出口王仁三郎 文献検索

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物語51-2-81923/01真善美愛寅 曲輪城王仁三郎参照文献検索
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第八章 曲輪城〔一三二三〕

 常世の国に生れたる  常世の姫の再来と
 自ら名乗る高姫は  地獄中有娑婆世界
 ならぬ第二の地獄道  兇党界に蟠まる
 金毛九尾の悪霊や  その外百の曲神に
 魅られ茲に両親の  隙を窺ひアーメニヤ
 ソツとぬけ出でエルサレム  都を指して進み行く
 高宮姫の若盛り  東野別とゆくりなく
 怪しき仲となり果てて  子まで成したる恋仲を
 北光神に遮られ  ここに生木のさき別れ
 高宮姫は止むを得ず  彼方此方と漂浪の
 その成果はバラモンの  神の教やウラル教
 三五教を聞きかじり  小才の利きし所より
 肉体界の精霊に  その全身を左右され
 流れ流れてフサの国  北山村にウラナイの
 教の射場を建設し  股肱と頼む黒姫や
 魔我彦その他の弟子達を  呼び集へつつ日に月に
 変性男子の系統ぞ  日の出神の生宮と
 名乗りて世人を欺きつ  遂に進んで自転倒の
 島に渡りていろいろと  艱難辛苦のその結果
 神素盞嗚の大神の  仁慈無限の御心に
 感喜の涙絞りつつ  茲に心を翻し
 三五教に救はれて  神の司と成りけるが
 またもや兇霊に欺かれ  金剛不壊の如意宝珠
 黄金の玉を握らむと  心猿意馬の止め度なく
 狂ひ出したる果敢なさよ  高砂島や竜宮島
 島の八十島八十の国  廻り廻りて末遂に
 我情我慢を後悔し  またもや猫の如くなり
 綾の聖地に奉職し  しばらく道を布きけるが
 淡路の酋長東助が  幼馴染の恋人と
 分りし後は高姫の  心は暗に彷徨ひて
 吾子も玉も念頭を  悉皆離れ恋人の
 後を慕ひてはるばると  山海河野打渡り
 夜を日についでウブスナの  大高原の斎苑館
 神素盞嗚の隠れます  高天原に参上り
 東野別に懇々と  天地の道理を諭されて
 一度は悔悟せしものの  またもや意馬は狂ひ出し
 この失恋を如何にして  回復せむかといらちつつ
 恋の涙にくれながら  五十を越えた身を以て
 執念深き婆々勇み  風吹きすさび獅子熊や
 虎狼の吠えたける  河鹿峠をドンドンと
 登りつ下りつ漸くに  祠の森に来て見れば
 こはそも如何にこは如何に  下つ磐根に宮柱
 太しき建てて千木高く  鎮まりゐます皇神の
 瑞の御舎拝観し  ひそかに、うなづくほくそ笑
 此処は名に負ふ河鹿山  斎苑の館の喉首よ
 われは此所にて一旗を  吹く神風に靡かせて
 数多の役員信徒等を  将棋倒しに説き伏せつ
 高姫王国建設し  三五教の向ふ張り
 名を挙げくれむと思ひ立ち  日の出神の義理天上
 変性男子の系統と  現はれ出でし高姫よ
 天地開けし始めより  幾万劫の末までも
 元を掴んだ因縁の  身魂はわれよと頑張つて
 祠の森の珍彦や  その外百の司等を
 言葉巧に説き伏せて  暴威を揮ふ憎らしさ
 かかる所へ兇党界  八岐大蛇の片腕と
 現はれ出でし妖幻坊  高姫司の悪心を
 目敏く探り身を変じ  斎苑の館の杢助と
 現はれ来りウマウマと  高姫司を誑惑し
 茲に夫婦の約結び  祠の森に居すわりて
 五六七神政の妨害を  力限りに遂行し
 大黒主の大望を  助けむものと全力を
 尽してゐたる折もあれ  思ひに任せぬ珍彦を
 妻諸共に毒殺し  誰憚らぬ身となりて
 初心を貫徹せむものと  企む折しも三五の
 教の道の宣伝使  初稚姫が現はれて
 曲の企みを洞察し  身を謙り両兇の
 非望を妨げ善心に  復して救ひ助けむと
 真心尽し給へども  いかがはしけむ曲津見の
 垢に汚れし醜魂は  その正体の暴露をば
 恐れて犬に逐はれつつ  河鹿峠をトントンと
 力限りに逃げ出す  またもや曲津妖幻坊
 高姫司を誑かし  小北の山の聖場に
 登りてここに一仕組  なさむと思ひいろいろと
 よからぬ事を企らみつ  月大神の霊光に
 照らされ忽ち仰天し  崎嶇たる岩上に顛落し
 負傷をなしてスゴスゴと  此処を逃出すその途端
 曲輪の宝を紛失し  小北の山を後にして
 春草萌ゆる野路を越え  怪志の森の此方まで
 来る折しも道の辺の  石に躓きバツタリと
 倒れて懐査ぶれば  妖幻坊が変身の
 魔法に使ふ品玉は  いつしか藻脱の殻となり
 姿も知れぬ悲しさに  大地にドツカと胡床かき
 腕くみ思案にくれゐたる  かかる所へ後逐うて
 追つつき来る高姫や  初公、徳公両人と
 しばし息をば休めつつ  肝腎要の宝をば
 小北の山に落せしと  妖幻坊のかこち言
 聞くより高姫いらだちて  初、徳二人に命令し
 曲輪の宝を取返し  来れと厳しく下知すれば
 主命拒むに由もなく  再び小北の聖場に
 忍び帰りて受付の  様子いかにと眺むれば
 盲爺さまの文助が  絵をかきながら物語る
 ブンブン玉の因縁を  聞くより二人はいろいろと
 言葉巧に言ひなして  取返さむと思へども
 流石の文助頑張りて  容易に渡さぬもどかしさ
 二人は茲に意を決し  忽ち爺さまを突倒し
 その間に玉をふんだくり  雲を霞と痛い足
 無理に引ずりドスドスと  怪志の森に到着し
 妖幻坊や高姫に  お褒めの言葉を頂いて
 笑壺に入りし時もあれ  俄に疵は痛み出し
 モウ一歩も進まねば  ここに一夜を明かさむと
 四人は評議一決し  初、徳二人は忽ちに
 白河夜船の夢うつつ  四辺に聞ゆる高いびき
 聞きすましたる高姫は  妖幻坊を促して
 暗を幸ひドシドシと  浮木の里を指して行く
 浮木の里の入口に  水音高き玉滝の
 落つるを目当に立寄つて  曲輪の玉を洗滌し
 見れば曲輪は皎々と  輝き初めて高姫は
 眼を射られ眩暈し  その場にドツと倒れける
 妖幻坊は逸早く  失心したる高姫の
 隙を伺ひ妖術を  使つて此処に楼閣を
 忽ち現はす蜃気楼  珍の都のエルサレム
 その壮観に比ぶれば  幾十倍とも知れぬよな
 驚くばかりの建築を  数多の魔神を使役して
 現出せしぞ不思議なれ  妖幻坊は打笑ひ
 これにて吾の計画は  いよいよその緒につきにけり
 いかに魔法を使ふとも  神の形に造られし
 心の強き人間を  使はにや出来ぬ醜の業
 ここにウマウマ高姫を  擒にしたる曲神の
 得意や思ひ知らるべし  妖幻坊は高姫に
 滝の清水を掬ひ上げ  口にふくませオイオイと
 声を限りに呼ばはれば  息吹返し正気づき
 四辺キヨロキヨロ打眺め  昼より明かき怪光に
 目を見はりつつ舌をまき  あああ不思議、ああ不思議
 最早俄に天津日の  日の出神のお出ましか
 合点いかぬと俯いて  思案にくれる可笑しさよ
 妖幻坊は打笑ひ  アハハハハツハ高姫よ
 われは杢助神司  瑞の御霊の御宝
 手に入る上はこの通り  暗を変じて昼となし
 神の力を現はして  春風渡るこの野辺を
 忽ち変じて城廓を  ゑがき出したる勇ましさ
 喜び祝へ高姫と  背なでさすり呼ばはれば
 高姫頓に感激し  仮令杢助神司
 善であらうが悪だろが  モウこの上は構はない
 細工は流々仕上をば  みて下されよ天地の
 皇大神を始めとし  その他百の神様よ
 日の出神の義理天上  いよいよこれから杢助と
 力を併せ神のため  世人のために活動し
 五六七の御代を目のあたり  築きまつりて天の下
 四方の民草喜ばせ  三五教の神司
 瑞の御霊を初とし  東野別やその他の
 百の司を驚かせ  アフンとさしてやらむずと
 俄に元気を盛返し  妖幻坊と手をひいて
 今現はれし楼閣の  表門をばくぐりつつ
 奥殿指して進み入る  曲津身魂ぞ忌々しけれ。

(大正一二・一・二六 旧一一・一二・一〇 松村真澄録)



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