふ

 今日よりは心の限り身の限り
  貴身のよさしに報い奉らむ』

 茲に朝香比女の神一行の神々の立会のもとに、葦原比女の神の英断的神任式は無事終了をつげ、天津神は国津神となり、国津神は天津神と任けられて、いよいよ葦原の国土の新生命は輝き初めにけるぞ畏けれ。

(昭和八・一二・二二 旧一一・六 於大阪分院蒼雲閣 白石恵子謹録)



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