出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語07-7-361922/02霊主体従午 豊日別王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
詳細情報:
場面:
肥の国の八島別の館
あらすじ
 虎転別が改心して、館を取り囲んでいる群集に「自分は今までは悪だったが、善の心に改心した。皆の者も全に復れ」と語ると、たけりきって館を取り囲んでいた群集は拍子抜けになって家に帰っていった。
 八島別宣使は建日向別として肥の国を守護し、虎転別は豊日別として豊の国を守護することとなった。
名称
群集 虎転別 日の出神 八島別宣使
悪神 悪魔 悪霊 神霊 純世姫命 建日向別! 天狗 豊日別! 分霊 八岐の大蛇
豊の国 祝詞 肥の国
 
本文    文字数=3449

第三六章 豊日別〔三三六〕

 日の出神、八島別宣使は、虎転別の心よりの改心を喜び、神前に御饌御酒種々の物を供へ足はし、祝詞を奏上し互に心を打明けて兄弟の如く睦び合ひける。虎転別は、日の出神に向ひ、
『お蔭を以て我が身に憑依せる八岐の大蛇の悪霊は、貴下の神力によつて残らず脱出しました。今となつては何となく精神清々しく身も軽き心地が致します。今まで私は悪神の虜となり、数多の国人を唆かし、畏れ多くも神の教を宣べ伝ふ宣伝使を責め悩めむとしたる重々深き我身の罪、何卒見直し宣り直して下さいませ』
と涙と共に詫入るにぞ、日の出神は憐れを催ほして、
『人間は総て神様の分霊であります。生れつき悪人は一人も無い。ただ心の弛みより種々の悪魔に左右されて、悪行をなすのであつて、決して肉体の所作ではない。肉体は皆その悪神に使はれるのであるから、そこで神様は直日に見直し、聞き直し、宣り直し給ふのである。またその悪魔と雖も、心を改むればきつと御許しになるのである。况して神の分霊たる人間の貴方、必ず御心配あるな』
と懇に教理を説き諭せば、虎転別はかつ喜びかつ覚り、
『あゝ辱なき御言葉、私はこうしては居られませぬ。数多の群衆に向つて、今までの曲事を宣り直さねばなりませぬ。こう申す間も心が急ぐ。暫時御許し下されよ』
と云ひながら、韋駄天走りに門を立ち出で、十重二十重に群がる群衆に向つて、声を張上げ、

『神が表に現はれて  善と悪とを立別る
 この世を造りし神直日  心も広き大直日
 ただ何事も人の世は  直日に見直せ聞き直せ
 身の過ちは宣り直せ  虎転別の曲事は
 今宣り直す神直日  今宣り直す大直日
 これに群がる人々よ  われに做つて宣り直し
 悪しき心を立替へよ  荒らき言葉を立直せ
 一二三四五六七八九十百千万』  

と歌へば、群衆は口々に藪から棒の虎転別の言霊に、アフンとして口を開き、
『ヤヽヤイ何だい。一体薩張こンだ。テンツクテンだ、テンテラテンだ、テンプクだ、天狗だ、天界だ、回天だ。てンと訳が分らぬぢやないか』
虎転別は、なほも言葉を継いで、

『悪の中にも善がある  善と思ふても悪がある
 俺は今まで悪だつた  八島別宣使さまや
 日の出神の御教に  悪が復つて善となり
 今は心も清々し  善に復れよ皆の者
 悪を放せよ皆の者』  

と大音声に呼ばはりければ、今まで猛り切つてこの館を攻め囲んでゐた群衆は、この言葉に拍子抜けがし口々に呟きながら、各々家路に帰り行く。ここに八島別は、純世姫命の神霊を祀り、肥の国の守護神となり、建日別となり、また虎転別は心を改めて、豊の国の守護職となり、豊日別となりにける。

(大正一一・二・一 旧一・五 外山豊二録)



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