出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語39-0-11922/10舎身活躍寅 序歌王仁三郎参照文献検索
キーワード: 社会批判
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あらすじ
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本文    文字数=6295

序歌

 八岐大蛇や醜狐  曲鬼探女の蔓れる
 暗黒無道の世の中は  仁義道徳影も無く
 常世の闇の如く也  人の心は日に荒び
 世道は月に頽廃し  親子疎んじ睨み合ひ
 兄弟互に相鬩ぎ  親戚争ひ相離れ
 朋友信を忘却し  各自に悪罵嘲笑し
 上下は常に反目し  意志の疎隔は恐ろしく
 紛擾絶ゆる暇も無く  資本家労働者相対し
 農商工は振起せず  不景気風は吹き捲り
 官民互に卑みて  政令全く行へず
 主僕疎遠に堕りて  国家社会は刻々に
 危機に瀕しつ諸々の  譎詐の曲業時を得て
 暴戻盛に行はる  忠誠の人士は足曳の
 山に隠ろひ野に潜み  頭をもたぐる時を得ず
 奸邪は天下に跳梁し  誠の神は世に出でず
 乱れ切つたる娑婆世界  挽回すべき由も無し
 医学衛生完備して  悪疫益々蔓延し
 交通機関は完備して  有無通ずるの途もなし
 国家の富力増進し  しかして饑餓は人々の
 頭に刻々迫り来る  法警成るに従ひて
 殺傷頻りに行はれ  生産倍々夥多にして
 物価は時々に凋落し  輸入超過の惨状は
 全くその度を失ひぬ  国庫漸く窮乏し
 兌換借款滔々と  経済界を危くし
 国防成るに従ひて  国辱頻りに興るあり
 高貴は俗に親しみて  卑賤は倍々僣上す
 富豪階級は押なべて  皆文弱に流落し
 淫酒の欲を漁りつつ  日に夜に社会を汚し行く
 貧弱愈窮乏し  怨嗟の声は弥高し
 都会に住める人々は  安逸快楽に馴れ染まり
 奢侈限り無く増長す  田舎は都会の風に染み
 淳朴の気は地を払ふ  学者の偏狭陋劣さ
 怪論迷説相ひさぎ  宗教宣布に従事する
 僧侶は教義を曲解し  宗祖の教旨を滅して
 品行月に堕落しつ  精神界を攪乱し
 武人は銭を愛着し  士道全く廃り行く
 商賈は謀計事となし  信用全く地に落ちぬ
 青壮年は悪風に  眼を眩惑し世に習ひ
 競うてハイカラのみ好む  良家の子女は学校に
 通ひながらも蝶の如  紅白粉を塗立てて
 淫靡の風は吹き荒び  不良少年続出し
 社会の秩序を混乱し  拾収すべからず成り果てぬ
 賢母良妻家に泣き  蓄妾常に逸楽す
 芸妓屋娼妓屋繁昌し  良家益々相寂し
 国家の元老はただすらに  老後を急ぎ勢力を
 争ひ乾児を相募り  政客権を弄び
 党弊擁護に余念なく  神聖無垢の議事堂に
 禽獣叫び蛇を投げ  雲助輩の行動を
 演出するこそ慷慨けれ  国家の選良は大切な
 国議を軽視し侮辱して  喧々囂々市場の如し
 国帑を猥に浪費して  民の負担は日に重く
 賦課は益々大となり  国家破産の緒を開く
 眼を転じて眺むれば  外侮頻りに相到り
 国交益々非運なり  人の思想は悪化して
 噴火山上にある如く  何時爆発も計られず
 これをば思ひ彼想ひ  夜も碌々に眠られず
 涙は腮辺に滂沱たり  古今未曾有のこの惨状
 救ひて松の神の代に  開かむための神の道
 樹てさせ玉ひし尊さよ  あゝ惟神々々
 御霊幸へましまして  五逆十悪の濁世を
 誠の神の現はれて  治め玉はる時はいつ
 松間の長き鶴の首  亀の齢の常久に
 守らせたまへと祈りまつる  天地の神も放り坐し
 風伯怒りを相発し  颱風屡到来し
 雷電ひらめき激怒して  天津御空に鳴り渡る
 水神忽ち嚇怒して  水難頻りに続発し
 海神怒濤を捲き起し  地上の蒼生を洗ひ去り
 大地の神は旱魃を  もたらし地疫を払ひまし
 地震の神は地軸をば  時々に動揺し玉ひつ
 汚れし家屋を焼倒し  火竜は紅蓮の舌を吐き
 地上の汚穢を焼き尽す  軍神怒りて天賊や
 地妖を隈無く鏖殺し  清め玉ふぞ畏けれ
 神の恵の幸ひて  天来未知の大偉人
 現はれ来り天地の  諸の穢を潔斎し
 誠の道にかなひしと  神に選まれ了ふせたる
 民をば常永に救ひまし  五六七の御代と成るなれば
 ここに初めて天国は  地上に芽出度顕現し
 無上至楽の世と成らむ  邪神を懲し善神を
 救はせ玉ふ御経綸  謂ふも畏き限り也
 これぞ全く皇神の  吾等に賜ひし御遺訓ぞ
 万代倦まず皇神は  神訓垂れさせ玉へども
 世人の心いや曇り  神意を解するものも無く
 大義を没し名分を  覚らざるものばかりなり
 皇大神は世を歎き  神の教を立て玉ひ
 世人を導き救はむと  綾の聖地に現れまして
 皇道本義を宣り玉ふ  尊き世とは成りにけり
 神の御綱に曳かれつつ  寄り来る人は押並べて
 この御教を遵奉し  模範を世界に示しなば
 人は次第に善良の  身魂と化りて世のために
 尽す真人となりぬべし  さすれば神は喜ばし
 自然に天地は清まりて  五風十雨の順序よく
 日月双び輝きて  万民歓喜の雨に濡れ
 草木は緑に禽鳥は  神の御国に泰平を
 謳ひて神の御恵に  浴する御代となりぬべし
 あゝ惟神々々  神代の遠き物語
 『舎身活躍』寅の巻  序文に代へて述べ立つる。

大正十一年十月廿日



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