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原著名出版年月表題作者その他
物語76-1-11933/12天祥地瑞卯 高宮参拝王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
詳細情報:
場面:
天津高宮
あらすじ
 太元顕津男の神は八柱の御樋代神を後に残し、高地秀の宮を後にして、一柱の供神をも連れずに出立された。残された八柱の御樋代神は天津高宮に詣でて、主の大神に、「宮の司たるべき神を降し給へ」と祈られたので、主の大神は、その願事を聞き入れて、鋭敏鳴出の神、天津女雄の神の二柱が降臨された。
 高野比女の神は、鋭敏鳴出の神、天津女雄の神に、白幣、青幣及び二振の五百鳴の鈴を授ける。二神は天津高宮の聖所で、地を踏み鳴らし、白衣で長袖しとやかに踊られた。百の神等は天地一度に開けた心地がして、御神楽の拍子に和して、天人和楽の境地が現われた。主の大神は天津高宮の扉を内より押し開けられ、この光景をご覧になった。
 八柱の御樋代神たちは歌を詠み、祝詞を奏上し、天津高宮に仕える百神らに別れを告げて、各自天の斑駒に乗って、高地秀の宮居に戻られることとなった。
名称
天津女雄の神 宇都子比女の神 鋭敏鳴出の神 梅咲比女の神 香具比女の神 小夜子比女の神 狭別比女の神 寿々子比女の神 高野比女の神 花子比女の神
天之道立神 太元顕津男の神 国魂神 主の大神 皇大神
天津高宮 想像妊娠 紫微天界 白梅 高天原 高地秀の宮 高地秀の山 天人和楽 東の宮居 御樋代
 
本文    文字数=14753

第一章 高宮参拝〔一九一八〕

 紫微天界における神政樹立の根元地なる高地秀の山の山麓に、宮柱太敷立て高天原に千木高知りて、四方に輝きたまふ高地秀の宮一名東の宮を後にして、思し召すことありとて、太元顕津男の神は、八柱の御樋代神を後に残し、一柱の供神をも連れ給はず立出で給ひければ、茲に八柱の御樋代神は天津高宮に詣で給ひて、主の大神の神宣を乞ひ給ひ、宮の司たるべき神を降し給へと祈らせ給へば、主の大神は、その願事を諾ひ給ひて、茲に鋭敏鳴出の神、天津女雄の神の二柱を降し給ひて、朝な夕なの宮仕へを言依さし給ひしこそ畏けれ。
 高野比女の神は天津高宮の大前に願事白し給ふ、その御言葉。

『久方の天津高宮に詣で来て
  われはいのりぬ禊をさめて

 禊してはろばろ此処に八柱の
  女神は真心ささげて祈るも

 久方の天の高地秀の宮司
  顕津男の神を守らせたまへ

 朝夕に高地秀の宮居に仕へつつ
  なほ真心の足らぬを悔ゆるも

 国土を生み国魂神を生まさむと
  出でます岐美に恙あらすな

 天地の中に一人の岐美ゆゑに
  われは一入恋ふしみおもふ

 わが岐美は何れの果にましますか
  こころ許なく朝夕いのるも

 主の神の恵かしこし二柱の
  宮居の司をくだしたまひぬ

 鋭敏鳴出の神はかしこき宮司
  高地秀の宮居は今より栄えむ

 天津女雄の神の面ざし眺むれば
  瑞の御霊に似ましつるかも』

 鋭敏鳴出の神は答の御歌詠ませ給ふ。

『高野比女神の神言の御歌聞きて
  足らはぬ吾を恥かしみおもふ

 わが力及ばざれども村肝の
  心をつくして仕へまつらむ

 東の宮居に今より仕へむと
  思へばうれしこころ栄ゆも

 顕津男の神の力に比ぶれば
  天と地との差別ありけり

 力なき吾にはあれど真心の
  あらむ限りを仕へむと思ふ

 八柱の御樋代神を守りつつ
  東の宮居を守りまつらむ

 八柱の御樋代神を主とし
  仕へむとおもふ朝な夕なを

 天地のあらむ限りは主の神の
  御樋代なりと思へばかしこし

 国土未だ稚かる紫微の天界に
  なすべき神業は限りなく多し

 大宮居を守りまつりて主の神の
  神業に仕ふとおもへば楽し

 今日よりは吾をいたはり給ひつつ
  仕はせたまへ御樋代女神よ』

 天津女雄の神は御歌詠ませ給ふ。

『鋭敏鳴出の神の司の添柱と
  選まれし吾の今日のうれしさ

 幾万里東の国土の高地秀の
  宮居に仕ふと思へばいさまし

 御樋代の神の御供に仕へつつ
  いざやすすまむ東の宮居に

 国土稚き紫微天界の大宮居に
  仕ふるわが身の魂は栄えつ

 永久の栄えと喜び満たせつつ
  進みて行かむ高地秀の宮居に

 八柱の御樋代神ははろばろと
  これの聖所に来ませる尊さ

 優しくて雄々しくいます八柱の
  御樋代神は御魂ひかれり

 顕津男の神は光明と現はれて
  四方の雲霧別け明したまふ

 顕津男の神の仕へし貴の宮居に
  仕ふるわれを愧づかしみおもふ

 光明なき吾身ながらも主の神の
  神言なりせばかしこみ仕へむ

 鋭敏鳴出の神を補けて八柱の
  御樋代神に仕へむとおもふ

 八柱の御樋代比女神今日よりは
  わが足らはぬを補ひ給はれ』

 梅咲比女の神は御歌詠ませ給ふ。

『白梅の花咲きにほふ天界に
  生れしわれは御樋代神ぞや

 非時に梅咲比女の神なれば
  宮居の庭を清め仕へむ

 主の神の恵み畏し二柱
  東の宮居の司たまひぬ

 果しなき稚国原を旅立たす
  わが岐美の上に災あらすな

 吾岐美は光明の神にましませば
  醜の曲津もさやらざるべし

 岐美立ちし日より八年を経につれど
  雁の便りだにも聞かなく

 吾岐美よ何処の果にお在すらむ
  こころ許なく朝夕をおもふ

 久方の天津高宮の清庭に
  宣る言霊は澄みきらひたり

 言霊に森羅万象は生るなり
  ただままならぬは岐美の水火なり

 凡神の誹りあざけり思ひはかり
  つれなく岐美は出でましにけり

 国魂の神を生まむと朝夕に
  祈れど甲斐なし水火合はねば

 徒に若き月日を経ぬるかと
  おもひて朝夕われは泣くなり

 いざさらばこれの宮居に感謝言
  白して東の宮居に帰らむ』

 香具比女の神は御歌詠ませ給ふ。

『八柱の御樋代神はいたづらに
  東の宮居に年を経にけり

 主の神の御前に復命白すべき
  功績なき吾をかなしみ思ふも

 雄心の大和心を奮り起し
  想像妊娠む岐美の御水火を

 天高く地また広く定まりて
  この天界は栄え初めたり

 非時の香具の木の実より生れしてふ
  御樋代のわれ世に生きて淋しも

 水火の限り高地秀山の神霊に
  仕へて天界を照らさむと思ふ

 吾岐美の光明を御魂に充たしつつ
  紫微天界を明し行くべし

 神に仕へ岐美を偲びて朝夕を
  高地秀の峰に年経りにけり

 掛巻も畏き天津高宮に
  別れて言葉慎み宣らむ

 宮司二柱神を得し今日は
  天地開けし心地するかも

 東の宮居に帰らむ御樋代神よ
  これの清庭に神楽をかなでよ』

 茲に高野比女の神は、各比女神の神言の提言を甚く悦び諾ひたまひ、鋭敏鳴出の神、天津女雄の神二柱神に、白幣青幣及び二振の五百鳴の鈴を授け給へば、二神は天津高宮の聖所に地踏み鳴らし、白衣長袖しとやかに踊らせ給へば、八柱の御樋代比女神を始め、天津高宮に仕へ奉る百の神達も異口同音に祝ひの御歌詠ませ給ふ。
 その御歌。

『天晴れ天晴れ目出度き言のかぎりかも
 タータータラリ タラリーラー アガリララーリトー チリーヤ タラリ ララリトー』

 茲に二柱の宮司神は大地を踏みならし、五百鳴の鈴をさやさやに響かせ、右手に白幣青幣を打振り給ひつつ舞ひ踊り給へば、百の神等は天地一度に開けし心地して、歓ぎ喜び勇み給ふ。百鳥は微妙の声を放ちて、御神楽の拍子に和して、弥々茲に天人和楽の境を現出せり。主の大神は天津高宮の扉を内より押し開け給ひ、この光景を御覧はすこそ畏けれ。
 茲に寿々子比女の神は御歌詠ませ給ふ。

『主の神の光明に吾は照らされて
  まなこくらみぬこの清庭に

 次々に吾眼界は光りつつ
  今日の祝ひの神楽見しはや

 二柱神の仕ふる神楽の舞の
  清しき姿にとけ入りにける

 主の神も諾ひ給ふか御扉を
  細目に開きて覗かせ給へり

 今日よりは東の宮居も賑しく
  かがやきわたらむ宮司を得て

 わが岐美のいまさぬ宮居の淋しさも
  わすれて御苑の神楽見しかや

 御樋代の神とよさし給ひし八柱の
  女神もいまだ神業つかへず

 朝夕を高地秀の宮の清庭に
  立ちて御空の月を仰ぎつ

 天渡る月の鏡を仰ぎつつ
  岐美の安否を思ひわづらふ

 曇りたる月をし見れば一入に
  思ふは岐美の上なりにけり

 瑞々しき月の鏡を仰ぐ夜は
  岐美の御幸を思ひて楽しむ

 我岐美は遠く行きませども仰ぎ見る
  月の姿に心なぐさむ』

 宇都子比女の神は御歌詠ませ給ふ。

『はろばろと東の宮居を立ち出でて
  主の神います宮居に詣でつ

 西東皇大神の永久に
  鎮まりいます宮居は明らけし

 八柱の御樋代比女神ははろばろと
  今日の吉日を西宮に詣でつ

 久方の天之道立神司
  今日の神姿の荘厳なるも

 道立の神永久に仕へます
  天津高宮の荘厳なるも

 四方八方に雲霧立ちし稚国土を
  固めむとして岐美は出でませり

 吾もまた高地秀の宮居に朝夕を
  仕へて神を勇めむとおもふ

 天界は愛と信との神国なれば
  真言と祈りを要と思へり

 天界に住みて尊き神業は
  厳の言霊と禊なりけり

 朝夕を玉の泉に禊して
  百神等の幸を祈らむ

 百鳥の声も爽かに響くなり
  天津高宮の庭の百樹に

 昼月の光ほのぼのと見えながら
  御空にさやる雲影もなし

 主の神の御水火に生れし天津日の
  光はますます冴えわたりつつ

 天津日は光の限りを光りつつ
  われ等の暗き魂を照すも

 月も日も並びてかがよふ天界に
  仕へてわれは何を歎かむ

 あるは盈ちあるひは虧くる大空の
  月に悟りぬ世のありさまを

 日を重ねうつろひて行く月影の
  定まらぬ世を吾悟りけるかも

 いざさらば二柱神を伴ひて
  共に帰らむ高地秀の宮居へ』

 狭別比女の神は御歌詠ませ給ふ。

『有難し天津高宮の清庭に
  吾は清しき神楽見しはや

 天地も一度に開く心地して
  この清庭に神楽見しはや

 鈴の音もいとさやさやに響かひつ
  紫微天界はいよよあかるし

 白梅は非時香り鶯は
  弥生の春をすがしくうたふ

 常磐樹の松の梢に巣ぐひたる
  鶴は十二の卵を産めり

 真鶴の千歳をうたふ声の色の
  すがしく響きて栄ゆる天界よ

 我岐美の行衛は今に知らねども
  御空の月を仰ぎてなぐさむ

 御空行く月の鏡の清き夜は
  岐美の栄えを思ひて楽しむ

 いざさらば高日の宮居を拝みて
  いそぎ帰らむ東の宮居に

 久方の天之道立神司
  厳の教はたふとかりけり

 厳御霊瑞の御霊の御教は
  世界を十字に踏みならす太元かも

 火と水と土の力に天界は
  今あきらけく固まりにける』

 花子比女の神は御歌詠ませ給ふ。

『白梅の花の粧ひ眺むれば
  瑞の御霊の岐美のここちす

 非時に匂ふ神苑の百千花も
  手折りささげむ神の御前に

 白梅の一枝を手折りて黒髪の
  簪となさばや花子比女われは

 花の香り松の響も清しけれ
  主の神います宮居の庭は

 東の宮居の司を伴ひて
  歓ぎ帰らむ日とはなりけり

 いざさらば神の御前に感謝言
  うまらにつばらに宣りて帰らむ

 高地秀の峰ははろけしさりながら
  駒の蹄のためらひもなし』

 小夜子比女の神は御歌詠ませ給ふ。

『瑞御霊高地秀の宮居を出でしより
  御樋代われは淋しく年を経し

 神をあがめ岐美を恋ひつつ鶏の尾の
  長き月日を暮れにけるかな

 高地秀の山の松風朝夕に
  響けど岐美の音信はなし

 高地秀の峰の尾の上に見る月も
  変らず思へばたふとかりける

 小夜更けて仰ぐ月光冴え渡り
  もの言はすげに思はするかな

 月見れば岐美の霊よと思ひつつ
  ながき別れをなぐさめしはや

 久々にこの高宮に詣で来て
  わが魂線はよみがへりつつ

 八柱の御樋代神は朝夕を
  睦み和みて宮居に仕へつ

 怨み妬みなき真心に仕へ行く
  宮居の聖所に雲霧もなし

 いざさらば主の大神に拝礼して
  はろばろ東の宮居に帰らな』

 朝香比女の神は御歌詠ませ給ふ。

『主の神の宮居に始めて詣でけり
  高地秀の宮居にあるここちして

 真心を筑紫の宮居の清庭に
  国土の始めの神楽見しはや

 西の宮居筑紫の宮居は主の神の
  光明も一入つよかりにける

 御樋代神と選まれし吾はためらはず
  岐美のみあとをまぎて行くべし

 いたづらに待ちて月日を送るよりも
  すすみて行かむ御子生みの旅に

 主の神の御前に誓ひ白すべし
  われは進みて神業に仕へむ

 いざさらば筑紫の宮居を後にして
  ともに帰らむ東の宮居へ』

 各神々は御歌詠ませ給ひつつ、大御前に御声も爽けく祝詞を奏上し、天津高宮に仕へます百神等に別れを告げ、各自天の斑駒の背に跨り、高地秀の宮居をさして急がせ給ふぞ畏けれ。

(昭和八・一二・五 旧一〇・一八 於水明閣 森良仁謹録)



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