出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語10-1-241922/02霊主体従酉 言向和王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
詳細情報:
場面:
黄泉比良坂
あらすじ
 大国姫が神伊邪那美大神と偽って出陣すると、魔軍は勢いづき、神軍に攻めかかった。そこで、日の出神が比良坂の坂の上に立ち、巨大な火の玉となり魔軍を攻め立てた。大国姫は正鹿山津見の歌う宣伝歌に改心の情を表し、「黄泉の大神となって幽政を支配する」ことを誓った。日の出神一行は、刃を使わず、言霊によって魔軍を言向け和して、天教山に凱旋した。
 魔軍の曲津神達は、悔い改めて、生きながら善道に帰るもの、霊魂となって悔い改めるもの、根底の国に落ちて黄泉大神の戒めを受け、長い年月の間苦しんで、霊魂を清めて現界に生まれて神業に参加する神も多くあった。
名称
神伊邪那美大神? 大国姫 国玉姫 国姫 日の出神 正鹿山津見 美山別
神伊邪那岐大神 神伊邪那美大神 探女 醜神 醜の枉霊 醜女 神軍 皇大神 皇神 曲神 曲津 曲津神 曲津見 魔軍 八種の雷神 黄泉大神 黄泉神 黄泉醜女 霊魂
磐樟船 現世 大峠 現界 言霊 底の国 天教山 常世の国 根底の国 根の国 幽界 黄泉国 黄泉島 黄泉比良坂 ロツキー山
 
本文    文字数=6511

第二四章 言向和〔四五四〕

 善と悪とを立別る  遠き神代の大峠
 黄泉の島の戦ひに  弱りきつたる美山別
 国玉姫の部下たちは  朝日輝く日の出神の
 味方の軍に艱まされ  天地に轟く言霊の
 貴の力に這々の体  悶え苦しむ折からに
 黒雲塞がる大空を  轟かしつつ舞ひ降る
 磐樟船の刻々に  地上に向つて降り来る
 大国姫を神伊邪那美大神と  敵や味方を偽りて
 日頃企みし枉業を  遂げむとするぞ浅ましき。

 神軍の言霊に魂を抜かし、胆を挫かれ、腰を抜かした醜女探女の悪神等は、泥に酔うたる鮒の如く、毒酒に酔うた猩々の如く、骨も筋も菎蒻然と悶え苦しむその処へ、常世の国の総大将、神伊邪那美神の御出陣と聞いて、再び元気を盛り返し、八種の雷神を始めとし、百千万の魔軍は一度にどつと鬨をつくつて、黄泉比良坂指して破竹の如くに攻め登る。
 「ウロー、ウロー」の叫び声、天地も震撼するばかりにて、天津御空は黒雲益々濃厚となり、雷霆鳴り轟き、大地は震動し、海嘯は山の中央までも襲ひ来り、黄泉の国か、根の国か、底の判らぬ無残の光景に、美山別、国玉姫は、
『常世の国の興亡この一挙にあり』
と、部下の魔軍を励まして、
『進め進め』
と下知すれば、命知らずの魔軍は、醜女探女を先頭に、心の闇に迷ひつつ、力限りに戦ひける。
 爆弾の響き、砲の音、矢の通ふ音は、暴風の声と相和して益々凄じくなり来る。
 この時日の出神は比良坂の坂の上に立ちて、攻め登り来る数万の魔軍に向ひ、
『神伊邪那岐大神、神伊邪那美大神、守らせ給へ。常世の国より疎び荒び来る黄泉神、大国姫の伊邪那美命に一泡吹かせ、心の曲を払ひ去り、皇大神の神嘉言の声に邪の心を照させ給へ。一二三四五六七八九十百千万の神等よ、日の出神の一つ炬を、天地に照すは今この時ぞ。許させ給へ』
と云ふより早く、姿は消えて巨大なる大火球と変じ、魔軍の頭上に向つて唸りを立て、前後左右に飛び廻るにぞ、数多の魔軍は、神光に照されて眼眩み、炬の唸りに頭痛み、耳痺れ、身体忽ち強直して化石の如く、幾万の立像は大地の砂の数の如くに現はれける。
 正鹿山津見は涼しき声を張りあげて、

『神が表に現はれて  善と悪とを立別る
 この世を造りし神直日  心も広き大直日
 ただ何事も人の世は  直日に見直せ聞き直せ
 身の過失は宣り直せ  黄泉の島は善悪の
 道を隔つる大峠  言問ひわたす神々の
 誠の道を千代八千代  定むる世界の大峠
 鬼も大蛇も曲津見も  言問ひ和す言問岩
 この坂の上に塞りたる  千引の岩は神の世と
 邪曲世を隔つる八重の垣  出雲八重垣妻ごみに
 八重垣造る神の国  ソモ伊邪那美の大神と
 詐り来る曲神の  大国姫よ国姫よ
 汝が命は幽界の  黄泉醜女を悉く
 言向け和せ現世を  あとに見捨てて帰り行く
 百の霊魂を守れかし  黄泉の国に出でまして
 一日に千人八千人の  落ち行く魂を和めつつ
 現の国に来らじと  黄泉の鉄門をよく守れ
 神伊邪那岐の大神の  生成化育の御徳に
 日の出神と現はれて  一日に千五百の人草や
 万民草を大空の  星の如くに生み殖やし
 神の御国を開くべし  那岐と那美との二柱
 互に呼吸を合せまし  国の八十国八十の嶋
 青人草や諸々の  活ける物らを生みなして
 堅磐常磐に神の世を  樹てさせ給へ常世国
 ロッキー山をふり捨てて  心をしづめ幽界の
 黄泉の神と現れませよ  黄泉の神と現れませよ』

 大国姫はこの歌に感じてや、千引の岩の前に現はれて、

『吾は常世の神司  神伊邪那美の大神と
 百の神人詐りて  日に夜に枉を行ひつ
 心を曇らせ悩ませて  あらぬ月日を送りしが
 神の御稜威も明けき  日の出神や諸神の
 清き心に照されて  胸に一つ炬輝きぬ
 輝きわたる村肝の  心の空は美はしき
 誠の月日現れましぬ  嗚呼天地を固めたる
 神伊邪那美の大神の  吾は黄泉に身をひそめ
 醜の枉霊の醜みたま  醜女探女を悉く
 神の御教に導きて  霊魂を洗ひ清めさせ
 再び生きて現世の  神の柱と生れしめむ
 美し神世に住みながら  曲業たくむ醜神を
 一日に千人迎へ取り  根底の国に連れ行きて
 百の責苦を与へつつ  きたなき魂を清むべし
 あゝ皇神よ皇神よ  常世の暗の黄泉国
 暗を照して日月の  底ひも知れぬ根の国や
 底の国まで隅もなく  照させ給へ朝日照る
 夕日輝く一つ炬の  日の出神よいざさらば
 百の神等いざさらば』  

と歌つて改心の誠を現はし、黄泉の大神となつて幽政を支配する事を誓ひ給ひたるぞ畏けれ。ここに伊邪那岐神の神言以ちて、日の出神その他の諸神将卒は、刃に衂らず、言霊の威力によつて、黄泉軍を言向け和し、神の守護の下に天教山に向つて凱旋されたり。
 数多の曲津神は悔い改めて、生きながら善道に立帰るもあり、霊魂となりて悔い改むるもあり、或は根底の国に落ち行きて黄泉大神の戒めを受け、長年月の間苦しみて、その心を改め霊魂を清め、現界に向つて生れ来り、神業に参加する神々も少からずとの神言なりけり。

(大正一一・二・二五 旧一・二九 井上留五郎録)



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