出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語16-2-161922/04如意宝珠卯 神定の地王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
詳細情報:
場面:
丹後の元伊勢の産釜・産盥
あらすじ
 亀彦と英子姫はスズメバチに目を刺された青彦を天津祝詞で癒した。青彦は改心して三五教に帰順した。
 悦子姫に天照皇大神がかかり、神殿の造営を命じたので、三人は丹後の元伊勢の宮の元となる神殿を建てた。
 この因縁により、大本開祖の元伊勢のお水取りが行われたのだ。
名称
青彦 亀彦 熊蜂 英子姫 悦子姫
天照皇大神 大本開祖 大神 木下亀吉 金毛九尾 神霊 高姫
天津祝詞 天の数歌 天の真名井 伊勢神宮 忌鋤 忌斧 上杉 産釜 産盥 ウラナイ教 金明水 沓島 言霊 神界 丹後の元伊勢 宮川 竜宮館
 
本文    文字数=4591

第一六章 神定の地〔六〇六〕

 青彦は身体一面に熊蜂に取つかれ痛みに堪えず、苦しみ悶えつつありき。この体を見るより亀彦、英子姫は常磐木の松の小枝を手折り、青彦が前に進み出で天津祝詞を奏上し、天の数歌を唱へながら左右左と打ち振れば、蜂は忽ち何処ともなく姿を隠し、青彦が身体の苦痛も俄に静まりける。
 青彦は漸く頭を上げ篝火に照し見れば、豈図らむや亀彦、英子姫の二人、吾前に端坐し、一心不乱に吾がために祈願を凝らし居るにぞ、青彦は忽ち大地に両手をつき、
『貴方は三五教の宣伝使、亀彦様、英子姫様でございましたか、危き所をお助け下さいまして、お礼の申しやうもございませぬ』
と嬉し泣に泣き入る。後の木の茂みよりまたもや女の声、
『ヤア青彦、汝は金毛九尾の悪狐に魅せられたる高姫の妖言に迷ひ、三五の教を捨ててウラナイ教に陥没したる心弱きデモ宣伝使、汝が心を立直さむと誠の神は今此処に現はれ、汝に誡めの鞭を与へたるぞ、尚改めざるにおいては、今後如何なる災禍汝の身に降らむも計り難し、ヤア亀彦、英子姫大儀々々。汝が至誠至実の言霊によつて、青彦が危難を救ひたるは天晴功名手柄、この由大神に奏上致さむ』
亀彦『ヤア何れの神様か存じませぬが足はぬ吾々に向つて過分の賞詞、身に余る光栄と存じます、この上は益々粉骨砕身、神国成就のために努力致しますれば、どうぞ厚き広き御保護を垂れさせ給はむ事を偏に願ひ奉る』
英子姫『アヽ有難き大神の神示、朝な夕なに慎みて、言心行一致を励み神界のために能ふ限りの活動を致しませう、何卒何卒仁慈の鞭を御加へ下さいまして、妾が弱き信仰を益々強く宇宙大に発揮せしめたまへ』
と合掌する。青彦は涙にくれながらただ何事も得云はず、あな有難し忝なしとまたもや大地に平伏するのみ。暗中よりまたもや女の声、
『汝青彦、心の底より悔い改めて三五教の教を遵奉するや、返答聞かむ』
と呼ばはる声に青彦は起き直り、
『何れの神様か存じませぬが、もうかうなる上は綺麗薩張とウラナイ教を諦めます。どうぞ元の如く三五の道にお使ひ下さいますやうに』
 暗中よりまたもや女神の声、
『吾は天照皇大神なるぞ、その昔この御山に現はれ、産釜、産盥と俗に称する天の真名井に御禊して、神格を作り上げたる我旧蹟なり、汝等宜敷く此処に宮殿を造り、我御霊を祀れ、悦子姫の肉体を借りてこの由宣示し置く、夢々疑ふなかれ』
亀彦『委細承知仕りました。これよりこの谷川に身を清め、大神の美頭の御舎仕へ奉り、神霊を奉斎し、天下太平国土安穏の祈願所と定めまつらむ』
と答ふれば天照大御神嬉しげに打ち笑はせ給ひ、
『亀彦、英子姫、悦子姫三人の神柱に宮殿の造営を一任し置く、サラバ』
と云ふより早く元津御座に帰り給へば、悦子姫は元の肉体に復し三人が前に現はれ、大神の神勅を畏み、改めて谷川に禊し天津祝詞を奏上し、忌鋤、忌斧を造りて宮殿の造営に身心を傾注し、百日百夜を経て全く工を終へ、茲に天照大御神の神霊を招ぎ奉り、鄭重に祭神の鎮座式を奉仕したりける。これ伊勢神宮宮殿造営の嚆矢なり。今は丹後の元伊勢と云ふ、この谷川はこれより宮川と称へられたり。
 この因縁により、大本開祖は明治三十四年旧三月の八日、数多の教子を引き連れ、亀彦の名に因みたる上杉の木下亀吉を率ゐ、禊の神業を仰せつけられたるは、最も深き神界の御経綸の在します事と察せらるるなり。またこの産盥、産釜の清水は竜宮館の金明水に注ぎ込まれ、次で開祖は数多の教子を率ゐ、明治三十四年旧六月八日、沓島の山上より大海原に向つて打注ぎ給ひたるも、天下修斎の大神業の一端と察し奉るなり。穴賢、穴賢。

(大正一一・四・一五 旧三・一九 加藤明子録)



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