出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語54-2-101923/02真善美愛巳 万亀柱王仁三郎参照文献検索
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第一〇章 万亀柱〔一三九六〕

 カルナ姫はまた歌ふ。

カルナ『朝日は照るとも曇るとも  月は盈つとも虧くるとも
 仮令大地は沈むとも  誠一つは世を救ふ
 誠の神の御教を  四方に伝ふる宣伝使
 治国別の神司  産土山の聖地より
 珍の御伴を従へて  下らせ給ひ天地の
 清き教を宣らせつつ  若君様の御結婚
 とりなし給ひし有難さ  天と地との息合せ
 生れ出でたる人々は  所謂神の子神の宮
 生きてはこの世の神となり  死しては護国の神となり
 豊葦原の瑞穂国  生ひ立ち栄ゆる人草を
 あつく守りて皇神の  よさしのままに赤心を
 尽すは人の務めぞと  教へ給ひし有難さ
 妾夫婦は謹みて  神の御為国のため
 蒼生を守るため  尊き神の御前に
 朝な夕なに身を清め  天の下をば平けく
 いと安らけく守りませ  偏に願ひ奉ると
 宣る言霊も空しからず  若君様の御結婚
 いよいよ無事に調ひて  御国の栄えを松の花
 緑の色もいや濃ゆく  栄え栄えていつまでも
 果しも知らぬ喜びは  全く神の御恵み
 謹み感謝し奉る  ああ惟神々々
 御霊幸倍ましませよ』  

 松彦はまた歌ふ。

松彦『此処は名に負ふビクの国  堅城鉄壁を繞らし
 四方を見晴らす宮城  百の国民見おろして
 御空に高く輝ける  月日の如く光をなげ
 恵の雨を降らし  国人を厚く守らせたまふ
 音に名高き刹帝利  万代不易のビクトリア王が家
 いや益々も天地と  むた永久に長からむ事を
 神の御前に祈り奉る  一度は黒雲に包まれて
 音に名高き名城も  遂に危く見えけるが
 尊き神の御守りに  醜の曲津は滅び失せ
 今は全く風塵も  留めぬ御代の目出度さよ
 その目出度さにまた一つ  喜びを重ね給ひたる
 アールの君の御結婚  いとさやさやに運びまし
 玉の緒琴の音も清く  響き渡れる勇ましさ
 この極みなき喜びは  外へはやらじと心をこめて
 松彦司が惟神  神に祈りをかけまくも
 畏き君の御前に  祝ぎ仕へ奉る
 ビクトリアの神殿が  築き上りし暁は
 アールの君よハンナ姫  手に手を取つて朝夕に
 かかさず詣で天が下  四方の国民恙なく
 君が政治を喜びて  仕へまつるべく
 祈らせたまへ  治国別の師の君に
 吾は従ひ近き中  恋しき都を後にして
 神の御為道のため  聖地をさして進むべし
 ああ惟神々々  御霊幸倍ましませよ』

と歌ひ終り座についた。竜彦はまた歌ふ。

竜彦『吾師の君に従ひて  祠の森を離れつつ
 曲神の猛ぶ山口の  昼さへ暗き森を越え
 野中の森や小北山  後に眺めてすたすたと
 浮木の森に来て見れば  思ひも寄らぬ曲神の
 深く企みし陥穽  師の君様と諸共に
 千尋の底へ転落し  霊は忽ち身を脱けて
 精霊界に彷徨ひつ  尊き神の御指図に
 霊国天国巡覧し  またもや下りて八衢の
 司の神とあれませる  伊吹戸主にいろいろと
 尊き道を教へられ  再びこの世に生き還り
 バラモン教のゼネラルと  現はれ給ふ片彦や
 ランチの君を言向けて  三五教の神力を
 現はせまつり吾々は  吾師の君と諸共に
 荒野ケ原を打ち渡り  ライオン河を横ぎりて
 ビクトル山の麓まで  進みて来る折もあれ
 俄に聞ゆる鬨の声  只事ならじと進みより
 よくよく見ればバラモンの  鬼春別や久米彦が
 一斉射撃の真最中  見逃し往くも三五の
 神の司の吾として  如何ならむと思ひつつ
 吾師の君と諸共に  厳の言霊打ち出せば
 豈図らむやバラモンの  率ゆる軍に非ずして
 右守の司の反逆と  覚りし時の憎らしさ
 吾等師弟は一斉に  心を揃へ口揃へ
 一目散に太祝詞  涼しく宣りて言霊を
 連続的に打ち出せば  雲霞の如き大軍も
 雲を霞と逃げ去りぬ  かかる所へヒルナ姫
 カルナの姫の女武者  神に守られかつかつと
 栗毛の駒に跨りて  反逆人の右守をば
 縛して帰り給ひたる  忠勇義烈の働きは
 末代までの鑑ぞと  褒めそやさぬは無かりけり
 刹帝利様の御前に  吾等師弟は導かれ
 いろいろ雑多の待遇しに  厚意を感謝し奉り
 三五教の御教を  完全に委曲に相伝へ
 皇大神の御舎を  ビクトル山の頂上に
 岩切り砕き土を掘り  上つ岩根に搗きこらし
 底つ岩根に搗き固め  大宮柱太知りて
 今は漸く九分通り  竣工したるぞ嬉しけれ
 これに先立ち刹帝利  ビクトリア王の御子とます
 五男一女の行衛をば  神の御告を蒙りて
 照国岳の谷間に  進みて迎へ奉り
 長子の君と生れませる  心やさしきアールさま
 今日は目出たき結婚の  式を挙げさせ給ひつつ
 百の司は云ふも更  吾々師弟も招かれて
 目出度き席に列ねられ  神の恵の大神酒を
 与へられたる嬉しさよ  元より酒豪の竜彦は
 何より彼より酒が好き  とは云ふものの三五の
 教の道に仕ふ身は  先づ第一に大酒を
 謹まなくてはなりませぬ  しかるに今日は何となく
 嬉し嬉しが重なりて  廻る盃数重ね
 思はず知らず酔ひつぶれ  いかい失礼したでせう
 ただ何事も神直日  大直日にと見直して
 許させたまへ刹帝利  その外百の司達
 御前に慎み詫びまつる  ああ惟神々々
 御霊幸倍ましませよ』  

 万公はその尾についてヘベレケに酔うたまま、足もよろよろ謡ひ舞ふ。

万公(謡曲調)『ああ目出度し目出度しお目出たし、朝日は照るとも曇るとも、この結婚が恙なく、千秋万歳楽と、祝ひ納むるその上は、仮令天地は変るとも、何か恐れむ神の御恵み、ビクの国主の御威勢、空飛つ鳥も羽翼をゆるめて地に墜ち、草木も感じて自然の音楽を奏し、河の流れは鼓を打ち、君が幾世を祝すらむ。また三五の皇大神に仕へたる、吾師の君を初めとし、三人の伴人の中において、さる者ありと聞えたる、万世祝ふ亀の齢の万公が、この喜びを万世に、伝へむものと勇み立ち、手足もままならぬほど、酔ひつぶれたる重たき身を起し、命限りに祝ぎ奉る。鶴は千年の齢を保ち、亀は万年の寿命をつづく、鶴と亀との命は愚か、幾億万年の末までも、ビクの御国は永久に、ビクトリア王家は、天地の続かむ限り、限りも知らず栄えませ。それにつけてもアールの君、新に迎へ給ひし后の宮のハンナ姫、いと睦まじくどこまでも、陰と陽との息を合せ、天が下に妹と背の、清き鑑を示させ給へ。日は照る照る月は輝く、星は御空に永久に、光も褪せず月の国の大海原の底深く、契らせ給へ惟神、神の御前に謹みて、亀の齢の万公が、今日の寿末長ふ、幾千代までも、祝ひ奉る』

と泥酔者に似ず、いと真面目に祝ひ納め元の座に着きぬ。この外、数多の司人の祝の歌はあれど、あまり管々しければ省略するなり。
 アールの王子は理想の妻、ハンナを娶りしより、国の政治日に月に開けて国民悦服し、ビクトル山の神殿に祭りたる国治立尊、日の大神、月の大神、神素盞嗚大神を朝な夕なに国民一般が信仰をなし、各その業を楽しみ、ミロクの聖代を地上に現出する事となりぬ。ああ惟神霊幸倍坐世。

(大正一二・二・二一 旧一・六 於竜宮館 加藤明子録)



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