出口王仁三郎 文献検索

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物語42-4-151922/11舎身活躍巳 帰城王仁三郎参照文献検索
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第一五章 帰城〔一一四〇〕

 天の目一つ神司  竹野の姫の鎮まれる
 高照山の岩窟を  後に見捨ててスタスタと
 狼猛ぶ山道を  黄金姫を初めとし
 四方の景色も清照姫の  神の命や竜雲や
 テームス、レーブ、カル、リーダー  数多の供人従へて
 セーラン王やヤスダラの  姫の命は悠々と
 駒に跨り荒野原  吹く凩にさらされつ
 照山峠も乗り越えて  轡を並べ帰り来る
 その御姿の雄々しさよ  イルナの都の入口に
 帰り来れる折もあれ  左守の司のクーリンス
 家の子郎党引き連れて  いと慇懃に出迎へ
 セーラン王の帰館をば  悦び勇み前後
 兵士共に守らせて  旗鼓堂々と城内に
 漸く帰り来りけり  奥の一間に黄金の
 姫の命は立て籠り  セーラン王の声色を
 使つて右守の神司  縦横無尽に操りつ
 清照姫はヤスダラの  姫の命と仮名して
 言霊剣ふりかざし  恋に狂ひし右守をば
 いとサンザンに悩ませる  時しもあれや受付に
 慎しみ畏み仕へたる  腰の曲りしミル司
 右守の司の前に出で  セーラン王の一行が
 数多の供人諸共に  いよいよただ今御帰館と
 その報告に肝潰し  四辺キロキロ見廻しつ
 両手を組んでドツと坐し  摩訶不思議なる出来事に
 煩慮するこそをかしけれ  あゝ惟神々々
 御霊幸はへましまして  縺れに縺れし物語
 いとながながと説いてゆく  この有様を諾ないて
 いとスクスクと口車  辷らせまたへ麻柱の
 神の御前に瑞月が  謹み敬ひ願ぎまつる
 あゝ惟神々々  御霊幸はへましませよ。

 セーラン王一行は、奥の間に進み入り、見れば清照姫、カールチンの二人が黙然として俯向いて居る。セーラン王は、直に三十一文字をもつて怪しみ問ふ。

『思ひきや右守司のカールチン
  千代に栄ゆるわが居間にありと。

 何事の起りし事か知らねども
  清けき居間を犯す痴者。

 逸早く右守の司わが居間を
  清めて去れよ神のまにまに。

 怪しかもイルナの城の内外を
  包む魔神の声さやぐなり』

ヤスダラ『なれこそは妾が身をば虐げし
  右守司のカールチンかも。

 カールチンよ一日も早く村肝の
  心清めて誠にかへれ。

 ヤスダラ姫神の命は一柱
  二人あるとは思はざりけり』

清照『ヤスダラ姫神の命の魂は
  清照姫と輝きませば。

 今しばし尊き御名を借りにけり
  醜助けむと思ふばかりに』

ヤスダラ『黄金の姫の命は今いづこ
  その御消息の聞かまほしさよ』

清照『黄金の姫の命は奥の間に
  セーラン王の声音つかひつ。

 カールチン醜の身魂を洗はむと
  母娘二人は心砕きつ』

カールチン『吾こそは恋の擒となり果てて
  恥をかくとは思はざりけり。

 兵士をハルナの国に遣はして
  翼とられしやもめ鳥あはれ。

 かくならば最早右守の神司
  君の御前に命捧げむ。

 いざさらば命を召せよセーラン王
  欲と恋とに迷ひし吾を』

セーラン『何程の罪や汚れのあるとても
  直日の神は許しますらむ。

 いろいろと恋の魔神に操られ
  汝が司の目や醒めにけむ』

 黄金姫は奥の間より、隔ての襖を押しあけて微笑しながら出で迎へ、セーラン王、ヤスダラ姫に向ひ、会釈しながら三十一文字を詠む。

『有難し いと畏しと思ふかな
  尊き君の無事の帰城を。

 大君の御後を守る親と子が
  摩訶不思議なる夢を見しかな。

 カールチン、ユーフテス等がいろいろと
  恋路に迷ふ様のをかしさ。

 腸も破るるばかりの可笑しさを
  こらへて今日が日をば待ちける』

カールチン『二世までと契りし妻を振り捨てて
  思はぬ方に心寄せつつ。

 思はざる人に思はれ恋はれしと
  思ひし事を悲しくぞ思ふ。

 今ははや心の闇も晴れ渡り
  真如の月の光見るかも』

竜雲『吾とても右守の司に相似たる
  醜業仕へし事もありけり。

 さりながら御恵深き大神は
  咎め給はず吾を生かしつ。

 カールチン神の司よ聞し召せ
  悔い改めは人の宝ぞ』

カールチン『畏しや竜雲司の御言葉は
  救ひの神の声と響きぬ。

 今よりは生れ赤子になり変り
  神と王とに誠捧げむ』

テームス『イルナ城内外を包みし村雲も
  晴れて嬉しき今日の空かな』

リーダー『遥々とテルマン国を立ち出でて
  今日は嬉しき夢を見しかも』

レーブ『吾とても元よりめでたきものならず
  君に叛きし曲津神なる。

 さりながら尊き神の御光に
  照らされ今は真人となれるも』

カル『大黒主神の軍に従ひて
  道踏み外し谷間に倒れぬ。

 この世をば照国別の現はれて
  救ひたまひし事の嬉しさ』

清照『有難し忝なしと大前に
  朝な夕なに太祝詞宣れ。

 セーランの君の命はイルナ城の
  誉も高き元の刹帝利。

 いろいろと曲を企みし右守をば
  見直しまして救はせ給へ。

 清照姫神の命の悪戯を
  怒らせ給ふな右守の司よ』

 セーリス姫は王の帰城と聞きて慌しくかけ来り、

『珍らしやセーラン王と姉の君
  百の司の帰城を祝はむ。

 ヤスダラの姉かへりますと聞きしより
  高照山の空を仰ぎつ』

(大正一一・一一・一六 旧九・二八 加藤明子録)



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