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原著名出版年月表題作者その他
物語74-1-51933/10天祥地瑞丑 言霊神橋王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
詳細情報:
場面:
真鶴山の沼地
あらすじ
 真鶴山は未だ地が稚く柔かく、搗きたての餅のように、湯気が濛々と立昇り、山の姿さえ未だ固まらず、茫然として夢幻のようであった。真鶴山の周囲には底深い沼が広々とめぐってる。地面が柔かいので、真鶴山に近づくにしたがって、一行は難渋したが、顕津男の神の言霊で、ぬかるみも次第に固まった。
 多々久美の神は言霊で、沼の水を乾し上げ、美波志比古の神は言霊で、沼の底を固めた。
 沼を抜けた一行は、産玉の神を先頭に、真鶴山の頂上に登る。
名称
産玉の神 宇礼志穂の神 太元顕津男の神 国中比古の神 多々久美の神 遠見男の神 圓屋比古の神 美波志比古の神

言霊神歌 真鶴山
 
本文    文字数=7307

第五章 言霊神橋〔一八七三〕

 真鶴山は未だ地稚く柔かく、恰も搗きたての餅の如く湯気濛々と立昇り、山の姿さへ未だ固まらず、茫然として夢幻の如き丘陵なりける。しかして真鶴山の周囲には底深き沼広々と廻り、湯気立昇り居る。
 顕津男の神一行は、この山に近づくに従ひ、次第々々に地は下り地柔かくして馬の脛を没し、終には腹までも浸す艱ましさに、馬上より生言霊を宣り給ふ。

『カコクケキこの葭原は未だ稚し
  水の気引けよ地固まれよ

 カコクケキガゴグゲギわが伊行く道を
  造り固めよ言霊の水火に

 沼の彼方山の麓に神々は
  我迎へつつ佇み居ますも

 葭葦の生ひ茂りたる沼の洲を
  伊行き艱みつ言霊宣るも』

 かく歌ひ給ふや、さしもの泥濘も次第々々に固まりて、葭と葦とは片靡き、沼の表に湧き立つ伊吹の狭霧は、次第々々に薄らぎて、真鶴山の雄姿は天津日の光を浴びつつ、鮮かに目に入り初めにける。遠見男の神はこの言霊の奇瑞に感じ給ひて、御歌詠ませ給ふ。

『あな尊瑞の御霊の言霊に
  葭葦原は固まりにけり

 駒の脚地上に立てどこの沼は
  濁らひ深し如何に渡らな

 百神は向つ汀に並び立ち
  吾迎へますを渡らふ術なき

 カコクケキ生言霊も吾にして
  如何で功の現るべきやは

 瑞御霊再び言霊宣りまして
  この沼の水乾かせ給へ

 黄昏の空近みつつわが駒は
  脚疲れたり如何に渡らむ

 言霊の功に国土を拓きます
  神にありせば沼を乾させよ』

 顕津男の神は、遠見男の神の言霊神歌を諾ひながら、馬上より声朗かに歌ひ給ふ。

『踏みなづみし葭葦原は固まりぬ
  沼水乾せやカコクケキの霊

 カコクケキタトツテチチと言霊を
  わが宣る言葉に沼よ乾けよ

 言霊の稜威の力に沼の面は
  水あせにつつ狭霧晴るるも』

 遠見男の神は御歌詠ませ給ふ。

『見る見るに狭霧は晴れて沼の面は
  水量低みぬ天晴れ言霊に

 向つ辺に立たせ給へる駒の上の
  国中比古よ岐美を迎へませ

 主の神の神国を造り万有を
  生ませる神業の言霊厳しも

 天界は生言霊の国土なれば
  吾もア声に生れ出でにける

 九柱御供の神はウの声の
  生言霊に生れし神はも

 圓屋比古ア声の水火よ百神は
  ウ声の水火に生れませる神

 厳御霊ウ声に活用き瑞御霊
  ア声に結びて国土固めばや』

 茲にウ声の言霊に生り出で給ひし、多々久美の神は馬上より歌ひ給ふ。

『黄昏の幕は追々深くとも
  吾は明さむウ声の水火に

 アオウエイ生言霊に横はる
  沼よ退け岐美のみゆきぞ

 国土造り御子を生ますと瑞御霊
  此処に立たすを沼神知らずや』

 かく多々久美の神は生言霊を宣り給ふにぞ、広々と横はりたる曇濁の沼水は、見る見る煙となりて高く昇り、一滴の湿りさへ無きまで乾きたるぞ不思議なる。多々久美の神の生言霊によりて、さしもに広き深き沼水は乾し上りたれども、泥深く柔かくして駒の蹄を入れるよしなければ、顕津男の神の一行も渡り艱みいましけるが、美波志比古の神は沼の底を固めむとして、御歌詠ませ給ふ。

『天晴れ天晴れアとウの厳の言霊に
  沼は煙となりて乾きぬ

 沼水は乾きたれども泥深し
  吾は神橋をかけて仕へむ

 タトツテチタタの言霊幸ひて
  岐美行く道を固め給はれ

 タトツテチダドヅデヂヂとヂヂの言霊に
  地の神橋よ今かかれかし

 次々に岐美行く道の沼底は
  白く乾きて固まりにける』

 美波志比古の神の生言霊に、限も知らぬ沼底は地の白くなるまで乾きたれば、顕津男の神は甚く喜ばせ給ひて、御歌詠み給ふ。

『天晴れ天晴れ美波志の神の功績に
  わが行く神橋は架けられにけり

 この橋を渡れば近し真鶴の
  山の聖所に進み通はむ

 黄昏の幕を開きて月読は
  真蒼の空に輝き給ふ』

 圓屋比古の神は御歌詠ませ給ふ。

『久方の御空を照らす月読の
  光を力に安く渡らむ

 今更に生言霊の功績を
  悟りけるかな圓屋比古吾は』

 宇礼志穂の神は御歌うたひ給ふ。

『岐美が行く道明らけくなりにけり
  吾は宇礼志穂ウ声に生る神

 ウ声ア声生言霊の幸ひて
  沼に神橋はかかりけらしな

 小夜更けて沼の底なる神橋行く
  駒の足並ゆたかなりける

 黄昏の空とし思へど岐美が行く
  道は明るし沼の底まで

 岐美行かば生言霊の幸ひて
  真鶴山はよみがへるべし』

 産玉の神は御歌うたひ給ふ。

『国中比古神を迎へて吾は今
  瑞の御霊を謹み迎ふる

 主の神のウ声に生りし産玉の
  神の導き安くましませ

 わが生みし真鶴山のかくの如
  地稚ければ固めなしませ

 瑞御霊来まさむよき日を待ち侘びて
  吾幾年を経たりけらしな

 産玉のウの言霊に生れたる
  真鶴山はわが生命かも

 真鶴の山の御魂と永久に
  吾は鎮まり国土造らばや

 幾年を艱み苦しみ生り出でし
  真鶴山は未だ稚しも

 瑞御霊神の功に真鶴の
  山かたまりて世を照すらむ

 いざさらば真鶴山の頂上に
  登らせ給へ瑞の御霊よ』

 かく歌ひて産玉の神は先頭に立ち、真鶴山の頂上に登り給ふ。顕津男の神以下十柱の神々は、国中比古の神の案内に連れて、駒に跨りながら未だ地の固まらぬ山坂を、蹄の跡を地に刻みながら、漸くにして丘の上に登りつき給ひ、濛々と立昇る狭霧を打見やりつつ御歌うたひ給ふ。

『四方の野は狭霧こめつつ目路せまし
  吾この山に国土造りせむ

 国稚き真鶴山に吾立ちて
  四方の雲霧吹き払はなむ

 ハホフヘヒ生言霊の幸ゆ
  見渡す限り霧晴れよかし』

(昭和八・一〇・二一 旧九・三 於水明閣 森良仁謹録)



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