出口王仁三郎 文献検索

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物語54-5-181923/02真善美愛巳 真信王仁三郎参照文献検索
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第一八章 真信〔一四〇四〕

 緑葉滴る初夏の候  山野の木々は自然のカブオットをなし
 風は自然の和琴を弾ず  見渡す限り原野には
 首陀や耕奴の三々伍々  列を正して
 命の苗を植ゑつける  その光景は天国を
 地上に移せしごとくなり  ビクトル山の頂上より
 瞳をはなてば麗はしき  譬方なきフリイスの
 棚引くごとく見えにけり  ミンシンガーは何と見る
 天の描ける大画帖  画中の人は何人か
 牛を追ひゆくパストラル  カンタビールナ歌うたひ
 或は交るプレストの  その対照の面白さ
 百日百夜の丹精も  漸く茲に現はれて
 ビクトル山の勝地をば  卜して建てる御舎も
 いと荘厳な神まつり  その祝詞は天地に
 響き渡りて霊国や  天国界の天人が
 奏でたまへる  ロンドの床しさ
 走法または軽快調  クラブイコードを中空に
 並べて奏づるアダヂオス  メロデイー、モーティフ
 マヂヨワ、アビニシモ  フアンセット、トンブルノ
 生言霊も順序よく  フレーズの限りを尽し
 リズム正しく天地の  神の心を慰むる
 その光景を目の当り  霊に目覚めし人の耳に
 いと涼やかに聞えくる  治国別を祭主とし
 ビクの国王の刹帝利  ヒルナの姫やアールの君
 その外百の司達  席を正して遷宮の
 式に列せる勇ましさ  開闢以来の盛況と
 褒め称へぬはなかりけり。  

 ビクトル山の頂上に檜皮葺の立派な社殿が落成し大国常立尊を初め奉り、天照皇大御神、神伊邪那岐大神、神伊邪那美大神、神素盞嗚大神、豊国姫大神、稚桜姫大神、木花姫大神、日の出神を初め、盤古神王を別殿に祭り、荘厳なる祭典の式は無事終了された。刹帝利のビクトリア王は国家無事に治まり、王家安泰の曙光を認めかつ神殿の落成した事を感謝すべく、神殿に向つて恭しく祝歌を奏上した。

刹帝(謡曲調)『久方の  天津御空に永久に
 鎮まり居ます天地の  元津御祖の神と現れませる
 大国常立の大御神  豊国主の大御神
 天津日の御国を  統べさせ給ふ
 神伊邪那岐の大御神  月の御国を統べたまふ
 神伊邪那美の大御神  厳の御霊と現れませる
 国治立の大御神  瑞の御霊と現れませる
 神素盞嗚の大御神  大地球の御魂と現れませる
 金勝要の大御神  海の底ひの限りなく
 統べ守ります大海津見の神  天教山に現れませる
 木花姫の大御神  日の出神を初めとし
 三五教を守ります  百の司の神柱
 常世の国に現れませる  盤古神王塩長彦の命
 その外百の神達の大前に  天地と共に限りなき
 神の授けしビクの国  国王に仕へまつりたる
 御国を守る刹帝利  ビクトリアの神の僕
 尊き清き大前に  謹み敬い天地の
 高き恵を悦びて  海河山野種々の
 美味しものをば奉り  厚き恵の千重の一重にも
 報い奉らむとして  今日の御祭り仕へ奉る
 天津神達八百万  国津神等八百万
 吾心根を憐みて  ビクの御国は云ふも更
 吾等が命を永久に  守らせ給へ国民の
 一日も早く穏かに  神の恵に浸りつつ
 家富み栄え生業を  歓ぎ楽しむ御代となし
 月日と共に永久に  茂り栄ゆべく
 守らせ給へ惟神  神の御前に願ぎまつる
 朝日は照るとも曇るとも  月は盈つとも虧くるとも
 仮令この世は変るとも  皇大神の御恵
 治国別の宣伝使  松彦竜彦神司
 ビクの御国を救ひましし  その勲功はいつの世か
 忘れ奉らむ惟神  神の御前に赤心を
 謹み畏み誓ひおく  ビクの御国は今までは
 ウラルの神の御教を  柱となして世を治め
 蒼生を慈み  仕へまつりてありけるが
 ミロクの御代の魁と  現はれませる素盞嗚の
 尊き神の御教に  目覚めし上はビクトリア城の
 百の司を初めとし  国民挙りて神恩を
 慕ひ奉りて永久に  珍の教を守るべし
 治国別の神司  御前に謹み再生の
 御恩を感謝し奉る  ああ惟神々々
 御霊幸倍ましませよ』  

 ヒルナ姫は白装束に紫色のスカートを穿ち銀扇を披らいて、アッコムパニメントを並ばせながら翼琴を弾じさせ、自ら祝歌を歌ふ。

ヒルナ姫『ビクトル山に千木高く  大宮柱太しりて
 鎮まり居ます皇神の  珍の御前に謹みて
 感謝の言葉奉る  抑々ビクの国柄は
 遠き神代の昔より  月日と共に伝はりて
 君と臣との差別をば  正しく守りし神の国
 雲井の空も地の上も  睦び親しみ親と子の
 如くに治まり来りしが  天津御空の日は流れ
 月ゆき星は移ろひて  醜の魔風は吹き荒び
 四方の山辺の木々の枝  冷たき風に叩かれて
 羽衣脱ぎし如くなる  いと浅猿しき国柄と
 忽ち乱れ淋れけり  御国の柱と現れませる
 吾が背の君の刹帝利  深く心を悩ませつ
 常世の国に現れませし  塩長彦の大神に
 朝な夕なに祈りつつ  天が下をば平けく
 いと安らけく治めむと  祈り給ひし丹精も
 水泡と消えて曲津神  八岐大蛇や醜鬼の
 荒びすさめる世となりぬ  ライオン川は滔々と
 水永久に流るれど  絶えなむばかりの刹帝利家
 既倒にこれを挽回し  救ひて君の神慮をば
 慰め安んじ奉らむと  女の繊弱き心より
 悪逆無道の曲神に  あらぬ秋波を送りつつ
 吾身の血潮を濁したる  その過を悔い奉り
 御仁慈深き三五の  神の御前に宣り直し
 聞き直されて元のごと  治まるアーチ・ダッチェス
 実に有難き限りなり  かくも尊き神恩に
 報いまつらむ赤心の  印とここに大宮を
 刹帝利様に願ひ上げ  治国別の神人に
 やつと許され珍の宮  仕へ終りし嬉しさよ
 ああ惟神々々  皇大神は永久に
 ビクの御国は云ふも更  吾君様や百司
 四方の国民恙なく  この麗しき現世に
 命を存らへ日々の  身の生業を励みつつ
 国の栄えを松の代の  常磐堅磐の聖代と
 進ませ給へ惟神  御前に謹み願ぎまつる』

と歌ひ終つて座についた。

(大正一二・二・二三 旧一・八 於竜宮館 加藤明子録)



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