出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語77-2-71933/12天祥地瑞辰 万里平定王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
詳細情報:
場面:
万里の島
あらすじ
 万里の島の地理的な位置の説明。

 主の神は、最初、島に、鼠と蛙を生み、耕作に従事させた。島の司としては丹頂の鶴を置いた。しかし、悪竜、大蛇が住み、邪気が鬱積して、鷲や山猫が鼠と蛙を餌食にするようになった。
 主の神は惨状を解決するために、牛、馬、鷹、虎、狼、獅子などを遣わした。それらは竜蛇の一族は滅ぼしたが、鷲の一族は滅ぼせなかった。しかし、虎、狼、獅子などは肉食動物であり、牛、馬を食べようとするので、争いが絶えなかった。
 主の神は、今度は猪と犬の群れを下して、収拾をはかり、島はやや小康状態となった。
 主の神は、最後に、田族比女の神と十柱の神を下して、島を楽園にしようとした。ところが、島を治めていた丹頂の鶴と猿は、田族比女の神たちの恩徳を分らず、自分の国土を略奪に来たと思い込んだので、犬、猪、蛙の連合と、猿とが戦い、猿はほとんどかみ殺されてしまった。それを見た、鷲、獅子、熊等の猛獣は、一斉に襲い掛かり、この島の一切の動物を殲滅したが、鶴の一族と牛馬羊の一族は田族比女の神に保護されて助かっていた。
名称
雲川比古の神 田族比女の神 霊山比古の神 千貝比女の神 直道比古の神 正道比古の神 保宗比古の神 山跡比女の神 湯結比女の神 若春比古の神 輪守比古の神
悪竜 犬 牛 馬 狼 大蛇 蛙 熊 猿 獅子 猪 邪気 鷹 丹頂の鶴 虎 猫 鼠 埴安の神 羊 山猫 竜蛇 鷲
天津高宮 ウの言霊 クの言霊 牛頭ケ峰 主の大神 スの霊 ズの霊 高地秀の峰 高照山 筑紫ケ岳 ツの言霊 白馬ケ岳 プ声の言霊 マ声の言霊 万里の海 万里の河 万里の島 御樋代 ヤ声の言霊 ユ声の言霊 ヨ声の言霊 ワ声の言霊 ヰ声の言霊 ヱ声の言霊 ヲ声の言霊
 
本文    文字数=8416

第七章 万里平定〔一九三九〕

 天津高宮に鎮まりいます主の大神は、七十五声の言霊を間断なく鳴り出で給ひて、泥海の世界を固むべく、先づ初めに当りて、筑紫ケ岳、高地秀の峰、高照山の三大高山を生み給ひて後万里の海に無数の島々をなり出で給ひて、総ての生物を生ませ養ひ給ふべく経綸されたり。
 その最初に当りて万里の海の中心なる万里の島を生り出で給ひぬ。この島は面積約八千方里にして、西に白馬ケ岳あり、東に牛頭ケ峰あり、その中心を流るる清川を万里の河と言ふ。
 大神は先づこの島にツの言霊を鳴り出でて鼠を生みたまひ、クの言霊を鳴り出でたまひて蛙を生み出でたまひける。鼠と雖も未だ地稚く、国土調はざりし時代なれば、今日の牛よりも大きく、蛙と雖も現代の人間よりは体躯長大なりしなり。その他神人をはじめ、総ての動物はこれに準じて知るべきなり。蛙はこの島に幾百千万とも限りなく発生し、鼠また日に日にその数を増しつつ土地最も肥えたるこの島の全部に棲みて、総ての穀物の耕作に従事し生活を続け居たり。鼠は田を鋤き、蛙は鋤鍬をもちて田畑を拓き、穀物を作りて生活を楽しみ居たりける。
 この島の司として主の大神は、頭に太陽の形を印したる赤き紋を頂ける丹頂の鶴を一番下し給ひける。この鶴は天津高宮より御空を翔りて万里の島ケ根に飛び来り、万里河の傍なる小高き丘の上に、鬱蒼として聳え立ちたる一本の常磐の松に巣籠り、数多の子を生み育てこの島の主として臨む事とはなりぬ。
 さりながら、朝夕の区別なくこの島ケ根は雲霧塞がり、殆ど咫尺を弁ぜざるに至り、天に日月輝きわたると雖も、中空の雲と地上に燃え立つ深霧のために陽気寒く、万物の発育もまた充分ならざりにける。陰鬱の気は次第々々に凝結して、種々の曲津見発生し、白馬ケ岳の谷間には太刀膚の悪竜数多棲み、大蛇また彼方此方の谷間に潜みて非時毒煙を吐きければ、その毒煙は雲となり霧となりて、万里ケ島に住める蛙の一族は生活を脅かされ遂にはその数を減ずるに至りたり。邪気は次第に凝りて、数限りなき鷲となり山猫となりて狂ひ廻り、鷲は蛙を餌食とし、山猫は鼠を餌食となして猛り狂ふ惨状は、目も当てられぬばかりなりける。しかれども、蛙と鼠の一族の中にて、朝夕を主の大神に祈り真心の限りを尽して仕へまつれる種族のみは、神の恵によりて、僅にその種族の存在を保ち、戦々兢々としながらも春夏秋冬の耕作に従事し居たりける。
 主の大神はこの惨状を遥かに覧はして、竜蛇、鷲等の獰猛なる動物を制御すべく、牛、馬、鷹、虎、狼、獅子等をこの島に産み生はせたまひ、悪竜、大蛇、鷲の暴虐を懲らしめたまひけるが、年を経るに従ひて、虎、狼、獅子、熊などの猛獣は遂に竜蛇の種族を亡ぼし、鷲の種族をも殲滅せむとしたりけるが、鷲は大なる翼の持主なれば、地上の動物の如何ともなし難く、鷹をもつて空中よりの害を防ぐより方法なかりける。然りながら如何に勇猛なる鷹と雖も、十数倍の翼を保ち大力を有する鷲に対しては如何とも制裁の道なかりける。
 虎、狼、獅子、熊、鷲等は肉食動物なれば、遂には猫、牛、馬、羊、猿等の動物を餌食となさむとし、昼夜間断なく争闘の惨劇を続け、収拾すべからざるに至りたれば、主の大神は茲に大なる猪の群と犬の群とを下して、これ等の猛獣を制すべく当らせ給ひたるにぞ、牛、馬の族は稍小康を得て牛は牛頭ケ峰に難をさけ、馬は白馬ケ岳に難を避けて両山の周囲は馬と牛とにて充満するに至りける。遠方よりこれを眺むれば、白馬の集ひたる白馬ケ岳は雪に包まれたるが如く、黒き牛の集まれる牛頭ケ峰は恰も墨の山の如く見えにける。
 茲に主の大神は、如何にもしてこの美しき万里の島を永久の楽園に定めむと思召し、八十柱の御樋代神の中にて最も神力強き田族比女の神に、ウの言霊より生れ出でし若春比古の神、ヱ声の言霊より生り出でし保宗比古の神、ヰ声の言霊より生り出でし直道比古の神、ヤ声の言霊より生り出でし山跡比女の神、ヨ声の言霊より生り出でし千貝比女の神、ユ声の言霊より生り出でし湯結比女の神、マ声の言霊より生り出でし正道比古の神、ワ声の言霊より生り出でし輪守比古の神、プ声の言霊より生り出でし雲川比古の神、ヲ声の言霊より生り出でし霊山比古の神の十柱神を従へて、万里の島を守るべく下したまひける。
 この神々の御降臨によりて、万里の島の天地を掻き廻し、乱し尽したる虎、狼、獅子、熊、鷲の輩は、命辛々島より島に渡りて逃げ失せたれば、暫時の間は小康を得て、蛙と鼠は元の如く耕作に従事し、その生活を楽しむに至りぬ。犬は蛙の家居を守り、猪は鼠の安全を守り、夕ざれば山に入りて木の葉を喰ひ、各も各もの業を楽しみ居たりける。
 茲に弥々丹頂の鶴は常磐樹に平安の生を保ち、猿をつかひて万里ケ島の平安を守り居たりける。さりながら主の大神より天降し給へる田族比女の神その他十柱の従神等の恩徳を知らず、却つて我国土を掠奪すべく来りしものとなし、昼夜嫉視の眼を放たざりける。
 鳥はスの霊にして猿はズの霊なり。猿は鶴の幕下として常にその勢力を増大し、驕慢の気起り遂には鶴の如く樹の上に棲み、その座席までも汚さむと勤むるにいたりたり。また蛙に対して暴虐限りなく擅に虐げければ、やうやく小康を得たる万里の島は忽擾乱の巷と化し、数万の蛙の鳴き叫ぶ声は天地に響き、その惨状譬ふるに物なかりける。
 茲において蛙の保護に任じたる犬と猪は山より野より群がり来りて、蛙等の味方となり、猿の群に向つて戦ひを挑み、遂にその大猿の群は殆ど噛み殺さるるに至りける。この惨状を窺ひ知りたる鷲、獅子、熊等の悪鳥、猛獣はこの期逸すべからずとなし、空より地より海より一斉に迫り来りて、この島における一切の動物を殲滅せしめたり。しかれども主の大神の神言をかしこみて田族比女の神その他の神々は、万里の島の主と定まれる鶴の一族と牛馬羊の一族を守り給ひければ、これ等の動物は幸に悪鳥猛獣の残虐の手を免るるに至りたるぞ畏けれ。

 主の神の神言畏み田族比女の
  神天降らせし万里の島かも

 十柱の神を従へ田族比女
  神は光となりて天降れり

 四方八方の雲霧払ひ悪しき鳥
  猛き獣も滅び失せぬる

 埴安の神と現はれし田族比女の
  御樋代神は救ひ主はも

 田族比女神の御樋代天降りしゆ
  万里の島根はよみがへりたり

 田族比女この万里島に天降りまして
  朝な夕なに神言宣らせり

 十柱の神も御後に従ひて
  禊を修め神言宣らせり

 馬と牛犬と猪とを世に残し
  この生島を守らせ給ひぬ

 丹頂の鶴は常磐の松ケ枝に
  千代ことほぎて神世あれましぬ

 鷲熊も虎狼も獅子王も
  この生島は近よらざりけり

(昭和八・一二・一三 旧一〇・二六 於大阪分院蒼雲閣 加藤明子謹録)



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