出口王仁三郎 文献検索
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原著名 | 出版年月 | 表題 | 作者 | その他 |
物語62-6-26 | 1923/05 | 山河草木丑 神丘 | 王仁三郎 | 参照文献検索 |
キーワード: 物語 |
詳細情報: 場面:
あらすじ 未入力 名称
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本文 文字数=6246
第二六章 神丘〔一六〇一〕
第五〇二
一
澄み渡る玉の井の底を眺むれば
風に散り行く花の影見ゆ。
二
玉の井の鏡に映る月影は
瑞の御霊か如意の宝珠か。
三
花の色の褪せ行く見れば知らぬ間に
春は暮れけり野はうつりけり。
四
夜を照らす月の恵を白雲の
花と讃めつつ雪と称へつ。
五
雪よりも花よりも尚清くして
御空に澄める月の光なり。
第五〇三
一
夢とのみ仇に聞きてし時鳥
ただ一声の懐しくなりぬ。
二
神園にたてる常磐の松を見れば
花に心はうつらざりけり。
三
松見れば何時も緑の色清く
常磐の春の心地せらるる。
四
神園の白梅清く散り果てぬ
実を結ぶなる魁として。
五
高山にかかれる八重の横雲に
なきすてて行く山時鳥。
第五〇四
一
時鳥啼きつるあとに家鶏の
声さわやかに暁告ぐる。
二
暁の黄金の鳥は啼き初めぬ
五六七の御代の曙近みて。
三
いや高く月は照れども八重霞
中空しきる忌はしさかな。
四
武蔵野に声悲しげに啼き渡る
山時鳥血潮吐くなり。
五
啼き涸れて今は声なき時鳥
焦るる袖に五月雨の降る。
第五〇五
一
夏の夜も寝ねあぐみたる老人の
耳を澄まして啼く時鳥かな。
二
寝る間も神の御前を慕ふ身の
夢の山路に時鳥啼く。
三
世を嘆き人を嘆きて時鳥
声からしつつ雲井を翔る。
四
一声の叫びは月か時鳥
何れにしても悲しかりけり。
五
時鳥啼かぬ山里なけれども
都大路に叫ぶ術なし。
第五〇六
一
荒鷲の御空をかける都路は
山時鳥啼く術もなし。
二
小夜更けて山時鳥淋し気に
啼きつる声の耳に入らずや。
三
足曳の黄金の山に登り見れば
ここにも聞きぬ時鳥の声。
四
桶伏の山の茂みに身を潜め
声悲しげに啼く時鳥。
五
風に散る花橘の影見れば
来るべき世の偲ばるるかな。
第五〇七
一
いと清き谷の流れも濁り来ぬ
降る五月雨のしげきがままに。
二
風荒み雨は頻りに降りそそぎ
清き谷水濁らひ行くなり。
三
今しばし時待てよかし谷の水
やがては月の影映すらむ。
四
大空に雲ふさがりて五月雨の
降り来る中に時鳥なく。
五
小雲川立ち出で御禊する夜半の
川音更けて曙近し。
第五〇八
一
大空を包み隠せし五月雨の
中に輝く月の影かな。
二
白妙のわが衣手は時雨しぬ
雲井の空を思ひなやみて。
三
澄み昇る二日の月も秋の空の
盈つる今宵を待ち経たりけむ。
四
久方の御空にすめる月影は
海の外まで鏡と見るなり。
五
踏み迷ふ人を照らして秋の月は
雲に乗りつつ西に傾く。
第五〇九
一
大空の月も夜な夜な眺むれば
さまで珍しと思はざりけり。
二
昔見し月の光も今日の月も
珍の姿は変らざりけり。
三
中空に雲のさやりのなかりせば
月の光はさやけからまし。
四
瑞御霊月の光を見るたびに
魂の曇りの恥しくなりぬ。
五
桶伏の山に八重雲棚曳きて
小雲の川に月はさやけし。
第五一〇
一
すむ月の瑞の光を包まむと
高山の端に起る黒雲。
二
小雲川科戸の風に波立ちて
うつろふ月は千々に砕けつ。
三
八重雲に鎖されいます月影も
ほのかにさしぬ獄舎の窓に。
四
春の日の御空の月を仰ぎ見て
涙しにけり吐息つくづく。
五
醜神に押籠められし身の上は
窓の月さへ仰ぐ由なし。
第五一一
一
和田の原漕ぎ行く舟のしるべとも
なりてかかがよふ月の影かな。
二
小夜更けて山路に深く迷ふ身を
照して昇る夜半の月影。
三
白妙の袖に輝く月影は
恵みの露の玉とこそ知る。
四
深山路の木の間を通して照る月の
影こそ千々に砕け見ゆるも。
五
玉の身を千々に砕きて木下闇に
潜む千草を照らす月影。
(大正一二・五・一五 旧三・三〇 隆光録)
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