出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語07-8-401922/02霊主体従午 三人奇遇王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
詳細情報:
場面:
豊の国の酋長の館
あらすじ
 熊公は国治立命の子供の高照彦であった。八十熊別という名で豊の国の酋長を努めていた。また、豊日別は「自分は実は神素盞嗚大神の子供である」と告白する。
 日の出神は豊日別を豊の国の守護として残し、高照彦を伴って筑紫の国へ向う。
名称
熊公 侍女 面那芸彦* 豊日別 祝姫* 日の出神
神伊弉諾大神 国魂 国治立命 木花姫 酋長 醜の曲霊 神霊 神素盞鳴大神 澄世姫命 高照彦! 撞の大神 豊国姫大神 豊国別神! 虎転別! 八十熊別!
亜弗利加 天津祝詞 熊襲の国 立替へ 筑紫の国 筑紫の州 天教山 豊の国 肥の国
 
本文    文字数=4514

第四〇章 三人奇遇〔三四〇〕

 熊公に連れられて、四人の宣伝使は宏大なる構への館に導かれ、種々の馳走は堆高く並べられぬ。数多の侍女は盛装を凝らして果物の酒を取り出し、四人の宣伝使を饗応したり。しかして一行は宣伝歌を盛に歌ひ始むる。数多の侍女は松の小枝を手に手に携へて、歌に連れて淑やかに舞ふ。日の出神一行は長途の疲れをここに慰め元気は頓に回復したりけり。
日出神『貴下は熊公と仰せになつたが、初めてお目にかかつた時より、凡人ならじと睨ンでおきましたが、果して我が推量に違はずこの国の大酋長なりしか、重ね重ねのお心遣ひ感謝の至りに堪へませぬ。我々は神伊弉諾大神の落胤にして、日の出神と申すもの、世の大立替に際し撞の大神は天の浮橋に立ち、それより天教山に降り玉ひて八百万の国魂の神を生ませ玉ひ、我々をして国魂神を間配らせ玉ふのであります。この後はどうか私の指揮に従つて貰ひたい』
と厳かに云ひ渡したり。
熊公『承知いたしました。私は熊公とは仮の名、国治立命の落胤、高照彦と申すもの、大神の御退隠後は八十熊別と名を変へてこの亜弗利加の原野に都を造り、時を待ちつつあつたものであります。時節の到来か神の御引き合せにて貴き日の出神様との今日の対面』
と云ひながら嬉し涙をボロボロと流しける。日の出神はこの物語を聞いて感に打たれ独語、
『あゝ神様は何処までも注意周到なものだナア。水も漏さぬ神の御仕組、何処の果に如何なる尊き神様が隠してあるか、分つたものでない』
と俯むいて首を傾け、しばらくは物をも云はず溜息を吐く。
 日の出神は三人の宣伝使に向つて、
『皆の衆、今の命のお言葉を聞きましたか。世の中にはどンな偉い神様が落ちてござるか分りませぬ。皆さまもこれからは、どンな落魄た神でも人間でも侮る事は出来ませぬよ。あゝ今日は何たる結構な日であるか、高照彦といふ立派な神様がこの世界に隠してあるといふ事は、天教山の木花姫より承はつて居りました。何とかしてその御方に一度お目に懸り度と忘れた暇とては無かつたのです。今日は嬉しくも、かくも貴き御方に出遇ひ、何とはなしに心強くなりました』
 末座に控へたる豊日別は立上り、扇を披いて松葉を左手に持ちながら、席上に立つて自ら歌ひかつ舞ひ始めたり。

『久方の天津空より天降ります  神伊弉諾の大神の
 珍のかくしの御子とます  光も清き日本の
 日出る神の宣伝使  我は輝く肥の国の
 守の神と現はれて  虎転別と名告れども
 その源をたづぬれば  神素盞嗚の大神の
 隠し給ひし珍の御子  豊国別の神なるぞ
 豊国別の神なるぞ  世の荒浪に隔てられ
 醜の曲霊に取り憑かれ  身を持ち崩し虎転別の
 虎狼や獅子熊に  劣らぬばかり荒れ果し
 心の空の村曇り  曇りを晴らす日の神の
 御胤と現れし宣伝使  日の出神に救はれて
 豊の御国の主宰神  任けのまにまに出で来る
 心の空ぞ涼しけれ』  

と歌によそへてわが素性を明しける。日の出神も高照彦神もこの奇遇に神恩の深きを感謝し、直に神籬を立て国治立大神、豊国姫大神、伊弉諾大神、撞の御柱大神を鎮祭し、天津祝詞を奏上し、一同歓びを尽して宴会を閉ぢたりにける。
 これより日の出神は澄世姫命の神霊を国魂として鎮祭し、豊日別をして豊の国の守護職となし、日の出神、高照彦神、外二人の宣伝使は筑紫を指して足に任せて勇み進み行く。
 この島は身一つに面四つあり、豊国、肥国、熊襲国、筑紫国と区別され居るなり。しかしてこの四つの国を総称してまた筑紫の洲といふなり。

(大正一一・二・二 旧一・六 加藤明子録)



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