出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語42-0-11922/11舎身活躍巳 序文に代へて王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
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あらすじ
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本文    文字数=3653

序文に代へて

 人種を超越し、地域を脱離し、古今を絶し、過去と現在と未来に亘りて、神示のままに口述編纂したる珍書は、この物語を措いて外には今日までの賢哲知識の著述の中には認むる事は出来ませぬ。従つて一般の読者の種々批評の種となるべきは寧ろ当然かも知れませぬ。彼の仏祖釈迦は、比喩や偶言、謎等を甘く利用して一大教典を作り、後世に伝へて人心の生命の綱を与へ、キリストは地上に降誕して天国を地上に建設すべく努力した。されど最早今日となつては釈迦の教理もキリストの聖訓も人心を善導するの実力なく、徒に偽善者が世を欺く原資品となつたやうな感がするのである。古き宗教、古き道徳は影を没して、新しき救世の宗教も偉人も顕はれず、千古不磨の倫理も道徳教も出現を見ず、実に世は古典に所謂天の岩戸隠れの惨状を再び現出しつつあるのである。天下の秋気動いて山野の草木既に黄紅化するの時、表面地上は黄金の波漂ふ時、眼を遠く海外に放つて世界の大勢を見れば、吾人は実に人間として生れ出でたる神柱の責任の重にして大なるを悟らざるを得ないのである。
 ケマル・パシヤ一度小亜細亜の風雲に叱咤して長剣を撫し咆哮怒号するや、欧洲列強悉く震駭し、流石の大英帝国宰相ロイド・ジヨージもその地位を失墜して一平民となり、幾度となく死を報ぜられたレーニンは再び健康を恢復して、奇策を欧亜の天地に揮ひ、依然として一敵国の感をなし、日露の会議はその効を収むること能はずして、武器問題倏忽として起り日本海の波浪これがために騒がしく、印度また叛乱勃発し、支那には独立軍威を振ふあり、米国は自由と正義を標榜しつつ全国に渡りて軍事教育を施し、海相デンビーをして伊仏両国の海軍条約に批准せざる間は、一艦たりともこれを破却せずと宣告し、その仮想敵国の何れにあるかを疑はしむ。しかるに我国独り率先して戦艦を破り、海員を減じて、只管華府会議の条規に対して極力忠誠を誓ふ実状である。世界は今やかくの如く大動揺を来しつつあるのである。欧洲の大戦、一度鎮静して天下の大勢は再び累卵の危機に瀕す。経済界の沈衰と人心の悪化は並び臻る。アヽこの危局に立つてよく人類救済の大業を全うせむとする大偉人の出現を望むや切ならざるを得ず。世界の人類は腐敗糜爛の極に達せる社会の現状を眺めて、救世の福音を翹望するや久し矣。しかもキリスト、釈迦を温ねて満足を得ず、立正、見真、弘法また当時人心の渇を医するに足らず。煩悶焦燥の結果今や世人は糾然として天啓的神書を求め、これを得て以て人生の苦悩を医せむとしつつあるのである。仁慈無限の大神は、茲に天下万類のために綾の聖地に降りたまひ、神の僕と選まれたる瑞月の肉の宮を藉りて、以て救世の福音を宣示し給うたのが即ちこの霊界物語であります。世道人心の廃頽を歎き、天下を憂ふるの志士淑女は、心を潜めて御神慮の在る所を御探究あらむことを希望する次第であります。
  大正十一年十一月十一日



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