出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語07-7-351922/02霊主体従午 木像に説教王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
詳細情報:
場面:
肥の国の八島別の館
あらすじ
 虎転別は霊縛されて木像のようになっていた。一度霊縛を解かれたが、また殴りかかる。それでも最後には、日の出神の説教で本心から改心した。
名称
秋姫 面那芸 虎転別 夏姫 祝姫 春姫 日の出神 八島別

天津祝詞 熊襲 神文 肥の国
 
本文    文字数=3868

第三五章 木像に説教〔三三五〕

 日の出神は一同に向ひ、
『何れもこの場にあつまり給へ。今某がこの木像の眼を刳り抜いてお目にかけむ』
との一言を聞くより、木像はますます烈しく眼玉を廻転し初めたり。木像の前には、八島別、春姫、夏姫、秋姫を始め、日の出神、面那芸、祝姫その他十数人の佳人がズラリと列びけり。
 日の出神は木像に向ひ、
『えゝ皆の方々、これよりこの木像に一つお嫌ひな祝詞を唱へて進ぜませう。序に木像さまのお嫌ひな宣伝歌を歌ひませう。皆さま、私について合唱して下さい』
と言ひながら、天津祝詞を奏上し、宣伝歌を各々口を揃へて歌ひ終れば、五体の木像は両眼より涙を滝の如く流し居たり。
 ここに日の出神は、木像様のお経だと言ひつつ歌を歌ひ、祝姫を始め春姫、夏姫、秋姫をして歌につれて踊らしめける。

日出神『虎狼の吼え猛る  熊襲の国の国境
 肥の国都に名も高き  虎転別の神さまは
 力が余つて瘤だらけ  お酒が好きで酔ひ潰れ
 酔うた揚句は鉢を破り  戸を蹴破つて荒れ狂ひ
 乱暴極まるお振舞  ふるまひ酒を飲み過ぎて
 体は木像となりかはり  眼玉ばかりをギヨロギヨロと
 剥いてござるがいぢらしや  好きなお酒をどつさりと
 上つた報いは忽ちに  虎転さまの何よりも
 嫌ひな嫌ひな宣伝歌  ま一つ嫌ひな太祝詞
 手向けて上げたら眼に涙  滝と流して泣いたあと
 きつと嬉しいことがある  虎転別の神さまよ
 荒い心を立替へて  神の心になりかはり
 肥の国人を懇ろに  治めてやれよ虎転別よ
 三五教の吾々は  お前を憎いと思はない
 元をただせば皆神の  御子と生れた兄弟よ
 天にも地にも世の中に  他人があつて堪らうか
 善と悪とを立別る  神が表に現はれた
 ただ何事も人の世は  直日に見直し聞き直す
 神の教の宣伝使  少しは心を柔げよ
 片意地張るとこの通り  体は石のやうになり
 二進も三進も動けまい  神の教を聞き分けて
 誠の心に立ち帰れ  虎転別の神さまよ
 それに従ふ供人よ』  

と歌ひたまへば、木像はますます涙を零し出しける。
 日の出神は涼しき声を張りあげて、
『一二三四五六七八九十百千万』
と神文を唱へたるに、虎転別の木像は俄にグニヤグニヤとなつて旧の自由の身体に復したり。忽ち虎転別は日の出神に向つて飛び附いたまま、またもや拳骨を振り上げてポカンと打ちかかる刹那、再び身体は強直してまた木像の如くなりにける。
日出神『あなたの家には、妙な木像がありますな。時々暴れますのか、よう腕を振り上げる木像ですな』
八島別『ハイハイ、最前も最前とて、よく振り上げましたよ。実に面白い人形ですワ』
 日の出神はまたもや一二三四の神歌を歌ふ。木像はまた旧の通り身体自由に復したり。
虎転別『いや、どうも恐れ入りました。どうぞ許して下さい。今日限り改心をいたします』
と男泣きに泣き立てける。
 一同は顔見合はせてニヤリと笑ふ。虎転別の今後は如何なるならむか。

(大正一一・二・一 旧一・五 桜井重雄録)



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