出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語12-3-171922/03霊主体従亥 雲の戸開王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
詳細情報:
場面:
呉の海をゆく国武丸
あらすじ
 国武丸が沈没しようとする刹那、石凝姥が宣伝歌を歌う。そのおかげで、暴風雨が止み一同は助かった。空では橘姫が歌う。石凝姥の歌の中では橘姫は神須佐之男大神の珍の御子であると歌われている。また本人の歌では、春山彦と夏姫の娘であるという。
名称
石凝姥神 国光彦* 高光彦* 橘姫 玉光彦* 時置師神* 行平別*
天津神 天津乙女 神伊邪那岐大御神 厳の御魂 大蛇 神漏岐神漏美 金勝要大神 国津神 国治立大神 木花姫神 神須佐之男大神 皇大神 皇神 夏姫 埴安彦神 埴安姫神 祓戸神 春山彦 曲津霊 瑞の御魂 竜神
ウラル山 大本 国武丸 呉の海 コーカス山 高天原 橘島 地教山 筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐が原 天教山 ハザマの国 黄金山
 
本文    文字数=5944

第一七章 雲の戸開〔五一三〕

 日も早や呉の海原は、颶風頻りに至り、浪は山岳の如くに立ち狂ひ、さしも堅固なる国武丸も、今や水中に沈まむとする一刹那、船の一隅より声も涼しく闇を透して宣伝歌は聞え来たりぬ。

『神が表に現はれて  善と悪とを立別ける
 倫理道徳地を払ひ  醜の魔風は吹き荒び
 鬼や大蛇や曲津霊の  伊猛り叫ぶ百声は
 山の尾の上や川の瀬や  大野が原や海原に
 皆湧き充ちて物凄く  世は常暗となりにけり
 荒び果てたる世の中に  澄きりませる天地の
 正しき神は悉く  御空も高く帰り坐し
 地上を護る竜神は  海底深く隠ろひて
 大海原に漂へる  百八十国や八十の島
 今や悪魔の世となりて  万の禍むらがりつ
 ウラルの山の山颪  コーカス山の神風も
 一つになりて呉の海  善と悪との戦ひの
 巡り合ふたる旋風  罪を乗せたるこの船は
 醜の魔風に煽られて  瞬く間に覆へり
 底の藻屑とならむとす  この世を造りし神直日
 心も広き大直日  直日に見直し聞直し
 醜の囁き平けく  詔り直しませ呉の海
 永久に鎮まる橘姫の  神の命の荒魂
 救はせ給へ速やけく  心は堅き石凝姥の
 神の命の宣伝使  今吹き荒ぶ時津風は
 心のもつれを時置師  神の命の神司
 四方を廻りて今此処に  国武丸の上に在り
 神須佐之男の大神の  貴の御子と生れませる
 橘姫よ神国を  思ふ誠の真心を
 救へや救へ百人も  共に救へや浪の上
 並々ならぬ吾願ひ  心平に安らかに
 天津祝詞を聞し召せ  高天原に神集ふ
 神漏岐神漏美二柱の  大御言もて皇御祖
 神伊邪那岐の大御神  筑紫の日向の橘の
 おどの阿波岐が原に坐し  禊ぎ払ひしその時に
 鳴り出でませる四柱の  祓戸神の神御霊
 幸ひまして許々多久の  罪や穢れを速川の
 瀬に流すごと科戸辺の  風にて伊吹き払ふごと
 天津神等国津神  八百万神諸共に
 小男鹿の耳振り立てて  聞し召さへと詔り白す
 この世を造りし大本の  皇大神よ願はくは
 国武丸の人々を  大御心に見直して
 救はせ賜へ惟神  御霊幸はひ坐し坐せよ
 一二三四五つ六つ  七八九つ十百千
 万の神の御恵みに  万の罪を払ひ坐せ
 三五教の宣伝使  石凝姥の神司
 畏み畏み願ぎ奉る』  

と歌ひ終るや、さしも激しき暴風も、忽ち凪いで、呉の海面は、殆ど畳の上を滑つて行くやうになつて来た。天津御空には皎々たる満月の光、東天に輝き初め、船中の一同は甦りたる如き心地して、思はず月に向つて喜びの声を放ち合掌して感泣せり。
 得も言はれぬ馥郁たる香気四方に充ち、嚠喨たる音楽聞え、頻りに降り来る花の雨、仰ぎ見れば中空に、天の羽衣翻へしつつ、

『アナ面白や面白や  アナ、さやけしや天津空
 四方の国土も治まりて  醜の波風静まりぬ
 神を敬ひ君を尊び  夫は妻を慈しみ
 妻は夫に服従ひて  夫婦の仲も睦まじく
 子はまた親を敬ひて  兄弟親しみ相助け
 親しき友の寄り合ひて  誠を尽す神の代は
 天津御神の治すなる  高天原の神の国
 黄金山下に生れませる  埴安彦や姫神の
 教へ給へる三五の  誠も高き天教山の
 空に匂へる木の花姫  千代に八千代に咲く花の
 栄え目出度き地教山  光となりて現れませる
 神須佐之男の大御神  瑞の御魂と現はれて
 コーカス山の神の宮に  国治立の大神や
 金勝要の大神の  御魂を祝ぎ祭らせて
 曲切り払ふ都牟刈の  両刃の太刀の神実に
 天と地とに塞がれる  八重棚雲を切り払ひ
 払ひ給へば天の原  大海原も明らけく
 光り輝く朝日子の  日の出の御代と生くるなり
 嗚呼石凝姥の宣伝使  コーカス山の神徳も
 雲井に高く光彦や  厳の御魂の玉光彦
 国光彦の神司  行平別や時置師
 睦び合ふたる六人連  よく聞し召せ平らけく
 吾は木の花姫の神  厳の御魂の分け霊
 ハザマの国の春山彦の  貴の命や夏姫の
 珍の娘と生れ逢ひ  皇大神の御為めに
 この世を照らす三柱の  中の一人の橘姫よ
 底ひも知れぬ呉の海の  司の神と任けられて
 常磐に護る吾なるぞ  心を浄め身を清め
 罪や穢れを橘の  島に一度は船寄せて
 吾言霊を聞けよかし  畏き神の御教を
 四方に伝ふる神司  小さき事に囚はれず
 虚空の外に身を置きて  神代幽世現世の
 奇しき有様明らめて  世人を救ふ皇神の
 太き柱となれよかし』  

と優美なる歌天空に聞え終ると共に、今迄舞ひ狂ひたる、天津乙女の姿は煙の如く消え失せ、紺碧の空には三五の明月皎々として海面を照し給ふ。

(大正一一・三・一〇 旧二・一二 谷村真友録)



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