出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語29-0-31922/08海洋万里辰 端書王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
詳細情報:
場面:

あらすじ
 南米について。
 物語では秘露(ペルー)はヒルの国、コロンビヤはカルの国となっている。ペルーの人々は怠惰である。ペルーは昔はインカ帝国として栄えていたが、アタワルバがビサロによって殺されてからは三百年間スペインの支配を受けた。スペインは暴政を行ったので、国土が荒廃して文化が退歩した。
 南米の地理的区分はアンデス山脈とアマゾン河流域に大別される。
 アンデス山脈には今もなお邪気のこもった死線というものがあり、それを知らずに登るものは水腫病になる。
名称

アタワルバ ビサロ
アマゾン河 アンデス山! アンデス大山脈 伊太利 インカ帝国 エクアドル 加奈陀人 カル 希臘 コロンビヤ! サクラメントバンバ 死線 邪気 水腫病 西班牙 石油コンゼツシヨン 太陽の子 高照山 ダンスミール チリー! テル 智利 日本移民 白人 ハル バチラヤ バナデユーム 日暮山 ヒル 秘露 ブラジル! ペルー! ボリビヤ マドレジオス河 マラニヨン河 羅馬 ワヤガ河
 
本文    文字数=8561

端書

 霊界物語『海洋万里』(辰の巻)より未の巻に至り、南米太古の物語を口述しておきました。今日は人文大いに開けたる結果、国を建つるもの十数ケ国になつて居ります。中にも南米第一の富源を擁して居るにも拘はらず、国民は遊惰にして何時も外国の厄介にばかりなつてゐるのは秘露の国であります。故に英米人はこの国を評して『黄金の床に寝て居る乞食の国』と謂つて居ります。この文章は現今南米諸国の状況を示したもので、決して三十余万年前の太古の事では有りませぬ。ただ物語の参考として茲に引用したまでであります。
 秘露はこの物語にはヒルの国と称してあります。この国に無尽蔵の富源を抱いて居ること、その北隣なるコロンビヤ(物語にはカル)と共に第一に置かれて居ります。このヒルの国は現今でこそ南米中の二等国に沈淪したものの、昔インカ帝国としての全盛時代は、その文明の程度は上代の希臘、羅馬の隆盛なりし折に比すべきもので、現今の智利(物語にはテル)エクアドル、ボリビヤ等の諸国は皆『太陽の子』インカ王の配下にあつたもので、今を距る四百年前、彼の西班牙の奸雄ビサロが、アタワルバを殺害して国を奪ひ、西班牙の植民地となしてから三百年間は、西班牙は戦慄すべき暴政を行つたので、国土が荒廃し文化は退歩したのであります。ビサロがアタワルバ王家から奪つた金塊でも、現今の価格で十億円のものであると言はれたほどに、この国は貴重な礦物を沢山に包蔵して居ります。
 この国を地理的に区別すると、南北に縦走するアンデス大山脈にて海岸、山嶽、森林の三地帯に区分されますが、海岸地帯は無雨地帯と称せられ(物語参照)、時々霏雨は降りますが、雨らしい雨は無いから土地が砂漠的に見えますが、その間にはアンデス山(高照山)より発する五十余の河川があり、その流域には数十の沃野があつて、良質の綿や、甘蔗の耕作が盛に行はれて居ります。この地域は昔インカ帝国時代には現在の数倍も耕作されて居たもので、今日も猶壮大なる昔時の灌漑工事の跡が方々に残つて居るのです。
 この地帯は一見した所不毛の土地でありますが、水さへ引けば忽ち青々たる草野に変り、地味は非常に肥沃であります。またこの地帯における農業の特色は、異常な確実性を有し、害虫は殆ど無く、また風水の害も絶無でありますから、その収穫も安全を期待されて居ます。一万人余を計上されて居る日本移民の大部分は皆この地帯の耕耘に従事して居るのです。
 気候はまた一年中、日本内地の五六月の気候で実に理想的であります。目下白人は約十万町歩を耕して居りますが、灌漑に堪ゆる土地が尚二十万町歩は残存して居ります。山嶽地帯は一名礦山地帯とも云はれ、礦産は無類無量であります。バナデユームは世界第一位、金と銀とは同第四位、銅と鉛とは同第六位で、石炭も到る処に埋蔵されて居りますが、何分不便のために発掘量が少いのです。
 次に特記すべき事は森林地帯でこれが所謂極楽郷であります。この地帯はアンデス山脈の東方で長さ南北約一千哩、幅は二百哩乃至七百哩を出入する広い地面で、海抜は二三千尺から一百尺の低地に及んで居る。秘露の行政区劃上、この地帯は八県に分たれて居ますが、実に全国の三分の二の地積を占め、アマゾン河本流及びその支流の上流をなす大小数千の河川は、皆この地帯に発して東走するのでありますから、将来において河川を利用する交通機関を起すには地勢上甚だ便利があるのです。この地帯の気候はコロンビヤ、ボリビヤ、ブラジル(物語にはハルの国)国境近くは熱帯の暑熱で年中華氏九十度位の平均であるが、アンデス山系の斜面地及び海抜二千尺以上の地域は亜熱帯や温帯の気候で、伊太利の南部に似て居るのです。旅行するものは実に良好な気持を感ずるものです。そのフツクリとして柔かな何とも言へない身は、まつたく植物の吐く香気に埋れた温室の中でソヨソヨと微涼に吹かれるやうな具合で、古来この地帯を通過した人は凡て極楽の気候だと感ずるものであります。
 雨量は豊で一年を二期に区別し、十一月から翌年四月が最も多く(冬季)、五月より次第に少くなり、十月には最も少ない(夏季)。しかして、地味の肥沃なることは無比である。
 この地帯に足を入れた人の先づ驚嘆するのは、植物の発育の旺盛な情態であります。天を摩する巨木は到る所に見出され、香高き蘭科植物の多種なること、人間が乗れさうな巨大なる花、大蛇の如き大蔓草、人間の頭ほどある種々の美味なる果物、日本のやうな貧弱な植物界を見馴れた眼には胆を奪はれる位であります。またエボニー、マホガニー等の貴重なる材は到る所に見出され、薬草の豊富なることも、世界一と言はれて居ります。その他染料、繊維、香料、ゴム樹等も頗る多く、一哩平方の地面に、植物の種類、凡そ一百万種に近い位で、実に植物の豊富なるには驚くの外は無いのであります。
 次にこの地帯に棲む動物も頗る多種類で、アマゾン河中に在る魚貝のみでも地中海に棲むものの種類に匹敵するのであります。
 最近この地帯の河川、湖沼で蒐集された珍奇なる魚介の種類は、一万五千余種に及び、その中八百余種は全く新しい発見に係るものである。またアマゾン河の上流ワヤガ河附近には、握り拳ほどの大蝸牛や団扇ほどの蝶が居る。現今では猛獣毒蛇は少く虎と豹などが棲んで居るが、姿は却て小さく、左程怖るるに足らない。この森林地帯にも埋蔵の礦物は極めて多量であれども、交通不便のために発掘されて居ないのです。元来この地帯は地質上カルの国からボリビヤに至る石油及び黄金の大地脈であつて、英米の専門家は近年来熱心に調査を進めて居るのである。既に英国の石油業者はこの地帯のバチラヤ、ワヤガ河、サクラメントバンバ附近まで五百万町歩、マドレヂオス河附近で一千万町歩、マラニヨン河附近で五百町歩に亘る石油コンゼツシヨンを獲得せむと、秘露政府に交渉して居るのであります。現に加奈陀人のロバートダンスミールと云ふのが、秘露政府との間に、同国の森林地帯を貫通さす二千四百哩の一大鉄道建設の契約を結び、四十五ケ年間の経営権を握つたのも、実にこの地帯の礦物運搬が主なる目的であるとさへ見られて居る位であります。そしてその目的は貴金属よりも発掘の容易なる石油にあるのは当然でせう。この国の石油は七八百年前インカ帝国時代に発見されて採取利用されたが、欧洲人の来るに及び、小規模ながらも各所で採掘事業が営まれた。将来は世界一の石油産地として著明になるでありませう。
 またヒル(秘露)、カル(古倫比亜)との間に聳立せる日暮山(アンデス山)山脈は海抜二万五六千尺もあり、その頂上には一大湖水があり、山の中腹には今も猶邪気の籠もれる死線と云ふものが横たはり、知らずに登るものは水腫病を起し、直に死亡するといふ危険な箇所があります。概してこの地方は薬草の多い所でまた年中降雨の無いのが特徴となつてをります。
   大正十一年八月十三日



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