出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語74-2-101933/10天祥地瑞丑 心の手綱王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
詳細情報:
場面:
真鶴山
あらすじ
 スの言霊と大宇宙の関係。
 国魂神は一体しか生まない。もし二柱生むことがあると、その国はついに権力争ひによりて崩壊するだろう。

 太元顕津男の神を初め十一柱の神々は、生代比女の神の執着心を払ひ清めようと、言霊の限りをつくして、天津祝詞を奏上し、間断なく、七十五声の言霊を宣られた
 しかし、生代比女の神の恋着の心は容易におさまらず、燃え立つ炎は胸を焼き、ついには黒煙を吐き出し、次第次第に拡がって、真鶴山の国土を包み、咫尺暗憺として日月の光をかくし、暴風は吹き、豪雨は降り、大地は震動して、真鶴の国原は目もあてられぬ惨状であった。生代比女の神の心が和いだときは天変地妖はおさまり、再び恋着の猛火が燃える時は、たちまち天地は暗黒と化し、瑞の御霊の神業の妨害となっていた。
 そこで、顕津男の神たちが、主の神の降臨を願うと、主の神は降臨され、「御樋代の八十比女とだけ見合わせ」と宣旨される。すると、妖邪の空気は晴れる。
 顕津男の神は、「如何なる曲神が襲ひ来ても、大勇猛心を発揮して、神魂を練り、神生みの神業に進む」という決心をして、「生代比女神の心は愛ぐしけれど われは見合はむすべなかりける。この国は玉野の比女の在す国 我は見合ひて貴御子生まむ」と謡う。
名称
生代比女の神 太元顕津男の神 主の神
天之道立の神 天之峯火夫の神 大国常立の神言 大蛇 国魂神 玉野の比女 曲神 八十柱の比女神 如衣比女の神
アの言霊 天津神言 天津高宮 ウの言霊 妖邪の空気 幸魂 山霊 七十五声 紫微天界 スの言霊 高日の宮 大宇宙 大虚空 中津滝 真鶴国 真鶴山 御樋代 霊的物質界
 
本文    文字数=8031

第一〇章 心の手綱〔一八七八〕

 大虚空の中心に、一点のヽ忽然として現れ、ヽは次第に円満の度を加へ、遂に主の言霊生れ出でぬ。ス声は次第々々に膨張して、遂に七十五声の言霊大虚空中に現れ給ふに至れり。スの言霊はいよいよ大活動力を発揮して、遂に神となり給ふ。これを天之峯火夫の神またの御名は大国常立の神言と称し奉る。茲に大神の御稜威は益々発展し給ひて、大宇宙を生みなし給ひ、その中心たる紫微天界に天津高宮を築き給ひ、大神永遠に鎮まり給ひて、大宇宙を生み国土を生み神を生み給ひつつ、幾億万劫の末の今日に至るまで、一瞬間と雖もその活動を休み給ひし事なし。
 スの言霊にして万々一、一秒間と雖もその活動を休止し給ふ時は、三千大千世界たる大宇宙の一切万有は、忽ち生命を失ひ滅亡するに至るべし。ここに主の神は、ウの言霊より天之道立の神を生み、またアの言霊より太元顕津男の神を生ませ給ひて、まづ紫微天界の修理固成を始め国土生み神生みの神業をよさせ給ひしなり。而して天之道立の神はあらゆる神人を初め、宇宙万有の精神界を守り給ひ、顕津男の神は紫微天界における、霊的物質界の生成化育の神業に奉仕し給ふの重大なる責任を、主の神の神言もて負はせ給ひしぞ畏けれ。この神業は幾億万々劫の末の今日に至ると雖も、無限絶対無始無終的に継続して活躍し給ふなり。
 茲に天之道立の神の御神業はしばらくおき、太元顕津男の神の御活動情態に就て、大海の一滴に比すべきほどの事蹟を述べむとするも、浩瀚にして容易に述べ尽す事能はざるなり。我はただ数千万分の一に当るべき御活動の情態を開示せむとす。故に読者はこの物語を読みて、天界活動の全部に非ざるを弁へ知るべし。
 主の大神のよさし給ひし国土生み神生みの神業に就ても、八十柱の比女神を先づ賜ひたれども、現界人の如き、性的行動をなし給ふ如き事なく、唯単に水火と水火とを組み合せもやひ合せ、鳴り鳴りて鳴りの果てに神霊の気感応し給ひて、ここに尊き国魂神を生ませ給ふの神業なり。しかしながら宇宙一切の生成化育は、スの神の幸魂たる愛の情動より発生するものなれば、愛を離れて絶対的に生産は求むべからず。しかるが故に女男二柱の神々見合ひます時は、必ず愛恋の心湧出すべきは自然の道理なり。愛し愛されその結果は、遂に恋となり恋愛となりて、魂のいつきて離れざるものなるが故に、主の神は八十柱の国魂神を生ましめむとして、深き御心の在しますままに、八十柱の比女神を御子生みの御樋代として、顕津男の神に言依さし給ひたるなり。しかるが故に瑞の御霊に在します顕津男の神は、一度見合ひますれば一つの国魂神を生み給ふが故に、一所に留まりて現代人の如く夫婦生活に居らせ給ふ事能はざりしなり。八十柱の神にしても、もし二柱生ませ給ふ事あらむか、必ずその国は遂に権力位置の争ひによりて崩壊すべし。茲に主の神は深謀遠慮の結果、一つの国に一つの国魂神を生ませ給ふべく言依させ給ひしなり。
 顕津男の神は、高日の宮に幾年の間を籠り仕へ給ひ、如衣比女の神の艶麗なる容色に恋々として国土生み神生みの神業を後れさせ給ひけるが、その執着心は忽ち鬱結して中津滝の大蛇と化し、如衣比女の神を遂に蛇腹に葬りけるにぞ、顕津男の神は恐れ畏み、我過れることを悟りて長く住みなれし高日の宮を後に、果しも知らぬ大野原を国土生み御子生まむと出で給ひけるが、茲に未だ国土稚く浮脂の如く漂へる真鶴の国を造り固め、国魂神を生まむと思ひ給ふ折しも、真鶴山の山霊より生れ出でませる生代比女の神は、顕津男の神の聖雄的神格に恋々の情止み難く、頻りに心火を燃やしつつ迫り給へども、顕津男の神は如衣比女の神去りにつき、甚く慎み恐れみ給ひければ、主の神の御樋代ならぬ女神に対して心を動かし給はざりける。生代比女の神は恋着益々深くして、瑞の御霊はその取捨に困惑し、朝な夕なに天津神言を奏上し生言霊を宣りあげて、生代比女の神の心を和らげむとなしたまふぞ畏けれ。嗚呼惟神主の大神のよさしならずば、何事をなすと雖も一々万々、成就せざるは今日の世と雖も同一なりと知るべし。
 太元顕津男の神を初め十一柱の神々は、清き明き正しき真の心を籠めて、生代比女の神の執着心を払ひ清めむと、言霊の限りをつくし、天津祝詞を奏上し、七十まり五の言霊を間断なく宣らせ給ひけれども、生代比女の神が恋着の心は容易にをさまらず、燃え立つ炎は胸を焼き、遂には黒煙を吐き出で給ひ、次第々々に拡ごりて真鶴山の国土を包み、咫尺暗憺として日月の光をかくし、暴風臻り豪雨降り大地忽ち震動して、まだ地稚き真鶴の国原は目もあてられぬ惨状と化せむとせしぞ歎けれ。生代比女の神の少しく心和ぎし時は天変地妖をさまり、再び恋着の猛火燃ゆる時は忽ち天地暗黒と化し、瑞の御霊の神業の妨害となる事甚しかりける。
 茲に顕津男の神初め諸々の神等は、各も各もあらむ限りの力を尽して、七日七夜の間主の神の降臨を祈願し給ひける。この時宇宙に主の神の御声ありて御歌詠ませ給ふ。

『国土を生み神を生むなる神業は
  なれによさせし道をこそゆけ

 言霊の清きすがしき水火をもて
  八十の御樋代のみに見合せ

 容貌如何に美しき神なりとも
  神業ならねば心染むるな

 瑞御霊はわが御霊代よ八十比女は
  わが御子生ます御樋代なるよ

 御樋代と我定めたる比女神の
  外に見合はむ神あらじかし』

 かく歌ひ終り給ふや、四辺をつつみし妖邪の空気は忽ち晴れ渡り、蒼空一点の雲なきまでに清く明るき国原となりぬ。顕津男の神は主の神の神言を畏み、旦つ妖邪の空気を跡形もなく清め給ひたる主の大神の神徳を感謝しながら、御歌詠ませ給ふ。

『久方の天津宮より降りまし
  永久の神教を宣らせたまひぬ

 主の神の神旨に背き如何にして
  われはまみえむ仇の神に

 弥益に心を清め身を清め
  真の道の光てらさむ

 あだし神如何程迫り来るとても
  御樋代ならぬ神にまみえじ

 天地のわるるが如き禍も
  われは恐れじ生言霊に

 生代比女神の心は愛ぐしけれど
  われは見合はむすべなかりける

 この国は玉野の比女の在す国
  我は見合ひて貴御子生まむ』

 かく瑞の御霊は主の神の神言により、如何なる曲神の襲ひ来るとも、寸毫も動かざる大勇猛心を発揮し給ひて、茲に神魂を練り、いよいよ進んで神生みの神業に仕へ給ふ御心こそ畏けれ。

(昭和八・一〇・二三 旧九・五 於水明閣 加藤明子謹録)



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