出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語10-1-211922/02霊主体従酉 桃の実王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
詳細情報:
場面:
黄泉比良坂
あらすじ
 黄泉比良坂の戦い。
 日の出神の神軍と魔軍は一進一退の攻防を繰り返す。しかし、魔軍は精巧な武器を使い、神軍は両刃の剣を持ってはいるものの敵に向って使用しないため、魔軍が優勢となる。そこへ、松竹梅と月雪花の女性軍が踊りながら入り、魔軍の心魂をとろかせる。これによって神軍は窮地を脱出することが出来た。そして魔軍は戦う力を失い平伏した。この功により松竹梅は意富加牟豆美神という名を与えられた。
名称
秋月姫 神伊邪那岐神 石折司 石筒之男司 梅ケ香姫 奥山津見司 大雷 大国彦 杵筑姫 国玉姫 闇オ加美司 闇御津羽司 闇山津見司 黒雷 駒山彦 折雷 志芸山津見司 少彦名神 田糸姫 竹島彦 竹野姫 建布都司 橘姫 足真彦神 月照彦神 土雷 照山彦 戸山津見司 鳴雷 根折司 羽山津見司 原山津見司 日の出神 樋速日司 弘子彦神 伏雷 火雷 正鹿山津見司 松代姫 甕速日司 美山別 深雪姫 若雷
蒲子 意富加牟豆美神 探女 醜女 神軍 天女 日の出神? 魔軍 桃上彦! 八種の雷神
天の鳥船 岩樟船 言霊 中空 常世の国 桃の実 湯津津間櫛 黄泉島 黄泉比良坂 霊主体従 ロツキー城
 
本文    文字数=5626

第二一章 桃の実〔四五一〕

 茲に日の出神は、神伊邪那諾神の神勅を奉じ、三軍に将として黄泉島に向つて花々しく進軍せり。
 石拆司、根拆司、石筒之男司をして先陣を宰らしめ、甕速日司、樋速日司、建布都司をして本隊の部将とし、後陣には闇淤加美神、闇御津羽神を部将とし、旗鼓堂々として黄泉島の比良坂に向つて進軍せしめ、左翼の軍隊には正鹿山津見神、駒山彦、右翼には奥山津見神、志芸山津見神を部将とし、遊軍として闇山津見神、羽山津見神、原山津見神、戸山津見神の十六神将をして鶴翼の陣を張り、魚鱗の備へ勇ましく、天の鳥船、岩樟船に乗せて雲霞の如き大軍を送り、天地も震動ぐばかりの言霊を発射せしめたり。
 茲に常世の国のロッキー城に現はれたる大国彦は、自ら日の出神と偽称し、美山別をして、大雷、黒雷、火雷、拆雷の勇将を遣はし、数多の魔軍を指揮せしめ、照山彦は伏雷、土雷の部将を率ゐて左翼となり、竹島彦は鳴雷、若雷の部将を率ゐて右翼となり、国玉姫、田糸姫、杵築姫をして醜女探女を引率せしめ、爆弾、弓矢、槍、剣などの兇器を以て山上に攻め登り、一挙に黄泉島を占領せむと猛虎の勢凄じく攻め来る。
 天震ひ地動ぎ、得も言はれぬ激戦は茲に開始されける。桃の実に擬へたる国玉姫、田糸姫、杵築姫の婉麗並びなき姿も、霊主体従の神軍に対しては、その魔力を発揮するの術更になかりけり。
 中空よりは、神軍として月照彦神、足真彦神、少彦名神、弘子彦神、雄姿を現はし神軍を指揮しつつあり。美山別の軍勢は、この神軍の応援に進み兼ね、稍躊躇の色ありしが、中空より聞ゆる森厳なる言霊の響に、頭は痛み胸は裂けむばかり苦しみ悶えて、止むを得ず坂の上より退却を始めたれば、日の出神の率ゆる神軍は、時を移さず比良坂を下りて、美山別の魔軍を追跡すること益々急なり。美山別の一隊は、八種の雷神に数万の魔軍を添へて生命限りに盛り返し来るを、日の出神は左翼部隊なる正鹿山津見、駒山彦の一隊を割いて、迂廻して魔軍の背面に向はしめたるに、魔軍は不意の言霊に再び胆を抜かれ、萎縮して思はず大地に俯伏する。月照彦、足真彦らの神軍の活動を称して蒲子生りきと云ひ、駒山彦、正鹿山津見の一隊の活動を称して、湯津津間櫛を引闕きて投棄て給へば乃ち笋生りきと云ふなり。
 日の出神は、軽々しく進み敵の術中に陥らむ事を恐れ、この機に乗じて元の本陣に大部隊の神軍を還し、宣伝歌を高唱して、敵の襲撃に備へつつありき。
 美山別の一隊は、ここを先途と全力を尽し、魔軍の力を集中し、一団となつて驀地に日の出神の陣営に向つて進み来る。一進一退、容易に勝負も見えざりける。
 美山別は勝に乗じ、あらゆる精巧なる武器を以て縦横無尽に攻め寄せ来るを、日の出神の神軍は、各自両刃の剣を携へをれども、素より折伏の剣にあらず、摂取不捨の利剣なれば、敵の鋒鋩に対しても容易にこれを用ゐず、ただ至誠至実の言霊を応用して、これに対抗するのみ。されども人盛なれば天に勝ち、悪は善を虐げ、暴は柔を苦しめ、時ならずして神軍の形勢は益々悲境に陥りぬ。
 この時桃上彦の娘、松代姫、竹野姫、梅ケ香姫は月、雪、花の三人の女将を従へ、数多の美しき女人を率ゐて、宣伝歌を歌ひながら、敵の陣中を目がけて長袖淑に踊り舞ひ狂ふにぞ、遉の魔軍も、容色端麗にして天女の如き清楚なる姿に眼眩み、魂奪はれ、呆然として各武器を地に投げ見つめ居る。
 松、竹、梅、月、雪、花の宣伝使は、魔軍の陣中を前後左右に飛び廻り、声も涼しく宣伝歌を歌へば、魔軍の将美山別を始めとし、八種の雷神に至るまで、女神の姿に恍惚として戦ひの場にある事を忘るるに至りぬ。この間に日の出神は、諸将を引率して黄泉比良坂の坂の上に退却し、ここに一時休養せり。魔軍は何れも戦ふの力なく平伏するを、松、竹、梅以下の女神は、悠々として日の出神の屯せる黄泉比良坂の坂の上に還り来り、戦況を具さに奏上せり。この時空中に声あり、
『吾は神伊邪那諾命、日の出神をして黄泉軍を言向け和さしめたれども、魔軍の勢強くして容易にこれを帰順せしむべからず。諸神将卒は戦ひに労れ艱みたる折しも、汝松、竹、梅の桃の実現れ来りて魔軍を言向け和し吾神軍を救ひたるは、この戦ひにおける第一の功名なり。これより松、竹、梅の桃の実は、吾軍を助けたる如く、世人の悪魔に悩まされ、憂瀬に落ちて苦しまむ者あらば、汝が言霊を以てこれを救へよ。汝ら三柱に対して、意富加牟豆美神といふ御名を賜ふ』
と宣らせ給ひぬ。

(大正一一・二・二五 旧一・二九 東尾吉雄録)



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