出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語24-2-71922/07如意宝珠亥 メラの滝王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
詳細情報:
場面:
アンボイナ島
あらすじ
 アンボイナ島は二つに分かれ、雄島、雌島と称されている。二つの滝があり、天国浄土とも称すべき聖地である。高姫とムカデ姫は「この島に宝が隠してある」と、三ヶ月を費やし、青苔を一枚一枚めくって調べたが、玉は見つからなかった。
 また、一行の船は流されてしまっていた。高姫はそれを「貫州の不行き届き」と責める。
 メラの滝の近くで高姫がひと寝入りして醒めると、他の者が見当たらない。高姫は「置き去りにされた」と疑うが、貫州の蓑笠があったので安心した。そこで、「貫州が早く戻るように」と祈願する。それを滝の上で聞いていた貫州は、神のふりをして高姫を騙した。高姫は我を出してそれに対抗した。
 ムカデ姫が戻ってきて、熊蜂にさされ、体中が腫れてしまう。神を騙っていた貫州も高姫の前に落ちてしまう。一行は大混乱に陥る。
 そこへ、三五教教の宣伝歌が聞こえてくる。
名称
お民 久助 熊蜂 貫州 スマートボール 高姫 ムカデ姫
悪神 大黒主命 四本足 寸善尺魔 玉能姫 日の出神(高姫) 日の出神の生宮 古狸 本守護神 枉津
アンボイナ島 雄島 大島 神言 国城山 言霊 審神 神界 神政成就 浄土 聖地 小豆ケ島 刹那心 瀬戸の海 台湾 地獄 釣岩の滝 天国 南洋 バラモン教 ヒリツピン群島 三千年 水垢離 雌島 メラの滝 日本魂 琉球島 竜宮島 竜宮の一つ洲
 
本文    文字数=18285

第七章 メラの滝〔七三七〕

 瀬戸の海、小豆ケ島を船出してより、大島、琉球島、台湾、ヒリツピン群島をいつしか越えて、南洋一の竜宮島と聞えたる、アンボイナ島の一角に高姫の一行は漸く到着したり。
 総てこの方面には濁水漲り飲料水はただ天水を受けて使用するのみである。しかるにこの島ばかりは竜宮島と称するだけありて、島の到る所に清泉湧き出で、かつ島は二つに分かれ雄島、雌島と称へられて居る。雌島の方には釣岩の滝、一名雄滝、及びメラの滝、一名雌滝の二つの竜琴が懸つて居る。さうして雄滝の方は岩と岩との間より囂々として流れ落ち、雌滝の方は大木の根本より湧き出づる稍細き水を、人工をもつて筧を作り滝として居るのである。この島は世界の所在草木繁茂し、数多の屹然たる岩島の中に樹木蒼然として特に目だつた宝島である。酷熱の夏の日もこの滝の辺に往けば樹葉天を封じ、瀑は淙々として清く落下し、万斛の涼味を湛へたる実に南洋第一の天国浄土とも称すべき聖地なりける。
 高姫、蜈蚣姫は第一にこの島に目をつけ、玉能姫が匿し置いたる三個の宝玉は、テツキリこの島に納まりあるならむと、既に既に宝玉を手に入れた如く喜び勇み、先を争うて上陸し、雄滝の方に向つて歩を進めた。余りの嬉しさに船を磯端に繋ぐ事を忘れた。折柄の稍強き風に、船は一瀉千里の勢で沖の彼方に流れ去つてしまつた。されど一行は船の流れたる事を夢にも悟らず、意気揚々として釣岩の滝の麓に進み、汗染んだ着衣を脱ぎ捨て、我一に涼味を味はむと滝壺に飛び込み、一生懸命に蘇生した気持で神言を奏上し始めたり。
 三日三夜一同は水垢離をとり元気も恢復し、四辺の新鮮なる木の実を食ひ勢頓に加はり、弥全島残らず玉の捜索に係る事となつた。高姫は雌島を、蜈蚣姫は雄島と部署を定めて、些しにても怪しき石と見れば引き剥り、山の芋を掘るやうに、こぐちから掻き廻し、この島に毛氈の如く敷き詰めたる麗しき青苔を残らず引繰返したるに、苔の下よりは怪しき形したる蛇、蜈蚣、守宮、蜥蜴の類間断なく現はれ来り、高姫その他一同の体を目蒐けて飛びつき喰ひつく嫌らしさ、されど玉の行方に魂を抜かれた一行は何の頓着もなく『惟神霊幸倍坐世』を口々に唱へながら、時間を構はず疲れては休息し、喉が渇けば水を掬ひ、腹が空けば随所の果物をむしり喰ひながら、向上虫が梅の大木を一葉も残らず食ひ尽すやうな勢で、島山の頂きまで残らず土を引繰返し、苔を剥り捜索し終りたり。その間殆ど三ケ月を要したりける。
 高姫、蜈蚣姫は執念深くも今度は磯辺に下り、大石小石をこぐちより一つも残さず引繰り返し調べ見たれど船虫や蟹ばかりで、玉らしきものは一つも見当らざりけり。流石の高姫、蜈蚣姫も根気尽き、またもや雄滝の麓に集まり来り、胴を据ゑて水垢離にかかる事となりぬ。磯辺を各自調べながら玉に心を取られて、乗り来りし船の影だに無き事に気の付く者は一人もなかりけり。
 七日七夜ばかり滝壺を中心に水垢離を取つて居たスマートボールは、一人海辺に出でよくよく見れば船の姿なきに打ち驚き、島の廻りを何回となく廻つて調べ見たるが、一向見当らず、驚いて滝壺の前に現れ来り、
『高姫様、蜈蚣姫様、大変でございます』
と顔色を変へて云ふ。蜈蚣姫は口を尖らして、
『大変とは何だエ、玉の所在が分つたのか』
『ソンナ気楽な事ですかいな。船が薩張逃げてしまひましたよ』
『何、船が逃げた……なぜ追つかけて引張つて来ぬのだい』
『逃げたか沈みたか、皆目行方が分らないのですもの』
『そりや大変だ、高姫さま、どうしませう』
『さてもさても気の利かぬ者ばかりだな。……これ貫州さま、お前は船の責任者だ。一体どうして置いたのだい』
『どうもかうもありませぬワ。日の出神様が私に憑つて船をかやせとおつしやつた。それ故高姫さまの本守護神の御命令によつて、何処なりと勝手に往けと放り出しました。あの船は竜宮の一つ島に着くのが目的だから、遊ばして置くのも勿体ないと思つて、独り活動さして置きましたよ。やがて目的を達するでせう』
『お前は何と云ふ馬鹿なのだ、船ばかり行つた処で、我々の肉体が往かねば何にもならぬぢやないか。船が無ければ、何時までもこの島に蟄居して居らねばならぬぢやないかい』
『それでも貴女は人間の肉の宮は神の容器とおつしやつたでせう。日の出神様も、大黒主命も、蜈蚣姫様の本守護神も、今頃はあの船に乗つて、目的地に安着して居るでせう。この島に上つてから百日以上になりますから、何程遠くても最早一つ島に到着し、そろそろ帰つて来る時期ですから、さうやきもき云はずに待つて居なさるがよろしからう』
と態と平気な顔をして見せる。
『何と間の抜けた男だなア。……高姫さま、流石は貴女の御家来ぢや。抜け目のない理屈ばかりはよく捏ねますね。一体どうして下さる』
『此処は南洋の竜宮島、澆季末法の世の中には諸善竜宮に入り給ふと云ふからには、妾等は善一筋の誠の神だから、この竜宮島を永遠の住家として、天寿を楽しまうぢやありませぬか』
『ようも……負惜しみの強い事が云へますぢやい。………三つの宝玉はどうなさる積りだ』
『それは飽迄も探さねばなりませぬ。まア見とりなさい、おつつけ神様が妾等の神徳に感じ、船を持つて迎ひに来て下さるのは鏡にかけて見るやうなものだ。刹那心を楽しむで、取越し苦労をせないやうにして下さい』
『何だか船が無いと来ては、何程結構な竜宮島でも気楽に暮す気にはなれぬぢやありませぬか。……アヽ俄に綺麗な山も嫌な色になつて来たワイ。美しい滝の景色も地獄のやうな気分がしだした。アヽこの結構な島が船のやうに動いて、俺達を何処かの大陸へ送つてはくれまいかなア。スマートも心配ぢやワイ』
『まア愚図々々云はずに待つて居なさい。海賊船でも来たら、それでも占領して乗つて行けばよいぢやないか。何事もなるやうにしか成らぬ世の中だ』
と稍捨鉢気分になり、青草の上へ身を打つ付けるやうに、不行儀に高姫は寝転むでしまつた。
『エヽ何処迄も徹底した自我の強い婆アだなア』
とスマートは小声に呟きながら密林の中に姿を匿したり。蜈蚣姫その他一同は、思ひ思ひにこの島山を捨鉢気分になつて駆廻り、適当な場所に身を横へて、因果腰を定める事となりぬ。雄滝の麓に高姫はただ独り横はつたまま遂に夢路に入りけり。………
 高姫は漸く目を醒し四辺を見れば、一人の人影も無きに驚き、
『サア大変、誰も彼も腹を合せこの高姫を置去にして、流れて来た船にでも乗つて逃げたに相違あるまい。アヽ頼み難きは人心。……貫州の奴、この高姫に一言も答へず、逃げ帰るとは不親切極まる。しかしながら余り口汚く叱りつけたものだから、根に持つて復讐をしようとしたのだらう。エヽ仕方がない』
と四辺を見廻せば、蓑笠などが其処に残つて居る。
『ハア、矢張何処かへ行つたのだな。何処へ匿れてもこの島中には居るだらう。まアまア皆の者共が早く此処へ帰つて来るやう御祈念でも致しませう』
と独言ちつつ雌滝の傍に進み寄る。折柄の濃霧に包まれて、一尺の先も見えないやうになり来たりぬ。高姫は雌滝の傍に蹲踞みながら、両手を合せ祈願を始めたり。
『第一番に力と頼む貫州の行方が分りますやう。蜈蚣姫その他の連中は神界の御都合によつてお匿し遊ばすなら、たつてとは申しませぬ。ともかくも必要なは貫州一人、どうぞ彼だけなりと私の傍に引き寄せて下さいませ。何分小さい島と申しても、十里も周つたこの浮島、容易に探し当てる事は出来ますまい。何卒御神力をもつて、一時も早くお引き寄せを願ひ奉ります』
 メラの滝の上にチヨコナンとして、滝水を弄つて居つた貫州は、高姫のこの祈り声を聞いて造り声をしながら、
『この方は、誠の生粋の日本魂の日の出神であるぞよ。その方は日の出神と申せども、実は三千年の劫を経たる古狸の霊が宿つて居るのであるぞよ。よく胸に手を置いて思案を致せよ。汝の改心が出来たなら、いつ何時なりとも、その方の前に貫州一人現はして見せうぞ。どうぢや、もう今後は日の出神様呼ばはりは致さぬか』
『貴女は日の出神様と今おつしやつたが、そりや違ひませう。真の日の出神はこの高姫の肉体にお憑り遊ばし、大黒主命と半分同志の霊魂が一つになつて高姫と現はれ、世界中の事を調べぬいて、神政成就の土台となる結構な身魂でありますぞ。いづれの神か知らねど、よく審神をして下さい。真の事を知つた神は、世界に一神よりか無いとお筆に出て居ますぞ。枝の神の分際として何が分つて堪らうぞい。改心なされ足許から鳥が立ちますぞえ』
 貫州は余りの強情に愛想を尽かし、かつ可笑しさに吹き出さうとしたが、歯を喰ひしばり気張り居る。歯は『キーキー』、喉許で笑ふ声『キウキウ』と体中に波を打たせ蹲踞んで気張り居る。高姫は滝の下より、
『エヽ油断のならぬ。何程諸善神の集まる竜宮島でも、寸善尺魔とか云ふ悪神が高姫の気を引きに来よつたな。しかしながら高姫の弁舌、否言霊に、仕方なく四足の性来を現はし、……キーキー、キウキウ……と啼いてゐやがる。野良鼠か、栗鼠か、鼬か貂か、またも違つたら豆狸か、一時も早くこの場を立ち去れ。日の出神の生宮の前も憚らず、四足の分際として高い所に上ると云ふ事は、天地顛倒も甚だしい。シイシイ』
と頻りに歯の脱けた口から唾を飛ばしながら叱つて居る。貫州は益々可笑しさに耐へ兼ね、脇の辺りで『キウキウ』と笑ひ出したり。此処へ濃霧の中を両手を前に突き出し、盲が杖無くして歩くやうに、探り足にやつて来たのは蜈蚣姫なりき。貫州は皺嗄れ声を出し、
『如何に高姫、汝の願ひ叶へてやらう。その方は蜈蚣姫をこの島に一人残し置き、貫州を連れて逃げだした方が都合がよいとの意志を表示したであらう。表面は蜈蚣姫とバツを合せて居るが、その方の心の中は決してバラモン教では無い事はよく分つて居る。ただ三個の玉さへ手に入れば、蜈蚣姫はどうでもよいのだ。どうだ、神の申す事に間違ひあるまい』
 高姫は聊か迷惑顔しながら、
『モシモシ蜈蚣姫様、何処に居られましたの。私はどれだけ心配したか分りませぬワ。ようマア無事でゐて下さいました。この通り濃霧に包まれて一尺先は分らぬやうな事でございますから、種々の枉津が現はれて、今お聞きの通り貴女と私の仲を悪くし内輪喧嘩をさせ、内部から結束を破らせようとするのだから、用心なさいませや』
 滝の上から貫州は、
『蜈蚣姫とやら、高姫の口車に乗るなよ。真の日の出神此処にあり』
『ハイ、有難うございます。貴神のお言葉は寸分間違ひはありますまい。私はこれから気をつけます。……モシモシ高姫さま、神様は正直ですな。国城山の岩窟で貴女が俄に豹変的態度を取つた時から、一癖ありと始終行動を監視して居りました私の案に違はず、今真の日の出神様が証明して下さいました。サアどうです。これ高姫さま、返答がありますか』
 貫州は霧の中より、
『蜈蚣姫も蜈蚣姫だ。高姫を巧く利用して玉を探させ、その上にて巧くボツタクリ、高姫に蛸の揚げ壺を喰はす所存であらうがな。神は汝の申す如く正直一方、嘘はチツトも申さぬぞよ』
 高姫はしたり顔、
『蜈蚣姫さま、それ御覧、貴方こそ腹が悪いぢやありませぬか』
『悪と悪との寄り合ひだもの、云ふだけ野暮ですよ。オホヽヽヽ』
と笑ひに紛らす。
 この時この島の特産物たる五寸ばかりの熊蜂が、『ブーン』とうなりをたてて高姫の頭に礫の如く衝突し、勢あまつて蜈蚣姫の鼻柱に撥ね返され、蜂は一生懸命に鼻にしがみつき鼻の孔を鋭利なる剣にてグサリと突き立てた。蜈蚣姫は『アイタヽヽ』と云つたきり、両手に鼻を抑へてその場に倒れた。蜈蚣姫は高姫が鉄拳で鼻柱を目蒐けて喰はした事と思ひつめ、
『悪逆無道の高姫、不意打を喰はすとは卑怯千万。やア、スマートボールその他の者共、早く来つて高姫を縛り付けよ』
と呶鳴りゐる。見る見る顔は脹れ上り、鼻も目も口も腫れ塞がりにけり。高姫は驚いて、
『モシモシ蜈蚣姫さま、妾ぢやありませぬ。熊蜂が噛むだのです。どうぞ悪く取つて下さいますな』
 滝の上の霧の中より、
『蜈蚣が蜂に刺されたぞよ。これを見て高姫改心を致されよ。雀ケ原に鷹が降りたやうな横柄振を今迄発揮して居たが、高姫の目をまた熊蜂に刺さしてやらうか。この方は熊蜂の精霊であるぞよ。その方は余り慢心が強い故に、両人互に他人の頭の上に上らうと致して居るから、こんな戒めに遇うたのぢや。それほど偉い者になつて人の頭に上りたくば、天井裏の鼠になつと成つたがよからう。人が除けて通るやうな御神徳が欲しいと申して、南洋三界まで玉を探しに参り、それほど偉くなりたくば肥担ぎになれ。誰も彼も皆除けて通るぞよ。も一つよい事を教へてやらう。泥棒になれば人が恐れるぞよ。神徳を得て人を恐がらしたくば何の手間暇は入らぬ。鉄道を噛り砂利を喰ひ、鋼鉄艦を呑むやうな達者な歯になれ。さうすれば世界の奴はその方に対して歯節は立たぬぞよ。またも間違つたら癩病患者、疥癬患者になれ』
と『キウ キウ』と喉の中で笑うて居る。突然涼風吹き起り、四辺を籠めた濃霧は俄に晴れて遠望千里の光景となつて来た。貫州は驚いて高姫に顔を見られじと袖に面部を被ひながら走り行く途端に踏み外し、高姫の足許にドスンと落ちて来た。高姫は『キヤツ』と云うて二歩三歩後へ飛び退き、よくよく見れば貫州なりける。
『ヤア、お前は貫州かイナア。何だか合点がゆかぬと思つてゐたら何と云ふ悪戯をするのだイ。罰は覿面、これこの通り逆とんぼりを打つて苦しまねばならうまいがなア』
『ヤアもう誠に不都合千万でございました。何分守護神が現はれたものですから』
『馬鹿を云ひなさるな。二つ目には守護神々々々と口癖のやうに……その手は喰ひませぬぞエ。それよりも今の中に船に乗つてサアサア玉探しにゆきませう』
『蜈蚣姫様が蜂に刺されてこの通り苦しみてござるのに、どうするつもりですか。神様の道は敵でも助けるのが法ぢやありませぬか。さうして船に乗らうと云つた処で船が無いぢやありませぬか』
『アヽさうだつたなア。ほんとにほんとにお気の毒な事になつたものだ。蜈蚣姫さま、どうぞ早く全快して下され』
と蜈蚣姫の背中を撫で、次に胸を撫でて慰めてやらうとする。目も鼻も口も腫れて化物のやうになつた蜈蚣姫は、鷲のやうになつた爪を立てて、高姫の手が体に触つたのを目当に力限り掻きむしる。高姫は顔を顰めながら血潮の滴る手を押へ、草をもつて血止めの用意とくるくる捲きつけゐる。
 スマートボール、久助、お民その他の従者共は、濃霧の晴れたのを幸ひこの場に駆け来り、二人の態を見て驚き、口をポカンと開けたまま言をも云はず立ち居る。この時磯端に当つて、涼しき三五教の宣伝歌が聞え来たりぬ。果して何人の声ならむか。

(大正一一・七・二 旧閏五・八 加藤明子録)



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