出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語44-3-211922/12舎身活躍未 小北山王仁三郎参照文献検索
キーワード: ウラナイ教
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第二一章 小北山〔一一九〇〕

 松彦一行はしばらく休憩の後、一町ばかり峻坂を登り、細い階段を二百ばかり刻みながら漸く小北山神館の門口に着きける。そこには白髪の老人が机を前に据ゑ、白衣に白袴で置物のやうにキチンと坐つてゐる。奥の方にはザワザワと祈念の声が聞えて居る。松彦は、
『お爺イさま、私は旅の者ですが、結構な神様がお祀りになつてあると承はり参拝をさして頂きました、ここの教は何と申しますか』
『お前さまはどこの方か知らぬが、ようマア、御参詣になりました。私は目が見えぬので、かうして受付けをやつてゐるのだが、それでも有難いもので、人の声を聞けば、男か女か年寄か若い者か心のよい人か悪い人か、よく分るのだから有難いものだ。そしてチヨコチヨコ人に頼まれて、この通り絵を書いてるのだ』
『何と妙ですなア、一寸見せて御覧』
『ハイハイ見て下さい、これでも信者の人が喜ンで額にしたり、掛地にしたりするのだから……』
『なるほど、目の見えぬ人の書いた絵にしては感心なものだ。ヤア松に竜神さまが巻きついたり、蕪に大根、円山応挙でも跣で逃げ相だ。オイ万公さま、お前蕪に大根は好物だないか、一つ頂いたらどうだ』
万公『松彦さま、あなたも余程身魂が悪いと見えて、この絵を御覧なさい、お前さまの名の松に一本の角の生えた黒蛇が巻いてるぢやありませぬか』
『何処の方か知らぬが、これは竜宮の乙姫さまの御神体だ。黒蛇なぞと勿体ない事をいひなさるな』
万公『それでも大きな口があつて黒い縄が引ついとるぢやないか。それで私は黒い口縄だといつたのだ』
『アハヽヽヽ、お前さまは絵を見る目が無いから困つたものだナア』
万公『此方に目の無いのは当然だ。目の無いお爺イさまの書いたのだもの、こら大方冥土の竜神さまかも知れぬぞ』
『お前さまはこのお館へ冷かしに来たのだな、そンな人は帰ンで下さい、アタ万の悪い』
松彦『お爺イさま、此奴ア、チと気が触れてますから、どうぞ了見してやつて下さい。実の所はこの気違ひを直して頂かうと思つて連れて来ましたのぢや、田圃の中へ這入つて、大根や蕪の生を噛つたり、薩摩芋を土のついたなり、ほほばるのですから、困つた癲狂院代物ですわい。何とか直して頂く工夫はありますまいかな』
『成るほどさう聞けばチツとこの方は気が触れてると見えますわい、どうも私の霊にそのやうに始めから感じました。気の毒でございますなア。この気違ひは容易に直りますまいから、しばらく気の鎮まるまで、石の牢がしてございますから、お預かり申して三週間ばかり暗い所へ突つ込ンでおきませうよ』
万公『イヤもうお爺イさま結構です。貴方のお顔を拝ンでから、次第々々に気分がよくなりどうやらモウ正気になりました。モウ結構でございます』
『それでも再発したりすると困るから、二三日入れて見ませうかな。松彦さまとやらお考へはどうですか』
 万公は松彦の袖を頻りに引ぱつてゐる。
『ヤアこれ位なら大した事はありますまい。マアしばらく容子を見た上でお願する事に致しませう』
『そンなら貴方の御意見に任しませう。何時でも御預かり致しますから』
『ハイ有難うございます。どうぞよろしう頼みます』
 五三公は小声で万公の袖をチヨイチヨイと引ぱり、
『オーイ松に黒蛇、大根に蕪ばかり書いてるぢやないか、丸で二十世紀の三五教の五六七殿に居る四方文蔵さまのやうなお爺イさまだねえ』
『ウフヽヽオイあこに髭の生えた人が居るぢやないか。あの人こそ本当の神さまみたやうだなア。あの先生に拝ンで貰うたら、有難いに違ひないぞ』
『ナアにあれは謡の先生だ。大分に酒が好きだと見えて、あの顔の色みい、ホテつてるぢやないか』
『コリヤ大きな声で言ふな。聞えるぞ』
 松彦は、
『この教会の縁起が聞たいものですなア』
と云へば、老爺は心よく、
『ハイこの小北山のお広間は元はフサの国の北山村にあつたのだ。高姫黒姫といふ立派な宣伝使があり、高姫さまが教祖で、黒姫さまが副教祖であつた。たうとうあの人も惜い事になつたものだ。アブナイ教とかへ首を突込ンでしまひ、今はどうならしやつたか、便りもなし、実にアブナイ事をしたものだ。そこで総務をしてござつた蠑螈別さまが魔我彦といふ弟子を連れてここへお出になり、小北山の神殿というて、高姫の遺鉢を受け、ここで教を開かれたのだ。随分沢山の神様が集まつてござる地の高天原ぢやぞえ。お前さまも神様の因縁があればこそ引寄せられなさつたのだよ』
 松彦は、
『有難うございます。その蠑螈別さまはゐられますかなア』
『ハイ大奥にゐられますが、余りいろいろの神様が御出入り遊ばすので、お忙しうてお酒の接待ばかりしてゐられます』
『蠑螈別様の一つの体にさう大勢お集まりになるのですかなア。ソリヤ大抵ぢやありませぬなア』
『今はかむづまり彦命とおつしやいましてな、ウラナイ教の教祖でございますぞ。それだから随分沢山の神様が御出入り遊ばし、お神酒をあがるので、朝から晩まで本性はチツともございませぬ、本当に妙ですワ。今おつしやつた事と、少し後でおつしやつた事とは、クレリツと違ふのですから、そこが所謂八百万の神様のお集まりなさる証拠です。何と偉いお方もあつたものですワイ』
『さうするとお憑りになる神様は何と申しますかな』
『余り沢山で早速には数へる事も出来ませぬが、何を言つても、八百万の神さまですからな。先づ第一神集ひ彦の神、神議姫命様、葦原の瑞穂彦命様、八洲国平姫命様、言依さしまつりの命様、荒ぶる神様、言問し姫命様、神払彦命様、岩根木根立彦命様、片葉言止め姫命様、天の岩座放ちの命様、天の八重雲姫命様、厳の千別彦命様、四方の国中彦命様、下つ岩根彦命様、宮柱太しき立ての命様、天の御影彦、日のみかげ姫、益人姫、過ち犯し彦、くさぐさの罪の姫、畔放ち彦、みぞうめ姫、ひ放ちしきまき姫、串さし様……といふやうな立派な神様が沢山に祀つてございます』
 万公はあきれ顔で、
『丸で三五教の祝詞そつくりぢやないか。妙な名のついた神さまもあつたものぢやなア』
 爺イは真面目な顔して、
『神様はそのお働きによつてお名が現はれて居るのだから、お名さへ聞けば何を御守護下さるといふ事がよく分るやうに、蠑螈別の教祖がおつけ遊ばしたのだ。元より神様に御名はない、人間が皆お名を差上げて称へまつるのだからなア』
『成るほど、如何にも御尤も。流石は蠑螈別の教祖様ですなア、お爺さま、一つ松彦に神様の因縁を聞かして下さいな、今おつしやつた神様はどこに祀られてございますか』
『その神様は神言殿といふ御殿を立てて祀らねばならぬのだが、まだ準備中だ。かうして山のどてつ辺まで沢山の宮が建つてゐるが、一番下の大きな御殿が大門神社と云つて、世界根本の生えぬきの神様が祀つてあるのだ』
『そしてその神様の名は御存じですか』
『アハヽヽヽ、肝腎の御仕へしてる神様の名が分らいでどうなりますか、お前さまも余程分らずやだなア』
『分らないからお尋ねしとるのぢやありませぬか』
『一番この世の御先祖さまが、国治立命様、それから左のお脇立がゆらり彦命、右のお脇立が、上義姫命様だ。そしてゆらり彦命様のまたの御名末代日の王天の大神様と申しますのだ。それから日照す大神さまといふのが祀つてある、その神様の御分霊が羊姫様、羊姫の妹様が常世姫命様だよ。そして稚姫君命様は艮の金神様坤の金神様の御娘子だ』
『一寸待つて下さい。ソリヤ少し配列が違はしませぬか』
『お黙りなさい。神様の戸籍調べをしてゐるのに、勿体ない何をグヅグヅ云ひなさる。気にいらな聞いて下さるな。モウいひませぬぞや』
『イヤこれはこれは不調法申しました。どうぞ御教訓を願ひます』
『それなら聞かして上げやう。確り聞きなされ。この大門神社にはそれだけの神様と、まだ外に沢山の神様がお祀りしてあるのだ。稚姫君命様が天地から御預かり遊ばした八人の結構な神様がある。第一に義理天上日出神様、第二に青森白木上の命様、次に天地尋常様、これだけが男の神様、次に常世姫様、次が金竜姫様、次が大足姫様、次が琴上姫様、その次が金山姫様この三男五女が変性男子の系統でございますぞや。それからまた常世姫様が天地の神様から始めてお預かりになり育て上げられた神様が八柱、これは五男三女だ、第一に地上大臣様、次がたがやし大臣様、次が地上丸様、次がきつく姫様、次が旭子姫様、次が花依姫様、この神様の霊が猿彦姫と変化、また変化遊ばしてみのり姫とやがてお成り遊ばすさうだ。それから早里姫、地上姫、以上十六柱が魂の根本の元の誠の生粋の大和魂の因縁の神様でございます。これを合して四々十六の菊の神様と申します。それからまた、義理天上さまが預つて育てた神様が七人ござる。第一に天照彦、天若彦、次が八王大神、大野大臣、それから道城よしのり、大広木正宗、柔道行成、都合二十三柱の神様が天地根本、生粋の霊の元の神様だ。これ位結構な神様の教を聞きながら、第一の教祖の高姫さまはアブナイ教へ沈没してしまつたのだから惜いものですわい』
万公『もし松彦さま、サツパリ支離滅裂ぢやありませぬか。親かと思へば子になつたり、子かと思へば親になつたり、なンと訳の分らぬ神さまですな。マンマンマンマー』
『コレ、支離滅裂とは何を云ふのだ。ヤツパリお前は気違ひだな、黙つて聞かつしやらぬかいな』
『ハイ万々聞かして貰ひませぬワイ』
『此奴あキ印ですから、どうぞ気にさえずに居つて下さい。松彦はお詫します』
『ヨシヨシ、今言うた二十三柱の神様が天地をお造り遊ばし、人間の姿を現はして、現界の政治を遊ばしたが大将軍様、常世姫様の夫婦でございます。それがまた、大将軍御夫婦が余り我が強いので、折角の神政が破れ、御退隠なされ、第二の政治をなされたのが、地上大臣様、耕し大臣様、そこへ地上丸様が御手伝遊ばして、三人世の元結構な世が開きかけてをつたが、またもや慢心が出て現界の政治が潰れ、止むを得ずまた大将軍様が変化てサダ彦王となり、常世姫様が変化てサダ子姫となり、きつく姫、旭子姫、花依姫といふ三人の子をお生み遊ばしたが、またその政治が潰れ高天原は大騒動が始まりました。それから今度は四代目の天下の政治を遊ばしたのが、八王大神様と王竜姫様、王竜姫は後に大鶴姫とおなり遊ばした。またその政治がつぶれ、五代目の政治をなさつたのが大野大臣様、大野姫のお二方、この時は非常に盛であつて、世界中が一つに治まり、後にも先にもないやうな世の中の政治が行はれた。そして青森行成さまや、義理天上さま、天地尋常さまがお手伝ひをなさつたので、非常な勢になつて来た。そした所が余り世が上りつめてまた大野大臣さまの政治がメチヤメチヤに破れ、第六番目には道場美成様と事足姫の御夫婦が御政治を遊ばし、大広木正宗、柔道行成といふ二人のお子さまが出来、いよいよ神政成就が成上がつたと思へば少しの間にまたもや、慢心を遊ばし、八岐大蛇や金毛九尾曲鬼の悪霊に蹂躙されて、世の中がサーパリわやになつてしまひ、そこへ変性女子の素盞嗚尊が現はれて、悪の鏡を出したものだから、今日のやうな強い者勝の世界が出来たのだ。このウラナイ教は御覧の通り天下太平上下一致だが三五教にバラモン教、ウラル教などは戦ばかりしてゐるぢやないか。神様が喧嘩なさるといふ事はあるべからざる事だ、お前さまもそンな喧嘩好の神様を信仰せずにウラナイ教の神様を信仰をなされ、昔の昔のさる昔の因縁から、根本の根本から、大先祖の因縁、霊魂の性来、手に取る如くに分りますぞや。あゝ惟神霊幸倍坐世』
『アハヽヽヽ万公は満口が閉さがらぬワ、イヒヽヽヽ』
『また気が違ひ出した、困つた奴だなア、ウツフヽヽ、松彦も困りますよ』
『これでこの大門神社の神様の因縁はあらまし分つたでせう』
『ハイ、よく分りました。有難うございました。貴方は随分詳しいお爺さまだが、お名は何と申しますかな』
『私はおちたきつ彦と申しますよ』
『ヘー、長いお名ですな』
『蠑螈別様に頂いた神名だから、長くても仕方がありませぬ。名が長い者は長生をするとかいひますから、モ少し長くてもいいのですが、まだ修行が足らぬので、ここらで止められて居るのでございます。私の修行が積みた上は、おちたきつ速川の瀬にます彦命といふ名をやらうとおつしやいました』
『ウツフヽヽ、エツヘヽヽ』
と一同は笑ふ。
『サアこれから、種物神社へ案内致しませう』
『老爺さま、目のお悪いのにすみませぬなア』
『目が悪いと云つても、神様の御用ならば何でも出来るのだ。サアついて来なさい。きつい山だぞえ、辷りこけて向脛を打つたり、腰をぬかさぬやうになさいませや』
と云ひながら、種物神社の前へエチエチと登りつめた。
『ここには石造りの宮と木造の拝殿が建つて居りますなア。何とマア偉い断岩絶壁を開いて建てられたものですなア』
『ハイこれは大将軍様の生宮と地上丸さまの生宮が鶴嘴の先が擂粉木になる所まで岩をこついてお造り遊ばしたのだ。何と感心なものでございませうがなア。この神様に地の世界の大神様と日の丸姫の大神様が祀つてある。そして右の方に義理天上さまと玉乗姫様と祀る事になつて居ります。左の方には大将軍様と常世姫様のお宮が建つのです。これは世界の万物の種物をお始め遊ばした結構な結構な根本の神様ですから、よく拝みておきなさい。お前さまも若いからどうせ種まきをせにやならぬのだろ。神の生宮をポイポイと拵へるのが神の役目だから、今こそ男と女が暗がりで、かが安う生宮を拵へるやうになつたが、昔は人間一人仲々並や大抵で作れたものでありませぬぞや。そのお徳にあやかるために種物神社に祭つてあるのだ』
『ハイ有難う』
と松彦はうつむく。
『サアこれから、おちたきつ彦がモ一つの上のお宮様を御案内致しませう』
 万公は、
『モシモシお爺イさま、そンなきつい岩石を目の悪いのに登つて、どうぞ谷底へ落ちたきつ彦にならぬやうに願ひますで。サア五三公、アク、タク、テク、お爺イさまのお伴だ。何とマアきつい坂だなア』
『あゝあ、人に改心さそうと思へば仲々の苦労だ。ソレ御覧なさい、ここに木造りの宮が三社建つてをるだろ。中央が生場神社の大神様、岩照姫の大神様、この御夫婦が祀つてある。右のお社はりんとう美天大臣様、木曽義姫の大神様の御夫婦が祀つてあるのだ。そして左の方の宮には五六七上十の大神様、旭の豊栄昇りの大神様御夫婦が祀つてあるのだ。モ一つ上に三社あるけれど、これから上は道がないから、ここからお話しておかう。石の宮が三社あつて、正中が月の大神様、日の大神様御夫婦が祀つてある。右の石の宮は末代日の王天の大神様上義姫大神様御夫婦がお祀りになつてゐる。左の方が日照らす大神様、大照皇大神宮様御夫婦が御祀りだ。何と結構な地の高天原が開けたものでせうがな』
『モウこの外に神様の祀つてある所はありませぬかナ』
『まだない事はないが、さう一遍にお話しすると、話の種が切れるから、また今度にのけておきませうかい。お前さまも一遍に食滞しては困るからなア』
『アツハヽヽヽお爺イさま、御苦労でした。実の所は私は三五教の宣伝使、治国別命の片腕の万公さまだ。気違でも何でもないのだから、さう思うて下さい。随分怪体な神さまばかり、よう拝まして下さつた。これも話の種になりますわい。『霊界物語』にのせたら、キツと大喝采を得ませう。お前さまの方では種物神社だが、この万公さまは種取り神社だ。義理かき天上の神様となつて、これからウラナイ教を一生懸命に信神しませぬワ。オツホヽヽ』
『この年寄を此処まで連れて来て、何と云ふ愛想づかしを云ふのだい。それだから三五教は悪の教といふのだよ。大方お前も変性女子の廻し者だろ、油断のならぬ代物だなア』
『此奴ア、お爺イさま気が違うてるのですから、どうぞ気に触へて下さいますな』
『あゝさうださうだ、気の触れた方だつたなア。何ぼ気違でも余りな事云ふと気のようないものだ。しかし気違ひとあれば咎める訳にもゆかぬ、見直し聞直しておかう』
『ハイ有難うございました。お年寄に高い所まで御苦労になりまして申訳がございませぬ』
『お前さま達、下の大広間で今晩はお泊りなされ、女ばかり百人あまりも鮨詰になつて寝て居ります』
 五三公はにやりとしながら、
『オイ、アク、タク、テク、泊めて貰はうかなア』
『なンだ、女ばかり鮨詰になつてると、爺さまが言つたら、顔の紐まで解きよつて、アタ見つともない、女の側は険呑だ。サア松彦さま、遅れちやなりませぬ、折角のお爺さまの御親切だが、今日はマア御免被つて、また改めてお世話になりませうか』
『あゝそれがよからう、お爺イさま、どうぞ蠑螈別さまによろしう言つて下さい。今日は急ぎますから、これで御免を蒙ります』
『万さまとやらを気を付けて上げて下さいや、危ない一本橋がありますから、川の中へでも、気の触れた人は飛込むかも知れませぬからな』
『ハイ御親切に有難うございます。サア一同の者、お暇乞ひして急がう。発車時間に遅れちや今夜中に万寿山へ帰れぬからなア。お爺さま左様なら』
『おちたきつ速川の瀬にます彦の神さま、万々々公有難うございました』
『アハヽヽヽ、気を付けてお帰りなさい、万公さまとやら』

(大正一一・一二・九 旧一〇・二一 松村真澄録)
(昭和九・一二・二九 於湯ケ嶋 王仁校正)



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