出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語06-5-301922/01霊主体従巳 罔象神王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
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場面:

あらすじ
 伊弉諾大神、伊弉冊大神は完全無欠の神国を樹立した。しかし、その後、葦原の瑞穂国には天の益人、日に月に生まれ増して、遂に優勝劣敗、弱肉強食の暗黒世界となった。国治立命の神政に対して、何十倍も悪くなったのだ。大山枠の神、小山枠の神、野槌の神、茅野姫の神が跋扈し、勢い強きものはさらに強く、力弱いものは生存さえかなわない世となった。
「人間の心はますます荒み、いかにして自己の生活を安全にせむかと、日夜色食の道にのみ孜々として心身を労し、遂には他を滅ぼしその目的を達せむために、人工をもって天の磐船を造り、あるいは鳥船を造り、敵をたおすために、各地の銅鉄の山を穿ちて種種の武器を製造し、働かずして物資を得むがために、またもや山を堀り、金銀を掘り出してこれを宝となし、物質との交換に便じ、あるひは火を利用して敵の山野家屋を焼き、暗夜の危険を恐れて燈火を点じ、種種の攻防の利器を製造して、互いの雌雄を争うに至れり。しかして衣食住はますます贅沢に流れ、神典にいはゆる大宜津姫命の贅沢きはまる社会を現出し、貧富の懸隔もっとも甚だしく、社会は実に修羅の現状を呈出するにいたりたり。」
 そこで、伊弉冊大神は女神として地上主宰のその任に堪えざるを慮り、黄泉国に隠れ入られることとなった。そのため、世は益々混乱状態となり、人々は救世主の出現を希望することとなった。ここに、最も虐げられた人々から生まれた埴安彦神、埴安姫神は、和久産霊という宣伝使を使い、水波廼女なる正しい人間を多く救った。しかし、その数は千中に一つにも足らないほどであった。また、伊弉諾大神、伊弉冊大神は各地の国魂に命じて武力で、曲津神を掃蕩しようとした。
名称

天の益人 伊弉諾命 伊弉冊命 大宜津姫命 大山杙の神 迦具槌の神 茅野姫の神 救世主 国魂 国治立命 小山杙の神 撞の大御神 野槌の神 埴安彦神 埴安姫神 曲津神 水波廼女 吾久産霊
葦原の瑞穂国 天の磐船 大海原の国 修羅 神国 神政 体主霊従 豊葦原の瑞穂国 鳥船 黄泉国
 
本文    文字数=3349

第三〇章 罔象神〔二八〇〕

 伊弉諾、伊弉冊二神は、撞の大御神を豊葦原の瑞穂国の大御柱となし、みづからは左守、右守の神となりて、漂へる大海原の国を修理固成し、各国魂の神を任じ山川草木の片葉に至るまで各その処を得せしめ、完全無欠の神国を茲に芽出度く樹立せられたのである。しかるに好事魔多しとかや、葦原の瑞穂国には天の益人、日に月に生れ増して、つひには優勝劣敗弱肉強食の暗黒世界を再現し、国治立命の御神政に比して数十倍の混乱暗黒世界とはなりける。
 茲に人間なるもの地上に星のごとく生れ出で、増加するによつて、自然に自己保護上体主霊従の悪風日に月に吹き荒み、山を独占する神現はれ、一小区劃を独占するものも出で来り、野も海も川も、大にしては国、洲などを独占せむとする神人や人間が現はれたのである。山を多く占領する神を大山杙の神と云ひ、また小区劃を独占する神を小山杙の神と云ふ。また原野田圃の大区劃を独占する人間を野槌の神と云ふ。小区域を独占する人間を茅野姫の神と云ふ。山杙の神や野槌の神や茅野姫の神は各処に現はれて互に争奪を試み、勢強きものは大をなし、力弱きものは遂に生存の自由さへ得られなくなつて来たのである。人間の心はますます荒み、いかにして自己の生活を安全にせむかと日夜色食の道にのみ孜々として身心を労し、遂には他を滅しその目的を達せむために人工をもつて天の磐船を造り、或は鳥船を造り敵を斃すために、各地の銅鉄の山を穿ちて種々の武器を製造し、働かずして物資を得むがためにまたもや山を掘り、金銀を掘り出してこれを宝となし、物質との交換に便じ、或は火を利用して敵の山野家屋を焼き、暗夜の危険を恐れて燈火を点じ、種々の攻防の利器を製造して互に雌雄を争ふやうになつて来た。而て衣食住はますます贅沢に流れ、神典にいはゆる大宜津姫命の贅沢極まる社会を現出し、貧富の懸隔最も甚だしく、社会は実に修羅の現状を呈出するに至りたり。
 茲に伊弉冊命は、女神として地上主宰のその任に堪へざるを慮り黄泉国に隠れ入ります事となつた。そこで益々世は混乱状態となり、天下の神々も一般の人間も、救世主の出現を希望する事となつて来た。時にもつとも虐げられたる人間の中より、埴安彦神、埴安姫神の二神が現はれ、吾久産霊なる仁慈の神々を多く率ゐて救ひの道を宣伝し、水波廼女なる正しき人間を多く救うた。されど、その数は千中の一つにも足らない位の比較である。これより伊弉諾、伊弉冊の大神は、各地の国魂に命じ、数多の曲津神を掃蕩せしめむとされた、この御神業を称して、御子迦具槌の神の御首を斬り玉ふといふなり。

(大正一一・一・二一 旧大正一〇・一二・二四 加藤明子録)



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