出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語53-1-71923/02真善美愛辰 比翼王仁三郎参照文献検索
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本文    文字数=5429

第七章 比翼〔一三七〇〕

 左守の司キユービツトの館においては、右守の司の妹カルナ姫とその伜ハルナとの神前結婚式が厳粛に円満に挙行された。宣伝使兼内事の司タルマンは仲介人の事とて祭主を勤める事となつた。婚姻の儀式も首尾よく済んで一同は祝宴に移つた。この結婚によつて左守、右守両家の年来の確執は一掃さるる事であらうと、城内一般の注意を惹いた。タルマンは結婚式を祝するため、歌ひ初めたり。

『ああ有難し有難し  イドムの神のはからひで
 海より深き恋仲の  縁を結び終せたる
 大御恵ぞ尊けれ  かくも目出度き婚姻は
 君の命は云ふも更  国民共に歓ぎ合ひ
 怪しき卑しき村雲を  心の底より払拭し
 さらたまりての交際を  親しく結ぶ今日の宵
 皇大神のはからひで  世界にまたと二人ない
 揃ひも揃うたよい夫婦  誰憚らず今日よりは
 力の限り身の限り  妻は夫を夫は妻を
 手厚くもてなし家の中  整へ親によく仕へ
 長きミロクの末までも  ニコニコニコと睦び合ひ
 抜き差しならぬ鎹の  ネンネを生んで睦じく
 長閑なホームを作りませ  春の陽気も満ち満ちて
 日もいと永くなりぬれば  夫婦は手に手を取り交し
 メソポタミヤの顕恩郷  秀妻の国へ新婚の
 ままの旅行をなされませ  見れば見るほど美はしき
 娘盛りのカルナ姫  目出度き今日の宴会をば
 百歳千歳変りなく  八千代の春の玉椿
 抱き抱かれいつまでも  愉快に暮せハルナさま
 縁の糸は大神の  よさしのままに絶ゆるなく
 側目もふらず道のため  息を合せて勤めかし
 現世幽世隔てなく  歓ぎ親しみ神のため
 王家のために励むべし  ああ惟神々々
 御霊幸倍ましませよ』  

と四十五音の言霊歌を以て、両人の結婚を祝した。左守司のキユービツトは嬉しさに堪へず、手を拍つて歌ひ出したり。

『神が表に現れまして  恵の露を下しまし
 老先短き左守をば  救はせたまふ嬉しさよ
 ビクの御国に隠れなき  神徳高きビクトリア
 君の命のはからひで  誉も高き右守の司
 ベルツの君の御妹  カルナの姫を子に持ちて
 伜と共に睦じく  春の花咲くホームをば
 作らむ事の楽しさよ  これも全くウラル教
 神の柱と現れませる  盤古神王は云ふもさら
 刹帝利様やヒルナ姫  タルマン様の御恵み
 父祖の代より縺れたる  両家の暗闘も今よりは
 速河の瀬に流し捨て  君の御為め国のため
 大臣の道をばよく尽し  国民までも平けく
 いと安らけく知召す  君のみわざを麻柱て
 万世不易の国家をば  守らむ事の嬉しさよ
 伜ハルナを始めとし  淑徳高きカルナ姫
 幾久しくも吾家に  留まりまして神業に
 参加せられよキユービツトが  心を籠めて頼み入る
 朝日は照るとも曇るとも  月は満つとも虧くるとも
 仮令大地は沈むとも  星は空より落つるとも
 思ひ合うたるこの夫婦  仮令如何なる事あるも
 決して変る事非じ  カルナの姫よ今日よりは
 卑しき吾を父として  守らせ給へ左守の司
 赤き心のそのままを  慈に現はし頼み入る
 ああ惟神々々  御霊幸倍ましませよ』

 カルナ姫はまた歌ふ。

『神徳尊き左守の司  珍の御子と現れませる
 名望高きハルナさま  尊き神の御恵に
 よりて愈結婚の  式を挙げさせ給ひたる
 今宵の空の明けさ  月は御空に皎々と
 輝き渡り諸々の  星は一面煌めきて
 天の河原は北南  輪廓正しく流れ居る
 七夕姫の神さへも  年に一度の逢瀬ぞと
 聞きしに勝る妾こそ  夜と昼との区別なく
 夫婦互に顔合せ  清き月日を送る身の
 その幸は天国の  天津乙女や天人の
 日毎夜毎の楽しみも  吾には如かじと思ふなり
 ああ惟神々々  刹帝利様やヒルナ姫
 タルマン司の御恵で  嬉しき今宵の首尾を見る
 この喜びは何時までも  孫子の世までも忘るまじ
 左守の父よ兄上よ  いざこれよりは両家とも
 所在障壁撤回し  互に心を合しあひ
 君の御為国のため  いや永久に赤心を
 尽させ給へ惟神  神の御前に願ぎまつる』

と歌ひ終り舞ひ終り元の座についた。拍手の声は雨霰と響き渡りける。

(大正一二・二・一二 旧一一・一二・二七 於竜宮館 加藤明子録)



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