出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語73-1-81933/10天祥地瑞子 国生み神生みの段王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
詳細情報:
場面:
紫天界
あらすじ
 天之道立の神が、紫微の大宮で大幣を振っていると、太元顕津男の神が大鰻の姿で現われた。太元顕津男の神は紫微圏界の発生にあたって、大虚空の西南に位置を定め、百の神業を司っていたが、それを終えてやって来られたのである。
 高鉾の神、神鉾の神が現われて、顕津男の神に紫天界の経綸に携わるように指示した。これを受けて、顕津男の神は高地秀の峯に降り、造化の三神を祭った。しかし、天界においても、ようやく横目立鼻の神人が現れ、愛慾に心を乱されしまった。そこで、至善至美至愛の天界も濁り、曇り、次第に妖薜の気や混濁の気がみなぎってきた。これは、善悪相混じ美醜互に交はる惟神の摂理によるものである。
 そこで、主の神が再び現われて、至善、至美、至粋、至純、至仁、至愛、至厳、至重の神霊を宿している顕津男の神に八十比女神を与え、国魂の神を生ませようとされた。
 たとえば、醜草の種は生え安く茂り、安くして世に寸効もなく、道を塞ぎ悪虫を生じ足を容れるところがないまでになるのを憂い、至粋至純な白梅の種を植え広めさせようとされたのである。
名称
天之道立の神 大鰻 太元顕津男の神 神鉾の神 主の神 高鉾の神
天之峯火夫の神 国魂神 造化の三神 八十比女神 八百万の神
混濁の気 紫天界 紫微圏界 紫微天界 紫微の大宮 高地秀の峯 大虚空 天界 御霊代 妖薜の気
 
本文    文字数=4682

第八章 国生み神生みの段〔一八三九〕

 天の道立の神は、紫微の大宮の清庭に立ちて布留辺由良、布留辺由良と大幣を振り給へば、紫微天界の西南の空を焦して入り来る神あり。その御姿は百有余旬の大鰻の姿にして、肌滑らけく青水晶の如く、長大身ながらも拝しまつりて権威の心を起さず、寧ろ敬慕の念に満たされつつ、天之道立の神は紫微の大宮に鰭伏して、
『来ります神は何神なりや』
と神慮を伺ひまつりけるに、
『天之峯火夫の神言もちて、今より来る神は太元顕津男の神』
と宣らせ給ひぬ。太元顕津男の神は紫微圏界の成出でし最初にあたり、大虚空の西南に位置を定め、百の神業を司り給ひしが、やうやく大神業を仕へ終へ給ひし折もあれ、天之道立の神の生言霊の祓ひの神業に感じ給ひて、此処に寄り来ませるなりき。太元顕津男の神は横目立鼻の神人と化し給ひ、大宮の御前に額づきて宣り給はく、
『我は主の神の神言もちて、西南の空を修理固成し終れり。我この後は如何にして神業に仕へまつらむや、〓怜に委曲に事依さし給へ』
と、天津誠の言霊をもて祈らせ給へば、紫微の宮居の扉は再び静に開かれて、茲に高鉾の神、神鉾の神、四辺を紫金色に照させながら、儼然として宣りたまはく、
『宜なり宜なり太元顕津男の神よ。我主の神の神言もちて汝に宣り聞かす事あり、慎み畏み神業に仕へまつれよ。これより東北万里の国土において天界経綸の聖場あり、称して高地秀の峯といふ。この高地秀の峯こそ我主の神の出でませし清所なれば、汝は一時も早く高地秀の峯に下りて紫天界の経綸に仕へまつれ。八百万の神を汝に従へてその神業を助けしめむ』
と、右手に大幣を打ちふり、左手に百成の鈴を打ちふり給ひつつ、殿内深く隠れ給ひぬ。茲に太元顕津男の神は天之道立の神に深く感謝の意をのべながら、時遅れじと再び長大身に還元しつつ、光線の速さよりも速く、見る見る姿を隠させ給へり。
 太元顕津男の神は、天の高地秀の山に下り給ひつつ、茲に造化の三神を斎ひ祭り、朝な夕に誠心の極みを尽し、言霊の限りを竭して、天界の平和幸福を祈らせ給ふ。紫微圏界に坐す主の大神の御稜威によりて、平らけく安らけく清く明けく治まりたれども、百万里東方の国土は未だ神徳に潤はず、漸く妖薜の気群がり起り、神々は水火の呼吸の凝結より漸く愛情の心を起し、神生みの業は日々に盛になりたれども、善悪相混じ美醜互に交はる惟神の摂理によりて、遂に混濁の気国内に満ち、万の禍群れおきむとせしを甚く歎かせ給ひ、高地秀の大宮に百日百夜間断なく祈り給へば、主の神はここにも再び現れまして神言厳かにのたまはく、
『汝これより国生み、神生みの神業に仕へまつれ。その御樋代として八十の比女神を汝に従はしめむ』
と宣り給へば、太元顕津男の神は主の神の神宣のあまりの畏さに、応へまつる言葉もなく、宮の清庭に鰭伏して直ひたすらに驚き打ち慄ひ給ひける。
 主の神より太元顕津男の神に対し八十比女神を授け給ひしは、神界経綸につきて深き広き大御心のおはしますことなりけり。天界においても漸く茲に横目立鼻の神人現れ、愛欲に心乱されて至善至美至愛の天界も濁り曇らひければ、その汚れを払はむとして至善、至美、至粋、至純、至仁、至愛、至厳、至重の神霊を宿し給ふ太元顕津男の神に対して、国魂の神を生ましめむとの御心なりける。譬へば醜草の種は生え安く茂り安くして世に寸効もなく、道を塞ぎ悪虫を生じ足を容るる処なきまでに至るを憂ひ給ひて、至粋至純なる白梅の種を植ゑ広めしめむと、八十比女神を御樋代に、国の守りと国魂神を生ませ給はむ御心なりける。曇り乱れの種を天界に蒔き広むる時は益々曇り乱れ、遂には神明の光も知らざるに至るものなり。

(昭和八・一〇・一〇 旧八・二一 於水明閣 加藤明子謹録)



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