出口王仁三郎 文献検索

リンク用URL http://uro.sblog.jp/kensaku/kihshow.php?KAN=07&HEN=1&SYOU=1&T1=&T2=&T3=&T4=&T5=&T6=&T7=&T8=&CD=

原著名出版年月表題作者その他
物語07-1-11922/02霊主体従午 日出山上王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
詳細情報:
場面:
大台ケ原
あらすじ
大台ケ原で偽盤古神王(ウラル彦)の一派が天教山の征服を狙っている。そこへ日の出神がやってきた。大事忍男は大蛇や邪神を率いて防戦するが、日の出神に負けて逃げ出す。
 日の出神は「盤古神王(塩長彦)は、凶悪無道の常世彦に擁立され諸越山に住所を構え、国治立命を窮地に陥れた大逆無道の根源神である。今は、エルサレムで神政を引いているが威光は薄く、大国彦に圧迫され部下は離散し、神政の基礎は危うい。アーメニヤに神都を開くウラル彦は盤古神王(偽)と称し、天教山を占領し盤古神王になろうと画策している。エルサレムの本物の盤古神王(塩長彦)は実は、日の出神に導かれて地教山に隠れている。そこで、エルサレムの盤古神王は国治立命の従者紅葉別が成りすましている。」と言う。
盤古神王(塩長彦) 偽盤古神王(ウラル彦) 身代わり盤古神王(紅葉別)
名称
大蛇 日の出神
天津御神 伊弉諾大神 大国彦 大道別! 国治立命 国祖 塩治姫 自在天 邪神 天女 常世彦 偽盤古神王ウラル彦 盤古神王 盤古神王塩長彦 紅葉別 八岐の大蛇
アーメニヤ 淡路島 エルサレム 大台ケ原 神政 地教山 天教山 豊葦原の中津国 諸越山
 
本文    文字数=5502

第一章 日出山上〔三〇一〕

 千歳の老松杉林  檜雑木苔蒸して
 神さび立てる大森林  麓を廻る中国一の大高山
 東南西に千波万波の押寄する  大海原を控へたる
 雲井に高く神徳も  大台ケ原の中央に
 雲つくばかりの大岩窟あり  盤古神王自在天
 自由自在に世の中を  思ひのままに掻き乱し
 万古不動の礎を  建てむとしたる立岩の
 をぐらき窟の奥深く  探り知られぬその企み
 天津御神の勅以て  豊葦原の中津国
 淡路島なる聖域に  天降りましたる伊弉諾の
 神の光の四方の国  暗夜を開く大道別命の分霊
 日の出神は朝露を  踏み分け登る宣伝使
 漸う岩窟の前に辿り着く  彼方此方に鳴き渡る
 百鳥千鳥の鳴く声は  岩戸の前に百神の
 囁く如く聞ゆなり  折から深き山奥より
 天地も崩るるばかりなる  大音響の物凄く
 火焔の舌を吐きながら  渓間を目がけ降りくる
 八岐の大蛇を先頭に  数限りもなき大蛇の群
 巌窟を指して進みくる  その光景の凄じさ
 心震ひ魂縮まるばかりなり  日の出の神は黙然と
 瞑目静坐不動の態。  

 忽然として現はれたる白髪異様の老神、右手に赤銅の太き杖をつき、左手に玉を捧げながら、日の出神に向ひ鏡の如き両眼を刮と見開き声をかけ、
『何者なればこの神山に断りも無く登り来るか。抑も当山は、盤古神王塩長彦命の御娘神、塩治姫神の永久に鎮まりたまふ神界所定の霊山なり。一刻も早くこの場を立ち去れ。早く早く』
とせき立てたり。
 日の出神は、むつくとばかり立ち上り、
『実に心得ぬ汝が今の言、盤古神王とは彼れ何者ぞ。兇悪無道の常世彦命に擁立され諸越山に住所を構へ、畏れ多くも国祖国治立命をして窮地に陥れしめたる大逆無道の根元神、今は僅かにヱルサレムの聖地に割拠し、螢火のごとき微々たる光を照らし、漸くにしてその神威を保続し、神政を布くといへども、暴力飽くまで強き大国彦神の神威に圧迫され、部下の諸神司は日に夜に反覆離散し、神政の基礎はなはだ危し。さはさりながら、いま汝の述べ立つる盤古大神は、果してヱルサレムの城主塩長彦命の娘神塩治姫命には非ざるべし。察する所アーメニヤの野に神都を開く、偽盤古神王ウラル彦神の一味の邪神、この神山に身を遁れ諸神を偽り、時を待つて天教山を占領し、己れ代つて盤古神王たるに非ざるか。ヱルサレムに現はれ給ふ盤古神王は、真の塩長彦命なれども、現在は仔細あつて地教の山に隠れ給ひ、ヱルサレムに在す盤古神王は、勢力微々たる国治立命の従神紅葉別命、今は盤古神王と故あつて偽り、天下の形勢を観望しつつあり。汝が言ふところ事実に全く相反し信憑すべき事実毫末もなし。盤古神王をヱルサレムに迎へ奉り、かつまた地教山に遷し奉りしはかく申す日の出神なり。この上尚ほ答弁あるか』
と刀の柄に手をかけ、返答次第によつては容赦はならぬと詰め寄れば、白髪異様の老神は、大口開けてカラカラと打笑ひ、
『われは大事忍男神なり。盤古大神が娘塩治姫命の御隠れ家と言挙げしたるは真赤な偽り。もはや是非なし。汝に看破されしこの上は、破れかぶれの我が活動、いまに吠面かわくな。汝いかに武勇絶倫にして、たとへ獅子王の勢あるとも、この嶮しき神山にただ一人分け入り、いかに千変万化の智勇を揮ふも、汝一人の力におよばむや。すみやかに兜を脱いで我が前に降参するか、ただしは汝が携へもてる錆刀を以て、潔く割腹するか、返答如何に』
と百雷の一時に轟くごとき怒りの声、天地も割るるばかりであつた。山中俄に騒がしく、峰の頂谷の底一度に高き鬨の声、大蛇や悪鬼を始めとし、異様の怪物雲霞のごとく一度に押寄せ、咆哮怒号するさま身の毛も竦立つばかりなりけり。
 日の出神は、少しも屈せず立岩を脊に、刀の柄に手を掛けて、
『たとへ幾億万の強敵きたるとも、斬つて斬つて斬り捲り、やむを得ざれば屍の山に、血潮の河、全山ことごとく唐紅に染めなさむ、いざ来い勝負』
と身構へたり。
 大事忍男神と自称する白髪異様の妖神は、この勢に辟易し巌窟めがけて一目散に逃げ入り、押寄せきたる悪鬼邪神の姿は煙のごとく消え失せて、後には渓間を流るる水の音、松吹く風の響、面を撫でる春の陽気も美はしかりける。
 渓間に囀る百鳥の声は、たちまち天の原雲路を分けて降りくる。天女の奏づる音楽かと疑はるるばかりなりける。

(大正一一・一・三〇 旧一・三 外山豊二録)



オニドでるび付原文を読む    オニド霊界物語Web