出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語26-4-171922/07海洋万里丑 帰り路王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
詳細情報:
場面:
亀山から綾部
あらすじ
 一行は亀山に来た。高姫が「梅照彦に意見しよう」と館へ行く。黒姫、高山彦も後に続いた。梅照彦の館では門番が「梅照彦は留守で、綾の高天の玉依姫の玉の神業に参加している」と告げる。
 高姫はそれを聞き「玉依姫の玉を授けたのは自分だ。表の筆先を読めるのは自分だけだから、綾の高天に帰り、辛抱して言依別に対抗しよう」と黒姫、高山彦を誘う。一行は勇んで綾の高天に向う。
 綾の高天の手前小雲川では、国依別が魚を釣っており、それを見て非難した高姫に「高姫一行にご馳走するために釣っているのだ。自分の心をわかって欲しい」と言う。
名称
アール 梅照彦 梅照姫 エース 国依別 黒姫 高姫 高山彦 門番
馬公 お勝 お節 お楢 国依別 言依別 猿田彦神 鹿公 勢至菩薩 玉能姫! 玉依姫 天狗 初稚姫 日の出神(高姫) 普賢菩薩 平助 変性男子 変性女子 松鷹彦 松姫 宗彦! 文殊菩薩 竜宮海の乙姫
近江 綾の聖地 一厘の御経綸 伊吹山 宇都山郷 ウラナイ教 老の坂 大津 表の筆先 小山 亀山 観音峠 月宮殿 小雲川 三千世界 執着心 須知山峠 神政成就 園部 高天原 高城山 竹生島 千代川 天眼通 天火水地 十曜の紋 鳥羽 豊葦原の瑞穂国 虎天の関所 錦の宮 琵琶の湖 再度山 船井 松原 麻邇宝珠 竜宮の一つ洲
 
本文    文字数=16733

第一七章 帰り路〔七八二〕

 執着心に煽られて  玉の在処を執拗に
 発見せむと再度の  山の天狗の囈言に
 心を焦ちて高姫が  黒姫、高山彦を伴れ
 思ひ思ひに竹生島  古き社の床下に
 三角石を取り除けて  掘つても掘つても玉無しの
 無駄働きに眼まで  三角形に尖らせて
 肩を四角に揺りつつ  暗の帳を押分けて
 いよいよ茲に断念し  屋根無し小舟に身を任せ
 琵琶の湖水を横切りて  大津の浜に安着し
 高山彦や黒姫の  魂ぬけ男女と諸共に
 アール、エールを引連れて  力の抜けた旅の空
 路傍に立てる柿の木に  渋い顔して村鴉
 高姫一行を頭上より  瞰下しながら声限り
 アホーアホーと鳴き立てる  高姫小癪にさへながら
 空ふり向いて独り言  あゝ馬鹿らしい馬鹿らしい
 烏の奴まで笑ひやがる  これもヤツパリ黒姫が
 気が利き過ぎて間がぬけた  神策実行の報酬ぢや
 偉い家来は欲しいもの  ほしは星ぢやが夜這星
 何処の空か暗雲に  脱線するか分らない
 高山低山数越えて  足許危き老の坂
 何の力も梨の木の  愛想つかした胸の暗
 王子暗がり宮の下  明かして通る恥しさ
 向ふに見えるは亀山か  雲に聳えた森林の
 中にキラキラ十曜の紋  あれこそ確に月宮殿
 あこには梅照彦司  鹿爪らしい顔をして
 扣へて居るに違ひない  一寸立寄り高姫が
 日の出神と現はれて  三千世界の御仕組の
 変性男子の御教旨を  聞かして改心さしてやろ
 道に迷うた亡者をば  見すてて素通り出来はせぬ
 これも神業の一端だ  黒姫さまはどう思ふ
 高山彦の福禄寿さま  御意見あらば今此処で
 遠慮会釈は要りませぬ  包まず隠さずサツパリと
 意見をお吐きなされませ  言へば黒姫肯いて
 実に尤もぢや尤もぢや  高姫さまのお言葉に
 迎合盲従致します  高山彦のハズバンド
 貴方も一緒に参りませう  三人世の元結構ぢや
 アール、エースは供の役  これは身魂の数でない
 三人寄れば昔から  文殊の智慧が出ると聞く
 弁天さまの床下で  馬鹿にされたる腹いせに
 文殊菩薩となりすまし  普賢勢至の三人が
 ただ一厘の御経綸  真向上段に振りかざし
 言依別に盲従する  梅照彦を言向けて
 聖地へ帰る案内の  猿田彦神としてやらう
 あゝ惟神々々  御霊幸はへましませと
 徳利膝頭に大地をば  ドンドンドンと威喝させ
 大道狭しと横柄面  月宮殿の片ほとり
 梅照彦の神館  目指して進む可笑しさよ。

   ○

 梅照彦の神館  門に佇み高姫は
 もしもし此処を開けとくれ  日の出神の御入来
 竜宮海の乙姫が  憑りなされた肉の宮
 梅照彦は在宅か  こんな結構な神人が
 来訪あるのを知らずして  奥に居るとは情ない
 天眼通もこの頃は  曇つて来たと見えるわい
 執着心に搦まれて  吾身よかれの信心者
 言依別にハイハイと  迎合盲従した罰で
 折角覚えた天眼通  ゼロになつたか情ない
 一時も早く村肝の  胸の岩戸を押し開けて
 日の出神を迎へ入れ  空前絶後の神界の
 誠の花咲くお仕組を  聞かして貰はうとせないのか
 ホンに身魂の因縁は  争はれないものぢやなア
 梅照姫もまたさうぢや  よくよく揃うた盲共
 爺も爺嬶も嬶  早う開けぬか開けぬかと
 皺嗄れ声を張りあげて  力限りに訪へば
 仏頂面した門番は  不承不性に現はれて
 主人の不在のこの家に  門戸を叩くは何人か
 トツトと帰つて下さんせ  聞くより高姫声をかけ
 お前はこの家の門番か  梅照彦は何処へ行た
 日に日に神界切迫し  千騎一騎のこの場合
 世界の難儀を他所に見て  夫婦二人が気楽相に
 紅葉見遊山に往たのだろ  親の心は子知らずだ
 神の心は人知らず  それも俗人ならばよい
 宣伝使たる身を以て  館を空にとび歩く
 これもヤツパリ言依別の  醜の命のドハイカラ
 深き感化の映像か  不在なら不在で仕方ない
 早くこの門開けてくれ  一度館を検めて
 善か悪かを調べあげ  神に報告せにやならぬ
 グヅグヅしてると日が暮れる  日の暮神ではないほどに
 早く開けたがよからうぞ  開けよ開けよと急り立てる
 中より門番尖り声  どこの奴かは知らねども
 無理にこの門開けよとは  礼儀を知らぬ馬鹿女
 梅照彦の御夫婦は  お前の言ふよな人でない
 言依別神さまが  竜宮の島の麻邇宝珠
 立派な立派な五色の  お宝物が納まつて
 そのお迎へやお祝を  兼ねて一同参れよと
 実にも目出度い御知らせに  千騎一騎の神業に
 仕へ奉るはこの時と  勇み進んで行かれたぞ
 それに就いても高姫や  黒姫さまや高山彦の
 長い福禄寿の神司  三つの玉に魂抜かれ
 阿呆が足らいで近江路の  琵琶の湖水の竹生島
 影も形もない玉を  掴みに往つたその後で
 肝腎要の神業が  綾の聖地で行はれ
 万事これにて鳧がつき  アフンとするのは高姫や
 黒姫さまぢやと云ふ事だ  お前は誰かは知らねども
 長い道中する間に  高姫さまに出会うたら
 分りもせない玉探し  心の底から思ひ切り
 早く聖地へ帰れよと  梅照彦の門番が
 言づけしたと言うてくれ  あゝ惟神々々
 私は叶はぬ秋の空  飯が焦げつく気が紅葉
 どれどれ早う奥へ行き  梅照彦の不在事に
 ゆつくり御馳走食べませう  あゝ惟神々々
 叶はぬなれば立帰れ  これで御免と門番は
 いそいそ奥へ隠れゆく。  

   ○

 梅照彦の門番が  話を聞いて高姫は
 電光石火雷の  轟く如く胸躍り
 心に荒浪立ち騒ぐ  猪喰た犬の高姫は
 さあらぬ態に胸押へ  言葉もいとど淑やかに
 打つて変つた猫撫での  いやらし微笑を浮べつつ
 ホンに浮世はままならぬ  ヤツパリ竜宮の御宝
 時節参りて綾錦  高天原に納まつて
 神政成就待ち給ふ  それに就いては竜宮の
 乙姫さまの肉の宮  ここでしつかりなされませ
 天火水地と結びたる  麻邇の宝珠は竜宮の
 乙姫さまの御宝  初稚姫や玉能姫
 国依別が喜んで  上を下へと立ちさわぎ
 勇むはヤツパリ黒姫の  身魂の御蔭であるほどに
 日の出神は神として  これからお前が片肌を
 脱いでかからにやなりませぬ  肝腎要の性念場
 三五教の黒姫の  肉の宮にと納まつて
 修業なされた玉依姫の  貴の命はわしぢやぞえ
 永らく竜宮の一つ島に  住みて居たのは外でない
 今日の慶事を前知して  わしの身魂が活動し
 五つの玉を授けたと  甘く言ふのは今ぢやぞえ
 肝腎要の性念場  空前絶後の神業だ
 必ず抜かつちやなりませぬ  高山さまもその心算
 四角い肩をなめらかに  丸い目玉を細うして
 険を隠した地蔵顔  そこは体よくやるがよい
 この高姫も一か八  この手で行かねばあれの手で
 早速の頓智やつて行く  これが全く朝日子の
 日の出神の御働き  ただ何事も神直日
 心も広く大直日  直日に見直し宣り直し
 身の過ちは打消して  正々堂々神のため
 世人のために少々の  瑕瑾はうまく葬つて
 空前絶後の神業を  完成したる暁は
 それこそ誠の神柱  四方に薫れる梅の花
 かう宣り直し見直せば  今迄嘗めた失敗も
 琵琶の湖水の泡と消え  伊吹の山の白雲と
 なつて煙散霧消する  心一つの持ちやうで
 いつも気楽に暮される  笑うて暮すも一生ぢや
 悔んで暮すもまた一生  人の手柄を横取し
 ずるい奴ぢやと言はれうが  構うて居れない今の首尾
 勝てば善なり負ければ悪ぢや  勝つて甲の緒をしめりや
 あとは天下は泰平ぢや  あゝ本当に本当に面白い
 結構な智慧が湧いて来た  これも全く竜宮の
 乙姫さまの御手伝ひ  日の出神の御働き
 天晴れ表に現はれた  ヤツパリ辛抱はせにやならぬ
 誠の力のある神は  トコトンまでも気を引くと
 変性男子の筆先に  立派に立派に書いてある
 筆先活かして使ふのも  心一つの使ひ方
 筆先殺して使ふのは  あつたら宝の山に入り
 裸跣で怪我をして  吠面かわいてメソメソと
 帰つて来る馬鹿の所作  ヤツパリ表の筆先を
 真解するのはわしぢやぞえ  変性女子のハイカラが
 どうしてお筆が解けますか  日の出の守護と云ふ事は
 日の出神の生宮が  天晴れ高天に現はれて
 何から何まで落ちもなく  筆先通りに気を配り
 指揮をせいと云ふ事ぢや  ここの道理をよく腹へ
 締め込みおいて下されや  聖地へ帰つてこんな事
 ゆつくり話す暇はない  道々誠の御仕組を
 お前の腹に詰めておく  あゝ惟神々々
 日の出の曙光が見えて来た  いよいよ今日から高姫は
 千人力の経の役  瑞の御霊を頭から
 ウンと一口噛みつけて  経のお筆をふりかざし
 言向け和して神界の  誠の御用をせにやならぬ
 これを思へば何となく  重たい足も軽うなり
 沈んだ心も欣々と  俄に浮いて来たやうだ
 あゝ潔し潔し  千軍万馬の功を経し
 高姫司のある限り  三五教は千代八千代
 磐石の如動かない  誠のお方が現はれて
 誠の事を説いたなら  体主霊従の身魂等が
 アフンと致して後へより  指を啣へて見てをると
 経のお筆に出してある  尊きお筆が実現し
 瑞の御霊が屁古垂れて  日の出神の生宮が
 天晴れ表に現はれる  これを思へば頼もしい
 あゝ惟神々々  御霊幸はへましませと
 高姫一行勇み立ち  足音高く大地をば
 威喝させつつ帰り行く  万代祝ふ亀山の
 貴の館を後にして  船井へ渡る千代川の
 流れも清き川関や  音に名高き鳴石の
 旧趾を左手に眺めつつ  猫を被つて虎天の
 堰所を越えて松並木  高城山に立寄りて
 ウラナイ教の松姫が  幅を利かした表門
 馬と鹿との両人が  身魂の性来現はれて
 四つ這姿で這ひ込んだ  此処が名高い古戦場
 平助、お楢の両人が  腹から生れたお節奴が
 玉能の姫と偉相に  松姫さまの後をとり
 坐つて居たのは憎らしい  あゝ惟神々々
 思へば胸が悪くなる  サアサア早く帰りませう
 八十八字の郷を過ぎ  道の広瀬の川伝ひ
 翼なければ鳥羽の宿  小山松原縫ひながら
 花の園部の大橋を  スタスタ渡り桐の庄
 観音峠の急坂を  爪先上りの高姫が
 一行五人汗垂らし  錦染めなす四方の山
 眺めもあかぬこの景色  日の出神の生宮の
 清き心は目のあたり  山は錦の衣を着て
 錦の宮に帰り行く  吾等一行歓迎する
 御空は清く澄み渡り  大地は錦の山屏風
 これぞ晴天白日の  高姫さまの真心が
 現はれました兆候ぞや  黒姫続けと先に立ち
 須知山峠をスタスタと  下りて来る綾の口
 小雲の川の松影に  釣する男に目をつけて
 これこれお前は何処の人  三五教に仕へたる
 神の司ぢやあるまいか  千騎一騎のこの場合
 日の出神の御帰りを  余所に眺めて気楽相に
 魚釣り三昧何の事  そんな殺生はやめなさい
 諸行無常是生滅法  生滅滅已の理を
 知らずに魚の命取り  楽しみ暮らす悪神の
 憑つた悪い守護神  その肉体は何人ぞ
 あゝ忌はしやと側に寄り  釣する男の笠を取り
 顔を眺めて仰天し  国依別か国州か
 宗彦、お勝のその昔  巡礼姿となり終せ
 宇都山郷の川の辺で  太公望気取の松鷹彦に
 意見した事忘れたか  曲つた針に餌をつけて
 世界の亡者を釣らうとは  余り虫がよすぎるぞ
 改心なされ国さまよ  再度山の山麓で
 身魂の曇り切つたる野天狗に  憑かれた時の面付は
 まだ消えやらぬ ありありと  どこかの端に残つてる
 吾等三人うまうまと  欺して近江へ追ひ下し
 エライ憂目に遇はしたな  この高姫をうまうまと
 竹生の島へ追ひやれば  万劫末代帰らぬと
 思うて居たのが運の尽き  高姫ぢやとて足がある
 石の地蔵なら知らぬこと  時節がくれば帰り来る
 サアサア早う帰りやんせ  お前に向つていろいろと
 言はねばならぬ事がある  サアサア帰のうと促せば
 国依別は微笑して  頭を軽く下げながら
 お前は高姫黒姫か  高山彦か よう無事で
 早く帰つて下さつた  あなたが御帰り遊ばすと
 国依別の天眼通  早くも悟つて御馳走の
 用意をしようと勇み立ち  小雲の川に竿たれて
 勢鋭き真鯉をば  せめて四五尾釣りあげて
 刺身にしたり煮〆あげ  お前等一行三人を
 招待せむとの魚釣り  悪くは思うて下さるな
 国依別はお前から  悪の身魂と見えるだろ
 心の奥のその奥に  誠の血潮が流れてる
 そこをば買つて貰はねば  国さま立つ瀬がないわいな
 あゝ惟神々々  御霊幸はへましまして
 頑迷不霊の高姫が  スツパリ転迷開悟して
 誠を悟り今日よりは  憎まれ口を叩かずに
 神前奉仕をさせてたべ  東の空を眺むれば
 瑞雲棚引き澄みわたる  今日は菊月十五夜の
 瑞月空に皎々と  下界を照らす瑞光は
 綾の聖地の瑞祥を  寿ぎ給ふ如くなり
 厳の御霊や瑞御霊  三五の月の神教は
 豊葦原の瑞穂国  島の八十島八十の国
 大海原の果てまでも  輝き渡れ惟神
 御霊幸はへましませよ。  




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