出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語06-7-381922/01霊主体従巳 黄金の宮王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
詳細情報:
場面:
青雲山
あらすじ
 雲掴は雲別といい吾妻彦の補佐の神であった。雲掴は改心をして青雲山の実情を宣伝使に語った。ウラル彦の宣伝使鬼掴が青雲山にやって来て、神人を強圧的に圧迫した。吾妻彦は降伏してウラル教に帰順し、黄金の宮もアーメニアに移すことになった。その黄金の玉をウラル彦が受け取りに来るので道路を作っているという。高彦天使の説得によって、黄金の宮はエルサレムに移すことになった。
名称
吾妻彦 鬼掴 神澄彦 雲掴 高彦天使 玉守彦 玉守姫
悪霊 天照大御神 天児屋根命! 神伊邪那岐命 ウラル彦 大蛇 国治立命 雲別! 常世彦 八王
アーメニア 天津祝詞 エルサレム 黄金の玉 黄金の宮 言霊 神政 高天原 霊縛 黄金山
 
本文    文字数=5022

第三八章 黄金の宮〔二八八〕

 高彦天使は、雲掴の改心の情現れしより、一同の霊縛を、一イ二ウ三ツと唱へながら解いた。一同は一時に身体の自由を得、涙を流して各々柄物を大地に投げ捨て、宣伝使の前に群がり来りて跪きその無礼を陳謝し、雲掴は涙片手に逐一その真相を語りける。
『当山は貴下の知らるる如く、古より国治立命の命によりて黄金の玉を祭り、玉守彦、玉守姫の二神が、宮司としてこれを保護し奉りて居りました。さうして神澄彦が八王神となりて、当山一帯の地を御守護遊ばされ、吾妻別は神政を管掌されつつあつたのでありましたが、八王神の神澄彦様は、大洪水の前に、宣伝使となつて、聖地ヱルサレムへ御出になり、それからは吾妻別の独舞台となつてをりました。しかるにこの度、常世彦の御子なるウラル彦が、アーメニヤの聖地に神都を開かれ、宣伝使を諸方に派遣され、先年その宣伝使たる鬼掴と云ふ力の強き使が、当山にきたりて吾妻別と談判の末、つひに吾妻別は鬼掴に降伏し、アーメニヤの神都に帰順された。そこでいよいよアーメニヤの神都に、黄金の国魂を祭るべく、黄金の宮をアーメニヤに遷される事となり、やがてウラル彦は、数多の供人を引き伴れ、当山へその玉を受取りに御出になるので、吾々は吾妻別の厳命によりて、山道の開鑿に昼夜間断なく従事してをりました。しかるに尊き貴下の御出になり、有難き神様の教を聞かして頂きましてより、どうやら私らの心の中に潜める大蛇の悪霊も逃げ出したやうで実に天地開明の心持となり、今迄の吾々の慢心誤解を省みれば、実に耻かしくつて穴でもあらば這入りたいやうな気が致します』
と真心を面に現はして述べたてにける。宣伝使は打ち首肯き、
『汝の詐らざる告白によつて、総ての疑団は氷解した。それに就いても当山の守護神吾妻別は今何処に在るぞ』
との尋ねに、雲掴は、
『ハイ、この頃は黄金の宮の御神体をアーメニヤに遷す準備のために、昼夜断食の行をなして居られます。しかるに肝腎の宮司なる玉守彦天使は、この御宮をアーメニヤに遷すことは、御神慮に適はないと云つて、大変に反対をされて居るさうであります。肝腎の御宮守が御承知なければ、如何に当山の守護職なる吾妻別命も、どうする事も出来ず、さりとて一旦ウラル彦に約束なされた以上は、これを履行せなくてはならず、万々一今となつて違背されるやうな事があるとすれば、当山はウラル彦のために焼き亡ぼされるは火を睹るより明かなりと云ふので、玉守彦天使様の御承知が行くやうにと、一方に準備すると共に、一方は断食の行をせられて居るのであります。私は実は雲掴と申して、賤しき人夫の頭領を致してをりますが、実際は吾妻別の補佐の神司で、雲別と申す者であります。それゆえ当山の事ならば、何事も詳しく存じて居りますが、今日のところ吾妻別は実に板挟みとなりて、苦しみ悶えて居られます。誠に見るも御気の毒の至りであります』
と顔色を曇らせ、吐息を吐きつつ述べ立つる。
 高彦天使は、雲別に向つて、
『御心配はいりませぬ、当山の禍を救ふは、ただ天津祝詞と言霊の力と、宣伝歌の功徳のみであります。また黄金の宮は決してアーメニヤには遷りませぬ。これは黄金山に遷せばよろしい。黄金山には仁慈無限の神様が現はれて、立派な教を立てられて居りますから、一時もはやくこれを黄金山に遷し奉り、高天原に坐します神伊邪那岐命の御神政御守護の御魂とすべきものであります。それゆゑ吾々は当山に宣伝使となつて参りしなり』
と、初めて自分の使命を物語りける。この高彦天使は、後に天照大御神様が岩戸隠れを遊ばした時、岩屋戸の前で天津祝詞を奏上し玉ひし天児屋根命の前身なり。
 これより雲別の案内にて山頂に登り、吾妻別、玉守彦天使に面会し、三五教の教理や伊邪那岐の大神の御神徳を詳細に説き示し、つひに吾妻別は、伊邪那岐命に帰順し忠誠を擢ンでたりける。しかして黄金の宮は、玉と共にヱルサレムの聖地に遷座さるる事となりにける。

(大正一一・一・二三 旧大正一〇・一二・二六 藤原勇造録)



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