出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語60-0-21923/04真善美愛亥 総説王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
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あらすじ
何ほど多勢の敵といえども、善言美辞の言霊で見方にもなり、多数の見方でも悪言暴語によって直ちに怨敵となる。
名称


 
本文    文字数=4517

総説

 古人曰ふ、『善願あれば天必ずこれを輔く』と。瑞月は神明の随々病躯を駆つて漸く神示の物語原稿用紙七万五千枚約八百五十万言、頁数二万四千、約九箇月の着手日数を要して、茲にいよいよ六十巻を口述編著しました。かかる阿房多羅に長い物語を書いて識者より冗長粗漫の文章だと失笑さるる恐れ無きには非ざれども、今日の大多数の人々は古人に比して頭悩の活動力最も劣り、容易に深遠なる教義を真解すること能はず、かつ何事も上走りにて誤解し易く、ために三五教の真相や大精神を曲解し終には忌はしき大本事件を喚起するに到つたのは、返す返すも遺憾の至りであります。
 上根の人は一言聞いてその真相を了解し、至仁至愛の神の大精神や大経綸を正覚すと雖も、中根下根の人々に対しては到底高遠微妙なる文章や言語にては解し得ない而己ならず、却て神意を誤解し、大道を汚濁する虞がある。故に瑞月は現代多数の人々のために多大の努力と日子を費したのであります。
 現代は古と異つて何事も大仕掛になつて居り更に益々大きく成らむとしつつあるが故に、非常にその間口が広くて、奥行が浅い人間が多く現はれるのは止むを得ない。故に今後の人々に対して徹底せしめむとするには不断の根気が何よりも大切である。たとへ百年かからうが神の大御心を万人に徹底させなくては措かない決心である。
 現代の人々がただの一人も自分が口述した物語を用ゐてくれず、また了解してくれなくても構はない、自分だけただ一人これを信じて大神の大精神を幾分なりとも実行し、正しき信仰の下に人間として生きて行く考へである。現代人の中にはかくの如く世間の行事が悪化し獣化するのを見ては、……自分一人が心身を正しくし神の示教を信じる事が出来ようか……と思つたり云つたりして居る人々の考へは余りの狼狽である。今日の社会にコウ言ふ狼狽へた人々の多いことは如何にしても慨はしいことである。国の滅亡する時は「一人の義人あるなし。また識者なるもの一人もある無し」といふ極端まで行くものだが、国に一人にても、義人や真の識者のある限り、決してその国は亡ぶるものでは無い。神諭にも「誠の義人が三人あれば弥勒神政必ず成就すべし」と示してある。今日はお互に最後の一人を以て任じ、せめて自分だけでも正しき信仰に生き、清き人間として世のため道のために尽さむとする同じ心の人々と共に、この聖なる団体を擁護し開展し以てこの世界をして真善美愛の楽土と化せしめ、国祖の神慮に叶ひ奉らむことを希望し、あらゆる迫害に耐へ、克く忍び以てこの千載一遇の神業に奉仕せむと欲し、最後の一人となるも決して絶望せず、狼狽せず、平静に生命ある聖き希望を抱いて天下のために竭さむとするものである。故に吾人は世俗の所在非難攻撃にも屈せず、山鳥の尾のしだり尾の長々しくも撓まず屈せず、口述を続けて後世の軌範とせむことを希求しつつあるのである。
 この世を造りし神直日、心も広き大直日、ただ何事も人の世は、直日に見直せ聞き直せ身の過ちは宣り直せ。と吾人は日夜この神示を楯としてヒシヒシと押寄せ来たる激浪怒濤を浴びながら、善言美詞の言霊の武器を以て凡ての外道を言向和す覚悟である。何ほど多勢の敵と雖も驚くには及ばない。ただ一言の善辞、即ち言霊の善用によりて強敵は忽ち化して強き味方となり、また多数の味方と雖も、ただ一つの悪言暴語によつて直ちに怨敵となる。言霊の尤も慎むべきを明示したのは本書霊界物語を通じての大眼目であります。読者幸に本書によつて言霊の活用を味ひたまふことあらば瑞月の微衷も酬はれたりといふべきであります。アヽ惟神霊幸倍坐世。
   大正十二年四月



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