出口王仁三郎 文献検索

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原著名出版年月表題作者その他
物語05-4-261922/01霊主体従辰 艮坤の二霊王仁三郎参照文献検索
キーワード: 物語
詳細情報:
場面:
天教山 ヒマラヤ山
あらすじ
 天教山の爆発は、根底の国に押し込められて種々の艱難辛苦をなめていた神人が時を得て、野立彦命の神徳により地中の空洞をひらき、天教山の噴火口に向って爆発したものである。地上に散布された星光は『三千世界一度に開く梅の花』といい、各身魂の美しき神人と生まれて神業に参加する状態をいう。
 天教山では、木花姫命以下の神々は青木ケ原へ移り、上中下のそれぞれの神人が御魂に合せて宣伝を開始した。月照彦神一行は銀橋を渡ってヒマラヤ山に到着した。

***御魂の因縁***
 教えを説く者と聞く者と、意気合するときは、神の正しき教えは身魂の奥にしみわたるものである。あたかも磁石の鉄を吸い寄せるごとき密着の関係を作ることが出来る。
名称
あまたの神人 太田神 木花姫命 少彦名神 足真彦神 月照彦神 野立彦命 野立姫命 祝部神 弘子彦神
大神 釈迦
天の岩戸開き 青木ケ原 印度 銀橋 火球 三千世界 神政 神諭 星光 立替へ 立直し 地球 地上の世界 地獄の釜の蓋 天教山 根底の国 祝詞 ヒマラヤ山 身魂の因縁
 
本文    文字数=5359

第二六章 艮坤の二霊〔二二六〕

 轟然たる大音響とともに突然爆発したる天教山の頂上より、天に向つて打ち上げられたる数多の星光は、世界の各地にそれぞれ落下した。
 これは第四巻に示す地球の中軸なる大火球すなはち根底の国に落ちて、種々の艱難辛苦をなめたる各神の身魂の時を得て、野立彦命の神徳により地中の空洞(天の岩戸)を開き、天教山の噴火口に向つて爆発したのである。俗に地獄の釜の蓋が開くと云ふはこのことである。また『天の岩戸開き』と云ふのも、これらを指して云ふこともあるのである。
 地上に散布せられたる星光は、多年の労苦に洗練されて天授の真霊魂に立替はり、ことに美はしき神人として地上に各自身魂相応の神徳を発揮することとなつた、これらの顛末を称して、
『三千世界一度に開く梅の花』
と謂ひ、また各身魂の美はしき神人と生れて、神業に参加するの状態を指して、
『開いて散りて実を結び、スの種子を養ふ』
といふのである。
 かくして野立彦命は世の立替へ、立直しの先駆として、まづ世に落ちたる正しき神を一度に岩戸を開き、地獄の釜の蓋を開いて救ひたまひ、世界改造の神種となし給うたる最も深遠なる御経綸である。
 却説木花姫命は、月照彦神以下の諸神を随へ、天教山の中腹なる青木ケ原に下り着きたまうた。ここには彼の銀橋を渡りてきたれる神々の数多集ひて、山上を見上げながら、木花姫命を先頭にあまたの供神とともに下りきたるを見て、一斉に手を拍ち喊声をあげ、ウローウローと叫びつつ、踊り狂うて歓迎した。
 神人は遥にこの光景を眺めて大に喜び、先を争うて青木ケ原に息せききつて上りきたり、上中下三段の身魂の神政成就の神柱の揃ひしことを喜び祝し、手に手に木の皮を以て造れる扇を開き、前後左右に手拍子、足拍子を揃へ、ウローウローと叫びながら踊り狂うた。その有様は、あたかも春の野に男蝶女蝶の翩翻として、菜の花に戯るごとくであつた。神々の一度に手を拍ち祝詞を奏上する声は、上は天を轟かし、下は地の万物を震動させた。
 かくのごとく天教山にては、上中下の身魂の神柱は、各自部署を定めて地上の世界を救済のために宣伝者となつて巡回し、かつ先に地上に散布されたる身魂は、美はしき神人と出世して各地に現はれ、この宣伝者の教を聞いて随喜渇仰した。説く者と聞く者と意気合するときは、神の正しき教は身魂の奥に沁みわたるものである。あたかも磁石の鉄を吸ひよせるごとき密着の関係をつくることが出来る。これらを称して身魂の因縁といふ。
 ゆゑにいかに尊き大神の慈言といへども、教理といへども、因縁なき身魂は、あたかも水と油のごとく反撥して、その効果は到底あがらない。後世印度に生れた釈迦の言に、
『縁なき衆生は度し難し』
と言つたのも、この理に拠るのである。ゆゑに大神に因縁あるものは、この浅深厚薄に拘はらず、どうしても一種微妙の神の縁の絲に繋がれて、その信仰を変ふることはできない。
 神諭にも、
『綾部の大本は、昔から因縁ある身魂を引寄して、因縁相応の御用をさせるぞよ』
と神示されたのも、遠き神代の昔より、離るべからざる神縁の綱に縛られてをるからである。
『神が一旦綱をかけた因縁の身魂は、どうしても離さぬぞよ。神の申すことを背いて、何なりと致して見よれ。後戻りばかり致すぞよ』
との神示は、神の因縁の綱に繋がれてをるから、自由行動を取りつつ、一時は都合よく行くことあるも、九分九厘といふ所になつて、神よりその因縁の綱を引かるるときは、また元の大橋へ返らねばならぬやうになるものである。
 これを神諭に、
『引つかけ戻しの仕組』
と示されてある。
 さて木花姫命の宣示を奉じて、月照彦神、足真彦神、少彦名神、太田神、祝部神、弘子彦神その他の神々は、折から再び廻転しきたれる銀橋に打乗り、一旦中空を廻りながら、復び野立姫命の現はれたまへるヒマラヤ山に無事降下した。
 ヒマラヤ山には、あまたの神人が夜を日についで、山の八合目以下の木を伐採し、大杭をあまた造り、頚槌を携へ地中にさかんに打込みつつあつた。月照彦神一行は、その何の意なるかを知らず、神人らに丁寧に一礼しながら、山上の野立姫命の神殿に向つて、隊伍粛々として参向したのである。

(大正一一・一・一〇 旧大正一〇・一二・一三 外山豊二録)



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