出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語73-0-21933/10天祥地瑞子 総説王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
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場面:

あらすじ
 大国常立の大神は、ウ声の言霊の御水火より天之道立の神を生み、宇宙の世界を教え導いたが、数百億年の後に至って、稚姫君命の霊性の御霊代として尊い神人と顕現し、三千世界の修理固成を命じた。アの言霊より生れた太元顕津男の神の御霊も神人として現れ、天之道立の神と共に神業に励まれた。
 太元顕津男の神は、厳の御霊稚姫君命が天津御国に帰った後は、瑞の御霊は厳の御霊の神業一切を受け継ぎ、厳の御霊、瑞の御霊の活動を合して伊都能売の御霊と現れ、万劫末代の教を含む神業に奉仕することになった。
 厳の御霊は荒魂の勇と和魂の親を主とし、奇魂の智と幸魂の愛は従となって活きた。瑞の御霊は奇魂の智と幸魂の愛主となって、荒魂の勇と和魂の親は従となって世に現れ、今や破れんとする天地を修理固成すべく現れたのである。
 厳の御霊は経の神業であるから、言行共に一々万々確固不易である。それに対して、瑞の御霊の神業は、操縦与奪其権有我の力徳を以て神業に奉仕する神定である。また今では、伊都能売の御霊と顕現したのだから、その行動の変幻出没自由自在は到底凡夫の窺知し得べきものではない。
 賢哲の所謂中庸、中和、大中、其の中は神府の中とは大に異っている。故に現代人が善であるとする事も、神の眼から視て悪である事がある。現代人の目より悪に見えることも、神界では善とすることがある。これを善悪不二の真諦という。
 73巻からは、古事記に現れた天之御中主神以前の天界の有様を略述し、皇神国の尊厳無比であることを知らそうとするものだ。
 73巻は富士文庫に明記された天の世から初め、天之御中之世、地神五代の世から今日に至る万世一系の国体と、皇室が神より出られて、尊厳無比である理由を、闡明にするものである。
 富士文庫神皇記の天の世の神の御名は、一 天之峯火夫神 二 天之高火男神 三 天之高地火神 四 天之高木比古神 五 天之草男神 六 天之高原男神 七 天之御柱比古神である。
 神生み国生みの物語も、最初の神々は幽の幽であるので、現代人のように肉体を保たず気体であるから、現代人のように男女の関係は無く、只言霊の水火と水火を結び合せて国を生み、神を生まれたのを確認してほしい。
 最初の神々は何れも幽体隠神であるので、男神は比古を附し、女神は比女の字で表す。後世に於ける彦神姫神とは大いに異なっている。
 太元顕津男の神の神名は、ア声の言霊が南西に活きて顕れられた神名で、国を生み神を生まれたといっても、国を開拓された神業を国生みと言ひ、国魂の神を選び、または生まれたことを神生みと称へるのは、皇典古事記からも明白である。
 八十比女神の国生み神生みの神業も、只単に言霊の水火の組合せによって、言霊神が生れられた根本の御神業である。
名称

天之高地火神 天之高原男神 天之高木比古神 天之高火男神 天之御中主神 天之道立 天之峯火夫神 天之御柱比古神 厳の御霊 伊都能売の御霊 大国常立大神 太元顕津男 主の神 稚姫君命
アの言霊 天津御国 天之御中之世 天の世 荒魂 幽体隠神 幽の幽 水火 ウの言霊 奇魂 言霊学 古事記 幸魂 紫微天界 神諭 神皇記 善悪不二 経の御用 大宇宙 地神五代の世 天神七代 和魂 万世一系 富士文庫 御霊代 緯の御用
 
本文    文字数=7295

総説

 三千大千世界の大宇宙を創造し給ひし大国常立の大神は、ウ声の言霊の御水火より天之道立の神を生みたまひ、宇宙の世界を教へ導き給ひたるが、数百億年の後に至りて、稚姫君命の霊性の御霊代として尊き神人と顕現し、三千世界の修理固成を言依さし給ひ、またアの言霊より生り出でし太元顕津男の神の御霊も神人と現れ、共に神業を励み給ひける。天の時茲に到りて厳の御霊稚姫君命は再び天津御国に帰り給ひ、厳の御霊の神業一切を瑞の御霊に受け継がせ給ひける。ここに厳の御霊瑞の御霊の活動を合して伊都能売の御霊と現れ、万劫末代の教を固むる神業に奉仕せしめ給ひたるなり。
 厳の御霊は荒魂の勇と和魂の親を主とし、奇魂の智と幸魂の愛は従となりて活き給ひ、瑞の御霊は奇魂の智と幸魂の愛主となり、荒魂の勇と和魂の親は従となりて世に現れ、今や破れむとする天地を修理固成すべく現れ出でたるなり。しかして厳の御霊は経の神業なれば言行共に一々万々確固不易なるに反し、瑞の御霊の神業は操縦与奪其権有我の力徳を以て神業に奉仕し給ふ神定めなり。神諭にも、経の御用はビクとも動かれず鵜の毛の露ほども変らぬが、瑞の御霊は緯の御用なれば機の緯糸のごとく、右に左に千変万化の活動あることを示されたり。しかるに今や伊都能売の御霊と顕現したれば、経緯両方面を合して神代の顕現に従事し給ふこととなりたれば、益々その行動の変幻出没自由自在なるは到底凡夫の窺知し得べきものにあらず。かくして大宇宙の神界治まり、三千世界の更生となりて、全地上の更生の神業は成就すべきなり。この消息を知らずして大神業に奉仕せむとするものは、恰も木に拠つて魚を求むる如く、海底に野菜を探り、田園に蛤を漁るが如し。
 神は至大無外至小無内在所如無不在所如無底のものなれば、従来の各種の宗教や賢哲の道徳率を標準としては、伊都能売神の御神業は知り得べき限りにあらず。例へば機を織るにしても経糸はビクとも処を変ぜず緊張し切りて棚にかかり、緯糸は管に巻かれ杼に呑まれて小さき穴より一筋の糸を吐き出し、右に左に経糸の間を潜り立派なる綾の機を織上ぐる如きものなり。機を織る緯糸は一度通ずれば二度三度筬にて厳しく打たれつつ、ここに初めて機の経綸は出来上るものなり。

 綾機の緯糸こそは苦しけれ
  一つ通せば三度打たれつ

 神界の深遠微妙なる経綸については千変万化極まりなく、善悪相混じ美醜互に交りて完全なる天地は造られつつあるなり。伊都能売神の神霊もまたその如く三十三相は言ふも更なり、幾百千相にも限りなく臨機応変して神業によさし給へば、凡人小智の窺知すべき限りにあらざるを知るべし。
 かつ厳の御霊の教は神人一般に対し、仁義道徳を教へ夫婦の制度を固め、仮にも犯すべからざるの神律なり。故に瑞の御霊の大神は紫微天界の初めより太元顕津男の神と現れまして、国生み神生みの神業に奉仕し給ひ、万代不動の経綸を行ひ給ひつつ若返り若返りつつ末世に至るまでも活動給ふなり。その間幾回となく肉体を以て宇宙の天界に出没し、無始無終にその経綸を続かせ給へば、他の神々は決してその行為に習ふべからざるを主の神より厳定されつつ今日に至れるなり。
 神諭に経の御用は少しも動かされず変へられないが、緯の御用は人間の知恵や学問にては悟り得べきものにあらざれば、神に仕ふる信徒達はその心にて奉仕せざれば神界経綸の邪魔となると示されてあるのは、この間の消息を伝へられたるものなり。
 故に本書は有徳の信者または上根の身魂にして神理を解し得る底の身魂にあらざれば授与せざるものとす。この物語を読みて神理を覚悟する人士は従来の心の持方を一掃し、三千世界更生のためにその力を添へられむ事を希望して止まざるなり。賢哲の所謂中庸、中和、大中、その中は神府の中とは大に異れり。故に現代人の見て善となす事も、神の眼より視て悪なる事あり、また現代人の目より悪と視ることも神界にては善となすことあり。これを善悪不二の真諦といふ、嗚呼惟神霊幸倍坐世。
 いよいよ本巻よりは、我古事記に現れたる天之御中主神以前の天界の有様を略述し、以て皇神国の尊厳無比なるを知らしめむとするものなり。
 本書は富士文庫に明記されたる天の世を初めとし、天之御中之世、地神五代の世より今日に至る万世一系の国体と、皇室の神より出でまして尊厳無比なる理由を闡明せむとするものにして、先づ天の世より言霊学の応用により著はせるものなれば、決して根拠なき架空の説にあらざるを知るべし。富士文庫神皇記の天の世の神の御名を列記すれば、
 一 天之峯火夫神
 二 天之高火男神
 三 天之高地火神
 四 天之高木比古神
 五 天之草男神
 六 天之高原男神
 七 天之御柱比古神
 以上七柱の天神七代を天の世と称し、天之御中主神より以下七代を天之御中之世と称へ奉るなり。茲に皇国固有の言霊学の力をかりて、大虚空における最初の神々の御活動を謹写せむとして著はしたる物語なり。また神生み国生みの物語も、最初の神々は幽の幽に坐しませば、現代人の如く肉体を保ち給はず全く気体に坐しますが故に、現代人の如く男女の関係は無く、ただ言霊の水火と水火を結び合せて国を生み神を生み給ひしを知るべし。最初の神々は何れも幽体隠神に坐すが故に、男神は比古を附し、女神は比女の字を藉り顕しあれば、後世における彦神姫神とは大に異なれるを知るべきなり。
 太元顕津男の神の神名は、ア声の言霊南西に活き給ひて顕れ給ふ神名にして、国を生み神を生まし給ふと雖も、国を開拓し玉ふ神業を国生みと言ひ、国魂の神を選ませまたは生せ給ふを神生みと称へ奉るは、皇典古事記の御本文に徴するも明白なり。また八十比女神の国生み神生みの神業も、ただ単に言霊の水火の組合せによりて、言霊神の生り出で給ふ根本の御神業なるを知るべし。

(昭和八・一〇・四 旧八・一五 於高天閣 森良仁謹録)



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