出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語06-5-291922/01霊主体従巳 泣沢女王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
詳細情報:
場面:

あらすじ
 伊邪那美命は地上の混乱に驚いて黄泉国へ逃げた。伊邪那岐命は悲しんで歌を読んだ。その後は、荒魂をふりおこして、天の香具山の鋼鉄を掘り、自分で十握の剣を沢山作って、「荒ぶる神共を武力をもって討ち罰めむ」と計られた。
名称
伊邪那岐命 伊邪那美命 豊受姫 埴安彦 埴安姫 罔象女 和久産霊
荒魂 神伊邪那岐大御神 神伊邪那美大御神 大宜津姫 迦々毘古 迦具槌 金山彦 神皇産霊大神 国の御柱の神 高皇産霊大御神 撞の御柱 魔神
天の磐樟船 天の鳥船 天の瓊矛 天の香具山 淤能碁呂島 言霊 体主霊従 地汐 地上 天教山 十握の剣 黄泉国 黄泉御国 黄金の橋
 
本文    文字数=4371

第二九章 泣沢女〔二七九〕

 神伊邪那岐の大御神  神伊邪那美の大神は
 清き正しき天地の  陽と陰との呼吸合せ
 スの言霊の幸ひに  天の御柱国柱
 生り出でまして山川や  草木の神まで生み了ほせ
 青人草や諸々の  呼吸あるものを生み満たせ
 栄ゆる神代を楽みて  喜び玉ふ間もあらず
 天津御空の星の如  浜の真砂の数多く
 青人草は生り成りて  鳴りも合はざる言霊の
 呼吸の穢れは天地や  四方の国々拡ごりつ
 清き正しき大御呼吸  濁りに濁り村雲の
 塞がる世とはなりにけり  開け行く世の常として
 天津御空に舞ひ狂ふ  天の磐樟船の神
 天の鳥船影暗く  御空を蔽ひ隠しつつ
 人の心は日に月に  曇り穢れて常闇の
 怪しき御代となり変り  金山彦の神出でて
 遠き近きの山奥に  鋼鉄を取りて武器を
 互に造り争ひつ  体主霊従の呼吸満ちて
 互に物を奪ひ合ふ  大宜津姫の世となりぬ
 野山に猛き獣の  彼方此方に荒れ狂ひ
 青人草の命をば  取りて餌食となしければ
 ここに火の神現はれて  木草の繁る山や野を
 一度にどつと焼速男  世は迦々毘古となり変り
 山は火を噴き地は震ひ  さも恐ろしき迦具槌の
 荒振世とはなりにけり  国の柱の大御神
 この有様を見そなはし  御魂の限りを尽しつつ
 力を揮はせ玉へども  猛き魔神の勢に
 虐げられてやむを得ず  黄泉御国に出でましぬ
 糞に成ります埴安彦の  神の命や埴安姫の
 神の命のいたはしく  世を治めむとなし玉ひ
 尿に成ります和久産霊  世を清め行く罔象女
 神の命は朝夕に  心を尽し身を尽し
 遂に生れます貴の御子  この世を救ふ豊受姫の
 神の命の世となりぬ  嗚呼奇なる神の業。

 伊邪那岐命は、伊邪那美命の黄泉国、すなはち地中地汐の世界に、地上の世界の混乱せるに驚き玉ひて逃げ帰り玉ひしを、いたく嘆きてその御跡を追懐し、御歌を詠ませ玉ひぬ。
 その歌、

『神の神祖とましませる  高皇産霊の大御神
 神皇産霊の大神の  清き尊き命もて
 女男二柱相並び  天の瓊矛を取り持ちて
 黄金の橋に立ち列び  海月の如く漂へる
 大海原の渦中を  こおろこおろに掻き鳴らし
 淤能碁呂島に降り立ちて  島の八十島八十国や
 山川草木の神を生み  天の下をば平けく
 神の御国を治めむと  誓ひし事も荒塩の
 塩の八百路の八塩路の  塩路を渡り黄泉国
 汝は独で出ましぬ  振り残されし吾独
 如何でこの国細かに  神の御胸に適ふ如
 造り治めむ吾は今  熟々思ひめぐらせば
 黄金の橋に立ちしより  天教山に天降り
 撞の御柱右左  伊行き廻りて誓ひたる
 その言の葉の功も  何とせむ方泣く泣くも
 涙を絞る夜の袖  汝の頭に御後辺に
 匍匐ひ嘆く吾が胸を  晴らさせ玉へうたかたの
 定めなき世の泣き沢女  定めなき世のなきさはめ』

と謡ひて別れを惜しみ、再び淤能碁呂島に、女神の帰り来まさむことを謡ひたまふ。これより神伊邪那岐の神は、女神に別れ一時は悄然として、力を落させ玉ひける。
 されど、ここに神直日大直日に省み、荒魂の勇みを振り起し、天の香具山の鋼鉄を掘り、自ら十握の剣を数多造りて、荒振る神共をば、武力を以て討ち罰めむと計らせ玉ひける。

(大正一一・一・二一 旧大正一〇・一二・二四 藤原勇造録)
(第二九章 昭和一〇・二・一五 於淡の輪黒崎館 王仁校正)



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