出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語07-6-321922/02霊主体従午 水晶玉王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
詳細情報:
場面:
肥の国の八島別の館
あらすじ
 日の出神は案内の男に水晶玉を与えた。すると、男は、「他の男には隠れ蓑と隠れ笠をやってくれ」と言う。三人は「八島別を討ち取り虎転別の子分になりたい」と言う。
 日の出神は虎転別を退治に行くところだったので、「宝はやらない」と言うが、男達の中の一人が「改心する」と言うので、最後には水晶玉だけは渡した。
名称
乙 甲 日の出神 丙
天狗 虎転別 八島別
隠れ笠 隠れ蓑 水晶の玉 肥の国
 
本文    文字数=3506

第三二章 水晶玉〔三三二〕

 日の出神以下二人の宣伝使は、肥の国の都に漸う辿り着きぬ。八島別の館は巍然として高く聳え居たり。数多の群集は、ウロー、ウローと叫びながら十重二十重に取り巻き、先に立つたる案内の甲乙丙は後振返り日の出神に向ひ、
『モシモシ、山の奥の大天狗様、私等はこれからご免を蒙ります。一つ呶鳴つて皆の奴に一泡吹かさして見せて下さいませぬか』
日出神『よし、よし、あゝ遠方の所をお前達も忙しいのに御苦労であつた。俺はただに使はぬ、これをお礼にその方らに与へる』
と懐中より取り出したるは立派な水晶の玉なりける。
甲『これは一体何でございますか、立派なもので生れてから見た事もありませぬ。これはどうして喰ふのでございませう』
日出神『これは喰ふものぢやない、立派な宝だ。これさへ持つて居れば世界の事は何でも解る。さうして病人でもあつたらこれで撫でてやつたら忽ち全快する、死ンだ者でも蘇へる、起死回生の玉だよ』
三人『それは有難うございます。三人の中に三つまで、気の利いた天狗さまだ。これさへあれば大丈夫だ。一つ帰つて皆の者に見せびらかして威張つてやらうかい』
日出神『オイ、この玉は威張ると消えてしまふぞ、心を真直に持つて人を助ける心になれ。一寸しても今迄のやうにぶりぶり怒つてはいかないぞ。誠一つを貫き通す、水晶玉だ、よいか』
三人『それは結構な宝を頂きました。しかしながら、三人ながら同じ物を持つて居てもあまり尊くもありませぬ、一つより無いものが天下の宝でございますから、一つは頂戴いたします、さうしてその代りに乙には貴神の隠れ簑をやつて下さい。丙には隠れ笠をやつて下さらば、誠に有難うございます』
日出神『隠れ簑、隠れ笠を貰つて何にする心算か』
乙『下さるのならば申上ます。甲は水晶の玉で八島別の館の中を透き通して見ますなり、私らは隠れ笠と簑を着て館の中に忍び込み、八島別の素首を引き抜き、虎転別様に送ります。さうすると虎転別様は、お前は世界に比類なき大手柄者だと云つて、きつと私等をお側付として毎日日日甘い酒を飲まして下さいませう、それが何より私の望みです』
日出神『我々は虎転別といふ悪い奴を往生させに行くのだ。虎転別の助太刀をしやうと云ふやうな不量見な奴には、もう何もやらない、その水晶玉もかやせ』
甲『私はこの玉のやうに水晶魂になります。乙や丙があのやうな訳の分らぬ事を云つたのです。私と彼との心はお月様と鼈ほど違つて居ます。この玉はどうぞ私に下さいませ』
日出神『それならやらう。心を真直にもて、そして玉の曇らぬやうにせい』
と言ひ捨てて八島別の館を指してどんどんと進み入る。

(大正一一・二・一 旧一・五 加藤明子録)
(第二七章~第三二章 昭和一〇・二・二四 於呉市徳田屋旅館 王仁校正)



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