出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語46-3-141922/12舎身活躍酉 打合せ王仁三郎参照文献検索
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本文    文字数=6962

第一四章 打合せ〔一二二四〕

 松姫館には夜の更くるまで雑談が始まつてゐる。
五三『モシ松彦さま、思はず、暇を小北山で費しましたなア。治国別の宣伝使は、さぞ待つてゐられますでせうなア。どうです、神様をスツパリ祀りかへて行くといふお話ださうですが、これだけ沢山のお宮さまを一々祀りかへて居つた日には、二日や三日では埒があきますまい。そんな事をしとつたら肝腎の御用が後れるぢやありませぬか』
松彦『ソレもさうですがこのままにして行く訳にも行かず、困つたものです。私達は都合によつたらエルサレムまで行つて来なくてはなりませぬ。さうすれば一年位は早くてもかかりますから、イツソの事、松姫に一任しておいたらどうでせうなア』
五三『万公さまも一緒にしばらく残しといたらどうでせうか』
アク『モシ先生、こんな男を残しておかうものなら、また狐につままれて駄目ですよ。お寅さまに魔我彦、万公の欺され三幅対です。が、欺され三幅対をこんな処へ置いておかうものなら、又候狐狸の巣窟となつてしまひます。而して万公さまは斎苑の館からお供に連れて治国別さまがござつたのだから、貴方の勝手にはなりますまい』
松姫『ソラさうですなア、五三公さま、一つ貴方神様に伺つて見て下さらぬか』
五三『ハイ承知致しました。それなら一つ伺つて見ませう』
と言ひながら手を組んでしばらく無我の境に入つた。
五三『ヤア解りました。未だ三日ばかしは差支ないやうです。明日早朝から神様の御祀りかへをする事に致しませう、それに就てはお寅さま、魔我彦さまの承諾をうけておく必要はありますまいかなア』
松姫『それが第一です。テクさま、すまないが一つお寅さまと魔我彦さまを此処へ来て頂くやうに頼んで下さいなア』
テク『承知致しました』
と座を立つて階段を下り行く。
アク『松姫さま、随分貴女は此処へおいでになつてから日日が経つたやうですが、妙な神さまばかり祀つたものですなア』
松姫『本当にをかしくて怺らぬのです。幾何にでもへぐれて へぐれて へぐれ廻す神さまですからなア』
『へぐれ神社に種物神社、生羽神社に大門神社、その他随分妙な名があるぢやありませぬか。ヨウマアこんな出放題な神名や神社名がつけられたものですなア』
『ソレでも世間は広いものですよ。誰も彼も一生懸命になつて詣つて来るのですから、不思議なものですわ』
『大変に変性男子をほめて変性女子をくさしてゐるぢやありませぬか』
『二三年前までは極力変性女子を悪の鏡だとか言つて攻撃して居りましたが、この頃は変性男子の生宮が昇天遊ばしたので、仕方がなく一生懸命に変性女子の弁解ばつかりしてゐるのですよ。男子と女子とが経と緯とで錦の機を織るのだ。しかして義理天上日の出神が世界中の事を調べて、変性女子にソツと言うて聞かすのだと、ソレハソレハ偉い権幕でしたわ』
万公『余程改心が出来たと見えますねえ』
松姫『イエイエさうではありますまい。三五教の信者を占領しようと思へば、この頃は女子の勢力が強いのだから、両方をうまく言はねばひつかかつて来ないものですから、策略であんな事を云つとるのですよ。九分九厘行つたとこで女子は悪の鏡だと云つてクレンとひつくり返すのですから油断は出来ませぬよ。しかしながら変性女子の眷属がかうして沢山やつて来たものだから、肝腎の教祖が女と手に手をとつて駆落したのも、つまり神罰が当つたのでせう』

松彦『曲神は善の仮面を被りつつ
  世を欺くぞゆゆしかりける。

 表には愛と善とを標榜し
  裏に曲をば包む醜道。

 何時の世にも栄ゆるものは偽善者よ
  正しきものは衰へて行く。

 さりながら五六七の神の生れし上は
  最早悪魔の栄ゆ術なし』

松姫『蠑螈別、魔我彦、お寅婆さまの
  心は猫の眼なりけり。

 夜も昼も酒に腸くさらせつ
  曲の宮居となれる憐れさ。

 艮の婆さまと自ら称へつつ
  坤神何時もこぼちつ。

 曲津見の醜の教に迷ひけり
  何を言うてもきくらげの耳。

 これだけによくも迷ひしものぞかし
  誠の教は一言もきこえず』

五三『斎苑館珍の宮居に比ぶれば
  天と地との如くなりけり。

 小北山峰の嵐はつよくとも
  早をさまりて松風の音』

万公『ここへ来て怪しき事の数々を
  たこになるまで耳に入れける。

 耳も目も口鼻までも痺れける
  曲と曲とに囲まれし身は。

 さりながら神の御稜威は灼乎に
  逃げ失せにけり醜の曲神』

アク『あくせくと心なやむる事勿れ
  ただ何事も神に任せて。

 悪神を追ひそけちらし根本の
  神祀るとて世人あざむく』

タク『ユラリ彦、上義の姫の生宮と
  信じゐるこそ可笑しかりけれ。

 さりながら信じてくれたそのために
  小北の山を立直すなり。

 高姫や黒姫司がきくならば
  さぞ懐旧の念に燃ゆべし』

テク『尾白し頭も白し古狐
  騙しけるかな三人の人を。

 蠑螈別今は何処にひそむらむ
  お民の後を慕ひ慕ひて。

 魔我彦の心はさぞやもめぬらむ
  恋にこがれしお民とられて』

 これよりお寅、魔我彦、お菊、文助などを加へ、松姫館の奥の間で明朝早くより三五の大神を鎮祭すべく修祓、遷座式その他の件に就て打合せをなし、各自の居間に帰つてその夜を明かす事となつた。
 あゝ惟神霊幸倍坐世。

(大正一一・一二・一五 旧一〇・二七 外山豊二録)

因に、本日午前九時より午後十一時まで十四時間に原稿紙八百一枚を口述し終れり。これ今日までのレコード也。(瑞月)



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