出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語73-2-171933/10天祥地瑞子 駒の嘶き王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
詳細情報:
場面:
高照山
あらすじ
 一行は高照山を目指していたが、途中で如衣比女の神が待っていた。如衣比女は顕津男の神に求愛の歌を歌いかけるが、顕津男の神は受けない。大御母の神が「良き日が来るまで待て」と比女に歌いかける。
 如衣比女の神は言霊の力で、川を割った。すると、そこから銀龍、須佐、天龍という三頭の銀の駒が現われた。
 大御母の神は銀龍、顕津男の神は天龍、如衣比女の神は須佐にまたがり、高照山の聖場に進む。麒麟にまたがる万神も、鳳凰の背に乗った神々も「ウォーウォー」と叫びつつ歓呼の声は天に満ちた。
名称
大御母の神 太元顕津男の神 銀龍 須佐 天龍 如衣比女の神
麒麟 主の神 鳳凰
天の八洲河 須佐の川 高照山 タカの言霊
 
本文    文字数=5408

第一七章 駒の嘶き〔一八四八〕

 太元顕津男の神は、大御母の神に導かれ、数多の諸神を従へて、真清水流るる天の八洲河を向津岸にうち渡り、麒麟の足もチヨクチヨクと、高照山の聖地をさして、道の隈手も恙なく、タカの言霊におくられて、とある小川辺に着き給ふ。この川の辺に脛もあらはに禊せる比女神あり、容姿端麗にして玉の如し。顕津男の神はこの美神に対し、

『由縁ある女神と思へどたしだしに
  われ御名知らず宣らせ給はれ』

比女神『われこそは神のよさしの如衣比女
  岐美来ますよと禊して待ちし

 大神の神言畏みただ一人
  けながく待ちぬ岐美の出でまし』

 顕津男の神はこれに答へて、

『八十神の汝は一つの細女か
  思ひにまかせぬ我を許せよ

 主の神のゆるし給ひし仲なれど
  百神たちの目を如何にせむ』

比女神『千早振神のゆるせし女男の道
  はばかり給ふ心恨めし

 大らかに居まさへ背の岐美天界の
  国を治むるいみじき神業よ

 見るからに川巾狭き須佐川も
  底ひは深きわがおもひかな

 須佐川はよし底ひまで乾くとも
  岐美に仕ふる心わすれじ』

 比古神はこれに答へて、

『高照のみ山にのぼる道なれば
  わが心根をはかりて許せよ』

比女神『村肝の心はげしくどよめきぬ
  いざみともせむ高照の山に

 高照の山は高しもさかしもよ
  わが駒に召せ麒麟をすてて』

比古神『大御母神の賜ひし麒麟なれば
  我いたづらに捨てがてに思ふ』

比女神『この駒は雌にいませば神業の
  みたまと思ひて安く召しませ

 白銀のしろき若駒に跨りて
  国つくりませわが真心に』

 比古神は面ほてりながら答へ給ふ。

『如衣比女神の神言の真心に
  報いむ術のなきが悲しき

 高照のみ山にわれは進みゆく
  汝は後より静に来ませよ』

 比女神は面をくもらせながら、

『情なき岐美の心よおほらかに
  雄々しくいませ世に憚らで

 凡神の眼を恐れ給はずて
  神のよさしの神業召しませ』

 ここに大御母の神は、両神が応答歌を聞きて痛ましく思ひ給ひしが、忽ち麒背を下り、如衣比女の神の御手をとり、熱き涙をたたへながら、

『妹と背の道は知らぬにあらねども
  しばしを待たせ良き日来るまで

 汝が神の清き心はわれも知る
  須佐の流の深きおもひを』

 比女神は打ちうなづきながら、

『情ある神の言葉にまつろひて
  良き日足る日をしのびて待たむ』

 如衣比女の神は須佐の川瀬に合掌し、声もしとやかに、マモムメミの言霊歌を宣り給へば、川の流れは真つ二つに分れて、中より銀の駒三頭躍り出で、高く嘶きながら比女神の側近く寄り来る。比女神は駒の頭を撫で擦りながら、

『この駒は顕津男の神召しませよ
  高照山はさかしくあれば

 この駒は大御母神召しませよ
  勝れて高きしろがねの駒

 いや果にのぼり来りし白駒に
  跨りわれは御供に仕へむ』

 顕津男の神は、

『比女神の生言霊ゆ生れたる
  駒をし見れば心動くも

 比女神の言霊清し白銀の
  駒は三つまで生り出でしはや』

と謡ひ給ひて麒麟をひらりと下り、駒の背に乗りかへ給ふ。この駒の御名を天龍と言ふ。天龍は鬣を振り尾をふり、比古神の僕となりしを喜びて、高く清く幾度となく嘶けり。如衣比女の神は駒の轡を右手に握らせながら、

『白妙の黄金の駒に跨りし
  岐美の姿は雄々しかりけり

 この駒の清く白きは岐美おもふ
  わが真心の色とこそ思へ』

 比古神は欣然として謡ひ給ふ。

『一度のみとのまぐはひ無けれども
  こころ楽しき白駒の背

 汝もまた駒に召しませ高照の
  山はさかしとわれ聞くからは』

 如衣比女の神は、

『ありがたし岐美の言葉は命かも
  駒の御供を仕へまつらむ』

 ここに大御母の神は銀龍の駿馬にまたがり、顕津男の神は天龍に、如衣比女の神は須佐にまたがり、轡をならべて戞々と、高照山の聖場に進み給ふぞかしこけれ。麒麟にまたがる万神も鳳凰の背に乗れる神々も「ウオーウオー」と叫びつつ歓呼の声は天に満ち、高照山の聖場も動くばかりに見えにけり。

(昭和八・一〇・一三 旧八・二四 於水明閣 白石恵子謹録)



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