出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語25-2-71922/07海洋万里子 大蛇解脱王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
詳細情報:
場面:
冠島のクシの滝
あらすじ
 清公、チヤンキー、モンキーが宣伝歌を歌いながら酒の滝壷の前にやってくると、大蛇は半死半生で、飯依別、久木別、久々別ら郷人は大蛇の身体を突き刺して殺そうとしていた。
 清公は「たとえ大蛇といえども天帝の分身分体であるので、易々殺してはいけない。言霊を持って向かい、それでも帰順しない時は、おのおの得物を持って、直接行動を開始すべきだ」と、一行を制止し、大蛇の頭部に上り宣伝歌を歌い出した。
 歌では、「大蛇は死んでも霊魂はこの世に残り、恨みを晴らし、世を乱し荒び猛るのは目の当たりだ。大蛇は、郷人が祭政一致の大道を忘れ、体主霊従の行動をとり、自分たちで生み出した心の反映である」と歌う。宣伝歌を聞いて、大蛇は次第に縮小して、小蛇となって嬉しげに這いまわった。
 郷人たちは、今までの不信仰の罪を悔い、「再び大神の珍の御子となりたい」と祈る。清公は「地恩郷に参拝せよ」と勧める。一同は、モンキーを案内人として数十隻の船を浮かべて、参拝に出かけた。
名称
飯依別 清公 久木別 久々別 郷人 チヤンキー モンキー
悪神 悪魔 飯依彦命 梅子姫 大蛇 キリスト 国魂 神霊 天帝 日の出神 分身分体 曲神 曲霊 真澄姫命 メシヤ 霊魂 黄竜姫
天津祝詞 甘露台 酒の滝 言霊 神界 体主霊従 タカの港 中有 地恩郷 鎮魂 根底の国 ヒルの郷 ヒルの港 五六七出生 五六七の御代 神国魂 竜宮洲 蓮華台
 
本文    文字数=7622

第七章 大蛇解脱〔七五三〕

 清公、チヤンキー、モンキーの三人は、酒の滝壺の前に宣伝歌を歌ひながら進み寄り見れば、さしもの大蛇も毒酒に酔ひ、死物狂ひにノタ打廻つた揚句、大に疲労せしと見え、ガクリと首を曲げ口を噛み締め、殆ど半死半生の姿になつて居た。飯依彦の末裔飯依別を始め、久々別、久木別の三人の神司は、逃げ散りたる数多の郷人を呼び集め、各自に竹鎗を持ち、大蛇の身体を鱗と鱗の間より、力限りに突き刺し、殺さむとする真最中であつた。飯依別は大蛇の身体に向ひ、
『汝この郷を日夜に荒し、人民の膏血を搾り、あまつさへ我等が妻子を呑み喰ひ、郷人を悩ませし悪神の張本、天は何時迄も汝如き悪神を赦し給はず、忝なくも真澄姫命の御神徳によりて、汝を弱らせ退治せむとの我等が計略、よくも斃死つたなア。サアこれよりは汝の肉体の命を取り、この郷の惨害を除かむ。汝も定めて天地間の生物、神の御霊を受け居るならむ。必ず吾等が今日の仕打を恨み、霊魂中有に迷ひ、再びこの郷に害を加ふ如きことあらば、吾等が祈念の神力にてその霊魂を責め悩め、根底の国へ追ひやらむほどに。……サア大蛇、霊肉共に寂滅為楽、必ずこの世に心を残してはならぬぞ』
と大蛇に向つて誅戮の宣示をなし、久々別、久木別両人が指揮の下に、数多の郷人は声を揃へて竹鎗をしごき、鱗と鱗の間に、鎗の穂先を差込み『一二三』の掛声、一時に突込まむと身構へする折しも、宣伝歌の声と共に現はれたる清公以下の宣伝使、ツカツカとこの場へ近寄り、
清公『我は地恩郷に現はれ給ふ竜宮島の女王、黄竜姫様の幕下、清公、チヤンキー、モンキーと申すもの、今木蔭に忍んで承はれば、飯依別以下二柱郷人の害を除かむとして毒酒の計略にて、この大蛇を誅戮せむとし給ふその志、実に尤もなれども仮令大蛇と雖も天帝の分身分体なれば、易々殺すべからず。先づ第一に言霊を以てこれに向ひ、如何にしても帰順せざる時は、各得物を以て、直接行動を開始すべきである。先づ先づ待たせられよ』
と制止し大蛇の頭部にヒラリと飛び上り、盛んに宣伝歌を歌ひ始めた。

清公『神が表に現はれて  善と悪とを立て別ける
 この世を造りし神直日  心も広き大直日
 ただ何事も人の世は  直日に見直し聞き直し
 身の過ちは宣り直す  三五教の神の道
 仮令大蛇は死するとも  大蛇の霊魂は永久に
 この世に残り種々の  悪しき曲行繰返し
 恨みを晴らし世を乱し  荒び猛るは目の当り
 悪逆無道の曲神も  善の道には敵し得ず
 月ごと日ごとこの郷に  現はれ来り諸人を
 悩まし苦むこの大蛇  元より悪き神ならず
 遠き神世のその昔  日の出神が現はれて
 真澄の姫の国魂を  大宮柱太知りて
 斎き祀らせ玉ひつつ  飯依彦命をば
 神の司と定められ  子々孫々に至るまで
 祭政一致の大道を  夢にも忘れちやならないと
 教へ置かれし言の葉を  郷人残らず打忘れ
 利欲の淵に身を沈め  勝利の山に憧憬て
 体主霊従の行動を  益々盛に続行し
 天地の神の御怒りに  触れて曲津を自ら
 生み出したる郷の人  今現はれしこの大蛇
 皆郷人の魂や  心の色の反映に
 現はれ出でたるものなるぞ  心一つの持ち方で
 神と現はれ鬼となり  大蛇となるも各自の
 言心行の不一致ゆ  生み出したるものなるぞ
 これの大蛇を竹鎗の  武器もて虐く殺すより
 汝の心の真底に  潜める大蛇を平らげて
 誠一つの三五の  教の光り真澄鏡
 照らして見よや曲霊の  醜の肉体も忽ちに
 跡形も無く消え行きて  鬼も大蛇も影もなく
 誠の道の御恵みに  靡き伏すらむ郷人よ
 かかる大蛇の現はれし  その源を尋ぬれば
 紛ふ方なき郷人の  心の過ちある故ぞ
 大蛇よ大蛇よ曲神よ  汝に誠の魂あらば
 我言霊を謹聴し  うまらにつばらに汲み分けて
 怪しき賤しきこの姿  行衛も更に白雲の
 消えて跡なき天津空  清く正しく澄み渡る
 目出度き御代に逢ふならむ  あゝ惟神々々
 御霊幸倍ましまして  昔の神の伝へたる
 三五教の御教を  日日毎日繰返し
 思ひ出して神界の  御用に立てよ郷人よ
 神の守らす世の中は  いかで悪魔の蔓こらむ
 悪魔は心に潜むなり  一日も早く大神の
 厳の言霊経となし  身の行ひを緯として
 天と地とのその中に  人と生れし功績を
 誠一つに立て直し  正しき神となり変り
 五六七の御代を造れかし  キリストメシヤの再臨も
 五六七出生の暁も  甘露台の瑞祥も
 蓮華台上の御神楽も  神国魂そのものの
 いづれ変らぬ一つ物  狭き心を振り捨てて
 三五教の神の道  思ひ浮べて行へよ
 あゝ惟神々々  御霊幸倍ましませよ』

と宣り終るや、今迄長大なる姿を現はしたる大蛇も、次第々々に縮小し、遂には小さき蛇となりて、清公が足許を嬉し気に這ひ廻る。清公は尚も天津祝詞を奏上しこの蛇に向つて鎮魂を修し、
『汝再びこの郷に現はれ、かかる悪逆無道を繰返す勿れ。また郷人も今迄の心を根底より立直し、日の出神の教へ置かれし三五教を信じ、真澄姫命の神霊に拝謝せば汝等が心中に潜める鬼、大蛇は忽ち姿を隠して、煙となりて消え失せむ』
と宣べ終るや、飯依別、久木別、久々別の神司を始め郷人一同は、清公が前に平伏し、今迄の不信仰の罪を悔い、再び大神の珍の御子とならむことを祈る。清公は、
『地恩郷に三五教の梅子姫、黄竜姫の現はれ給ひて神徳四方に輝きあれば、この郷の害悪を洗ひ清められし謝恩のために、打揃ひ参拝すべし』
と命ずれば、飯依別を始め一同は、一も二もなくこの説に服し、モンキーを案内者として地恩郷に参拝することとなつた。
 幾十の船を海面に浮べてヒルの港を漕ぎ出した。船中は神徳の話で持切りながら、清公一同が乗り来たりし船をも従へて、タカの港へ上陸し、参詣する事となつた。この時神命によつて清公の乗り来りし船は、元の所に帰され、その持主を求めて色々とヒルの郷の珍しき物を与へ、厚く謝辞を述べた。あゝ惟神霊幸倍坐世。

(大正一一・七・八 旧閏五・一四 谷村真友録)



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