出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語52-5-271923/02真善美愛卯 胎蔵王仁三郎参照文献検索
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第二七章 胎蔵〔一三六三〕

 時置師神杢助は、ライオンを守衛に預けおき、八衢の審判神伊吹戸主の館へ進み入り、奥の一間において伊吹戸主と二人対談をやつてゐる。
『ああ時置師神様、随分宣伝はお骨の折れる事でせうなア、御苦心お察し申します』
『ドーモ曇り切つた世の中で、吾々の如き人間は神様の御思召の万分一も働く事が出来ませぬので、実に慙愧の至りでございます。つきましては今度お訪ね致しましたのは、神素盞嗚大神様の御命令によつてでございます。三五教に居りました高姫と云ふ女、彼の行状に就ては実に困つたものでございます。兇党界の精霊、妖幻坊なる妖怪に誑惑され、それをば私と思ひ込み、彼方此方で時置師や杢助をふり廻すので世の中の人間が非常に迷ひます。それ故今度霊界へ参つたのを幸ひ、しばらくの間現界へ帰さないやうに取計らつて貰ひたいものです』
『成程、大神様の御言葉、何とか致さねばなりますまい。しかしながら彼高姫は、未だ生死簿を見れば二十八年が間寿命が残つて居ります。霊界に止め置くのは御易い事でございますが、どうしても彼は現界へ還さねばならぬもの、余り長く止め置けば、その肉体が役に立たないやうになつてしまひます。その肉体を換へても差支なくば、何とか取計らひませう』
『どうか二三年の間此処に御止めを願ひ、三年先になつて霊界へ来るべき女の肉体に高姫の精霊を宿し下さいますれば、大変都合が好いでせう』
 伊吹戸主神はしばらく目を閉ぢ、思案をしてゐたが、やがて打肯いて、
『イヤよろしうございます。適当な肉体が三年後に霊界へ来るのがございますから、その肉体に高姫の精霊を宿し、二十八年間現界へ生かす事に取計らひませう』
『イヤ、それは実に有難うございます。左様なれば御免を蒙りませう』
『時置師神様、エー今此処へ大原敬助と片山狂助、高田悪次郎などの大悪党が出て参りましたが、今審判が開けますから、一寸傍聴なさつては如何ですか。高姫もこれから審判が始まります』
『イヤもう、高姫が居るとすれば折角ながら止めませう、ハハハハハ』
『たつて御勧めはいたしませぬ。左様ならば大神様へ宜敷くおつしやつて下さいませ。私はこれより審判に参ります』
とツイと立つて廊下を伝ひ審判廷に行く。杢助は守衛を呼んでライオンを曳き来らしめ、ヒラリと背に跨り、ウーツとライオンの一声辺りを轟かせながら、一目散にウブスナ山の方面指して中空を駆り帰つて行く。

 中有界の八衢に  伊吹戸主が永久に
 鎮まりまして迷ひ来る  数多の精霊一々に
 衡にかけて取調べ  清浄無垢の霊魂は
 各所主の愛により  高天原の霊国や
 三階段の天国へ  霊相応に送りやり
 極悪無道の精霊は  直ちに地獄に追ひ下し
 善ともつかずまた悪に  強からざりし精霊は
 一定の期間中有の  世界に広く放ちやり
 いよいよ霊清まりて  高天原に上るべく
 愛と善との徳を積み  信と真との智を研き
 覚り得たりし精霊を  皆天国に上しやり
 悔い改めず何時までも  悪心強き精霊は
 涙を払ひ暗黒の  地獄へ落し給ふなり
 今現はれし敬助や  片山狂介、悪次郎
 右三人の兇悪は  いと厳格な審判を
 下され直ちに暗黒の  地獄の底へ落されて
 無限の永苦を嘗むるべく  両手を前にぶら下げて
 意気消沈の為体  顔青ざめてブルブルと
 慄ひ戦く相好は  忽ち変る妖怪の
 見るも浅まし姿なり  後に来りし呆助や
 おつやの二人は姦通の  大罪悪を審かれて
 色欲界の地獄道  右と左に立別れ
 さも悲しげに進み行く  続いて高姫神司
 伊吹戸主にさばかれて  此処三年のその間
 中有界に放り出され  荒野を彷徨ひいろいろと
 艱難辛苦を味はひつ  我情我慢の雲も晴れ
 漸く誠の人となり  また現界に現はれて
 三五教の御為に  誠を尽し居たりしが
 再び情念勃発し  妖幻坊に欺されて
 印度の国のカルマタの  とある丘陵に身を潜め
 妖幻坊と諸共に  悪事の限りを尽すこそ
 実にもうたてき次第なり  かく述べ来る霊界の
 誠を写す物語  五十二年の時津風
 みろく胎蔵の鍵を持ち  苦集滅道明かに
 説き諭し行くみろく神  小松林の精霊に
 清きみたまを満たせつつ  この世を導く予言者に
 来りて道を伝達し  世人を普く天国に
 導き給ふ御厚恩  無下には捨てな諸人よ
 三五教の大本に  参来集へる信徒や
 百の司は村肝の  心を鎮め胸に手を
 当ててよくよく悟るべし  ああ惟神々々
 御霊幸はひましませよ  旭は照るとも曇るとも
 月は盈つとも虧くるとも  仮令大地は沈むとも
 海はあせなむ世ありとも  神のよさしの言霊は
 幾万劫の末までも  尽きせぬものと覚悟して
 これの教をよく信じ  愛と善との徳に居り
 信と真との光をば  世に輝かし惟神
 智慧証覚を摂受して  この身このまま天人の
 列に加はり人生の  清き本務を尽すべし
 神は吾等と倶にあり  神は汝と倶にます
 人は神の子神の宮  神より外に杖となり
 柱となりて身を救ふ  尊きものはあらざらめ
 仰ぎ敬へ諸人よ  神の御水火に生れ来て
 神の造りし国に住み  神の与へし粟を食み
 神の誠の教をば  心に深く植込みて
 束の間も忘るなよ  人の人たるその故は
 皇大神の神格を  その身にうけて神界の
 御用に仕ふるためぞかし  ああ惟神々々
 神の御前に赤心を  捧げて感謝し奉る。

 惟神神の御言を畏みて
  五十二巻を述べ終りける。

 教へ子に筆とらせつつ床の上の
  寝物語に物せしこの書。

 いろいろと醜の妨げありけれど
  神の守りに編み終りけり。

(大正一二・二・一〇 旧一一・一二・二五 外山豊二録)



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