出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語08-2-81922/02霊主体従未 改心祈願王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
詳細情報:
場面:
アリナの滝の岩窟の鏡の池
あらすじ
 猿世彦は三五教の教理には疎いが一生懸命神に祈ったので、彼の教理は矛盾脱落に満ちていたが、誠の神は神徳を授けた。
 猿世彦は村人を伴ってアリナの滝のそばの鏡の池で禊をする。
名称
猿世彦 照彦 漁夫
悪魔 大神 国治立大神 木常姫 酋長 月照彦 日照の神 日の出神
朝日丸 アリナの滝 鏡の池 鬼城山 言霊 筑紫の州 智利の国 智利の都 天教山 常世の国 禊身
 
本文    文字数=4856

第八章 改心祈願〔三五八〕

 漁夫は猿世彦の言霊によつて、蛸の意外なる収獲を得、今迄軽侮の念を以て遇して居た猿世彦に対し、尊信畏敬の態度を以て望むことになり、アリナの滝に草庵を結び猿世彦の住家となし、尊敬の念を払ひ三五教の教理に悦服したり。されど俄宣伝使の猿世彦は未だ三五教の教理には徹底してをらず、ただ神を祈ることのみは一生懸命なりき。夫故平然として彼が説く所の教理は矛盾脱線に満ち居たれども、誠の神は彼が熱心に感じて神徳を授けられたるなり。
 この村は無智朴訥なる漁夫のみなれば、余り高遠なる教理を説くの必要も無く、また漁夫どもは神を祈りて豊な漁を与へて貰ふ事のみを信仰の基礎として居たり。しかし掃溜にも金玉あり、雀原にも鶴の降りて遊ぶが如く、この村の酋長に照彦と云ふ立派な男ありけり。彼は猿世彦の熱誠なる祈祷の効力に感じ、歌を作つてこれを讃美したりける。

 朝日眩ゆき智利の国  御空の月も智利の国
 猿世の頭も照の国  昼は日照の神となり
 夜は月照彦となり  吾らを照らす宣伝使
 かかる尊き救ひ宣使  またとアリナの滝の如
 その名は四方に響くなり  その名は四方に響くなり。

と村人に歌はせたり。猿世彦は得意満面に溢れ、天晴れ宣伝使となりすまし、法外れの教理を説きゐたり。然れど朴訥なる村人は誠の神の尊き教と堅く信じ、涙を流して悦び、信仰を怠らざりける。
 アリナの滝より数町奥に不思議なる巌窟あり。巌窟の中には直径一丈ばかりの円き池あり、清鮮の水を湛へ、村人はこれを鏡の池と命名け居たり。猿世彦は村人をあまた随へ、この鏡の池に禊を成さむと進み行きぬ。まづ酋長の照彦に鏡の池の水を掬つて洗礼を施し、次々にこれを手に掬ひ、老若男女に向ひ一々洗礼を施し、この巌窟の鏡の池に向つて祈願を籠めにける。
『嗚呼天地を御造り遊ばした国治立の大神様、太陽の如く月の如く鏡の如く、円く清らかなるこの鏡の池の水晶の御水の如く、酋長を始めその他の老若男女の身魂を清く研かせ玉うて、この水の千代に万代に涸ざる如く、清き信仰を何処までも繋がせ玉ひて、神様の御膝下に救はれますやうに、またこの尊き、清き御水を鏡として、吾々はじめ各自のものが何時までも心を濁しませぬやうに、御守り下さいますやう御願ひ致します。私は今日まで鬼城山に立籠り、木常姫と共々に大神様の御神業を力限り、根限り妨害致しましたその罪は、天よりも高く、千尋の海よりもまだ深いものでございます。しかるに貴方様は大慈大悲の大御心を以て、吾々の如き大罪人に対し満腔の涙を御注ぎ下さいまして、畏れ多くも天教山の猛火の中に御身を投じ玉うたことを承はりました。その事を聞きましてから私は、昔の悪事を思ひだし、起つても坐ても居れぬやうな心持になりました。嗚呼一日も早く改心したいと思ひますと、私の腹の中から悪魔が「馬鹿々々、何をソンナ弱い事を思ふか」と叱りますので、ついウロウロと魂が迷ひ、心ならぬ月日を送つて居りました。偶私は常世の国を逃出して、筑紫の島を彼方此方と彷徨ふ内、日の出神と云ふ立派な宣伝使が、智利の都へ御出で遊ばしたと聞いて、朝日丸に乗つて此処へ渡りますその船の中に、有難くも日の出神様が乗つて居られ、いろいろ結構な御話を聞かして下さいました。これも全く貴方様の御引合せと有難く感謝を致します。この清き鏡の池の水は、円満なる大神様の大御心でありませう。この滾々として湧き出づる清き水は、大神様の吾らを憐れみ玉ふ涙の集まりでありませう。この水の清きは、大神様の血潮でありませう。願はくば永遠に吾らの魂を、この鏡の池の円満なるが如く、清麗なるが如く守らせ玉はむ事を、村人と共に御願ひ致します。惟神霊幸倍坐世、惟神霊幸倍坐世』
と真心を籠めて祈願したり。数多の人々も異口同音に、惟神霊幸倍坐世を唱へて神徳を讃美したりけり。

(大正一一・二・六 旧一・一〇 森良仁録)



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